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思わず仲間のイモムシを共食いするほど不味い味の物質を出す植物


 "植物はイモムシを共食いさせて身を守る、初の発見"というタイトルの記事がありました。これを読んでみたら、植物が自分の味をひどく悪くして、あまりのまずさにイモムシが思わず仲間のイモムシの方を食べてしまうといった説明がされていました。意味わからん!って感じなのですが、マジで研究者がそういう説明をしているのです。


●思わず仲間のイモムシを共食いするほど不味い味の物質を出す植物

 私が読んだという記事は、植物はイモムシを共食いさせて身を守る、初の発見 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト(
2017.07.13)というもの。オンラインジャーナル「Nature Ecology and Evolution」に発表された研究が紹介されています。

 ここで出てくる植物というのは普段からまずいわけではなく、イモムシに食べられそうになったときに、"防御反応として自分の味をひどく悪くする物質を発することがある"と説明されていました。

 ここまでは「うん、なるほど」という話だったのですが、何じゃそりゃ?というのがこの後に続く「イモムシは、あまりのまずさに思わず仲間のイモムシを食べてしまう」という一文です。

 米ウィスコンシン大学マディソン校の動物学研究者で、今回の論文を執筆したジョン・オロックさんは以下のようにおっしゃっていました。マジなんでしょうか?

「その防御効果は極めて高く、イモムシは葉を食べることにストレスを感じるようになり、こんなものを食べるよりは仲間を食べたほうがましだと思ってしまうのです


●研究者「おいしくない植物を食うくらいなら、当然仲間を食べるでしょ」

 「おいしくない植物を食べ続けるか、それとも仲間を食べるか、答えは明らかでしょう」ともオロックさんは言っていましたが、ちょっと理解しがたいです。ただ、事実として、"それまで食べていた葉の味が急に変わると、イモムシは仲間のイモムシを食べ始める"のだそうです。

 また、共食い自体は自然界だと、わりとスタンダードな方法ではあります。うちでは過去に、多子問題を共食いで解決する動物たちなど、何度か取り上げている話です。研究チームのひとりで博士研究員のブライアン・コノリーさんは、費用対効果の問題だとしていました。共食いってのは優れた方法なんですね。

「イモムシにとっての費用対効果分析です。植物の質が低下してしまった結果、代謝を続け、生き延びるために、できるだけ質の高い食べ物を周囲に探さなければならなくなるのです」

 ただし、共食いが優れた方法であることは、今回の研究の説明が不十分な可能性も意味します。他に食べられるものがあればイモムシは共食いする前にそれを食べるのかについて、今研究を進めているのですが、そういう場合でも結局共食いを優先してしまっているとのこと。

 他にも食べ物があるのになぜ簡単に共食いに走ってしまうのか、その理由ははっきりしないとしていました。まずい植物を食べてしまった時点で、イモムシの中の何かがおかしくなっているのかもしれません。


●他の植物が攻撃されていることを把握している植物たち

 今回出てきた自身の化学成分を変化させ、イモムシがそれを食べた時にまずいと感じるようになる物質というのは、ジャスモン酸メチルというものでした。このジャスモン酸メチルは、損傷を与えられるなど植物が何らかのストレスを受けたときに発散する物質なのだそうです。

 研究チームが使ったのは、珍しい植物ではなく、トマトの木。この防御反応は、ほかの様々な植物でも記録されているとのこと。ジャスモン酸メチル - Wikipediaでは、"1962年に Demoleらがジャスミンの花から得られるジャスミン油から香気成分として単離した"という説明がありました。

 また、ナショジオによると、近くにある他の植物が攻撃されているのを感知する能力があることを示唆する研究すらあるとのこと。Wikipediaにも、"傷害を受けていない植物は気孔あるいは拡散によって空気中のMeJA(ジャスモン酸メチル)を吸収する"とあります。

 植物が他の植物の動向を把握しているってのは予想外の話ですね。でも、「ほとんどの植物は、周囲の環境から得られる情報を利用しているとよく言われています」とオロックさんは言っていました。一般的なようです。

 植物でもまだまだ驚くような話がたくさんありそうだと感じた話でした。


【本文中でリンクした投稿】
  ■多子問題を共食いで解決する動物たち

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