元記事は圧迫面接の話は全然なくって、人間は機密保持義務があることを嫌っていて嘘までついてしまうという話。さらに、機密保持義務がなくても、そもそもお堅い雰囲気であるだけで、正直に物事を話さなくなるというものでした。おもしろいですよね。
じゃあ、普通のビジネスはみんなだめじゃん!という話なんですが、そこから私は圧迫面接なんか特にまずいだろうなと連想して、話が脱線。さらに、そもそも圧迫面接って自白の強要みたいなものじゃないの?という話に繋がって、このタイトルになりました。
2017/10/11:
●機密保持義務を強調するほど嘘をつきやすくなるというジレンマ
●打ち解けた方が正直な情報…じゃあ、圧迫面接なんか最悪では?
●圧迫面接は拷問による自白?交渉相手は友好なときほど嘘をつかない
●機密保持義務を強調するほど嘘をつきやすくなるというジレンマ
2017/10/11:まず、交渉というよりは調査といった方がぴったりなケースの話なのですが、機密保持をはっきり約束すればするほど、回答に消極的になるというジレンマが昔から知られていたそうです。このジレンマはエレノア・シンガー、ハンス=ユルゲン・ヒップラー、ノルバート・シュワルツによる実験でも確かめられています。
この実験のケースでは、何も難しい質問をしたわけではありません。被験者に当たり障りのない質問票への回答を依頼しただけ。誰もが簡単に答えそうな内容です。…にも関わらず、機密保持をはっきり保証された被験者のうちで、実験への協力に同意した人は半分未満。その一方で、保証されなかった人の約75%が同意という大きな差が出ました。
これそのものは調査への参加というものだったのでまだ良いのですが、非常に困ってしまうのが、人間はプライバシー保持を強調されると、嘘をつく可能性が高まるということです。こちらの方は、この記事の作者であるレスリー K. ジョン准教授とその同僚との研究で確かめられたものでした。
(
誰もが正直者になれる交渉術 人間特性に基づいて科学的に嘘に対処する | DHBR最新号から|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー(2017年01月17日 レスリー K. ジョン ハーバード・ビジネス・スクール准教授より)
●打ち解けた方が正直な情報…じゃあ、圧迫面接なんか最悪では?
同様にこの研究では、打ち解けた調子で質問を行うと、かしこまった調子で聞くよりも、デリケートな情報をさらけ出してくれる可能性が高いこともわかっています。面接なんかはかしこまった調子のものが多いですけど、本当はアットホームな方が良いんでしょうね。ひょっとしたら圧迫面接は最悪かもしれません。
圧迫面接のような馬鹿なことをする企業の意図とコンピテンシー面接などで書いているように、圧迫面接を採用する企業はバカな企業だと思っています。このとき主に書いた理由は、自社への関心が高い学生を、わざわざアンチに育て上げているからというものでしたが、面接での正直な回答を妨げることになっているとした場合さらに悪いです。
たぶん圧迫面接の採用企業は、「追い込めば追い込むほど、人の真価が見える」みたいに思っているんでしょうけどね。実際には逆であるというだけでなく、根性論くささがあります。根性論・精神論とブラック企業には親和性があり、やはり圧迫面接企業はブラック企業であることを疑った方が良いかもしれません。
●圧迫面接は拷問による自白?交渉相手は友好なときほど嘘をつかない
さらに「交渉相手は友好なときほど嘘をつかない」から離れて研究の裏付けがない思いつきの話になってしまうのですけど、圧迫面接って拷問の自白みたいなものじゃないか?とも今回思いました。拷問による自白内容というのも、嘘をついてしまうことがあるので、信頼性が低いとされているんですよね…。
例えば、
拷問 - Wikipediaでは、「容疑者・拷問者双方の精神を変容させて妄想を増幅する傾向があり、また実際に無実であっても拷問者に迎合する自白が得られてしまうため、拷問による自白は信頼がおけないとされる」という説明がありました。拷問すれば正直になるわけではなく、実際は逆なのです。
拷問によって得られた自白の証拠能力が疑問視されるようになってきたのは、近代になってから。例えば、1757年にルイ15世暗殺未遂の罪によってロベール=フランソワ・ダミアンが死刑執行前に拷問にかけられて共犯者の名前を自白させられましたが、これは嘘の自白の一例です。
このケースは、実際には単独犯。共犯者など存在しなかったにもかかわらず、拷問にかけられたダミアンは苦し紛れに適当な名前を自白してしまったんですね。結局、この後処刑されていますから、告白によって罪が軽くなるというメリットもなかったようです。メリットのない嘘を言わせてしまいました。
しかも、この虚偽の自白に対してフランスの高等法院は逮捕状を発給して自白した名前の人物を逮捕して、国王暗殺未遂の重罪人として厳しく取調べ。さらにダミアンは拷問が終わった後に処刑されているため、再度問い直すことも出来ず、無実の人間がさらに拷問にかけられる…ということに。結局、この事件が問題視されフランスでは1788年に拷問が全面禁止となったそうです。
これは拷問を行う人間が望むことを自白するように強要する結果になってしまい、真実が明らかにならず、かえって裁判の証拠を阻害するようになって本当の犯人を逃がしてしまい、無実の人間が拷問にかけられるようになったため、とWikipediaでは説明。ただし、この点に関しては現代の取調べにおいても根本的に解決はしていないとも指摘されています。
この最後の圧迫面接は拷問と同じようなものじゃないの?という話は私の脱線なのであれですが、とりあえず、緊張感バリバリ…みたいな雰囲気は、相手を不正直者にしやすいという話でした。
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