2011/10/25:
●早期手術が有効だったすい臓がんのジョブズ、すぐには手術せず
●スピリチュアルに頼ったジョブズ、マクロバイオティックも試す
●理由は「スピリチュアルにハマっていたから」ではなかった
●すい臓がんは亡くなって当然、むしろ代替療法によって長生きと反論
2019/10/27:
●マスコミが代替療法の有効性を隠蔽して叩いてる!アメリカでは有名
●軽いすい臓がんだと診断されたのに一気に進行することはある?
●早期手術が有効だったすい臓がんのジョブズ、すぐには手術せず
2011/10/25:
ジョブズは早期手術で命が助かったのに拒否した。なぜ?(動画あり) 2011.10.21 ギズモード・ジャパンによると、ハーバード大医学部研究員のラムジー・アムリさんは、以下のような疑問を投げかけていたそうです。
「ジョブズはすい臓がんの中でも完治可能な神経内分泌腫瘍(NET)だった。早期手術で大体の人は助かるのに何故9ヶ月も受けなかったんだろう?」
これに関連する話が、ジョブズさんの自伝本著者であるウォルター・アイザクソン(アイザックソン)さんのインタビュー(CBS放送)で出ていたそうです。
●スピリチュアルに頼ったジョブズ、マクロバイオティックも試す
アイザクソンさんによると、診断の結果、すい臓がん(膵臓がん)の5%に相当する、進行の緩やかなタイプのもので、治せる、と当時みんな大喜びしました。しかし、スティーブ・ジョブズさんはすぐには手術を受けなかったといいます。
食餌療法で治そうとしたり、スピリチュアリストに会いに行ったり、マクロバイオティックに治す方法をあれこれ試したりするばかりで手術はどうしても受けなかったそうです。
ここで出てきたスピリチュアリストというのは、スピリチュアリズムをやっている人のことを言いますが、まず、スピリチュアリズムがわかりませんよね。よく使われるのは、「スピリチュアル」という言葉で、「精神的な。霊的な」といった意味。そして、スピリチュアリズムというのは、これらを重視する主義のことであり、スピリチュアリストというのは、その実践者のことを指します。
●理由は「スピリチュアルにハマっていたから」ではなかった
ということで、手術を受けなかったのは「スピリチュアルにハマっていたから」という説明で良さそうなのですけど、インタビューアーはなおも「なぜすぐ手術を受けないんです?」と聞いていました。
アイザクソンさんも同じことを聞いたことがあるそうで、「自分の体を切開されたくないんだ。そんな風に侵害されたくはなかった」と言っていたとのこと。この重い話はむしろよく話していた内容であり、「彼の方が話したがっていた。どれだけそのことを後悔してるか。....もっと早く手術を受けるべきだった、そう彼も思ってるようでした」といいます。
奥さんは賛同していたわけではなく、彼の気持ちに理解を示しながらも手術するように説得。他の人からも言われましたが、結局、手術を受けたのは9ヶ月後。そのときには、すい臓の周りにまで転移が進んでいました。
インタビューアーは「なんだってあんな頭のいい男がこんなバカなことを...」という感想を漏らしていました。でも、スピリチュアルにハマっちゃう人って、結構、一見頭が良さそうに見える人も出いるんですよね、不思議と。
アイザクソンさんの方は、「彼には、自分が何かを無視すれば、自分が何かの存在を望まなければ、呪術思考も持てると思ってた節がある」という言い方をしています。そんな馬鹿な?と思うかもしれませんが、ジョブズさんは直感を大事にするタイプ。実際、「それでそれまではうまく事が回ってきた...」とされていました。
●すい臓がんは亡くなって当然、むしろ代替療法によって長生きと反論
ただ、記事に対する下部のコメントで以下のようなものがありました。
「早期手術で助かったのに」というのは著しく正確さを欠いているので、訂正していただきたいと思います。
また、ここで語られている内容は大変に偏った視点であり、客観性を欠けるもので、大変な危機感を感じます。
ガンに関しては、メディアの思慮に欠ける無責任な報道が、多くの場合は不安などで大変に不安定な精神状態であるガン患者の方々に、希望的にも悲観的にも強力に作用することを強く自覚していただきたい。
精神的なことで病状が良くも悪くもなる事は既に現代医学でも証明されていることです。
