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なぜそこまでして?キツツキ、つつき行動で脳が損傷の可能性


 キツツキには、木をつついても脳への衝撃が少なくなる様々な理由があるようです。体の構造的な工夫ってのもあるのですけど、結構意外な理由が多くありました。ただ、これだけいろいろな工夫をしていても、結局、脳が損傷している可能性があるという研究が出てきました。じゃあ、なぜそんなにしてまで木をつつくの?という話なんですけど、結局、メリットの方が大きいみたいですね。

キツツキの森 (科学のアルバム)




●なぜそこまでして?キツツキ、つつき行動で脳が損傷の可能性

2018/02/14:キツツキが木をつつく「つつき行動」。ボストン大学医学部の大学院生によると、キツツキはこのつつき行動によって、脳損傷を受けていないと考えられてきました。しかし、この大学院生らの研究では、逆の結果が示唆されたとのこと。要するに、脳に損傷を与えている可能性があるという意味です。

 論文誌「PLOS ONE」に2018年2月2日に掲載されたこの研究では、キツツキの一種であるセジロコゲラと、キツツキでなく、木をつつかないムクドリモドキ科のハゴロモガラスの脳繊維を調査。その結果、人間では神経変性疾患や頭部外傷による脳損傷と関連のあるタウ・タンパク質の蓄積がセジロコゲラに見られたのに対し、ハゴロモガラスでは見られませんでした。

 これらの話のあったキツツキの「つつき行動」、脳に損傷与えている可能性=研究(2018年2月6日 / 15:26)によると、科学者らは、このタウ・タンパク質がキツツキの脳損傷を示すものなのか、ある種の保護作用を持つものなのかを特定中ということで、まだ確定ではないものの、脳の損傷を示す新しい発見かもしれません。

 では、なぜ脳に損傷まで起こすようなことを彼らがやっているのか?ということになるわけですけど、これは単純にキツツキが生き残る上で有利だったためでしょう。脳を損傷するというデメリットより、メリットの方が大きいのです。そうでなければ、キツツキのような行動をする鳥は、世の中には残っていなかったはずですからね。

 上記の研究が出る前の話ですけど、米コーネル大学の鳥類学者ウォルター・コーニグさんは、もしもつつくことが頭痛や怪我の原因になるなら、「おそらくキツツキが長く存続することはないでしょう」と言っていました。傷ついた鳥は、捕食動物の餌食になりやすいためです。

 なお、キツツキは現在、世界に200種から300種以上いて、木をつつく理由も、巣穴を掘るため、昆虫や樹液を掘り出すため、食物を蓄える穴を作るためなど様々。なので、そのメリットは種によって異なるものの、とりあえず、キツツキの生き残りに対し有利に働いてきたと考えられます。
(キツツキはなぜ頭が痛くならないのか | ナショナルジオグラフィック日本版サイト 2016.11.10より)





●頭蓋骨の隙間など…人間なら確実に脳震盪を起こす振動を緩和

 最初のロイターによると、キツツキは最大1400Gという大きな重力加速度を受けているそうです。人間の場合は、60─100Gで脳震盪を起こす可能性があるとのことなので、楽勝で頭がぶっ壊れます。それでも脳に損傷を与えている可能性があるというのが最初の研究なのですが、一方、キツツキには、これを緩和する機能があるそうです。

 一つは、くちばしや頭蓋骨、舌、脳と頭蓋骨の間にある隙間など、つつき行動による影響を緩和する機能が備わっているということ。この緩和の話が知りたいと思って検索して見つけたのが、先程のナショナルジオグラフィックの記事でしたが、あまりそこらへんの情報はありませんでした。

 とりあえず、米エール大学の進化生物学者(鳥類専門)リチャード・プラムさんによると、木をつつくときにかかる力は、「頭蓋骨の周りに分散されて、底部と後部の頑丈な骨に伝わり」、脳に圧力がかるのを防ぐとのこと。また、キツツキの脳は、頭蓋骨にぴたりと収まっており、中で揺さぶられないようになっているとしていました。


●構造的な理由ではない…脳への衝撃が少なくなる一番の理由が意外

 ナショナルジオグラフィックの記事では私が期待した緩和の話はあまりなかったのですが、他のおもしろい話がいくつかありました。そもそも彼らはいつも全力で叩いてるわけではないというのが、そういうおもしろい話のひとつです。本気を出さないことで、脳への影響を緩和する…という脱力しちゃうような対策でした。

 米コーネル大学の鳥類学者ウォルター・コーニグさんによると、「通常は軽く当てる程度なので、キツツキにそれほど強い衝撃は伝わらない」とのこと。異性へのアピールや縄張りの主張のために、超高速で木をつつく「ドラミング」を行うキツツキであっても、中が空洞になったような、音のよく響く木を選ぶことで、強く叩かなくても済むようにしています。

 また、予想外な説明だったのが、脳の構造ではなく大きさの問題が大きいこと。キツツキの脳を研究している米マサチューセッツ工科大学(MIT)の材料科学・工学教授、ローナ・ギブソンさんは、「一番重要なのは、脳のサイズです」だとしていました。これは意外でしょう。キツツキの脳はとても小さく、約2グラムしかありません。脳が大きければ大きいほど質量も増し、衝撃を受けたときのダメージも大きくなります。

 彼女によると、キツツキの脳が守られるもうひとつの要因として、木とくちばしの接触時間が短いこともあるそうです。ほんの1ミリ秒(1000分の1秒)か0.5ミリ秒接触するだけ。人間の場合は、3ミリ秒から15ミリ秒の接触で典型的な頭部外傷が起こるというので、それよりかなり短い時間になっています。

 それでも、結局、脳を損傷している可能性あるということではあったものの、いろいろな理由でかなりマシになっているようでした。

キツツキの森 (科学のアルバム)




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