ちょっとしたことで大惨事が起きるという危険なイメージがある核爆発ですが、実際にはうまく爆発させることが難しく、間違えて壊すなどした場合でも結構大丈夫なんだそうです。意外ですね。ただし、これは安全という意味ではなく、「放射能汚染」はガンガン発生。飽くまで「核爆発しない」というだけでした。
2023/09/05追記:
●日本の原発処理水に抗議中の中国の原子力潜水艦が事故とデマ 【NEW】
●実は過去にある間違って核爆弾投下しちゃった事件 核爆発が起きなかった理由は?
2017/09/23:「あっ、間違っちゃった、ごめんね」じゃ到底済みそうにない話なのですが、核爆弾を誤って投下したり、核爆弾を搭載した爆撃機の墜落したり…といった事故が過去に起きたことがあるそうです。しかも、1回や2回でなく、数十回。核爆弾をなくしちゃったってなこともあるんだそうな。迷惑すぎます。
ただ、核爆弾を紛失したケースがあること、それほど大きなニュースになっていないことでわかるように、核爆発はいずれのケースでも起きていないのです。数十回あって1件も…です。これにはもちろん理由があります。現在の一般的な核爆弾は、核爆発を起こすことがたいへん難しいためだといいます。
(
核ミサイル、迎撃したらどうなる? 過去事例から考えられる実際のところとは 乗りものニュース | ライフ・美容 | 2017年09月23日より)
核反応のひとつ「核分裂」は、燃料として広く使われるプルトニウム239に中性子を照射することによって発生。核分裂自体が中性子を生み出すため、さらに別のプルトニウム239を核分裂させることで、連鎖反応も起きます。この連鎖反応が無制限に暴走した状態を核分裂における「核爆発」。ところが、これが難しいというのです。
連鎖を引き起こすには多量のプルトニウム239を高密度に凝縮しなくてはなりません。一般的な核弾頭には、プルトニウム239が数十個に小分けした状態で格納されています。これらを起爆したい場合、火薬の爆発によってすべてのプルトニウム239を中心部へと押し込み衝突・凝縮させる必要があります。
これをインプロージョン方式と呼ぶのですが、この方式はすべてのプルトニウム239が同時に中心部で衝突するよう極めて慎重なタイミングが要求されるので、そうではない衝撃があっても起爆する可能性はほぼゼロだと言えるといいます。衝撃の方向性がちょっとでもズレるとダメってことなんでしょうね。
なお、ネットでこの件を検索していたら、日本人は唯一の被爆国と言っているくせに核爆弾のしくみを知らなすぎると言っている人がいました。これは一見もっともらしく思えるものの、冷静に考えて知るべき優先順位の高い話ではありませんよね。よく考えると意味がわからない主張です。
●単に「核爆発はしない」というだけ…核物質は飛散して汚染する
以上のような理由ににより、とりあえず連鎖反応を起こす「核爆発」は起きないようなのですが、これは放射能汚染を引き起こさないという意味ではありません。「核爆発」の危険性はなくとも、弾頭が破壊された場合は、核物質を含む破片となって地表へ落下するため、核汚染による被害は発生するのです。
例えば、1966(昭和41)年1月17日にスペイン上空で発生した、アメリカ空軍B-52戦略爆撃機とKC-135空中給油機の空中衝突事故。このケースでは、B-52に搭載されていた4個の核爆弾が落下し、そのうち2個でインプロージョン用の火薬が炸裂する…といったことが起きています。
前述の通り、まだ一度も起きていないとされていたので、このときももちろん核爆発は未発生。ただ、これにより、核物質は飛散しました。2万2000平方メートルの土壌を除去、かつ17万平方メートルの土壌について表層と深層を入れ替えるクリーンナップ作業を行うというたいへんなことになっています。
なお、この記事は、日本が北朝鮮の核ミサイルを迎撃したとしても、その衝撃によって核弾頭が起爆することはないよという話でした。しかし、上記のように放射性物質による汚染は、起きる確率が高くなっています。というか、迎撃ミサイルはそもそも当たらないのではないか?とも言われていますけどね。そこらへんはどうなのでしょう?
