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有機栽培野菜は危険?大量の寄生虫が出たのは人糞肥料のせいか?日本では禁止ではないが細菌リスクも


 以前にも似たような話をやっていますが、有機栽培の作物の方が安全というのは逆じゃないの?という話。有機栽培作物が危険だと結論付けるものではなく、これまで通り食べていても問題なさそうなんですが、手順を間違えて作った際のリスクはどちらかと言うと上だと思われます。寄生虫や細菌を食らう可能性や重金属が多すぎる可能性があるのです。

2017/11/20:
●北朝鮮兵士の体から大量の寄生虫が出まくって世界が衝撃!
●寄生虫の大量発生は人糞肥料のせいか?北朝鮮では未だに現役
●日本では人糞利用禁止との説がある一方、利用している人も
●人糞利用禁止はデマ?人糞の肥料利用は禁止されていない模様
●人糞肥料の禁止は誤解の可能性が高そう…脱人糞運動があったのは事実
●有機栽培野菜は危険?化学肥料の方が安全な可能性すらある理由
2020/06/01:
●家畜ふんも人間の下肥も重金属が多い…食用作物には非推奨の呼びかけも


●北朝鮮兵士の体から大量の寄生虫が出まくって世界が衝撃!

2017/11/20:朝鮮人民軍(北朝鮮軍)兵士1人が、板門店の共同警備区域(JSA)から韓国側に亡命しました。兵士はその際に北朝鮮側から銃撃を受け重傷を負い、手術を受けています。この手術で世界的に注目されたのが、兵士の便に混じり、最長で27センチの回虫が数十匹発見されたことでした。

「外科医師になって20年以上になりますが、韓国人の患者の大腸、小腸でこれほど大きな寄生虫は見たことがありません。韓国社会ではまず見られない現象です」(イ・グクチョン教授)

 韓国寄生虫撲滅協会(現韓国健康管理協会)が寄生虫調査を始めた1971年、韓国国民の回虫感染率は54.9%でした。しかし、1981年には13%まで下がり、1992年には0.3%、2016年には0.05%となっています。医師が驚いたのも無理はありません。

 日本の場合は最近のデータは不明なものの、学校衛生統計によると、寄生虫卵感染率は1947年の70.92%から、1962年には10%以下。やはりほぼ寄生虫の感染はないものと考えられます。
(亡命兵士の腸を寄生虫だらけにした北朝鮮「堆肥戦闘」という名の地獄 高英起 | デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト 11/17(金) 6:33より)


●寄生虫の大量発生は人糞肥料のせいか?北朝鮮では未だに現役

 このように寄生虫感染率が急激に低下したのは、下水道設備の整備、衛生教育の徹底、洗剤の普及に加えて、化学肥料の普及により下肥、つまり人糞を発酵させた肥料を使わなくなったことが大きいとされていました。

 人糞を肥料にすると必ず寄生虫を食べてしまうというわけではないものの、リスクが高いみたいですね。記事によれば、集めた糞尿を夏は1~2週間、冬は3~4週間発酵させて使うのが普通です。しかし、これが不完全だと様々な菌や寄生虫が残ったままで作物に使われ、人体に取り込まれるのだそうです。

 どうも北朝鮮では、今でもこの人糞を使った肥料が現役どころか主力であり、高い価格で取引されているとのこと。人糞の確保は重要かつ過酷らしく、ある亡命者は「堆肥戦闘」と表現していました。


●日本では人糞利用禁止との説がある一方、利用している人も

 この人糞ですが、どうも現在の日本でも使われていないわけではなさそうです。ヤフー知恵袋情報であり、信頼性は低いものの、「隣の畑の人が人糞を肥料として野菜を作り売っています。臭いが強烈なためやめてほしいのですが全く応じてくれません」という相談がありました。

 この方は、「市に相談しても違法でないからだめだとは言えないとのこと」とも書いているのですが、禁止されていると断言している人がいました。同様の話は検索結果で多く見えます。

"公衆衛生法だったと思いますが、人糞を肥料としてそのまま使うのは禁じられているはずです。
一度厚労省の衛生局か保健所、或いは弁護士に相談為さっては?
昭和の時代は、まだ、皆さんがおっしゃる通り、肥溜を作って肥料にしていました。
可なり良質の肥料で、江戸時代には、高値で取引きされた程だし、町の屎尿対策としても有効だったようです。
但し、戦後世の中が落ち着いて、チフスや、線虫(サナダ虫等)が大量に発見されて以来、農作物への直接散布は禁止されて居ます。
ちょっと市の職員も怠慢では?記憶違いで無ければ、明らかに違法の筈ですよ"

 質問者はこれを受けてか、追記でも以下のように繰り返しています。禁止されている説はデマの可能性もありそうでした。

"市や市の環境課公衆衛生課や保健所、県庁、区長あらゆる所に相談し自分も調べました。
ですが、法に違反しているわ訳ではないので何とも言えないと"


●人糞利用禁止はデマ?人糞の肥料利用は禁止されていない模様

 本当に禁止されているのか?と検索すると、「禁止されねーよ。バカじゃねーの?」という勢いで書いているページが上位にあったのですが、引用元の明記どころか根拠となる条文の引用すらなく、どのように解釈したかの解説も不十分で、乱暴でわかりづらくなっていました。

 その解釈のもととなったのは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律,(略)廃棄物処理法,廃掃法,廃棄物処理清掃法,ごみ処理法の第一七条であり、元の条文は以下のようなものでした。

(ふん尿の使用方法の制限)
第一七条 ふん尿は、環境省令で定める基準に適合した方法によるのでなければ、肥料として使用してはならない。

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律には、人糞といった文字はありません。なのに、なぜ人糞OKと言えるのか?という話なのですが、特に指定していない「ふん尿」という書き方であれば、人糞も含むと考えて良さそうです。

