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白いカラスは吉祥!日本も世界も神話の逸話では印象良い鳥だった


2011/9/4:
●白いカラスは吉祥!神話での逸話など昔の日本では印象良い鳥だった
●世界でも良い逸話が多い 中国では太陽に棲む神聖な動物として尊重
●アーサー王やオーディン!イギリス・ケルト神話・北欧神話のカラス
●太陽神アポロンに仕えた人の言葉を話す非常に賢い白銀のカラス
●古代エジプトでは太陽の鳥、ノアの箱舟の話でも大洪水後を偵察
●北米先住民でもいい話 人類に知恵を授ける知恵者としてのカラス
●太陽との関係の深さに注目…世界中で良い逸話が多いのはなぜ?
●カラスは悪くないのに…人間の都合で悪者にされてしまったカラス


●白いカラスは吉祥!神話での逸話など昔の日本では印象良い鳥だった

2011/9/4:カラスとフクロウ、不吉な鳥はどっち?で「カラス、フクロウに関する伝承は日本に限らず、世界においても良いもの・悪いものの両方が見えていておもしろいです」と書きました。で、今回は「神話・伝承におけるカラス」です。

 Wikipediaを元にしますが、「良いもの・悪いもの」という視点で書いていきます。ただ、日本の場合はそもそも悪い逸話が見当たらず、極めてイメージの良い鳥だったみたいですね。

<日本> 良い逸話

 カラスは古来、吉兆を示す鳥であり、神武天皇の東征の際には松明を掲げ導いたのは、3本足のカラス「八咫烏(やたがらす)」です。そのため、八咫烏やカラスは日本サッカー協会のシンボルマーク、熊野の雑賀党鈴木氏などの家紋に…という良い使われ方をしてきました。

 カラスは熊野三山の御使いでもあり、熊野神社などから出す牛王宝印(ごおうほういん=熊野牛王符)という神札は、カラスの群れで形作った文字になっているそうです。おもしろいですね。

 また、山岳信仰を起源に持つ修験道では、「カラスは神の使い」とされており、烏踊りというものもあります。この烏踊りは山岳信仰に基づく烏に対する信仰と修験者の踊りが、民謡になっていったと考えられているそうです。

 神話・伝説上では、色違い・特徴違いのカラスが存在し、吉祥と霊格の高い順に八咫烏、赤烏、青烏、蒼烏=白烏という順番。いかにもすごそうな感じの、白いカラスはこの中では低くなっていました。なお、うちでは、江戸時代には白いカラスがたくさん?でも「城を枯らす」ので撃ち殺された?という話もやっています。

 あと、伝承というテーマからは外れますが、カラスの羽色に「烏の濡羽色(からすのぬればいろ)」(濡烏(ぬれがらす)、烏羽(からすば)色とも)という表現があるとのこと。深みのあるつややかな濃紫色である烏の濡羽色は、黒く青みのあるつややかな色の名前で、特に女性の美しい黒髪の形容に使われることが多いようですから、これも良い使われ方だと言えるでしょう。


●世界でも良い逸話が多い 中国では太陽に棲む神聖な動物として尊重

<中国> 良い逸話

 中国では古来、太陽にはカラスが棲むとされていますが、奇数は陽・偶数は陰とされるので、太陽の象徴であるカラスが2本足では表象にずれが生じるため、「3本足のカラス」となったようです。これ自体は特に良い悪いではありませんが、太陽との結びつきは悪くなさそうです。

 また、清朝においては、太祖がカラスに命を救われた逸話に基づき、神聖な動物として尊重されたそうで、これは間違いなく良い例です。

<中国> 悪い逸話

 このWikipediaページになかったのですが、古代カラスの太陽は10個あり、暑すぎたので9羽を射落としたという話もあるんですよ。これだと悪い話のようにも見えなくもありません。ただし、1羽のカラスが残っていなければ再び闇の世界というわけですから、どちらかと言えばカラスがかわいそうになる話です。


●アーサー王やオーディン!イギリス・ケルト神話・北欧神話のカラス

<イギリス> 良い逸話

 アーサー王が魔法をかけられてワタリガラス(大ガラス)に姿を変えられたと伝えられるため、ワタリガラスを傷付けることは、アーサー王(さらには英国王室)に対する反逆とも言われ、不吉なことを招くとされています。

 また、ロンドン塔においては、ロンドンの大火の際に大量に繁殖したワタリガラスが時の権力者に保護されたということも。ワタリガラスとロンドン塔は現在に至るまで密接な関係にあるとされていました。

