インドの平均年齢がめちゃくちゃ若い!と聞いてびっくりして書いた話。当時は無知だったので「危うさも感じる」などと書いていましたが、人口構造的には経済にプラスで、平均年齢が高い国はどうしても不利。努力ではカバーしきれません。インドは素直に有望な国だと考えるべきでしょう。
そのインドが日本を抜くという予測が出ていましたので、追記するついでに全面的に書き直しました。具体的にいつになるのか?という時期はともかく、インドがアメリカ・中国との並ぶ3強になるのは、人口構造と人口の多さからして間違いないと思われます。
冒頭に追記
2023/01/11追記:
●インド人にとっては「将来大国になる」のではなく今も昔も大国 【NEW】
●インド人にとっては「将来大国になる」のではなく今も昔も大国
2023/01/11追記:「平均年齢」ではなく「インドは将来大国になる」の関係での追記。インド人にとっては「将来大国になる」のではなく、「インドは昔からずっと大国」といった意識だと以前聞いたことがあります。そういった意味でのインドのリーダーシップを感じさせるニュースが入ってきました。
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インド、途上国サミット開催へ 今月中旬、120カ国招待(2023年1月6日 23時18分 (共同通信) 東京新聞)
<インド政府は6日(引用者注:2023年1月6日)、発展途上国の首脳や閣僚による国際会議をオンラインで12、13日に開催すると発表した。120カ国以上を招待し、ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界経済への影響や、新型コロナウイルス感染拡大への対応などについて話し合う。招待国の内訳は明らかにしていない>
上記で書いた「インドには大国意識がある」という話は、確かインドが独自外交をとる理由に絡んでの説明だった記憶。今回の記事でも<インドは友好国であるロシアから原油の購入を続ける一方、「今は戦争の時代ではない」(モディ首相)などと早期停戦を呼びかけている>という独自外交路線について触れていました。
●日本とインドの平均年齢の推移を比較…インドが若すぎて驚き!
2011/7/30、2017/09/20:平均年齢というのは普段注目されない数字だと思いますが、インドの平均年齢が異常に若いという話を聞いて興味が湧いたので、調べてみました。多くの国の平均年齢が載っていたのは、
(PDF)驚異の成長国インド、成長の軌 軌跡と今後の見通し 楽天銀行 2011/7/11。ここではっきりしているのは、2005年のデータでした。それ以降は「推定」ではありますが、各国の平均年齢は以下のとおりです。
<各国の平均年齢の推移>
国名 | 2005年 | 2010年 (推定) | 2015年 (推定) | 2020年 (推定)
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インド | 23.7 | 25 | 26.5 | 28.1
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インドネシア | 26.5 | 28.2 | 30.1 | 32
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ブラジル | 27 | 29 | 31.3 | 33.6
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中国 | 32.1 | 34.2 | 35.6 | 37.1
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米国 | 36 | 36.6 | 37.2 | 37.9
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ロシア | 37.3 | 38.1 | 38.9 | 40
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英国 | 38.9 | 39.9 | 40.3 | 40.4
|
西欧 | 40.5 | 42.2 | 43.8 | 44.9
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日本 | 43.1 | 44.7 | 46.6 | 48.6
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日本ははっきりと高年齢でこの中ではトップをひた走ります。2005年は43.1歳、2010年は44.7歳となっています。一方、目立つのはインドの若さでしょう。2005年は23.7歳、2010年は25歳という信じられない若さになっていました。
参考にしたのはインド投資に関する参考資料ですから、この若さは当然ポジティブに捉えられており、「インドは若年層人口が豊富で、2010年時点で25歳未満の人口が約6.1億人と、全人口の半数以上を占めています」というアピールも見られます。逆に言うと、日本の高年齢化はネガティブに捉えられているんでしょうね。
●平均年齢が高い国が悪く、若い国が良い理由には明確な根拠がある
