語源の話をするサイトというのは先達が既に多くいて、今さらどうかなと思うのですが、とりあえず、6つくらい書いて反応を見てみようかと思います。
第1回は警察・泥棒関係の話。
●「やばい」の語源
まず、一時の流行ではなく、定着した感のある「やばい」。
OKWaveにはこうあります。
田井信之氏という方の本『日本語の語源』(角川書店)によれば、やばいの語源は「たいそう危険である」の「イヤアブナイ」だとしています。 早口で言ってみればイは聞こえなくなり、「ヤアブ」は「ヤバ」になります。そこで「ヤバ」という隠語が出来、そこから「やばい」になったと書かれています。
他には、60年代の不良言葉の中に「危ない」と言う意味で『あやぶい』と言う言葉があり、それから「あ」が省略され、次第に「やばい」と言う言葉になったと言う説もあるそうです。 |
同じ方は俗説にも触れています。
語源俗解としては、次のような説がまことしやかに言われています。 語源俗解とは、いかにもそのように思えるけれど、なんの根拠もなく、いかにもありそうな説のことです。
・「夜這」が「やばい」の語源である。
・困難に直面した時、欧米人は「oh my god!」と、神の名前GODを嘆くのですが、日本人はYHWH(やべー)と、神の名YHWHを唱えて嘆く。 |
「夜這」は「よばい」、「YHVH, YHWH」は日本では普通「ヤハウェ」として知られますが、面白いですね。
と、このままだとなぜ「警察・泥棒関係」なのかわからないので
語源・思いつくままに(日本語編)PART3からも。
危ない。不都合な。もと、てきや・盗人などが官憲の追求で身の危険を予測するとき用いた。ヤバの形容詞化したもの。ヤバは形容動詞で、あぶないさま。ヤバナ事のように用いた。 (堀井令以知編「語源大辞典」東京堂出版) |
「やばい」は意味の変化もおもしろいのですが、好都合なことに最初の引用元でそちらも触れらています。
・70年代 「不都合・危険」と言う意味として使用。
・80年代 「センスが悪くてみんなに馬鹿にされる格好悪さ」的な意味でヤバイが使用されるようになった。
・90年代 「常識的な尺度を超えるぐらいに格好いい、凄い」と言う意味で「ヤバイ」が使われるようになった。 |
「やばい」は江戸時代からの意外に歴史のある言葉のようですが、まるっきり意味が逆転してしまいました。その話をしだすとまた長いのでしませんが、意味の逆転というパターンは意外に多いです。
●「パクる」の語源
日本語俗語辞書によると、「縛」からきたとする説、ドイツ語で包む・掴む(とっ捕まえる)という意味の「packen(パッケン)」からきたとする説があるものの、真説・俗説については不明だそうです。
この「パクる」は「犯人を捕まえること」と「物やアイデアを盗むこと」の二つの意味があり、場所によっては前者から後者に意味が広がったとしています。
しかし、先のページによると、「一般的にも広く浸透したのは1970年代末以降」だが、どちらの意味でも「明治時代には隠語として不良を中心に一部の若者の間で使われている」んだそうです。
こちらも意外に歴史の長い言葉でした。
●「デカ」の語源
「デカ」のスタート地点は刑事さんの服装です。
大辞林によると、「(1)和服の角形の袖。また、角形の袖の外套。(2)洋服に対して、和服のこと」という意味の「角袖(かくそで)」の3番目の意味として、「角袖巡査のこと」とあります。
そして、「でか」には"明治時代、刑事が角袖を着ていたので、「かくそで」を転倒して略した語"とあります。
ここには載っていこともあったので、
Wikipediaの記述を合わせると、次のようになります。
(1) 角袖(かくそで)
(2) 「そでかく」に変化
(3) 前後を省略して「でか」
Wikipediaにも「~とも(言われる)」の形でかろうじてあったのですが、私はこの(2)が「そでかく」ではなく、「くそでか」に変化したと聞いていました。
「クソ刑事」みたいでおもしろいなぁと思っていたのですが、どうやら最有力ではなかったようで、今日は残念な事実を知ってしまいました。
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