<イギリス> 悪い逸話

 指輪物語にも登場するクレバインと呼ばれる大鴉たちは、むしろ邪悪の陣営の走駆としての役どころになっています。こちらは悪い話でした。

<ケルト神話> 良い逸話

 バズヴ、ヴァハ、ネヴァンの三位一体の女神(戦いの神)とされるモリガンは、戦場にワタリガラスの化身、もしくは、肩にカラスが留まっている姿で描写されたり、三位の一つであるバズヴがカラスの化身であるとされるなどとして、伝承される神です。ただし、神といっても清廉や崇高な印象ではなく、戦場に殺戮と死をもたらすものとして描かれることが多いようですね。

 ここらへん判断が難しいですが、戦いの勝利をもたらす女神であるようなので、残酷だけれども強い神なのかもしれません。必ずしも性格の良いわけじゃないという神も多いですからね。

<北欧神話> 良い逸話

 主神であり、戦争と死を司る神、オーディンの斥候は、2羽のワタリガラス「フギン(=思考)とムニン(=記憶)」で、世界中を飛び回り、オーディンに様々な情報を伝えているとされています。


●太陽神アポロンに仕えた人の言葉を話す非常に賢い白銀のカラス

<ギリシア神話> 良い逸話

 太陽神アポロンに仕えていたカラスは、色は白銀(白・銀とも)で美しい声を持ち、人の言葉も話すことができる非常に賢い鳥でした。ここらへんは良い逸話だと考えられますし、その後もカラスが悪いかどうかは微妙な話です。

 ある時にカラスは、天界のアポロンと離れて地上で暮らす妻コロニスが、人間の男であるイスキュスと親しくしているとアポロンに密告しました。アポロンは嫉妬し怒り、天界から弓矢で矢を放ちコロニスを射抜いてしまいます。

 しかし、死ぬ間際に「あなたの子を身ごもっている」と告げたコロニスの言葉に、我に返ったアポロンは後悔し、きっかけを作ったカラスに行き場の無い怒りをぶつけ、その美しい羽の色と美声と人語を奪いました。カラスは天界を追放され、喪に服すかのように羽は漆黒に変わり、声も潰れて、言葉を話すどころか、醜い鳴き声を発することしかできなくなりました。

<ギリシア神話> 悪い逸話

 上の話だとカラスは主人のアポロンのために働いただけであり、カラスが悪いというのはかわいそうじゃないかと思います。ただ、この話には異説がありこちらははっきりと悪だったんですよね。

 アポロンの走駆や密偵、または水くみの仰せつかったカラスが、地上で道草をしてしまい地上の状況の報告(または水くみ)が遅れ、「嘘をついて言い訳をした」または「コロニスとイスキュスの密会をでっち上げた」という説です。

 このうち、水くみについては、仕えたカラスの死後、天上に星座としてかたどったとしながらも、コップ座がちょうどからす座の嘴(くちばし)に届かない微妙な位置にあることから、水くみの異説を裏付けるものとして捉えられているとのこと。

 また、最初の話でもコロニスの浮気は見間違いや嘘の報告という説があるようで、その場合にもカラスは悪役でしょう。ギリシャ神話はちょっと悪めの説が多い感じですね。


●古代エジプトでは太陽の鳥、ノアの箱舟の話でも大洪水後を偵察

<エジプト> 良い逸話

 Wikipediaの記述は「古代エジプトでは太陽の鳥とされた」とだけ。これだけだとわからないので検索すると、阿修羅♪に「上古代エジプトの王の彫像でもその頭部を後方から羽を広げて覆い守っている」とありました。

 周囲の文章を見ていると信用できるかは怪しいのですけど、エジプトで太陽の神はラーという重要な神です。どちらかと言えば良い印象かと思います。

<メソポタミア> 良い逸話

 「メソポタミアを中心に旧約聖書・『創世記』5章から10章でも伝わる世界を襲った大洪水の後に、『創世記』8章7節において、炯眼から偵察として初めて外に放たれた動物である」とありました。最初の書き方が理解できませんでしたが、旧約聖書がメソポタミアを中心に描かれたものという意味だと取ります。

 洪水後、船から放されたカラスですが、「水がひいたことを知らせた」とありますので、良い役だと思います。しかし、以前旧約聖書のノアの箱舟で書いたように、最初はカラスを放したものの、止まることころがなく戻ってきたとされていました。

