自傷行為・リストカットは、他の人にアピールのため…と思っている人が多いものの、科学的根拠のない迷信だとのこと。SNSにアップする人が多いじゃんってのも誤解です。
むしろ研究で明らかになっているのは正反対。自傷行為を行う人の多くは他人にそのことを知られるのを嫌がっていることがわかっています。また、自傷行為はエスカレートしやすいことなども判明しています。(2018/03/05)
●自傷行為・リストカット、アピールのためは迷信
2018/03/05:「自傷 アピール」の検索結果では、専門家が書いていないサイトが多数上位に出ていて良くないです。私の環境だと1位が素人による明らかに問題があるサイトとなっていて、最悪です。検索順位を上げたくないので、リンクもしません。(リンクすると、上位に来やすくなります)
逆に信頼性が高いサイトとしては、例えば、
自傷のことを誤解しないで~自傷理解の基本(医師) | COMHBO地域精神保健福祉機構というページ。著者は、国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所薬物依存研究部 部長の松本俊彦という方です。
松本俊彦部長によると、リストカットなどの自傷を、「誰かの気を惹くために」行われる、一種のアピール的な行動と思いこんでいる者が少なくないそうです。しかし、自傷がアピールのために行われることを証明した研究など、どこにも存在しないとのこと。
いつも書いているように、こうしたものは論文が出て初めてスタート地点。つまり、科学的根拠のない迷信だと考えて良いです。
●SNSにアップする人が多いも大誤解
じゃあ、なぜSNSにアップしている人がいるの?と思うかもしれません。でも、そもそもどれくらいの確率でアップされた画像かはわからないですよね? どのような根拠でほとんどの人が写真をアップしていると思っているのでしょう?
松本部長によると、むしろ研究結果は逆。研究が明らかにしているのは、自傷の大半は一人きりの状況で行われ、誰にも告白されないということ。つまり、アップロードしている人は、ほとんどいないのです。
もう一つ見つけた信頼できそうなページによると、他者に分かってしまうことを恐れている人がほとんどということで、やはり正反対。また、その時には死ぬつもりはなくても自傷行為をしている人が実際に自殺を完遂してしまう確率はそうでない人の400~700倍にのぼるともありました。すごい差です。
(
自傷行為の理由、関係ないと思っている人も理解を : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞) 宋美玄より)
●「自殺者の中には自殺未遂経験者が多く含まれている」だと当然と思ってしまう
これは結局、
医療関係者にすらある「自殺未遂者は本当は死ぬ気はない」という誤解と同様の迷信でもあります。
なお、当然、自殺者の中には自殺未遂経験者が多く含まれていることもわかっています。なので、数少ない「アピールするため」の人であったとしても、支援が必要であることには違いないでしょう。
こうやって「自殺者の中には自殺未遂経験者が多く含まれている」という言い方をするとそりゃそうだろうと思うかもしれませんけど、「自殺未遂者は本当は死ぬ気はない」「自傷行為はアピールするため」ってのは、これと正反対の見方ですからね。落ち着いてよく考えてみると、相当おかしな主張だとわかります。
●自傷行為する人のは多くはむしろ誰かに相談したくない
最初の松本部長の話に戻りますが、自傷の多くは、怒りや絶望感といったつらい感情をやわらげるために行われているということもわかっているそうです。
そして、自傷をくり返す者は、誰かに助けを求めたり相談したりせずに、孤独に苦痛を解決しようとしているのだとしていました。つまり、「周囲へのアピール」とは正反対の意図だということです。
先程のヨミドクターでも、「他者に分かってしまうことを恐れている人がほとんど」とありましたね。アピールだなんてとんでもない…というケースの方が一般的であるようです。
●自傷行為・リストカットをする本当の理由
既に出てきているように、自傷行為・リストカットをする本当の理由は、つらい感情をやわらげるため。また、自傷をくり返す人の場合、自傷直後に脳内でエンケファリンやエンドルフィンという物質(脳内麻薬)が分泌されることもわかっているそうです。
ただし、これが良い対処法という意味ではありません。松本部長によると、まず、「鎮痛効果」が一時的なものでしかないというのが問題。解決策になりませんから、自傷行為を行う理由はその後も存在し続けます。
さらにこれに加えて、自傷はエスカレートしやすいという問題があるそうです。麻薬には、くり返し使っていると効果が落ちてきて、次第に使う回数や量が増えていくという、「耐性」という現象があるのすけど、脳内麻薬を出す自傷行為でも同様の現象が見られるとのこと。脳内麻薬をより出そうとして自傷がエスカレートするということでしょうね。
なお、
自傷のことを誤解しないで~自傷理解の基本(医師) | COMHBO地域精神保健福祉機構では、自傷行為をした人が身近にいる人がいた場合の対処法も書かれています。長くなりますし、繊細な部分なので、興味ある方はリンク先後半の"「自傷はダメ」はダメ"、"感情的に反応するな 医学的に反応せよ"のあたりを直接読んでみてください。
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