(中略)すい臓がんは完治が非常に難しいことで知られていますし、5%にあたる進行の遅いガンでありながら、たったの9ヶ月で、早期だったものが致命的になるまで悪化したというのは無理があります。
それほど進行していたにも関わらず、最初の手術の後、7年余りも生存した事実については肯定的な事は何も述べられていませんが、食事療法やスピリチュアルな代替療法は続けていた事が推測されます。
手術を拒否して食事療法などをしていたことを、「such a stupid thing」と言っていることからも、この報道全体に、正確な裏付け無しに、食事療法などの代替療法を一方的に否定する強固な姿勢がうかがえます。
アメリカのメディアは、過去20年程、代替療法を潰そうとしてきましたが、現代医学の限界と代替療法の効果の事実の前に、現在ではガン患者の実に半数以上が代替療法を選択しているという報告があります。
多くの代替療法は必要な手術は受けるべきとしていて否定はしていませんが、手術していれば助かったのに、という短絡的な結論を提示することはやめていただきたい。
ただ、コメントした方は誤読していますね。インタビューでは、「すい臓がんは軽いものだ」とは言っておらず、「すい臓がんの
中では軽いもの」といった言い方です。また、スピリチュアルの有効性などはひとまず別にして、たとえ軽いがんだったとしても、手術をわざわざ遅らせるメリットはないでしょう。
その後、ここらへんの話については、
スティーブ・ジョブズと「Stay foolish」とヒッピー文化でもう少し補足しています。
●マスコミが代替療法の有効性を隠蔽して叩いてる!アメリカでは有名
2019/10/27:コメントでは、<アメリカのメディアは、過去20年程、代替療法を潰そうとしてきましたが、現代医学の限界と代替療法の効果の事実の前に、現在ではガン患者の実に半数以上が代替療法を選択しているという報告があります>という陰謀論があったのですけど、陰謀論になってしまう時点で科学的根拠がない可能性が濃厚です。
代替療法に関する陰謀論は、この投稿の後、
アメリカ人が信じる陰謀論 携帯電話でがん,代替医療を圧力で禁止などでやりました。上記のようなコメントがあることでもわかるように、日本でも信じている人がいるのでしょうが、それほどメジャーなものではないでしょう。アメリカの方が本場で、信者がかなり多い有名な陰謀論だったみたいです。
代替療法メインでも後にいくつか投稿しています。例えば、
代替医療ががん患者を殺す…標準治療の6倍の死亡率だが実態はさらに悪い?といったものがそうでした。この界隈では、
食事療法の代替医療でがんが治った!→嘘で金儲けしていたと判明 ベル・ギブソン氏に有罪判決(「製薬会社が儲けるために画期的な治療法を隠しているって本当?」にタイトル変更)というひどい事件も起きており、お金儲けに利用されているようです。
●軽いすい臓がんだと診断されたのに一気に進行することはある?
あと、膵臓がんのデータ的な話を補足。最新データのため、当時と分類や生存率が異なる可能性がありますけど、
すい臓がん|症状や検査、治療、ステージなど【がん治療.com】によると、以下の通り。上のステージほど、がんの進行が少ないものです。
病期(ステージ) 症例数 5年生存率
Ⅰ期 400 40.5%
Ⅱ期 1,329 18.2%
Ⅲ期 1,223 5.9%
Ⅳ期 3,222 1.3%
全病期 6,370 9.1%
(全国がん(成人病)センター協議会の生存率共同調査(2019年12月現在)による ※対象データは、診断年:2005年~2009年の最新5年間とした)
これによると、最も軽いⅠ期であっても5年生存率は40%しかなく、半分以上の方が亡くなっていました。なので、すい臓がんはがんの進行があまりにも早すぎるがために、最も軽いステージであっても手術を遅らせるリスクは他のがんよりもかなり高いのではないかと想像されます。
100%手術で助かるわけではないのでそういう大げさな言い方もまたまずいですし、手術したくないという気持ちもわかるのですけど、すい臓がんの進行の早さは頭に入れておいた方が良さそうです。
【本文中でリンクした投稿】
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スティーブ・ジョブズと「Stay foolish」とヒッピー文化 ■
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