任天堂法務部最強伝説について。実際、任天堂が最終的に勝っているケースが多く、「最強」と言ってしまってもかまわないかもしれません。ただ、任天堂が負けたり、負けたと言って良い状態になったりといったケースは存在していました。この実質負けのケースは後半に紹介し、前半は任天堂が勝利したケースについて紹介しています。(2018/01/22)
2020/09/05:
●法務部最強伝説の任天堂を一般人が無謀にも提訴、パワハラと雇用拒否で
●訴訟や裁判などで負け知らず!ネットで有名な任天堂法務部最強伝説
2018/01/22:任天堂法務部最強伝説というのがあって、任天堂が関わった訴訟や裁判などでは任天堂側がことごとく勝訴してるから「任天堂法務部は最強」という伝説がゲームファンの間でまことしやかに語られています。
ニコニコ大百科では、
ユリゲラーのポケモンユンゲラー裁判、任天堂が勝てた意外な理由でやったユリ・ゲラー裁判以外にも、いくつか紹介がありました。最初の3DS裸眼立体視特許の件は、事実なら任天堂がゲスですけどね。(以下、ニコニコ大百科の記述は改変して短くしています)
<3DS裸眼立体視特許裁判>
元ソニー社員が「ニンテンドー3DSに搭載されている裸眼立体視の仕組みは私が取得した特許を侵害している」と訴えを起こした事例。
訴えを起こした男性は2003年に任天堂本社を訪れ裸眼立体視の仕組みをプレゼンした所、何の連絡もなしにニンテンドー3DSにその仕組みが使われたとして賠償金を請求。
一審では敗れたものの、特許侵害は無かったという二審が確定して、任天堂側が逆転勝訴している。
<ニンテンドーDS用マジコン裁判>
ゲームソフトのデータをコピーするマジコンにまつわる裁判。任天堂は2008年にもマジコン業者へ訴えを起こしており、その際にマジコンの違法化が国内で初めて認められた。このとき国内でのマジコン製造も禁止されている。
近年ではDS用ソフトを開発したメーカー33社と共にマジコン業者へ輸入販売差し止めを請求する裁判を起こした。最終的に、最高裁判所が2016年1月に棄却、つまりマジコン業者側が敗北しマジコン輸入販売行為の差止及び総額9562万5千円の損害賠償金が確定している。
●訴えられて当然!ドンキーコングはキングコングのパクリ?
また、ニコニコ大百科ではドンキーコングの裁判でも勝利していることが書かれていましたが、こちらは補足があるので単独で。
<「ドンキーコングはキングコングのパクリ」裁判>
「ドンキーコングはキングコングのパクリ」とアメリカのユニバーサル社から訴えられた事件。
法務部の調査によりユニバーサル社がキングコングの映画のリメイク権を取得していなかった事が発覚し、任天堂はユニバーサル社を名誉棄損罪で逆提訴。ユニバーサル社は敗訴し、任天堂に160万ドルの賠償金を支払った。
なお、その際の弁護士の一人に「ジョン・カービィ」という名前の凄腕の弁護士がいた。逆にユニバーサルがライセンスしていた「キング・コング」のゲームはドンキーコングのパクリであるという事を裁判所に認めさせている。
ネットでは「完全な言いがかり」「ユニバーサルざまぁ」といった感じでしたが、
ドンキーコング - Wikipediaを見ると、名前的には本当にパクリ的な要素があったようです。言いがかりではなく、実際、パクリだと思われて仕方ない感じですね。
というのも、「コング(kong)」は『キングコング』の作中における造語であり、本来の英語にこのような単語は存在しなかったため。英語圏の人から見ると、『キングコング』からパクったとしか考えられません。どうも当時の日本では『キングコング』の影響で、「大型のゴリラ」を指す単語として誤解され広まっていたようです。
●ファイアーエムブレムのティアリングサーガ裁判は和解でも実質勝利
もう一つ載っていたティアリングサーガについても補足があるので単独で。
<ティアリングサーガ裁判>
エンターブレインから発売されたゲーム「ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記」が任天堂のゲーム「ファイアーエムブレム」シリーズと酷似したゲームであると著作権法及び不正競争防止法違反だとして、エンターブレイン及び開発元のティルナローグを相手に訴えを起こした事例。任天堂はインテリジェントシステムズと共に提訴した。
結果としては任天堂の訴えは認められなかったものの、裁判ではエンターブレイン側に対して弁護士費用などを含めた売上金額の一部支払いが命じられ、エンターブレイン側もそれに応じた事で事実上の和解が成立した。
ティアリングサーガの方のニコニコ大百科によると、一審では任天堂側の訴えは棄却。しかし、二審ではエンターブレイン側に対し「ゲームは白だけど、まぎらわしい売り方するな」ということで、売上の3%に弁護士費用を加えた約7,600万円を任天堂側に支払うよう命じる判決。最高裁への上告が棄却されたことで、この二審が確定しています。
「まぎらわしい売り方」というのは、ティアリングサーガがファイアーエムブレムの続編であるかのように思われていたためです。これには理由があります。
