現代のコンクリートの寿命はタイトルでは50年としましたが、諸説あってもっと持つという話もあります。ただ、古代ローマ時代のコンクリートと比べると、極端に低寿命であることは間違いなさそうでした。(2017/09/20)
●現代のコンクリートの寿命は50年 古代ローマのは2,000年経ってさらに強度を増しているのに…
2017/09/20:
古代ローマ時代のコンクリートは、今も強度を増していた──その驚くべき理由が解明される|WIRED.jp(2017.07.30 SUN 10:00 TEXT BY JAMES TEMPERTON TRANSLATION BY TAKU SATO, HIROKO GOHARA/GALILEO)という記事を読んでいて、驚きました。
記事によると、古代ローマ時代のコンクリートは、約2,000年経った今も強度を保っています。それどころか、今もなお強度を増しているというのです。
ただ、それ以上に驚いたのが、さらっとカッコ内で補足されていた「現在のコンクリートの寿命は、50年から100年程度とされる」というもの。そんなに寿命短いの?という話です。
●古代ローマ時代のコンクリートは海水が大好き
『American Mineralogist』誌オンライン版に2017年7月3日付けで掲載された研究成果によると、古代ローマ時代のコンクリートを解析した結果、アルミナ質のトバモライト結晶が含まれていることがわかりました。この層状鉱物は、海水と石灰と火山灰が混ざり合って熱が発生することによって生成されるものです。
どうもこの構造物に打ち寄せる海水とコンクリートがと化学反応を起こして、コンクリート全体の強度をさらに高めていたようです。成長するコンクリートだと言えます。
一方、現代のコンクリートは、いったん固められた後にその構造が変化するようにはつくられていません。むしろなんらかの化学反応が起こると、裂けたり割れたりしてしまうようになります。古代ローマ時代のコンクリートとは逆に、海水なんかは最も苦手なものの一つだそうです。
●現代のコンクリートも半永久的に使える説
ところで、現代のコンクリートの寿命が50年から100年というのは本当でしょうか? そこで検索してみると、
意外と知らない、コンクリートの本当の寿命 |楽待不動産投資新聞(楽待編集部 2017.8.11)という記事が出てきました。
こちらによると、コンクリートはその後も数十年の年数をかけて少しずつ硬化し続け、40年くらいをピークにして劣化に転じます。その後は硬化する期間と同じくらいの時間をかけて、少しずつ劣化していくとのこと。そのため、築40年くらいで建て替えるのは、あくまで商業的な事情であって、建物自体は、働き盛りの最も頑丈な年代ということになると説明していました。
この説明を読むと、50年から100年というのは妥当なように思えますが、最近よく聞く100年コンクリートという素材も、コンクリートとしての素材に違いがあるわけではないとしていました。コンクリートに含まれるセメントや骨材、水分量などが厳しく管理されており、管理状況によって100年間もつコンクリートになるのだそうです。つまり、管理次第なんですね。
なので、養生期間やコンクリートの配合をきちんと守ったマンションは、100年どころか半永久的に使用できると断言されていました。ただ、粗悪な作りのものは当然ダメで、ピンキリみたいですね。
また、このコンクリートが頑丈な状態かを見る術というのはちゃんとあり、コンクリートの中性化の進み具合で判断されるとのこと。単純な年数で見るより確実そうな判断基準で、安心しました。
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