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「ウォール街抗議デモ」(オキュパイ・ウォールストリート)と「茶会」(ティーパーティー)はそれぞれ左派と右派の運動?


 気になったニュースでザクッと書いたものの後編「分裂国家」の様相を呈してきたアメリカの階級闘争(後編) 「茶会」と「ウォール街抗議デモ」が次期大統領選に与える影響 2011年10月21日(金) 日経ビジネスオンライン(閲覧に登録が要るかもしれません)を読みました。

 前回はある程度見方は分かれるが、「茶会」(ティーパーティー)は右派の活動、「ウォール街抗議デモ」(オキュパイ・ウォールストリート)はそれと対をなす左派の活動だという見方が書かれていました。

 しかし、同日のデモが映す米国民の失望 日経ビジネスオンライン 2011年10月21日(金)(閲覧に登録が要るかもしれません)にはこうありました。

 始まって約1カ月、警察との小競り合いや橋の不法占拠などで逮捕者は出しているが、ニューヨークでは1つの「観光名所」になりつつある。デモや関連イベントをカメラ片手に眺めていく観光客も少なくない。

 これまでに、映画監督のマイケル・ムーア氏やノーベル経済学賞受賞のジョセフ・スティグリッツ教授(米コロンビア大学)など著名人もデモの拠点を訪れたほか、全米自動車労働組合(UAW)など有力組合が支持を表明した。デモの「知名度」が上がるにつれて、反戦を訴える者、特定企業の批判を展開する者、中国の民主化を訴える者など、様々な参加者が加わっている。

 他の日本のマスメディアでも目的の多様化は指摘されていましたし、かなり雑多なものなんじゃないかなぁとも思いました。

 同記事の冒頭には下記のようなもの(ちょっと言葉の意味は理解できなかったのですが)もあり、左派側である民主党のオバマ大統領についても支持されているわけではありません。(まあ、現状に不満なので当然ですが)

「オバマに雇用が増やせるかって?それは無理に決まってる。雇用を増やすのは経済なんだよ。オバマじゃない」

 9月中旬に始まり、なお続く米国のデモ活動「ウォール街を占拠せよ*1」。コネティカット州からニューヨークのデモに参加するため、毎日1時間以上かけて通っているというデービッド・ミチャンスキーさんは、バラク・オバマ政権を一刀両断にこう切り捨てた。

 で、また、しかし、と反転するんですけど、冒頭のスローガンをよくよく見てみると、やはりある程度左派色がありますし、実は記事ではその後にこう続いていて、ある程度の方向性は示されています。
 規模の拡大とともにアピールする内容は多様化しているが、中核はやはり現在の米国経済のあり方に対する異議申し立てだ。それは、拠点となっているズコッティ公園のあちこちで見られる「We are the 99%」という言葉に集約される。意味するのは拡大が指摘される所得格差。スティグリッツ教授も「米国人の1%が国全体の所得の25%を受け取っている」と言う。「We are the 99%」というのは、米国の富を独り占めする1%の富裕層と比べた不公平感をアピールするキーワードだ。

 そして、冒頭紹介した「分裂国家」の様相を呈してきたアメリカの階級闘争(後編)を読むと、実態はどうあれ、政党やメディアなどでは、かなりこのデモを左派のものとみなしている意見が多いようです。

 その前にまず、「茶会」について。

 「茶会」の戦果は、何と言っても、2010年の下院選挙だ。「自分好み」の保守派候補を推薦し、20人余を次々と当選させた。政治を動かしたのだ。

 当選した議員たちは「ティーパーティ議連」として議会でも認知され、共和党の一角を占めている。8月末の債務上限延期法案をめぐっては、党執行部を突き上げ、オバマ政権と安易な妥協をせぬよう目を光らせた。

 背に腹は変えられないオバマ大統領に、「茶会」は大幅な譲歩を強いた。ただし、この成果は「茶会」にとって痛し痒しとなった。高止まりする失業率、長引く不況から一日も早く脱却する手立てを打つべきところ、一般国民から見ると、「茶会」の行動は「無責任なごり押し」に映った。

