変な地名 ~静岡県道360号線沿いに「月」という地名がある~で書いたとおり、シリーズ化します。
今回は「地名」という地名があるという話で、変な地名にふさわしい地名だと思います。
しかし、ちょっと残念なことにこの「地名」という地名は、「ちめい」とは読まないようなのです。
「ここの地名は何と言うんですか?」
「ちめいです」
「えっ?」
「えっ?」
みたいなやりとりを想像したのですが、そうではありませんでした。
で、何と読むのかと言うと、答えは「じな」です。音だけ聞くと、別にそこまで奇異には感じませんね。
場所は前回に続き、静岡県。「静岡県榛原郡(はいばらぐん)川根本町(かわねほんちょう)地名(じな)」です。
たまたまかもしれませんが、もし静岡県がおもしろ地名の宝庫であったなら、何だかうらやましい気がします。
気になるのは地名の由来ですが、それは地図作成でお馴染みの
ゼンリンに載っていました。
このページによると、「○○名」は「○○のところ」というように使用されるらしく、その他の例として「川名」、「山名」が挙げられていました。
「川名」は「川のところ」、「山名」は「山のところ」といった意味なのでしょうが、特徴的に呼ぶことのできる川や山とは違いますので、ありふれた「地」をわざわざ地名にするのはちょっと変な気もします。
しかし、山が迫ったこの地域では、他とは事情が異なったようです。
「居住適地は限られていて、わずかな平地でも有効に利用され」た場所のようで、そういった貴重な場所を「居住に適した土地のあるところ」として特別に呼んでいたということのようです。
なるほど、この説明であれば、納得することができます。
ちなみにゼンリンは"中川根町に「地名(じな)」と呼ばれる地名があります"としており、町名が異なりますが、これは合併があったためです。
中川根町 Wikipediaによると、中川根町は静岡県の中部に位置していた、「川根茶」の産地として知られる町で、アサヒ飲料の緑茶飲料の若武者も中川根町の茶名人、丹野浩之さんの監修だそうです。
ただ若武者は2009年2月に後継商品『香る緑茶 いぶき』に替わり、販売は終了しているようです。
話が逸れましたが、中川根村の誕生は1889年(明治22年)。上長尾村、久野脇村、下長尾村、水川村、藤川村が合併し、榛原郡中川根村が村制施行されます。
それからだいぶ経って、1956年(昭和31年)に同じ1889年に下泉村、地名村、壱町河内村、田野口村、堀之内村が合併してできた志太郡徳山村を吸収して、中川根村は面積が増えます。
その後も、文沢地区(本川根町藤川の一部)を編入したり、町制施行したりしつつ、「中川根」の名は守っていましたが、2005年(平成17年)9月20日 本川根町と合併して川根本町となります。
「中川根」「本川根」「川根本」とややっこしいのですが、もう一つ隣接する「川根町」とともに、三町は「三川根」と呼ばれていたようです。
「山名」「川名」という地名の話が先にありましたが、「山」と共にそこから流れる「川」もまた珍しくなかったんでしょうね。
「地名」に限定した話をすれば、地名駅北側には全長約7mの非常に短いトンネルが存在し、駅構内には、「日本一短いトンネル?」というトンネルの案内看板が立っているそうです。
こういう不思議なことが起きている理由は、線路上をまたいでいた貨物索道から線路を保護するために建設されたものの、現在その索道は廃止され、トンネル部分のみが残存しているということみたいです。(
地名駅より)
(続編は、
変な地名3 ~「ちず」「マップ」「住所大山」~)
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