意志の力・精神論などの話をまとめ。<目標達成と無関係…意志の力・精神論はないと科学的に証明済み?>、<あなたの意志はあたなが選んだものではないという衝撃の事実>、<精神論より科学的根拠を!という書籍の根拠が小説ってどうなの?>などをまとめています。
2023/02/20追記:
●精神論より科学的根拠を!という書籍の根拠が小説ってどうなの?
2023/10/21追記:
●映画化やゲーム化も…根拠とされた「エンダーのゲーム」ってどんな話? 【NEW】
●目標達成と無関係…意志の力・精神論はないと科学的に証明済み?
2020/01/26:ある目標を達成できなかったとき、最大原因としてよく挙げられるのは「意志力の不足」だといいます。ただ、アメリカの組織心理学者ベンジャミン・ハーディさんは、「意志の強さは目標達成と無関係」だと話していたといいます。精神論も目標達成と関係がないとも考えられるかもしれません。
また、依存症の専門家アーノルド・M・ウォシュトン博士は、「依存症患者には意志力が必要だと考える人が多いが、それは真実にはほど遠い」と述べているとのこと。依存症の克服と意志は無関係であるようです。これは、薬物依存に関わる医師も以前言っていたのを聞いたことがあります。
さらに、記事では、肥満も意志の問題ではないとされていました。世界的な肥満の問題は、「遺伝」「性格」「意志の弱さ」「悪習慣」などの説明がつけられているが、これらは全部間違い。すべて、個人を取り巻く「環境」や「状況」といった外的要素が引き起こしていると、今回は説明されています。
(「新年の目標」が大体達成されない科学的根拠 科学が「意志の力」の存在を否定するわけ 東洋経済オンライン / 2020年1月7日 10時0分 ベンジャミン・ハーディ:組織心理学者、著作家、起業家より)
https://news.infoseek.co.jp/article/toyokeizai_20200107_321252/
●あなたの意志はあたなが選んだものではないという衝撃の事実
そもそも人間には、「自分の人生は自分でコントロールしている」と感じたい本能が備わっているとされるそうです。「人間は自分の人生を自分でコントロールしている」ではありませんよ。「したいと思っている」というだけだというのです。<私たちは「自分のパーソナリティーは、自分が選んだもの」と思い込む>とも書かれていましたが、これもまた「しかし、それは事実ではない」という意味でした。
人の思考や行動の土台となる世界観や信念、価値観は、その人の内側から湧いてくるものではなく、「外からやってきた」ものだといいます。これがおそらく先程書かれていた「外的要素」なのでしょう。人の内的環境は、「暮らしている文化的背景」によって形成されるとも書かれていました。
人間には高い順応性があると知られており、たとえ異常な状況でも慣れてしまうといいます。最近の心理学の調査では、テレビで下品な内容、暴力などに頻繁に触れていると、多くの人はそうしたものに耐性ができる、つまり、「慣れて」しまうそうです。
●科学が「意志の力」の存在を否定する…という証拠は本当にあるのか?
私は精神論・根性論の強調は悪癖であり、何でもかんでも意志のせいにするのは問題だと思っています。そのために、<科学が「意志の力」の存在を否定するわけ>とタイトルになっていたこの記事に興味を惹かれて読んでみたんですよ。ただ、読んでみると、いまいち納得できない内容ですね。
意志の力を過大評価するのは問題なのですけど、こんな風に全否定までできる…というのは、ちょっと信じられないところがあります。「意志の力」の存在を否定するには、多くの物事において、意志の強い・弱いがほとんど関係していないことを証明する必要があるでしょう。しかし、そういう内容とは思えませんでした。
記事では実験の話が出ているものの、数が少なくて具体的な内容があまり書かれていない上に、「意志の力」の存在を明確に否定するようなピンポイントな実験内容ではありません。もっと良い研究の存在がわかれば追記しますけど、とりあえず、かなり期待はずれな記事でした。
なお、ベンジャミン・ハーディさんは、
FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略
という書籍を出しているとのこと。前述の通り、精神論頼りは問題ですので、それよりは外部環境を利用して自分を変えていく…といった緩やかな方向性なら支持できるんですけど…。
●精神論より科学的根拠を!という書籍の根拠が小説ってどうなの?
2023/02/20追記:『
FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』(ベンジャミン・ハーディ)のアマゾンレビューを見てみることに。まず、最初にあった「意志力に頼って人生がうまく言っていない人が読むべき本」というレビューでは、5点評価でオススメとしつつも「参考文献などの記載は少ない」としていました。
参考文献が少ないとなると、科学的根拠が心配に。結局、私が最初に懸念していた点にやはり問題があるのでは?という話になります。「精神論ではなく科学的根拠ある方法で解決しよう」というスタンスなのに、その肝心の科学的根拠がはっきりしない…というのは困っちゃいますね。
2番目の人も5点評価でしたが、コメントは「なかなか達成できなかったことは、妨げていると思われる環境を変えてみるといいと思います」だけで参考にならず。3番目の人が初めて5点ではなく3点。そして、「期待せず淡々と読めば…」というタイトルで書かれていたこのレビューを見ると、これまた根拠の問題がわかるものでした。
<成功例に驚くべきことに,(引用者注:小説である)「エンダーのゲーム」の主人公の行動が上げられています.「エンダーはこうやって他の生徒から抜きんでた」とか言われても,それSF小説じゃん…….
その小節だけで,この本が「ワンピース,DB(引用者注:おそらく漫画ドラゴンボールのこと)に学べ!」的なレベルにまで格下げされてしまっています.
全体を読んで実感するのは,やはり著者の思想,理論が浅く,薄いことです.しかし,わたしは環境作りが大事なんだな,という刺激は確かに受けました.その意味で3つ星をつけても良いかと思います>
●映画化やゲーム化も…根拠とされた「エンダーのゲーム」ってどんな話?
2023/10/21追記:前回出てきた「エンダーのゲーム」について補足。私は知らなかった小説ですし、たぶん日本ではベンジャミン・ハーディさんの国でほど、知名度の高くない小説だと思われます。古いSF小説ですし、特に若い世代は知らないでしょう。
エンダーのゲーム - Wikipediaでは、以下のような説明。これによると、近年映画化されてたので、私が知らなかっただけで有名だったのかもしれません。
<『エンダーのゲーム』(Ender's Game)は、オースン・スコット・カードのSF小説。(中略)
1985年に長編化され出版。(中略)2008年には、PC、コンシューマ機、携帯ゲーム機向けのゲーム化が発表された。2013年、ギャヴィン・フッド監督により映画化された>
ストーリー
<時は未来。人類は、異星人バガーの二度にわたる太陽系への侵攻を退けた。そして三度目の侵略に備えるため、地球の衛星軌道上にバトル・スクールと呼ばれる施設を設置し、「戦いを終わらせるもの」を養成することに決定した。
(中略)天才的な才能を見込まれ、司令官の最有力候補としてわずか6歳でバトル・スクールに編入させられたエンダーは、世界中から集められた優秀な子供たちの中でも桁違いの成績を残し、成長していく>
【関連投稿】
■
フロイトもユングも非科学的でデタラメ?オカルト・錬金術・曼荼羅など ■
嫌なことを書き出すライティングセラピーって科学的根拠あるの? テストにも効果あり? ■
ルールを守らない人が多い街は犯罪しやすい…ベテラン泥棒が語る ■
不正が多い企業はブラック企業?研究で判明した嘘をつきやすい状況 ■
不正をする人は特別ではない むしろ真面目に見える人ほど…? ■
科学・疑似科学についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|