「不吉な鳥」と言って思い出すのは、皆さんいったい何の鳥でしょう?
その他の答え(ハゲタカなど)もあると思いますが、とりあえず、
ケニアに恋してというブログでは、
さて、日本で不吉な鳥と言えばなんでしょうか? カラスかな?
ここケニアではなんと、ふくろうがそれに当たるらしい。 日本とは真逆!! |
とありあますし、カラスのイメージの悪さは鉄板だと思います。
ところが、カラスは日本において神聖とみなされてきた時期が長い鳥です。
そして、逆に上でも出たフクロウは現在「福郎」の字を当てて縁起の良いものとされることが多いにも関わらず、過去には不吉な鳥とされていました。
このカラス、フクロウに関する伝承は日本に限らず、世界においても良いもの・悪いものの両方が見えていておもしろいです。それだけ印象に残る、あるいは身近な鳥ということなのかもしれません。
どちらも量が豊富なのでそれぞれについて単独で書きますが、ここではまず両方が登場するものを取り上げます。
● ソロモン72柱 ストラス
ソロモン72柱、あるいはソロモン72将は、ソロモン王が封じたとされる72柱の悪魔のことです。
このうちのストラスは、
怪物森羅万象によると、「カラス、もしくはフクロウ、ツグミの姿で現れ」とあります。
悪魔ですので当然良くない印象でしょうが、おもしろいことにカラスとフクロウ、両方の名前が見えます。
ただし、
ウィキペディアでは、
アレイスター・クロウリー編集のThe Lesser Key of Solomonでは「強壮なワタリガラス」 (Mighty Raven) と書かれているが、ヴァイヤーの『悪魔の偽王国』や『ゴエティア』の一部の版ではゴイサギ (羅:nycticoracis、英:Night Raven)と書かれている。 |
としており、「Night Raven」の「Night」を「Mighty」と書き違えたか、抜かしたと捉えているようです。
アレイスター・クロウリーは最も有名な魔術師の一人ですので、間違いだとすれば、その影響は大きかったはずです。
● ソロモン72柱 アモン
なんとまたソロモン72柱からです。
ウィキペディアの記述は以下のとおりです。
悪魔の君主の中で最も強靭であるとされる。口元から炎を吐き出しヘビの尾を持つ狼の姿で現れるが、魔術師が人間の姿を取ることを命じると、口元から犬の牙を覗かせたワタリガラスまたはゴイサギの頭を持つ男性の姿を採るという。コラン・ド・プランシーの『地獄の辞典』の挿絵ではフクロウの頭と狼の胴と前足、蛇の尾を持つ姿が描かれている。 |
これもまた「ワタリガラスまたはゴイサギ」です。うーん、何ででしょうね?
サギなので姿は全然似ていないのですが、
ゴイサギの項目を見ると、"夜間、飛翔中に「クワッ」とカラスのような大きな声で鳴くことから「ヨガラス(夜烏)」と呼ぶ地方がある"とあります。
まさに先ほどの「Night Raven」のことかなとも思いますが、はっきり地域を書いていなくて直前までは国内の話ですから、日本でもそうだという意味かもしれません。
● 日本昔話 フクロウの染め物屋
福娘童話集に載っている「フクロウの染め物屋」の内容を、非常にざっくりであらすじを書きます。(書いてから気づきましたが、これ不吉と関係ないですわ)
鳥のフクロウが染め物屋を始めて、鳥たちを染めていました。そこへカラスもやって来たのですが、彼は「ぼくは鳥の中で一番頭が良いから、誰が見ても一目で分かる素晴らしい色がいい」といばって言いました。
すると、フクロウはカラスを真っ黒に染め上げてしまい、文句を言われても「ご注文通り、誰が見ても、一目であなたとわかりますよ」とすっとぼけます。
そういうわけで、カラスの色はまっ黒なのです。 |
といった話です。
カラスは相も変わらず嫌なやつに描かれていますが、果たしてフクロウの方は良い奴なのでしょうか?
私はカラスを騙したこのフクロウにも良い印象を持ちませんでしたし、この昔話でも「その時からカラスの色は、まっ黒なのです」の後に、「そしてフクロウはカラスから逃げる様に森の中に隠れて、夜にしか出てこなくなりました」とありました。
フクロウを正義としたいのであれば、この一文はいらないでしょうから、カラスもフクロウもどちらもその行為の報いを受けたのだと思います。
● 英和辞典における不吉の鳥の例
新グローバル英和辞典では、次の様に載せています。
a bird of ill omen
不吉の鳥(カラス, フクロウなど); 不吉な便りをもたらす人. |
現在でも英語圏では、カラスとフクロウを想定することが多いのでしょう。
といった感じですが、カラスとフクロウ単独のものに関しては、以下をどうぞ。
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今は縁起物のフクロウも、昔は不吉な鳥だった ■
神話・伝承におけるカラス 関連
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旧約聖書のノアの箱舟 ■
吸血鬼は血を吸うとは限らない ■
その他の神話・伝承・不思議な話などについて書いた記事 ■
山姫(屋久島の民話) ■
吉祥天、黒闇天姉妹の家族
Appendix
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