既存コンビニは飽和状態で、最近は伸び悩みです。でも、コンビニにすら来れない買い物弱者ならまだ需要がある!とばかりに、移動販売車を各社増やしているんだそうです。
ただ、取材で出ていたお店はどちらも儲けがほとんどなし。買い物弱者が相手ということで社会貢献的な要素はあるのですが、逆にそれだけにやりがい搾取的な感じで、コンビニ本部がうまく得しているように見えました。(2017/09/28)
●2011年に移動コンビニ・移動スーパーが続々誕生
2017/09/28:移動スーパーに関しては、
移動スーパーの何がすごいのかわからない 「とくし丸」は全国で約100台を書いています。「移動スーパー」があるのなら、「移動コンビニ」があっても不思議はないかもしれませんが、私は今回初めて知りました。
検索すると、2011/8/17付の
走るコンビニ続々 セブンイレブンやイオン、100~400品 :日本経済新聞という古い記事が出てきました。昔からあるんですね。
セブンイレブンが改造した軽トラックを使った移動販売の多店舗展開を始めたのは、この年の7月。食品や日用品を約150品目そろえ、弁当からアイスまで通常店と同じ4つの温度帯で商品管理できます。顧客から携帯電話で要請を受けながら集会所や個人宅を回るといいます。
コンビニはファミリーマートやローソンも移動販売を計画。コンビニ以外だと、イトーヨーカ堂やコープさっぽろが既に開始、イオンとみやぎ生協が導入予定になっていました。この時点ではいずれも始めたばかりで、実際の成功・失敗といった情報はありませんでした。
●高齢者以外にも需要がある
次に紹介する記事は、つい最近の
「走るコンビニ」現場で見た光景:日経ビジネスオンライン(藤村 広平 2017年9月5日)というもの。
ローソンの移動販売車が訪れた高齢者住宅では、わざわざ館内放送を流していました。13人が購入し、売上高は1万4000円。大したことないように見えますけど、客単価は1080円という計算。ローソン全店舗の平均客単価は608円(2017年2月期)を大幅に上回るので、良い数字のようです。
別の移動販売車(セブンイレブン)は、学童保育施設も訪れています。夏休み中の小学生が顧客とのこと。施設スタッフの女性は以下のように説明していました。
「夏休みのあいだは学校給食が無いんです。学童ではお昼を持参してもらっているのですが、せっかく学童に登録しているのに『お弁当が準備できない』といって家で留守番させる親御さんもいるんです」
他にテレビドラマの撮影現場や、まわりに何もない工業地帯に建つメーカーの工場内などもターゲットとなるのではないかとのことでした。
●既存コンビニ伸び悩みで移動販売車に活路
移動販売車は難しいとされているものの、コンビニ各社は積極的にこれを増やしています。セブンイレブンは7月末時点で1都24県43台だった配置台数を、18年度に46都道府県105台まで引き上げ。ローソンも今年度末までに現状の3倍となる全国100台まで増やすし、ファミリーマートも生協と組んで拡大する方針とのこと。
過去数年続いたハイペースな出店により、コンビニ各社の既存店客数は伸び悩んでおり、まだ一般的ではない移動販売車で需要拡大を狙っているようです。
ただ、コンビニ本部の場合、オーナーへ販売するだけでも稼げます。極端な話、オーナーが赤字であっても、コンビニ商品を仕入れてくれるだけで儲けになるでしょう。通常のコンビニ同様に…というか、難しいと言われる移動販売車ですので、普通のコンビニ以上にオーナーからの搾取となりやすい可能性があります。
●やはり儲からない移動販売車、やりがい搾取状態に
で、実際、オーナーは儲かるのか?っと言うと、やっぱり苦しいようです。今回取材した両店とも移動販売車事業は赤字でこそないが、だからといって大きな稼ぎにつながっているわけでもないとのこと。
「利益を求めるというより、地域貢献と思ってやっています」「なにより社会に求められている感があって嬉しいんです」とお店の人は言っていましたが、一種の「やりがい搾取」ですね。
また、赤字でこそないと書いているものの、目に見えづらい負担もあります。ローソン上麻生六丁目店の場合、専用車両への商品の詰め込みには1時間以上をかけていました。しかも、移動販売車に載せる商品は店舗に入荷されたタイミングで取り置きし、バックヤードに保管しているとのこと。これ、人件費かなりかかっているはずですよ。
記事でも「加盟店の負担は大きいと言わざるをえない」と書いていました。前述の「赤字でこそない」がきちんと人件費を入れて計算していなかった場合、実際には赤字…となっている可能性もありそうです。
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