 また、上記の「環境省令で定める基準に適合した方法」というのは、要するに適切に処理していればという意味。そして、「環境省令で定める基準」というのは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則」で定める方法のことを言っているようです。

 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則」は、さっきの法律とほぼ同じ名前でわかりづらいのですが、最後に「施行規則」というのがついているのが異なり、法律を補助する役割の法令。ここには、以下のようにありました。

第十三条 法第十七条の規定により肥料としてふん尿を使用することができる場合は、市街的形態をなしている区域内にあつては次のとおりとし、その他の区域内にあつては生活環境に係る被害が生ずるおそれがない方法により使用するときとする。
一 発酵処理して使用するとき。
二 乾燥又は焼却して使用するとき。
三 化学処理して使用するとき。
四 尿のみを分離して使用するとき。
五 し尿処理施設又はこれに類する動物のふん尿処理施設により処理して使用するとき。
六 十分に覆土して使用するとき。
(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則より)

 やはり人糞の文字はないものの、先ほどと同様の理由で大丈夫だと思われます。また、「し尿処理施設」というワードがあり、ここで処理されるのは人間の大便と小便ですので、このパターンでは明らかに人糞がOKなことがわかります。


●人糞肥料の禁止は誤解の可能性が高そう…脱人糞運動があったのは事実

 日本における人糞利用 - Wikipediaでは、有田正光・石田多門共著『ウンコに学べ!』ちくま新書を参考図書として、以下のような記述があります。

"第二次大戦後、ダグラス・マッカーサー率いるGHQは日本のサラダに人糞の細菌と寄生虫が多数混入していたため、日本政府に人糞肥料の中止を命じた。日本政府は「寄生虫予防会」を各市町村に作り、人糞肥料から化学肥料へと一大転換が行われた"

 ただ、前述の通り、現在禁止している法律は見つけられませんでしたので、中止を命じたというのは怪しいところ。途中で法律などが変わった可能性もあるものの、何らかの誤解が広まっているのではないかと考えられます。

 細菌と寄生虫が多数混入している状態が良くないのは間違いないので、法的には禁止まではしないものの、人糞肥料そのものを使わないようにというキャンペーンを繰り広げて、寄生虫被害をほぼなくすことに成功した…といったあたりが実際だったのではないかと想像します。


●有機栽培野菜は危険?化学肥料の方が安全な可能性すらある理由

 ということで、人糞肥料が禁止されているのは誤解のようです。ただ、だからと言って絶対安全か?というと、そうはなりません。最初の記事に発酵が不十分だと…という話があったり、法令での適切な処理に「発酵処理」があったりしたように、処理が不十分である場合には、問題が起きる可能性が高いのです。

 現在では寄生虫を持っている人間が少ないとはいえ、細菌による被害は今でも考えられるでしょう。また、有機栽培では人間に限らない糞尿が使われており、こちらでも当然寄生虫、細菌の問題があります。というか、動物の糞尿の方が、むしろ人糞より寄生虫がいる可能性は高いと考えられます。

 実を言うと、最初の記事では、韓国国民の回虫感染率が大きく減ったという説明の後に、「ただ最近では、無農薬野菜、魚の生食による寄生虫感染が問題になっている」という一文がありました。

 有機農業の野菜は食べてはいけないというほどの大げさなものではなく、気にするほどのことではないとは思いますし、有機栽培で必ず糞尿を使うということでもありません。ただ、化学肥料で作った野菜と比較した場合にリスクが高いのは、適切な処理が必要不可欠なことを考えるとどちらかと言うと有機農業で作った野菜の方だと考えた方が妥当でしょう。少なくとも有機栽培野菜の方がはるかに安全ってことはありません。


●家畜ふんも人間の下肥も重金属が多い…食用作物には非推奨の呼びかけも

2020/06/01:堆肥 - Wikipediaでは、堆肥の課題としていくつかの問題を挙げていました。主に作物への影響が主体ですが、人間の健康面に影響がありそうなものもあります。家畜ふん特に豚糞と鶏糞は、比較的銅や亜鉛などの重金属が多く含まれる…というのがそういったものです。

 では、人糞肥料は大丈夫か?という話は、主に未加工の人間の廃物(人糞及び人尿)を肥料として用いることを指す「下肥(しもごえ)」という項目に詳しく書いていました。また、最初のときに書いたような適切な処理の難しさにも触れられています。

<1935年には、神奈川県川崎市で水道水に肥料(糞尿)起源の赤痢菌が混入、大規模な赤痢感染を引き起こした(川崎市の赤痢)こともあり、病原菌等の拡散源になる可能性など衛生面でも問題視される>
<人間の排泄物を安全に堆肥に変えることは可能ではあるが、そのプロセスはやや複雑となる。肥溜めでの貯留により高温発酵させ寄生虫卵や病原菌を死滅させる、使用時に希釈するなどの手法が行われる。多くの地方自治体が自治体の下水処理システムから堆肥を生産しているが、それは花壇のみに用いて、食用作物には使わないよう推奨している。また、過剰な重金属を取り除かないと、作物に吸収されるため危険または不適切であるという批判もある>

 飽くまで地方自治体が作っている堆肥に対して…ですけど、<花壇のみに用いて、食用作物には使わないよう推奨している>という初耳の話があって驚き。むしろ危険性が高いという判断です。ただ、この部分は出典がありませんでしたので、もうちょっと確認したいところですね。


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  ■有機農業は化学肥料よりずっと危険 食中毒では死ぬが、残留農薬では死なない
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