武田邦彦中部大教授のめちゃくちゃな「タバコと肺がんはほぼ無関係」宣言と
武田邦彦中部大教授の青酸カリとセシウムの話に関してですけど、前のところで書いたとおり、私は原発・東電・政府などを擁護しているわけではありません。(
とある原発推進派のデタラメ、
送電分離などはもっと議論されなくてはいけない、
年金積立金よりマニフェスト関連予算を使うべきなどを参照)
Wikipediaの致死量のページによると、シアン化カリウム(青酸カリ)の半数致死量は3~7mg/kgであるとされています。
このkgというのは体重であり、致死量は体重によって変わるため、こういった表し方をしているものと思われます。
一般に言われている青酸カリの半数致死量200mgを、この3~7mg/kgによって逆算すると、
体重 = 200mg ÷ 3~7mg/kg(体重) ≒ 29~67 kg(体重)
となり、妥当なところのように感じます。
Wikipediaの表には青酸カリ以外のものも含まれており、その中にはニコチンもあります。
ニコチンの半数致死量は1~7mg/kgであり、まさに3~7mg/kgの青酸カリの半数致死量と同程度です。
これを前回の武田教授の「健康を害しますから出来るだけ捨ててもらいたい。畑に青酸カリがまかれた(ようなもの)」に当てはめれば、「タバコは青酸カリを入れた(ようなもの)」です。
では、この考え方によって「タバコは健康を害しますから出来るだけ捨ててもらいたい」となるでしょうか?
実際には
武田邦彦中部大教授のめちゃくちゃな「タバコと肺がんはほぼ無関係」宣言で書いたように、武田教授は何とかしてタバコはそれほど身体に悪くないのだと言おうとして、無理やりな論法でもってタバコを弁護をしています。
何だかおかしいような気もしますが、私は「タバコも捨てたら」とは言いません。そもそも「畑に青酸カリ」にまで至った論法がおかしいわけで、タバコもまた同じく青酸カリのようなものではありません。
当たり前のことですが、タバコに入っているニコチンはすべて体内に取り込まれるわけではありませんし、体内に取り込まれるニコチンが半数致死量下限にまでいたることは現実には難しいことです。(本当は半数死ぬところまで行っちゃまずいので、ももっと限度を下げないといけませんけど)
ニコチン依存症によると、「紙巻きタバコ1本の喫煙によって吸収させるニコチン量は指定された方法で測定された数値を商品パッケージに記載で、(実際の摂取量と異なるが)0.1mgから2mgである」と書かれています。
数字を見るとドキッとしますが、これは体重を換算していませんので計算する必要があります。
仮に体重30kgの人、半数致死量1mg/kg(体重) で考えてみると、
体重30kgの人の半数致死量となるニコチン量 = 体重 × 半数致死量 = 30 kg(体重) × 1 mg/kg(体重) = 30 mg
となり、タバコ1本の摂取量2mgで考えると、
体重30kgの人の半数致死量となるタバコの本数 = 体重30kgの人の半数致死量となるニコチン量 ÷ タバコ1本の摂取量 = 30 mg ÷ 2mg/本 = 15本
となります。
あれ?あり得そうな値になってしまいました。(計算間違ったでしょうか?)
続けて15本でもおそらく非現実的で、15本まとめて吸うなどなら、やはり無茶と言って良いかもしれませんが、半数致死量ですからその前でも死ねます。
これらは全部厳しい方の値を選んだため、もしくは「(実際の摂取量と異なるが)0.1mgから2mgである」が相当現実とはかけ離れた数字だったためということでしょうか?
実際にはタバコを吸ってニコチンで亡くなっている人はそれほどいないでしょうし、下記のような記述もありましたので、「相当現実とはかけ離れた数字」という理解が適当でしょうか?(体重の軽い子供などは本当に死ぬのかもしれませんので、念のため気をつけてください)
ニコチン摂取量はタバコ煙の肺への吸引の強さ・回数などの喫煙方法や本数にも関係しますので、ニコチン表示量が多いから摂取量が多いとは限りません。(中略)
タバコに記載されているニコチン表示量はタバコ1本あたりの含有量ではなく収量です。ニコチン収量は紙巻タバコ1本当たりの人工喫煙装置を用いて発生させた煙の中に含まれているニコチンの量のことです。国際的基準では1分間に1服2秒間で35mLの吸煙量とされ、日本では吸殻の長さが3cmになるまでと決められています。従って、喫煙方法により収量(ニコチン表示量)と実際のニコチン摂取量は異なります
ニコチネルTTSより
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パッケージの表示(ニコチン含有量)は信頼できる?
パッケージの表示は、機械に一定の条件で模倣的に吸わせて求められた数値。 機械と人間の吸い方は異なるので、実際に摂取しているニコチンの量と含まれているニコチンの量にはかなりの違いがある。 実際、パッケージ表示の10~100倍のニコチンがタバコの中に含有されている。 なので、根元まで吸ったりすることで劇的にニコチン摂取量が変化する。
根元まで吸わなければよいか?
当然吸わない方が良い。 点か直後の吸い始め部分と比べるとタール、ニコチンの摂取量は約二倍の差がある。
間違った喫煙・禁煙の知識 nosumoより、こちらはむしろ心配になる書き方 |
では、タバコ1本の摂取量0.1mgと、低い方の値を使って改めて考えると、
体重30kgの人の半数致死量となるタバコの本数 = 体重30kgの人の半数致死量となるニコチン量 ÷ タバコ1本の摂取量 = 30 mg ÷ 0.1mg/本 = 300本
となります。これは明らかにあり得ない本数です。
タバコの場合は子どもや老人の誤食という事故はありますが、基本的には食べるものではありません。
そういった危険性があるという点は指摘されるかもしれませんが、現実的には吸う場合を考えるのでその数値は致死量にいたるとは思えず(計算結果は怪しかったですけど)、半数致死量だけ見て青酸カリといっしょだと言うのには無茶があります。
Wikipediaの半数致死量では、ダイオキシンが0.0006~0.002mg/kgという数値も載っており、こちらは青酸カリと3桁から4桁違う値でその毒性はまさにケタ違いです。(間違いだと既に指摘されていますが、武田教授の言うセシウムの主張は青酸カリの約2000倍ですから、ダイオキシンはセシウムと同じかそれ以上の毒性です。ただ、比較自体できないという話が出ていますのでご注意を)
そして、
オールアバウトにある汚染度の高い魚の表では、ダイオキシン含有量が4.0~10.1 pg(ピコグラム)/g(魚)(=ng/kg(魚))というわけで、魚からダイオキシンはしっかり検出されています。
武田教授の論法なら魚もまた青酸カリを含んだようなものということになりそうなのですが、それは置いておいて、ピコグラムというのは1兆分の1グラムですから、非常に小さい単位です。何度も書きますけど、実際に身体に取り込む量を考えないといけません。
(オールアバウトに出ているうちの最も汚染度の高い魚を、体重50キログラムの大人が毎日20グラム(刺し身で2切れ程度)を生涯食べ続けると基準値オーバーですから、まだ有り得そうな値ではあります。ただし、これは生涯での基準値であって、半数致死量でもありません。対策は「バランス良く食べましょうね」とのこと。魚全体の平均だと0.748pg/g(魚)。脂っぽいマグロなどが、特にダイオキシンが多いようです)
(追記:たばこにも放射性物質入っていました。
たばこに含まれる放射性物質ポロニウム210 ~危険性の指摘および反論~)
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