2009/5/24:
コンビニのロイヤリティの計算式
コンビニ本部は1個でも売れれば儲かる一方、お店側は…?
コンビニ店が廃棄せずに値引きして売った場合の計算例
そもそもロイヤリティの計算式がコンビニ本部に有利すぎ
●コンビニのロイヤリティの計算式
2009/5/24:セブンイレブンの「見切り販売」について検索していて、
【コピペ】コンビニ ロイヤルティ計算・ロスチャージ問題(【時事とコピペ】)というものを見つけました。
ロイヤルティとは、商標権などの使用料で他にロイヤリティ、ロイヤルティー、ローヤリティー、ロイヤリティーなどの表記があります。「廃棄代」については不明ですけど、ここの計算式に倣って値引き販売のロイヤルティ計算をやってみたいと思います。
条件:
お弁当 仕入れ値 300円 定価 500円 10個
コンビニ本部に支払うロイヤルティ 40%(売上総利益にかかる)
計算式:
最終的な利益=売上総利益-売れ残りの仕入れ値-ロイヤルティ
売上総利益=販売個数×定価-販売個数×仕入れ値
売れ残りの仕入れ値=(10-販売個数)×仕入れ値
ロイヤルティ=売上総利益×0.4(40%)
●コンビニ本部は1個でも売れれば儲かる一方、お店側は…?
まず、値引きをしていない場合。ロイヤルティがコンビニ本部の利益なのですけど、1個でも売れれば利益が出るようになっています。本当は、弁当をコンビニが仕入れる時点でも利益が出ているでしょうけどね。
一方、コンビニ店側が利益を出すためのハードルは非常に高いです。上記の計算の基づくと、10個仕入れたお弁当を8個以上売らないと利益が出ないということになっています。実際には、これに加えて「廃棄代」がかかるので、もっと利益が出づらいんですけど…。
販売個数 (個) | 売り上げ (円) 1個500円 | 売上原価 (円) 1個300円 | 売上総利益 (円) 1個500円 | 売れ残りの仕入れ値 (円) 1個300円 | ロイヤルティ (円) 40% | 最終的な 利益 |
0 | 0 | 0 | 0 | 3000 | 0 | -3000 |
1 | 500 | 300 | 200 | 2700 | 80 | -2580 |
2 | 1000 | 600 | 400 | 2400 | 160 | -2160 |
3 | 1500 | 900 | 600 | 2100 | 240 | -1740 |
4 | 2000 | 1200 | 800 | 1800 | 320 | -1320 |
5 | 2500 | 1500 | 1000 | 1500 | 400 | -900 |
6 | 3000 | 1800 | 1200 | 1200 | 480 | -480 |
7 | 3500 | 2100 | 1400 | 900 | 560 | -60 |
8 | 4000 | 2400 | 1600 | 600 | 640 | 360 |
9 | 4500 | 2700 | 1800 | 300 | 720 | 780 |
10 | 5000 | 3000 | 2000 | 0 | 800 | 1200 |
●コンビニ店が廃棄せずに値引きして売った場合の計算例
次にコンビニ店がやりたいのに、コンビニ本部によって制限されている「値引き」をして売ったときのことを考えます。
これは計算例がないので私が勝手に仮定しますが、値引きで売れた弁当が3個で、定価で売れた弁当が2個減ったものとします。値引きすると単純に売れるのではなくて、値引き前の定価の弁当の売れ行きが減ると仮定しました。割と控えめな計算だと思います。
販売個数 (個) 定価 | 販売個数 (個) 値引き | 売り上げ (円) 1個500円 | 売上原価 (円) 1個300円 | 売上総利益 (円) 1個500円 | 売れ残りの仕入れ値 (円) 1個300円 | ロイヤルティ (円) 40% | 最終的な 利益 |
0 | 3 | 1050 | 900 | 150 | 2100 | 60 | -2010 |
1 | 3 | 1550 | 1200 | 350 | 1800 | 140 | -1590 |
2 | 3 | 2050 | 1500 | 550 | 1500 | 220 | -1170 |
3 | 3 | 2550 | 1800 | 750 | 1200 | 300 | -750 |
4 | 3 | 3050 | 2100 | 950 | 900 | 380 | -330 |
5 | 3 | 3550 | 2400 | 1150 | 600 | 460 | 90 |
6 | 3 | 4050 | 2700 | 1350 | 300 | 540 | 510 |
7 | 3 | 4550 | 3000 | 1550 | 0 | 620 | 930 |
定価で売れる弁当が2個減ると仮定したのでややこしくなっちゃいましたが、定価7個、値引き3個というのが、値引きなしで9個と対応しています。この場合、売上総利益は1800円から1550円に低下しますが、売れ残りがなくなるので最終的な利益は780円から930円に改善するのです。