●迷惑すぎない?何度も放射能汚染事故を起こしているアメリカ
私はこの記事を読んで、ミスって投下してしまったケースを詳しく知りたかったのですが、そういった話は検索してもうまく見つからず。代わりにということで、例として出ていたスペインの事故を探してみました。すると、アメリカ空軍B-52戦略爆撃機は一度だけでなく、何度もやらかしていることが判明。
B-52 (航空機) - Wikipediaによると、スペインの事故のほぼ2年後の1968年1月22日、チューレ空軍基地米軍機墜落事故を起こしています。
この事故では、同じく4発の核爆弾を搭載したB-52Gが、グリーンランドのチューレ空軍基地に緊急着陸しようとして海氷上に墜落。それによる火災は放射能汚染をも発生させ、除去には同年9月まで要したということで、やはりえらいことになっていました。
これは実弾頭の核兵器搭載によるパトロールを行っていた際の事故みたいですね。このように複数回の墜落による放射能汚染事故を起こしたため、上記のチューレ空軍基地米軍機墜落事故を契機に、核兵器搭載によるパトロールは取りやめたと説明されていました。
あと、Wikipediaによると、スペイン上空での空中衝突事故(パロマレス米軍機墜落事故)の場合では、「安全装置は墜落の衝撃と爆発に耐えて核爆発だけは避けられた」という書き方をしており、最初のケースとかなり印象の違う書き方をしていました。これだと核爆発は十分あり得るといった書き方です。
最初の記事の方が説明な詳細でしたので、ひょっとしたらWikipediaの方が間違っているのかもしれませんけど…。
●日本の原発処理水に抗議中の中国の原子力潜水艦が事故とデマ
2023/09/05追記:別にデマじゃなくても書こうと思っていた中国の原子力潜水艦事故の話。フェイクニュースだったみたいですね。自身もデマ捏造が多い右派の産経新聞も<「中国の原潜が事故」の偽情報拡散 台湾は「認知戦」警戒>と明記する記事を書いていました。
記事の中で未確認情報などと断っているものの、フェイクニュースに引っかかり気味だったのは、ニューズウィーク。<中国の原子力潜水艦が台湾海峡で「重大事故」? 乗組員全員死亡説も>(23/8/24(木) 18:13配信 ニューズウィーク日本版)という記事を書いています。
<中国政府が台湾やアメリカに対する「重大な警告」として、台湾周辺で軍事演習を始めてから数日。中国の原子力潜水艦が、中国本土と台湾を隔てる台湾海峡で重大事故に見舞われたという未確認情報が入った。
インターネット上に出回っている情報によれば、中国が保有する093型(商級)攻撃型原子力潜水艦が過去数日のどこかで、詳細不明の重大事故に見舞われたという。乗組員は全員死亡、とする報道もある。>
https://news.yahoo.co.jp/articles/80adc5e3d2cacf17b31f7261ec1f1802c4c4c69b
ヤフーニュースの専門家コメントでは、軍事ライターのJSFさんがすでに上記報道より前に根拠の無いフェイクニュース、デマと判明していたと書いています。やはりニューズウィークはデマに引っかかったと言って良い状態。それはそれで悪質ですが、ひょっとしたら中国叩きのためにわざとわかっていて報じたのかもしれませんけど…。
<れは既に8月22日の時点で根拠の無いフェイクニュースと判明済みです。この情報を発信していた大元が「路德社(lude media)」という在米の華僑系YouTuberで、新型コロナなどでも荒唐無稽な陰謀論のフェイクニュースを連発していた前科があります。今回の中国海軍093型攻撃原潜の事故という情報も事実無根のデマです。>
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