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宗教もお祈りも無駄でいらない?教会で銃乱射、マザー・テレサも疑い


 教会で銃乱射事件が起きたことで、教会でのお祈りは無駄ではないかという話が出たようです。私はこの話を見て、あのマザー・テレサさんが信仰に疑いを持っていたというニュースがあったことを思い出したので、セットでやっています。

 この二つの話はいずれも牧師などキリスト教の立場から反論されていました。「祈らないと不信仰だ」「死後の幸せの方が長い」「イエスを信じるものは死んでも生きる」などの内容です。(2017/11/22)


●宗教もお祈りも無駄でいらない?教会で銃乱射事件

2017/11/22:嫌な言い方になってしまいますが、全米ライフル協会(NRA)「銃規制は逆効果、暴力的なゲームのせい」で書いたように、アメリカの教会で起きた銃乱射事件は、銃推進派にとって「理想的」なものでした。銃による反撃が行われて、それに効果があるように見えたためです。

 こうした銃推進派は主に保守派思想の人に多いです。ただ、その一方で、別の保守派にとって重要な支持基盤である熱心なキリスト教徒にとっては、信仰に疑いを抱きかねないというショッキングな事件だったようです。

 このようなことを考えるきっかけを作ったのは、名作映画「スタンド・バイ・ミー」(1986年)や米テレビドラマ「新スタートレック」などに出演したことで知られる米国人俳優ウィル・ウィトンさん(45)の以下のようなコメントでした。

「殺害された犠牲者たちは教会にいた。もし祈りで何かが起こったのであれば、彼らはまだ生きていたはず。役に立たない野郎だ」
(教会で26人死亡の悲劇「祈りは無駄なのか」 銃乱射受けネットで議論 : 国際 : クリスチャントゥデイ 2017年11月14日16時44分より)

 最後に「役に立たない野郎だ」とあることでわかるように、これは信者全般や宗教ではなく、特定の個人に向けた非難でした。実を言うと、やはり保守派の共和党に所属するポール・ライアン米下院議長が、銃による暴力に対処することを拒否しつつ、犠牲者や遺族のために祈りをささげたことへの非難だったのです。

 要するに、祈りを捧げるパフォーマンスをする以外に、政治家にはできることがあるのになぜしないのか?ということでしょう。「政治家にはできることがある」というか、銃規制というのは「政治家じゃないとできないこと」であり、今働かずにいつ働くのか?という話です。

 ということで、宗教の信者を非難する意図ではなかったものの、このコメントをきっかけに祈りの有効性に関する議論が広がることになりました。


●牧師の反論は「祈らないと不信仰だ」

 先の記事は、クリスチャントゥデイによるものですので、この難しい問いに回答する形、祈りの有効性を疑うことへの反論を載せるような構成になっています。ただ、この反論は多くの人にとって理解が難しいものだと思われます。

 例えば、米最大のプロテスタント教団である南部バプテスト連盟のロ二ー・フロイド前議長(クロス・チャーチ主任牧師)の回答は、「祈らないと不信仰だ」といった内容でした。

「この堕落した世界では、悪霊が猛威をふるうとき、良いことだけが起こるのではありません。しかし、私たちの信仰と希望は神のみにかかっています。私たちが祈るとき、私たちは神に力を求め、神に頼っています。私たちが祈らないとき、私たちは自分自身に頼ることを選び、それは常に不信仰に導きます

 上記の前にフロイド前議長は、銃乱射事件に関して以下のような声明を出しており、むしろ祈りこそ有効だといった考え方のようです。

「私たちは、神が力強い御手をもって米国民と世界をお守りくださるように懇願しなければなりません。(中略)ただ神のみが、この困難に満ちた時における私たちの隠れ家です」


●キリスト教徒にとって苦難があることはむしろ重要

 上記は予想外でしたが、ベスト・クリスチャン・フェローシップ主任牧師であるグレッグ・ローリーさんの答えは、想定した範囲内でした。

「聖書は苦痛のない人生を誰にも約束していません。実際、イエスご自身は『あなたがたには世で苦難がある』(ヨハネ16:33)とおっしゃいました」

 マザー・テレサさんに関するマザー・テレサは聖人などではない オタワ大学で批判的な研究論文でもそういった話が出てきたように、キリスト教は困難をむしろ重視しています。これが非キリスト教徒の理解を難しくしていると思われます。