 このときの話によれば、実際に「水がひいたことを知らせた」のは、カラスではなくハトの役割。ですので、首を傾げる記述ですが、カラスがノアのために働いたことには違いなく、良い話だと考えて良いんじゃないかと思います。


●北米先住民でもいい話 人類に知恵を授ける知恵者としてのカラス

<北米先住民> 良い逸話

 トリンギット族(クリンギット)とトリンギット亜族(チルカット族・ツィムシアン族・ハイダ族)に伝わるカラスの代表的な伝承として、以下のような話がありました。これは知恵者としてのカラスで明らかに良い役だと言えるでしょう。

「ワタリガラスが森を作り、人を始めとした生き物が住み着いたが、あるときに寒波が襲い、生き物は死に絶えそうになった。一計を案じたワタリガラスは、ワシに太陽まで飛んで行ってそのかけらを持ち帰ってほしいと頼んだ。ワシは承諾し、身を焦がしながらも火を持ち帰り、大地の様々な所に火を灯した。それが、生きとし生けるものの魂となった」

 その他のバリエーションとして、人々が暗闇の中で何も持たず暮らしているのを不憫に思ったワタリガラスが、「二枚貝の暗闇の中から誘い出す・神が隠した太陽を神の娘の子供としてカラス自身が娘に受胎し、神の孫となって神に頼んで太陽を開放する・天上界(空の家という表現)へ変装して忍び込み星と月と日を盗み出し、人々に開放する」といった各話に、「人々に暮らしや家を与える、作り方などを教える」といったものが付加される形で創世の神話がなっているとのこと。これもまた存分に良い役割です。


●太陽との関係の深さに注目…世界中で良い逸話が多いのはなぜ?

 Wikipediaでは「知能が高い面が狡猾な印象を与えたり、食性の一面である腐肉食や黒い羽毛が死を連想させることから、様々な物語における悪魔や魔女の使い(使い魔)や化身のように、悪や不吉の象徴として描かれることが多い」とありました。ただ、神話・伝承に限って言えば、ほとんど悪者になっていませんよね。

 主に悪者になったのは、これらに比べるともっと後の時期の物語が多いのではないかと想像します。さらに勝手な想像を膨らませると、上記で最も悪い役のギリシャ神話が、世界に与える影響が強かったというのもあるかもしれません。

 このように主に良い役割になったのは、いくつかの説があるようです。

<太陽に関する説>

 朝日や夕日など太陽に向かってるように見えるカラスが飛ぶ姿(近年では太陽の位置と体内時計で帰巣する姿であるという研究がある)を目にした当時の人々が、その性質と太陽と結びつけ、神聖視されたという説。

 「カラスが鳴くから帰りましょ」って歌もありましたね。世界各地の伝承を見ても、太陽との結びつきの強さは、尋常じゃありません。

<鳥葬に関する説>

 古代には鳥葬の風習がかつてあった地域も世界には存在し、猛禽類やカラスなど肉食性の鳥類が天国へ魂を運ぶ、死の穢(けが)れを祓(はら)ってくれる、あるいは神の御使いであるなどの理由で神聖視されたという説。


●カラスは悪くないのに…人間の都合で悪者にされてしまったカラス

 現在は主に嫌われ者の代名詞であるカラス。ただ、中国の10個の太陽の話で射落とされた9羽が象徴的なように、人間の勝手な都合で悪役にされてしまった感がありますね。

 とはいえ、カラスが嫌いな人がいること自体は仕方がないこと。私自身はほとんど嫌いな動物がいなくてカラスにも悪い印象がないんですけど、虫では憎らしいと思うのがいくつもいますし、こればっかりはどうしようもないものです。

 なお、今回の話は、カラスとフクロウ、不吉な鳥はどっち?のシリーズであり、フクロウについては今は縁起物のフクロウも、昔は不吉な鳥だったというのもやっています。ここらへんの現在とのイメージの違いはおもしろいですね。


【本文中でリンクした投稿】
  ■江戸時代には白いカラスがたくさん?でも「城を枯らす」ので撃ち殺された?
  ■カラスとフクロウ、不吉な鳥はどっち?  ■今は縁起物のフクロウも、昔は不吉な鳥だった
  ■旧約聖書のノアの箱舟

【関連投稿】
  ■吸血鬼は血を吸うとは限らない
  ■吉祥天、黒闇天姉妹の家族
  ■雑学・歴史についての投稿まとめ

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