ティアリングサーガは、ファイアーエムブレムの生みの親であり、元インテリジェントシステムズ所属であった加賀昭三さんが開発に大きく関わっている作品。似ているのはそのせいでしたし、エンターブレイン側も「ファイアーエムブレムの加賀氏」など、かなり強調していたんだそうです。
このニコニコ大百科では、「裁判問題や、加賀氏の存在を知らない人から見れば、このゲームはほぼFEのパクリゲーとも言える。だが上記にある通り、既に両者は和解しているのでこの手の話題を関連動画で出すのは控えよう」と書かれていました。
●全戦全勝ではない…実は敗訴や実質負けの和解あり、Wiiリモコン問題など
ニコニコ大百科では、「任天堂法務部最強伝説」について、"しかし全戦全勝というわけではなく、敗訴・若しくは限りなく敗訴に近い和解に至った事例もある"という書き方をしていました。では、任天堂が負けているものは?と言うと、Wiiリモコン問題があります。任天堂が勝利しているものもあるのですけど、実質的に負けが確定したものがあるんです。
Wii - Wikipediaでは、以下の話だけ載っていました。しっかりとしたソースが無いので今回は紹介しないものの、他に二つほど負けているWii関連の裁判があるかもしれません。
2014年5月15日 - Wiiモーションプラス、Wii、Wii U、Wii miniがフィリップス社の特許2件を侵害しているとして、フィリップス社がアメリカで訴訟を提起。
2014年6月20日 - イギリスで提起されていたフィリップス社の特許侵害訴訟で、イギリス高等法院が任天堂による特許侵害を認める判決を下す。
2014年12月2日 - フィリップス社が任天堂に対し提起していた訴訟について、特許に関するクロスライセンスで合意した旨が発表された。
「クロスライセンス」というのは、両社が持つ特許を互いに使えるというもの。おそらくフィリップス側は、特許侵害での賠償や使用停止を要求しない代わりに、任天堂の特許を使うことで利益を得るということだと思われます。
日経新聞によると、フィリップスは任天堂の家庭用ゲーム機「Wii」などに使われている体の動きを感知する技術などが自社の特許を侵害していると主張。英高等法院は2014年6月、フィリップスが侵害を訴えた3つの特許のうち2件で任天堂側の侵害を認めていました。
(
フィリップス、任天堂と和解 特許侵害巡る訴訟 :日本経済新聞 2014/12/3付より)
●この内容でまさか!?マリカー商標問題でも任天堂法務部が敗れる
もう一つ、もっと最近だとマリカー商標問題があります。任天堂の人気ゲーム「マリオカート」の略称「マリカー」を公道カートのレンタルサービスを手がける「株式会社マリカー」が商標登録しました。これについて、任天堂が特許庁に異議申し立てをしていたが、特許庁は異議を認めず、この会社の商標登録を維持する決定をしたのです。
特許庁によると「マリカーという略称は広く認知されているとは認められない」というのが理由。ただ、法的措置を検討中だと報じられており、これはまだ勝敗がついていないと考えられるかもしれません。任天堂は今回の異議申し立てとは別に、今年2月、不正競争防止法違反や、著作権法違反で同社を訴えたことを発表しています。
この件は任天堂が気の毒だと思うのですが、岩永利彦弁護士によると「妥当」とのこと。「マリオカート」ではなく「マリカー」という名前が有名だと任天堂が証明する必要があったものの、それが不十分だったという説明でした。これだとパクったもの勝ちになっちゃいますから、どうにかならんものかと思います。
(
「マリカー」商標登録、任天堂の異議却下…特許庁の決定は妥当だった? - 弁護士ドットコム 2017年03月11日 09時49分より)
●法務部最強伝説の任天堂を一般人が無謀にも提訴、パワハラと雇用拒否で
2020/09/05:一般人相手、パワハラ問題ということで、全然おもしろいネタじゃないのですが、<直接雇用拒否で任天堂を提訴へ|NHK 関西のニュース>(2020/09/03)というニュースが出ていました。「任天堂」の派遣社員だった20代と30代の保健師の女性2人が訴えを起こすという話です。
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20200903/2000034494.html
代理人の弁護士によると、2人はおととし、最長6か月間働いたあと、派遣先の企業が合意すれば正社員などとして直接雇用される「紹介予定派遣」という法律上の制度で採用され、社員の健康指導などを担当していました。ただ、半年間働いたあと、産業医との協力関係を築けなかったとして、任天堂から直接雇用を拒否されます。
2人は業務連絡の行き違いをきっかけに、産業医から無視されるなどのパワハラを受けていたと主張。直接雇用の拒否は不当だとして、会社側に対し、地位の確認などを求める予定です。また、任天堂は採用前に2人と2度、面接していたとされています。このため、代理人の冨田真平 弁護士は、「実質的な採用活動を行っており、産業医との関係性のみを理由に、直接雇用を拒否することは許されない」と話していました。
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