●その答えは神なら知っているし、死後の幸せの方が長い

 一方で、ローリー牧師は、「彼らが抱いていたすべての疑問は(天国で)答えられたはずですが、私たちの疑問は、神がそれに答えてくださるのを待つ必要があります」ともおっしゃっていました。

 祈りを捧げたにも関わらず殺された理由は、牧師らには答えられないものの、神はその答えを知っているので、死んだときに天国で正しい答えを聞いてくださいという説明です。非キリスト教徒にとっては「ふざけんな」と思いそうな回答ですが、これもありがちな回答ではあります。

 さらに「この人生は、死後の生と比べると非常に短い」として、銃乱射事件で殺された方たちは、「安らかにイエス・キリストの愛に満ちた御腕の中にいる」と説明していました。遠回しでわかりづらいんですけど、「銃で殺された人たちはむしろ幸せなのだ」という、よく考えるとかなり過激な反論です。

 この話を聞いて、私は「人魚姫」を思い出しました。実は、非キリスト教徒にとって、原作の人魚姫は非常にわかりづらいんですよ。当初は「王子様とハッピーエンド(ハッピーエンディング)」ではなく、「泡に姿を変え、空気の精となって天国へ昇っていった」というもの。これは普通の人にはバッドエンドに見えます。

 ところが、キリスト教徒にとっては、天国に行けることこそが最大のハッピーエンドなのです。実際、原作の人魚姫では、三百年も生きるような長生きすることより、寿命が短くても死んだときに天国に行ける方が幸せだと伝えている部分がありました。かなりキリスト教色の強いお話だったんですね。
(関連:人魚姫のあらすじと複数ある結末 泡になって消える以外のラストは?)


●イエスを信じるものは死んでも生きる

 記事の最後に出ていたアン・グラハム・ロッツさんという伝道者は、上記二つの合せ技のような反論を示していました。彼女は、ヨハネによる福音書11章で、イエスがラザロの死後に語った言葉をその答えとしています。

 この章には、ラザロが亡くなってから、イエスがラザロの家族の元を訪れたことが記されています。姉のマルタは、ラザロが亡くなる前にイエスが来れば、ラザロは死ななかっただろうと言いました。ちょうど今と同じような状況です。

 イエスはこれに対し、「わたしは復活であり、命である。わたしを信じる者は、死んでも生きる。生きていてわたしを信じる者はだれも、決して死ぬことはない」(ヨハネ11:25、26)と答えました。加えて、ロッツさんは、以下のように信じることこそ重要だと説きます。

「人生は一時的な安全や健康、幸福、繁栄といった以上のものです。人生で大切なのは、それらのものを超えている主との関係なのです。主は決して私たちを単に苦難や痛み、死から守ると約束なさいませんでした。しかし主は、私たちが主を信じるとき、私たちと共にいて、それらを乗り越えさせてくださると約束してくださったのです」


●マザー・テレサ氏も「信仰への懐疑」

 銃乱射事件の話は以上なんですが、その記事のタイトルを見た時点で、使っていなかったマザー・テレサさんの話と合わせようと思いつきました。途中で書いたように、彼女は信者の苦しみを重視しました。その一方で、彼女自身苦悩し、なおかつ神を疑っていたようなのです。

 古いメモでURLは残していなかったのですが、2007年9月19日の世界日報(統一教会)のもので、"「神の沈黙と不在」に絶望 「貧者の天使」マザー・テレサの告白"(ウィーン・小川 敏)といったタイトルでした。異端視されていますが、統一教会もキリスト教系の宗教団体なのです。

 あと、最初の話との絡みで言うと、やはり政治では保守派で、安倍首相などを支持しています。おもしろいことに、日本でもアメリカでも保守派の方が宗教団体との結びつきが強いんですよ。
(関連:安倍首相と統一教会と国際勝共連合 雑誌『世界思想』の表紙にも登場)