2017/09/20:上記の後らへんに、インドの若さに対し「危うさも感じる」などと書いていたのですけど、だいぶ的外れでした。人口構造のことを考えると、どう考えても日本のような高齢者が多い国の方がヤバイです。働いている世代が減ると収入が減る上に、働かない高齢者が相対的に多いと社会保障が負担となるためです。
ここらへんの話を書いたのは、
少子化の問題点はズバリ二点 経済の停滞と社会保障の維持困難という投稿でした。極端な話をすると、同じ5人家族であっても、全員が働いていて自分の生活費は自分で賄うという家庭と、1人だけ働いて他の4人の生活費の面倒を見るという家庭では全然違いますよね。
これは少子化の問題とも言えますが、直接的には現役の労働者世代が減ることの問題と言えます。現役の労働者世代が減ることが問題なのは、単純に働く人が減ることによって収入が減るというのがまずひとつ。一方で、働かない人を支えるための支出は多くなるということで、二重に苦しくなってしまうわけです。
●意外なことにインド経済を支えているのは貧困層
2011/7/30、2017/09/20:まだまだ貧困層が多いであろうインドですが、
貧困層が引っ張るインド経済 ニューズウィーク日本版 2009年1月21日号掲載では、意外な話がありました。
記事によると、最低生活水準よりは上の暮らしをしているが現代の消費社会の仲間入りをするほど豊かではない中流予備軍であるインドの貧困層は、経済の意外な牽引役になっているそうです。
インド人は理系に強い人種として知られています。最も優秀とさえ言われるインドのIT業界は過去10年で180万人の直接雇用を生みました。ところが、それを支援する運送や警備、雑用などの雇用はもっと多く、650万人も増えたそうです。
「経済学の教科書に、所得が低いほど消費性向が高いと書いてある」(インドの格付け会社ICRAのチーフエコノミスト、ソーミトラ・チョードリー)そうですが、彼らは「高卒以下のレベルの仕事」で、言葉は悪いですが"給料は「お金をためるより消費しそうな」人々の手に渡った"と書かれています。
「インドの内需の基本は、働けば所得を得られる個人の消費だ」(前述のエコノミスト)とある通り、世界経済の09年の見通しがほぼ真っ暗な中、当時インドの被害が少なかったのは彼らのおかげのようです。
また、住宅バブルなんて無縁だし、株が下がろうが元から持っていないし、自動車不振があってもどうせ買えないから関係ないしといったことも、被害の拡大を抑えた原因のようです。
●内需が強いインドは海外の影響が少ない
この貧困層の話とはやや離れますが、もう一つインドの被害が少なかった理由としては、「政府の過去の失敗」があるようです。中国経済は半分以上が外需ですが、インド経済は4分の3が内需です。内需が大きいため、外需が減っても影響がなかったという理由です。
じゃあ、内需型が良いの?というと、それは難しいところじゃないかと。日本国内でも海外や外資系企業の製品が多い分野があるように、国内より海外の方が間違いなく市場が大きいものですからね。
「インドはインフラの欠如と硬直的な労働法制のせいで中国のような輸出主導経済になり損ねた国」だそうですが、インドも今はインフラの整備を進めて、結局輸出大国を目指しています。
また、「底辺層が牽引するインド型成長では、景気拡大に限度があるのも事実」ともあります。さらなる経済発展を望むのは、どこの国もみな同じなのでしょう。
●インドが日本を抜きGDP3位の予想
2017/09/20:ここから追記の話。私が今回読んだのは、
「インドが世界3位の経済大国、日本は5位に転落へ」--2028年までに ZUU online / 2017年9月20日 10時40分(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)というものでした。
2028年までに現在はGDP(国内総生産)が5位のインドが、日本とドイツを追い抜き、世界3位の経済大国になるとの見解を示したのは、HSBCというところ。HSBCは香港上海銀行が母体となってできたところですが、別に中国系というわけではなく、イギリス系のところ。世界的な金融グループです。
ただし、HSBCはインドのさらなる成長の必須条件として、改革に一貫性を持たせ、ソーシャルセクター(非政府組織や非営利団体の管理下にある、経済活動の分野)に力を入れることを挙げていました。うまくいけば…ということみたいですね。
また、HSBCは内需・外需の件にも触れています。中国の経済は輸出に依存するところが大きいものの、インドはその中国とは大きく異なると指摘。インドは今後もサービスを中心とした産業に力を入れると同時に、製造や農業も促進すべきとの見解を示していました。
●米中印の時代がやってくる
以上のように、この2028年に3位というのは「改革を行う」という条件付きだったものの、遅かれ早かれ日本を抜くことは間違いありません。高齢者が多い日本は、
経済規模7倍、日本は中国に敵わなくなる 頼りのアメリカも重い負担でやっているように、中国とは全く相手にならないレベルまで衰退することもわかっています。
また、労働者世代の多さだけでなく、インドは人口そのものが多いことも武器になります。中国も結局、人口の多さでかなり稼いでいますからね。
世界史の歴史を見ていくと、ほとんどの時代で中国とインドが大国だったとも誰かが言っていました。「新興国」と呼ばれているものの、中国とインドは復活組なんですね。この2大国にかなり新しい特殊な国であるアメリカという顔ぶれの、3大国の時代が将来来ると思われます。
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