ノーベル賞候補の話は書く話題がなくて困ることがあるのですが、宮坂力特任教授は話題が豊富。ネットの人が気にする韓国関係の話がある他、小保方晴子さんで残念なことになった早稲田大学出身者で今度こそ!という見方もできます。
2020/09/30:
●白井康裕氏によるペロブスカイト太陽電池が実用化されない理由の説明
●ペロブスカイト太陽電池でノーベル化学賞候補
2017/09/21:ノーベル賞候補の選出と言えば、トムソン・ロイター引用栄誉賞。今回ニュースになっていたのは、学術情報会社「クラリベイト・アナリティクス」のもの。新しいものなのかな?と思ったら、クラリベイト社は昨年10月、トムソン・ロイターから独立したとありました。Wikipediaでも同じものと扱っていますし、単に発表機関に組織変更があっただけの模様です。
で、そのノーベル賞候補に今年も日本人が選ばれました。新型太陽電池として期待される「ペロブスカイト太陽電池」を研究する、宮坂力(つとむ)・桐蔭横浜大学特任教授(64)です。有力候補を22人も選んでいるので、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる的なところがあるんですけどね。
朝日新聞によると、特殊な結晶構造の一種「ペロブスカイト」が太陽電池として使えることを発見し、2009年に報告したそうです。材料を塗るだけでつくれたり、曲げたり半透明にしたりできるのが特徴で、次世代太陽電池の一つとして期待されています。
(
ノーベル化学賞候補に日本人研究者 米の学術情報会社:朝日新聞デジタル 小堀龍之 2017年9月20日21時00分より)
●宮坂力特任教授「実用化には数年かかると思う」
ペロブスカイト太陽電池は、コストが低く、窓や壁に貼るなど、従来のシリコン太陽電池とのすみ分けも目指せる技術とされていました。NHKでは、衣服やかばんに太陽電池を貼り付けることで身の回りのパソコンや医療用の機器を動かすほか、人工衛星などへの応用も期待できると書いています。
ただし、現在のところ、耐久性に課題があります。NHKでは、当初は太陽光を電気に変える発電効率は3%だったのが、従来の太陽電池に匹敵する20%を超えるレベルに達し、製品化に向けた動きも出始めているとしていたものの、宮坂力特任教授自身は時期尚早といったコメントでした。
「ペロブスカイト太陽電池の研究がものすごい勢いで広がっていることから、ノーベル賞への道もあるのかなと考えていましたが、実用化には数年かかると思うので、非常に早い反応に驚いています」
(ことしのノーベル賞予想に日本人研究者 9月20日 23時18分 NHK より)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170920/k10011149891000.html
●ペロブスカイト太陽電池は韓国人も候補で実用化では日本出遅れ
朝日新聞によると、宮坂力特任教授は、「多くの人のつながりが研究を成功させたと考えています」とコメントしていました。この「つながり」に海外の技術者が含まれているかどうかは不明ですが、今回のノーベル賞候補には同じペロブスカイトの研究で韓国と英国の研究者も選ばれているそうです。
また、NHKによると、実用化では日本が後手に回っているとのこと。宮坂力特任教授は「この技術は日本が発見したのに、欧米や中国、韓国などで研究に火がつき、日本があとから追いかける状況になってしまいました」とおっしゃっていました。
理由は様々なのでしょうが、重要な発見をしても、それを製品化できないというのは日本では結構ありますね。うちでは、量子コンピュータや3Dプリンター特許の話をやっています。
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日本人が逃した3Dプリンター特許 発明者・小玉秀男はランク賞受賞●早稲田大学初のノーベル賞?宮坂力特任教授の経歴・学歴
小保方晴子さんのSTAP細胞のときにどこかで、ノーベル賞うんぬんはまだ早いと書きましたが、当初は早稲田大学初のノーベル賞だ!とはしゃいでいる人たちがいました。ただ、その後ご存知の通り、ノーベル賞どころか論文撤回となってしまっています。
(関連:
賞賛一転、早稲田大学の恥となった小保方晴子 早大生は恨み節も)
略歴を見ると、宮坂さんはその早稲田大学出身で、今度こそ本物の早大初のノーベル賞候補という感じでした。やはりまだちょっと早いとは思いますけどね。ちなみに応用化学科ってのは、たぶん小保方晴子さんが分野転向する前のところと同じだったはずです。
<学歴>
1976年 3月 早稲田大学理工学部応用化学科卒業
1978年 3月 東京大学大学院工学系研究科工業化学修士課程修了
1981年 3月 東京大学大学院工学系研究科合成化学博士課程修了
<職歴>
1980~81年 カナダ・ケベック大学大学院生物物理学科客員研究員
1981年 4月 富士写真フイルム(株)入社,足柄研究所研究員
1992年 7月 同、足柄研究所 主任研究員
2001年12月~2017年3月 桐蔭横浜大学大学院工学研究科教授
2017年4月より 桐蔭横浜大学医用工学部臨床工学科 特任教授
(
桐蔭横浜大学 宮坂研究室│研究室の紹介│スタッフ紹介より)
↓書籍はあったものの、素人向けではなさそうでした。
●白井康裕氏によるペロブスカイト太陽電池が実用化されない理由の説明
2020/09/30:宮坂力特任教授は2017年の時点で「ノーベル賞への道もあるのかなと考えていましたが、実用化には数年かかると思うので、非常に早い反応に驚いています」とおっしゃっていました。2020年は3年後ということで「数年」といった感じ。とはいえ、まだ実用化と言える状況ではないようです。
あまり進んでいないのだろうと私が思ったのは、
ペロブスカイト太陽電池が家庭に来る日は?研究の道のり|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社(2020年07月30日)というタイトルの記事が出ていたため。家庭で使えるような製品はまだできていないみたいなんですね。
この記事を書いていた物質・材料研究機構(NIMS)エネルギー・環境材料研究拠点 太陽光発電材料グループ 主幹研究員 白井康裕さんによると、ペロブスカイト太陽電池は、2012年ごろには効率10%を超えて一気に注目されて、熾烈な開発競争が始まります。ただし、前述の通り、実用化には至っていません。
変換効率に関して言えば、0・1平方センチメートル未満の素子では25%を超え、1平方センチメートル素子でも21%が実現。ただ、変換効率の向上を追う一方で、高いプロセス温度(500度C程度)や耐久性など実用上の課題は置き去りとなっている状況だとされていました。
なお、白井康裕研究員は逆にこちらの耐久性など実用上の課題を解決する方向性で研究。4500時間以上の連続発電記録も達成するなど、一定の条件下なら、ペロブスカイト太陽電池はすでに使えるレベルにあることを示したとのこと。画期的な研究はこういう着眼点が違うところで生まれやすいので、期待したいところです。
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