最終的な利益=売上総利益-売れ残りの仕入れ値-ロイヤルティ
{値引きなしで販売}最終的な利益=1800円-300円-720円=780円
{値引きありで販売}最終的な利益=1550円-0円-620円=930円
値引きなし・値引きありを表で対応させると、以下のような感じ。お店的には改善するので良いように思えますが、本部はロイヤルティが減少するのでこれを認めていないと考えられます。
値引きなし | 値引きあり |
販売個数 (個) | 売上総利益 (円) 1個500円 | 最終的な 利益 | 販売個数 (個) 定価 | 販売個数 (個) 値引き | 売上総利益 (円) 1個500円 | 最終的な 利益 |
2 | 400 | -2160 | 0 | 3 | 150 | -2010 |
3 | 600 | -1740 | 1 | 3 | 350 | -1590 |
4 | 800 | -1320 | 2 | 3 | 550 | -1170 |
5 | 1000 | -900 | 3 | 3 | 750 | -750 |
6 | 1200 | -480 | 4 | 3 | 950 | -330 |
7 | 1400 | -60 | 5 | 3 | 1150 | 90 |
8 | 1600 | 360 | 6 | 3 | 1350 | 510 |
9 | 1800 | 780 | 7 | 3 | 1550 | 930 |
●そもそもロイヤリティの計算式がコンビニ本部に有利すぎ
先にも書いたように、値引きをどこまでできるのかとか、定価で売れる個数や値引きで売れる個数だとかは、私の仮定ですので妥当性は不明です。ただ、店主が値引きをして売ってみたいと考える理由は、これで十分想像できるでしょう。うまくいくかどうかはともかく、やってみることすらできないというのは異常です。
あと、計算の引用元のサイトではそもそもロイヤリティは、上の計算式でいう「売上総利益」でなく「売上総利益-売れ残りの仕入れ値」(純利益)にロイヤリティをかけるべきではないか、といったことが書かれています。
現在の計算式ですと、お店で利益が出ていなかった場合でも、ロイヤリティをさらに奪っていくということになります。税金で言うと、赤字企業からさらに税金を奪っていくようなものですからね。かなり変です。
コンビニ本部がこのおかしな慣行をやめないのであれば、せめて値引きは認めるべきでしょう。本来、値引きをするかどうかは店主の自由であり、それにより利益が下がってしまったとしても自由なのです。
そうじゃなければ、コンビニ本部は店主らを雇って社員扱いして、損失はコンビニ本部で負担すべきとも言えますね。意思決定は本部でするのに、それで生じた損失は「独立した経営者」ということになっている店主がかぶる…といった感じで、コンビニ本部は自分たちに都合の良い解釈で、矛盾した行いをしています。
●セブン―イレブンに排除命令、弁当など値引き制限で…公取委
2009/7/1:別投稿で書いていたのを移動。"セブン―イレブンに排除命令、弁当など値引き制限で…公取委"(読売新聞)によると、セブン―イレブン・ジャパンが加盟店に対し、販売期限の近づいた弁当などを値引きする「見切り販売」を制限したのは、独占禁止法で禁じられている優越的地位の乱用に当たるとして、公正取引委員会は22日、同社に同法違反で排除措置命令を出しました。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090622-OYT1T00756.htm
井阪隆一社長は、記者会見を開き、「価格決定権は加盟店にあった」として本部は優越的地位にはなかったと主張。見切り販売については「ブランドイメージが棄損される上、スーパーなどとの価格競争に巻き込まれ、加盟店の利益にならない」と述べました。
加盟店側を批判する意見もありますが、「価格決定権は加盟店にあった」にも関わらずさせなかったというところが問題なのです。
それともう1つ「売り切る努力をすべき」との意見もありますが、それは根性論・精神論であり、どうしても売り切れないところもあるはずです。その場合は仕入れ個数を減らせば良いのですが、本部側としてはたとえ売れなくても仕入れ個数が多ければ多いほど利益が出るので、多めに仕入れさせていたりしていることが疑われます。
(関連:
コンビニ弁当の廃棄が多い理由 本部が多く注文させるから過剰に)
いずれにしろ余って損するのは加盟店側だけで、本部側にリスクはないしくみというのが一番問題。このしくみなら、価格決定や仕入れ個数の決定権がきちんと加盟店側にないといけないでしょう。本来一致していなければいけないリスクがある人と意思決定者が異なっているというのは、たいへんおかしなことなのです。
【本文中でリンクした投稿】
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