自分が持っているものに愛着が湧いて判断がかなり変わってしまう…というおもしろい効果があり、保有効果と呼ばれています。その例として、スタンプなどのお店の話やどの商品にも言える返品期間の長さの問題、また、投資における保有効果といった違ったケースについて集めてみました。
あと、その保有効果の話が出てくる記事に載っていた<「セットメニューが一番お得」は実は思い込みに等しい>という別の話も、ついでに紹介しています。
●返品可能期間が長い方がむしろ返品されない…保有効果のせい
2017/12/12:保有効果について、
ブランド用語集はシンプルに、「自分が所有するものに高い価値を感じ、手放したくないと感じる心理現象」と説明していました。自分が持っているものは良いものだと感じやすいんですね。
これだけ聞くとそりゃそうだろうという話なのですが、おもしろいのがこの愛着によって、人間のかなり行動が変わってしまうということ。ちでは過去に、
返品大国アメリカのクレージーな返品事情で、ユニクロ大苦戦か?という投稿で、保有効果という話が出ていました。
洋服の返品可能期間が長い方が企業にとって返品されるリスクが高く不利なように思えるものの、むしろ長く所有していることにより、保有効果が働き返品しにくくなるといった話が出てきたのです。意外性があって興味深いものでした。
●保有効果の例 スタンプ・クーポン・サービス券など
この返品効果という言葉を再び見かけたのが、
「セットメニューが一番お得」は実は思い込みに等しい(2017.10.2 ダイヤモンド・オンライン 松崎のり子:消費経済ジャーナリスト)という記事でした。
「スタンプが10個貯まると500円引き」といったポイントカードは珍しくなく、これだけなら大したことありません。ところが、うまいなと思ったのが、「本当は一会計でスタンプ1個なんですけど、最初なんでサービスで3つ押しておきますね」といった感じで、スタンプがかなりの数のところから始まるパターン。3つ揃うと俄然もったいなくなります。
今あるスタンプをこのまま無駄にするのは損だと感じてしまい、その後もせっせと店に向かってしまいやすくなるわけです。まんまとお店の術中にはまってしまいました。記事では、3個のスタンプが妙に惜しくなるというこれも、一度手にしたものはなかなか手放せないという「保有効果」だと説明されていました。
また、次回使える割引クーポンや1品サービス券も根っこはこれと同じ保有効果を狙っているとのこと。さらに、「次回ドリンクバー無料券」もそうみたいですね。すでに自分の手元にある「安くなる」「タダでもらえる」権利を、無駄にしたくないと、つい思ってしまうのです。
●「セットメニューが一番お得」は実は思い込みに等しい…は本当なのか?
なお、元記事のタイトルは、<「セットメニューが一番お得」は実は思い込みに等しい>だったのですが、上記のスッキリと説明できる保有効果の話と違って、イマイチ納得できない説明でした。
まず、"ファミレスランチならミニサラダやスープ、ファストフードならドリンクとポテトあたりが組み合わせてあるが、いらないもののお金も払っていることになる"という説明。これは一般論ですので理解できます。ただ、以下の具体例の部分には首を傾げてしまったんですよ。
<外食チェーンの中でも価格安めのサイゼリヤで、平日のランチを利用したことが数回ある。税込み500円で、メイン(パスタやドリア、ハンバーグなど)にミニサラダ、お代わり自由のスープという内容で、ワンコインならお値打ちに見える。しかし、同店のグランドメニューを見れば、パスタ299円~、ハンバーグステーキも399円~なのだ。同店の人気メニュー、ミラノ風ドリアも299円とかなりお値打ちだ。客にはグランドメニューを見ることなく、迷わずランチをオーダーしてもらったほうが、よりお金を多く払っていただけることになる>
私もサイゼリヤに何度か行って、平日の500円ランチを頼んだことがあります。その際に、他の選択肢もアリではないか?とメニューを眺めたのですが、結局、高くつくのでやめたという経験があります。というのも、パスタなら本当にパスタのみで、ハンバーグなら本当にハンバーグだけなのです。(今ネットで軽く確認したら、やはりそんな感じでした)
パスタならパスタと無料の水だけで食べるというのはまだどうにかなりそうですが、さすがにハンバーグ一品だけ食べて昼ごはんにするってのは、ほとんどの人に難しい話でしょう。何かいっしょに頼むことで、500円より高くなってしまいます。
サイゼリヤには、この平日ランチセット以外だと、他のファミレスであるようなライスセットがなくて、戸惑った覚えもあります。なので、むしろサイゼリヤは1品のみで見せることで安さを強調して、パン、ご飯、スープ、ドリンクといったものをいっしょに買わせようとしていると、私は感じていました。
●売るのが惜しくなる…投資で「塩漬け」が起きるのも保有効果
もう一度保有効果の話に戻って、別の例。投資においても、保有効果が生まれるようです。自分が保有する株に愛着がわいてしまい、それを売却するという判断をするときも、中立的な立場で評価するよりも高く評価してしまうといったことが起きるとのこと。結果的に、なかなか売却ができなくなります。
特にこれが顕著に現れるのが、損切やロスカットと呼ばれる損益がマイナスになっているダメな株を処分できないという事態。いわゆる塩漬け状態では、売りづらくなると、
保有株に愛着がわく?保有効果と株式投資と塩漬け株(2015.05.01)では、書かれていました。
私は他のところでも全部そうしているように、そもそも投資そのものをオススメしていません。人生がぶっ壊れる可能性があるものを、そうそう人に勧められませんからね。
ただ、どうしてもやりたいとか今やっているとか言う方には、あらかじめ損切りする値を決めておき逆指値注文(売りの逆指値注文は、価格が下落し、指定した値段以下になれば売りというもの)しておくというやり方をオススメします。こうすると、機械的に損切りされてしまうので、売るかどうか迷うということがありません。前述の通り、私は投資そのものを勧めませんけどね。
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