三浦典正・鳥取大元准教授が捏造や改ざんの不正 がん根絶目前の驚異的な発見をしていた研究者

　三浦典正・鳥取大元准教授が捏造や改ざんの不正があったとのこと。その数なんと35箇所です。すごい数ですね。不正論文そのものは4本と多くないので、論文の中身が不正だらけだとわかります。

　その不正論文かどうかは不明なものの、検索してみると、がん根絶目前となる驚異的な発見をしたとニュースにも取り上げられたことのある方でした。(2017/12/16)


●三浦典正・鳥取大元准教授が捏造や改ざんの不正

2017/12/16：鳥取大によると、医学部の三浦典正元准教授（５８）が責任著者として発表した４本の論文に画像の捏造や改ざんがあったそうです。４論文のうち３本は結論そのものに影響があるということで、重大な不正のようでした。

　三浦元准教授は９月に一身上の都合で退職しています。しかし、学内の教員から、論文の画像に不審な点があると２月に相談があったそうで、辞めたのはこの不正の関係だろうと思われます。

　その後、調査委員会で実験ノートや画像などを調べたところ、４論文で、実験結果の画像を編集、加工するなどの不正が見つかりました。この４論文は抗がん剤研究に関するものでした。
(鳥取大４論文で画像捏造や改ざん 医学部の元准教授 : 京都新聞　【 2017年12月15日 19時10分 】より)

　別記事によると、今回見つかった捏造・改ざんの形跡はなんと計３５カ所！ 学内での指摘は、「論文に掲載されたマウスの写真が加工され、別の実験結果でも使われている」というものであり、使い回しもあったようですね。同じ写真を引き伸ばしたり、反転させたりして別の実験結果に流用した捏造２４カ所、画像を加工した改ざんを１１カ所で確認しました。

　元准教授は「ミスだ」と反論。しかし、元の画像は提示されず、実験ノートも記録状態が悪いため元准教授の主張は確認できなかったそうです。
(医学部元准教授の論文４本に不正　９月に退職　毎日新聞2017年12月15日 20時43分(最終更新 12月15日 21時52分より)


●三浦典正・鳥取大元准教授の経歴

　早くに辞めていましたので、大学のプロフィールのようなものはなし。学歴も不明でしたが、三浦典正 - 研究者 - researchmapによると、職歴は鳥取大学のみでした。

2004年 - 2006年 鳥取大学 医学部 講師
2006年 - 2007年 鳥取大学 医学部 助教授
2007年 - 2008年 鳥取大学 医学部 准教授

　講師となったのは2004年で13年前。報道によると、58歳ですからこのときは45歳くらいで既に若手ではありません。その後すぐに助教授になっていますし、民間か公的機関での経験がその前にあるんだと思われます。


●がん根絶目前の驚異的な発見をしていた研究者

　前述の通り、問題があったのは抗がん剤研究。一般の関心も高い分野であり、ニュースにもなっているだろうと検索。不正のあった研究かどうかはわかりませんけど、やはり報道がありました。がんの征圧は間近か!? - 鳥取大、悪性度の高い未分化がんを正常細胞に転換(マイナビニュース 2014年1月28日 11時36分 (2014年1月28日 12時10分 更新))という華々しいタイトルの記事です。

　鳥取大 医学部病態解析医学講座 薬物治療学分野の三浦典正 准教授らの研究チームは、クローニングしたRNA遺伝子に関連して発現変動する単一の「マイクロRNA」を悪性度の高い未分化がんに導入したところ、容易に悪性度を喪失させることができ、正常幹細胞へ形質転換できることを発見しました。研究の詳細な内容は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載されています。

　三浦准教授らは、当時確認した現象について、"驚異的"とも表現していました。また、たった1つの生体分子が、劇的にがん細胞の状態を変えてしまうことは、がん根絶の夢が目前に来ており、この領域の研究および製剤開発が推し進められることで早期に実現する可能性が高まったとも説明していたようです。

　この研究が問題の論文だったかどうかはわからないんですが、今回の件で信頼性が疑われてしまうでしょうね。4本の論文で不正が35個もあるのに、他の論文で不正が一切ないというのは、なかなか想像しづらいことです。


【関連投稿】
　　■秦吉弥大阪大准教授らの熊本地震データに捏造改ざんの疑い 後藤浩之京大准教授、吉見雅行主任研究員らの研究
　　■広島大学の東幸仁教授が業績水増し 告発の准教授がなぜか退職する事態に
　　■懲戒解雇の江本正志(矢吹樹)元教授、群馬大の報復と主張 改ざんの論文不正と誹謗中傷の他、放送大学事件でも有名
　　■慶應大学時の博士論文で盗用、辞職した秋田大講師は飯野純彦氏
　　■東北医科薬科大教授らの論文で盗用の不正 佐賀大では交通費架空請求
　　■研究不正疑惑についての投稿まとめ