サンタクロースの成立の歴史を見ると、子供の行動をコントロールするための道具といった性格があることがわかっています。この性質は、現在のサンタクロースにも残っているものです。
なので、子どもにサンタクロースという嘘を教え込むのは心が痛むのですが、サンタを信じる子ほど幸せになるといったアンケート調査もあります。ただし、これは因果関係があるわけではなく、何か別の要素が相関関係を作り出しているのではないと疑われており、無理やり教え込む必要はなさそうでした。
●昔も今もサンタクロースは子どもを操るための大人の嘘
2017/3/19::別のと投稿のところでちょっと書いたように、親は子どもに「嘘をついちゃいけないよ」と言いつつ、子どもに対しては頻繁に嘘をつきます。サンタクロースの実在なんかもそういった嘘の一つでしょう。
私は「努力すれば必ず叶う」みたいなものも、そんな嘘言わなくていいのに…と思っています。この「努力すれば必ず叶う」はこう言わないと子どもが努力しなくなるから…といった反論が出ていました。大人が子供を都合よくコントロールするための嘘だと言えます。
サンタクロースも「いい子にしていたらプレゼントがもらえる」ということで、やはりコントロール系の嘘。また、
サンタクロースはなまはげだった ドイツの黒いサンタ(ブラックサンタ)でやったように、罰とセットとなるケースが多いといったサンタの歴史を見ても、子どもの行動をコントロールする手段的な側面があると言えるでしょう。
ただ、子どもは大人の所有物ではない別個の人間なのですから、嘘をついてまで思い通りにコントロールする必要はないと私は思うんですけどね…。大人に逆らう子供が正常とまでは言いませんが、大人の思い通りにならないことがあっても正常であり、異常ではありません。
●リア充調査…サンタクロースを信じる子どもほど将来幸せになる?
ところで、サンタクロースに関する
サンタの存在を信じ続けた人ほど“リア充”に!?子ども時代の経験とイベントへの意識の意外な関係|ザ・世論~日本人の気持ち~|ダイヤモンド・オンライン(小川 たまか 2012年12月4日)という記事があり、ずっと引っかかっていました。
アフラックの調査で、「あなたは、いつ頃までサンタクロースを信じていましたか?」を聞いたところ、「0歳~小学校入学前まで」(15.1%)、「小学校低学年まで」(27.8%)、「小学校中学年まで」(22.9%)、「小学校高学年まで」(10.1%)という結果になったそうです。
次に、割合の少なかった「中学生まで」(2.5%)や「高校生まで」(0.4%)、「覚えていない」(8.8%)、「信じたことがない」(9.4%)、「今でも信じている」(3.0%)と答えた人を除く約75%にあたる人に、「あなたにとってクリスマスとはどういう日ですか?」と聞いたところ、サンタクロースを信じていた時間が長かった人ほどリア充という結果になったといいます。
<クリスマスを「ウキウキする日」、「友だちと過ごす日」、「恋人・夫婦で過ごす日」などポジティブに捉えている人は、「小学校高学年まで」サンタクロースを信じていた人が最も多く、順に21.2%、16.8%、37.2%。しかも、このグラフはほぼきれいに右肩上がりになっており、サンタクロースを信じていた時間が長かった人ほど、「ウキウキ」したり、「友だちと過ご」していたり、「恋人・夫婦で過ごす」など、クリスマスの過ごし方がネットの俗語で言うところの“リア充”な様子が見られた>
(調査実施期間は、2012年11月1日~4日。対象者は、全国に暮らす男女1116名(男性558人、女性558人/年齢12~59歳)。調査方法はインターネット)
●サンタではなく、親の嘘を一途に信じられる家庭環境が理由?
ただ、サンタを信じるかどうかは本当の理由ではなく、別の理由があるのではないかと思いました。
相関関係と因果関係の違いを混同している例 具体例を集めてみようでやっているように、因果関係の誤解はよくあります。今回で言うと、単に家庭環境の良さを示している…という可能性。クリスマスを良好に過ごせるような家庭で育てば、大人になってからもリア充な生活を送れる可能性が高そうです。
ただ、今回書こうと思った直接的なきっかけは、
スマホ禁止は逆効果?スマホ未使用の子の成績、意外に良くないでやった改良型のマシュマロ実験のことを思い出したため。このマシュマロ実験はマシュマロを食べないように我慢できた子たちは我慢できなかった子たちより、学業成績が良く、社会に出てからも優秀だというものでした。
しかし、改良型のマシュマロ実験の研究では、これを我慢強さより信頼関係の有無が肝要なのではないか?と見ていたんですよ。我慢できなかった子たちは、大人などに約束を破られた経験があったからこそ、マシュマロを食べない約束も守らなかったという見方。なので、約束が信頼できる環境に育った子どもは、有能で学力の高い子に育つといった感じの推測でした。
ということで、知能の高さや社会での成功=リア充とは限らないものの、サンタクロースを長く信じて育った人がリア充なのも、親との信頼関係ができていたからでは?というのが、今回の思いつき。前述の通り、私はそもそも嘘をつかなくてもいいでしょ?と思うのですが、そんな大人の身勝手な嘘を一途に信じられる家庭環境だということ自体は良いことかもしれません。
【本文中でリンクした投稿】
■
サンタクロースはなまはげだった ドイツの黒いサンタ(ブラックサンタ) ■
スマホ禁止は逆効果?スマホ未使用の子の成績、意外に良くない ■
相関関係と因果関係の違いを混同している例 具体例を集めてみよう【その他関連投稿】
■
無神論者ってオーマイガーって言うの?オーマイガッシュの意味は? ■
マザー・テレサは聖人などではない オタワ大学で批判的な研究論文 ■
文化・芸術・宗教・海外との比較についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|