 ピュウ・リサーチ・センターの世論調査によると、「茶会に好意的でない一般国民」は2010年2月には24%だったのが、2011年8月には43%と急増した。特に大卒以上の米国民の「茶会嫌い」は58%(2月は32%)にまでになった


 「茶会」とは何か。米知識人の間でも意見は分かれている。例えば、保守派の論客、マシュース・コンティネッテ氏はこう指摘する。「これが茶会に属する人間だという唯一固定したものはない。多くの異なるアメリカ人を包含した巨大なテントのようなものだ。あまり分別ない主流逸脱者(fringe)からロン・ポール下院議員のようなリバタリアン、『アメリカンズ・フォア・プロスペリティ』のような反オバマ・グループから宗教的保守主義者まで。共和党支持者だけではなく、今まで積極的に政治に参加してこなかった党派層までと幅広い」


 一方、リベラル派のポール・クルーグマン プリンストン大学教授のように「茶会は草の根運動ではない」と言い切る者もいる。「メディアが『茶会』と呼んでいるグループは、一般大衆の感情や意見を代弁しようと、自然発生的にわき出た組織・団体ではない。『草の根』と言われているが、偽装された草の根運動だ。彼らを後で操り、そそのかしているのは、『フリーダムワークス』のリチャード・アーメイのような保守反動主義者たちだ」

 意見は分かれているものの、やはり保守的な要素が強く見て取れます。ただ、実際には茶会が推薦する民主党の議員もいたはずです。これはアメリカの政党が日本と違って拘束が緩く、違う意見も比較的おおっぴらに言えるし、採決でも反対できるからかもしれません。(日本の政党内の意見も実際にはバラバラなのですが、党議拘束されて方針に反すると罰せられます)

 そして、本日のメイン「ウォール街抗議デモ」に再び話を移します。
 一方、「ウォール街抗議デモ」に集結した若年層による草の根の実態は何か。こちらも「茶会」同様、確たる司令塔はいない。一部労組が「支援」や「連帯」を口でしているが、まだ具体的な動きは見せていない。

 仕掛け人であるラースン氏は、エストニア生まれのカナダ人。大企業による金融資本主義に真っ向から立ち向かってきた「確信犯」だ。若者たちがTwitterやFacebookを駆使して政治を動かした「アラブの春」にヒントを得て、ネット上で呼びかけたそうだ。

 余談だが、仕掛け人のラースン氏は、日本とは少なからぬ縁がある。

 同氏は、第二次大戦終結後、エストニアからドイツに逃れ、一時オーストラリアに定住。その後、60年代に来日して市場調査会社を設立し、多額の収入を得たという。滞日中に知り合った日本人女性と結婚してカナダに移住。日本でつくった資金を元にドキュメンタリー映画を制作する傍ら反資本主義、反消費社会を提唱する非営利雑誌「アドバスターズ」(Adbusters=隔月誌、商業広告を破壊するものの意味)を発刊した。


 「ウォール街抗議デモ」をどう取り上げるか。アメリカの主要メディアは最初戸惑っていた。

 「ニューヨーク・タイムズ」は最初、メトロ面(市内版)で報じていた。ローカルな出来事として終わるのではないかと見ていた節がある。

 真っ先に社説で取り上げたのは、ウォール街のど真ん中に陣取る経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」だった。同紙は、社説に相当する「Review & Outlook」(論評と見解)で「このデモ隊は、ウォール・ストリートか、あるいはほかの何かに反発している、何をやってもうまくいかないカテゴリーに属する若者たちの集合体にすぎない」(A collection of ne'er-do-wells raging against Wall Street, or something)と嫌悪感を露わにした("Not all the Rage: Hard times at class war high." Review & Outlook,The Wall Street Journal,10/4/2011)。つまり「落ちこぼれの若者」が衝動的に騒いでいるだけだ、と見たのだ。