 それは良いとして本題。記事は、当時明らかになったばかりだというマザー・テレサさんの生前の書簡内容についてのものです。テレサさんは「私はイエスを探すが見いだせず、イエスの声を求めるが、聞けない」「自分の中の神は空虚だ」「神は自分を望んでいない」といった苦悶(くもん)を告白し、「自分は孤独であり、暗闇の中に生きている」と嘆いていました。

 ただ、統一教会としてより重要なのは、おそらく「貧者の天使」の告白に衝撃を受けた西側メディアが「テレサ、信仰への懐疑」などとセンセーショナルな見出しを付けて報じたことでしょう。これに対する反論というのが記事の狙いでした。最初の記事と同じ流れですね。


●テレサの告白はむしろ彼女の神聖を証明するものだ

 まず、統一教会は、こうしたキリスト教徒の迷いがよくあるものであり、特別なものではないことを強調していました。「マザー・テレサの告白は、キリスト教の歴史では決して珍しいものではない。むしろ、程度の差こそあれ、神を信じる多くのキリスト者が信仰生活の中で葛藤(かっとう)してきた」と書いています。

 その上で、"コルカタで死に行く多くの貧者の姿を目撃したテレサには、「なぜ、神は彼らを見捨てるのか」「なぜ、全能な神は苦しむ人々を救わないのか」「どうしてこのように病気、貧困、紛争が絶えないのか」などの問い掛けが常に付きまとってきたはずだ"としていました。

 マザー・テレサは聖人などではない オタワ大学で批判的な研究論文を先に読んでいると印象が異なるでしょうが、とりあえず、"神への信頼と懐疑の間を揺れ動"くことは、おかしなことではないという弁護です。

 さらに、そもそもテレサの書簡を公表した聖職者コロディエチュックさんは、「テレサの告白は彼女の神聖を証明しているものだ」と断言していました。「なぜならば、十字架上で神が離れていく孤独を味わったイエスの苦悩を、テレサは追体験しているからだ」と説明しています。


●オッカムの剃刀で削ぎ落として考えるとそもそも…

 話は変わりますが、14世紀の哲学者で、キリスト教の神学者でもあったオッカムさんは、「ある事柄を説明するためには、必要以上に多くを仮定するべきでない」とする指針を多用していました。この考え方を現在は「オッカムの剃刀」と呼ぶことがあります。「剃刀」というのは、説明に不要な存在を切り落とすことを比喩しています。

 この考え方は万能ではなく、注意点もあるものの、神学ではなく科学などにおいても重要な役割を果たすことがあります。私も好きな考え方です。

 で、今回の話に戻るのですが、ここまで長々と書いてきたわかりづらい説明は、神が存在し、聖書の教えが正しく、祈りにも意味があるなどといった仮定に基づいたものです。しかし、「オッカムの剃刀」の考え方を今回の件にも応用してみると、実際にはもっと簡単な別の説明ができるかもしれません。


【本文中でリンクした投稿】
  ■マザー・テレサは聖人などではない オタワ大学で批判的な研究論文
  ■全米ライフル協会(NRA)「銃規制は逆効果、暴力的なゲームのせい」
  ■人魚姫のあらすじと複数ある結末 泡になって消える以外のラストは?
  ■安倍首相と統一教会と国際勝共連合 雑誌『世界思想』の表紙にも登場

【関連投稿】
  ■聖書は誤りがない神の言葉 フィクションに分類したコストコ炎上
  ■キリスト教と同性愛と差別「おまえは地獄で永遠に焼かれるだろう」
  ■全てのキリスト教徒に洗礼名があるわけではない プロテスタントはないことが多い
  ■山口県ではザビエルじゃなくてサビエル 本人もつづりで混乱の名前
  ■旧約聖書と新約聖書とコーラン ユダヤ教,キリスト教,イスラム教での扱いのまとめ
  ■LGBTは進化論と同様に悪である?キリスト教保守派がLGBTを猛批判
  ■文化・芸術・宗教・海外との比較についての投稿まとめ

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