消費量ではなく支出額ベースですが、既に日本人はお米よりパンになっているようです。また、これはよくある形である「若者のコメ離れ」とはまとめられず、高齢者での「コメ離れ」が全体のデータに効いているという面もあります。なので、若者ではなく「日本人のコメ離れ」と言った方が良さそうな内容でした。
●主食の9割強が米食!フィリピン人の方が日本人よりずっとお米好き
2017/5/14:今回の話を知ったのは、お米がメインではない話でした。
てんや、海外で「てんやわんやですよ」:日経ビジネスオンライン(用松 靖弘 2017年3月29日)という記事です。てんやを運営するテンコーポレーションの社長である用松 靖弘さんが、青木宣行海外FC部長にフィリピンの話を聞いている中で出てきた話なんですね。
まず、青木宣行部長は、平均年齢24歳前後(日本は2014年で46歳)と若い首都マニラのデータを挙げながら、フィリピンの現地チェーンのジョリビー(Jollibee)が、子供たちが喜ぶ外食サービスがすごい!という話をしています。ハンバーガーやフライドチキンがメインなのに、米食主体の現地のメニューとの組み合わせが上手いと言います。
これについて、てんやを運営するテンコーポレーションの社長である用松 靖弘社長が「主食の9割強が米食だといいますね。日本はパン食が上回って、米より小麦を食べる国になりましたけど」と返していたのです。で、嘘、そうなの!?日本人はお米よりパンがすでに多いの?と驚いた…というわけでした。
●日本人ならお米は過去の話 日本のパンへの支出、既に米より多い
これ本当なのだろうか?と検索。すると、2012年というかなり早い時点で「逆転した」という記事がありました。
家計の食料品支出、パンが初めてコメを逆転 2012/5/4付 日本経済新聞 電子版 というもの。再逆転というニュースはないので、今でもお米よりパンが上なのだろうと思います。
この記事によると、一般家庭の食料品への支出額で、2011年にパンが初めてコメを上回りました。コメとパンの支出額は2005年までは一貫して1万円程度の差が開いていたのですが、なぜなのか2006年以降は急速に接近して逆転します。かなり急激な変化だったようです。
<2011年の総務省の家計調査(2人以上の世帯)>
食料品への支出 87万2802円
コメ 2万7428円 前年比4.1%減
パン 2万8318円 同0.5%増
コメに関して言えば、購入量そのものが減少しているというそのままの理由で支出額が低下。パンの方は45キログラム台で横ばいが続いているのですが、コメは毎年3キログラム程度ずつ減少しているため逆転することに。11年は80キログラムでした。ただ、支出ではなく重さで言うと、まだコメが勝っていたみたいですね。
●高齢者ほどお米を食べる…が怪しい コメ離れした理由は~食の増加
一方、パンが食べられている理由は意外性がありました。下書きしていた当時、パンとお米の話では、
愛国検定:道徳教科書のパン屋・おじさんを和菓子屋・おじいさんに変更という話題があったんですよ。日本人なら米食べろ、パン食うやつは非国民というイメージで、高齢者ほどお米というイメージもあります。
ところが、パン食うやつは非国民というイメージで、高齢者ほどお米というイメージは間違っていた模様。高齢化や共働き世帯の増加を背景に、コンビニの総菜や弁当など調理済みの食品の比重がじわり上昇したと、記事では説明していました。つまり、逆に高齢者での「コメ離れ」が大きく影響していたんですね。
ただ、ここはちょっとややこしいところ。まず、コメを買って自宅で炊く代わりに、調理済みの商品が代替しているという流れがあります。そして、その代替品のすべてがお弁当やおにぎりではなく、パン系が含まれることで支出額で見ると逆転を許した…といった感じっぽいですね。単なるコメ離れというよりは、中食増加の影響のようです。
●日本人のコメ離れは若者のせいじゃない ここ数十年の一貫した傾向
上記は古いデータでしたので、もう少し新しい話も検索。パンとの比較はなかったものの、
日本人の「米離れ」が深刻…1人あたり消費量が約50年で半分以下に(Text by 長澤まき イロリオ)という記事がありました。農林水産省の平成27年度「食料自給率」によると、1人が1年あたりに消費した米の量は54.6kgまで減少しているそうです。
この数値は、ピークである1962年118kgから見ると、半分以下。前年の2014年から見ても1kg減っており、コメ離れは依然進行中だと言えます。まだまだ下がりそうです。農林水産省が実施した調査では、全体の約6.8%がこの1ヶ月以内に1度もお米を食べていないと回答。20代男性では、18.4%が1ヶ月間米を全く食べていないと答えたており、ここはイメージ通り若者の方がお米を食べない感じです。
ただ、お米の消費量のグラフを見ると、ここ数十年はきれいに右肩下がりになっているため、近年の傾向というわけではなく、一貫して下がり続けているという形。先の「コメとパンの支出額は05年までは一貫して1万円程度の差が開いていた」と矛盾するように見えますが、あちらは金額で見ていたためでしょう。
このように数十年下がり続けているというのは、まだまだお米の消費量が下がると言える話です。「日本人ならお米」というイメージもそのうち完全に払拭されるでしょう。また、数十年下がり続けているということは、現在の高齢者もお米離れに関わってきたということですから、今の若者のせいだとも言い難い内容になっています。
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