 これに対して中道リベラル派の「ロスアンゼルス・タイムズ」は、「ウォール・ストリート・ジャーナル」の論評と見解を引用しながら、即断を戒めた。「このデモが左翼の台頭を意味するのか、一時的なはやりなのか、もう少し推移を見守る必要がある。かって『茶会』が出現したときも最初はこんな具合ではなかったか。今回のデモは多くの面で『茶会』のミラー・イメージではないのか」

 どちらかと言うと左派と目される「ニューヨーク・タイムズ」が軽い扱いでしたが、右側な「ウォール・ストリート・ジャーナル」、リベラル派の「ロスアンゼルス・タイムズ」の反応はわかりやすいです。


 次に黒人の反応。

 貧困率でも失業率でも、他の人種に比べて厳しい状況下にある黒人たちは「ウォール街抗議デモ」をどう見ているのか。黒人の反応は、賛否両論、真っ二つに割れている。

 キング牧師とともに1965年3月、アラバマ州・セルマ大行進にも加わった公民権運動の闘士であり、オバマ大統領の就任式で祈祷した黒人宗教界の重鎮、ジョセフ・ロウリー師(90)は、「ウォール街抗議デモ」を熱烈に歓迎した。CNNテレビとのインタビューでこう述べている。

 「若者たちの集会・デモの様子を興奮しながら見守っている。金持ちは世界の富をもっと皆と分かち合わないといけない。金持ちの肩ばかり持っている今の共和党の指導者はもっとしっかりしないといけない。かってのアイゼンハワー大統領のような共和党員はもういないのか。貧しい者は自分たちでは何もできない。だから金持ちが行動を起こさねばならない」


 その一方で、共和党大統領候補指名争いで上位に食い込み、健闘している黒人実業家、ハーマン・ケイン氏(元ピザ・チェーンCEO)は、テレビとのインタビューでこう述べている。「この抗議集会に集まっている連中は、被害妄想のやっかみ屋ばかりだ。他人の持っている高級車を欲しがっているだけ。仕事口がないことを大企業のせいにするのは大間違いだ。自分たちの努力が足りないから職にも就けない」

 これも黒人という括りよりは、左右や政党で見た方がずっとわかりやすい反応。

 そして、政党についてはもう少し。

 抗議デモが2週目、3週目に入った段階で、アメリカ政界も敏感に反応した。

 オバマ大統領は、「アメリカ国内に充満している国民の不満の表れ」("White House feels off protest anger," Financial Times, 10/7/2011)と一定の理解を示した。が、それ以上の言及は避けた。


 共和党サイドからは、当然のことながら激しい批判が浴びせられている。

 口火を切ったのは、指名争いでトップ争いを繰り広げているロムニー元マサチューセッツ州知事だ。「今ウォール街で起こっていることは危険な階級闘争(Class Warfare)以外の何物でもない」("Mitt Romney, ’Occupy Wall Street protests dangerous,'", The Raw Story, 10/4/2011)。

 オバマ発言を受けて、カンター下院共和党院内総務は、デモ参加者たちを「暴徒」呼ばわりした。「デモ隊は暴徒(Mobs)だ。オバマ大統領はそいつらを勇気づける発言をしている」

 このようにきれいに反応が分かれています。(筆者がより抜いた可能性もありますけど)


 私はあまり左右で分けてしまうのは問題の本質を見逃すおそれがあるのでお勧めしませんし、最初の方、あるいは中盤の分析で見たようにきれいに統一された運動ではありません。

 ただ、政治家などの反応の分かれ方は見事なものだなぁと感心しました。

(関連して、「ウォール街抗議デモ」(オキュパイ・ウォールストリート)の大統領選への影響は?)


 関連
  ■アメリカの友好国はどこ?
  ■中東革命への日本人の関心
  ■中東革命の重要な要素
  ■米中どちらと言わずに、どっちも取ればいいじゃない
  ■イギリスなどの議会の解散
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