2011/11/4:
●スティーブ・ジョブズの説明はシンプルだった!
●プレゼンのスライドも単純で言葉より絵が多かった
●人が短期記憶で処理できる情報に限界…「3点ルール」が大事な理由
●iモードもパクリ?スティーブ・ジョブズは命名法にも大きな足跡
●「スケルトン=半透明」というのは日本人の誤解だった
●デザインのシンプルさは「意匠」ありきではなく「設計」ありき
●スティーブ・ジョブズの説明はシンプルだった!
2011/11/4:
スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則
の作者カーマイン ガロさんの
ジョブズ最後のプレゼンから“魔法”を学ぶ 2011年10月21日(金)にあったプレゼンテーションの話。
作者は、短い文しか書くことができないツイッターの、さらに半分に収まる程度の文で、自分が紹介しようと思う製品やサービスを紹介できるか、考えてみてほしい、としていました。実は、スティーブ・ジョブズさんは必ずそうしていたとのこと。新製品を英語なら140文字、日本語なら70文字以内にあたる短い売りで表現してきたそうです。
ただ、例に挙がっていたのは、そもそもキャッチコピー的なもので、これならスティーブ・ジョブズさんに限らず誰でも余裕で短いですけどね。初代iPodのキャッチフレーズは「1000曲をポケットに」、iPadは「革命的で魔法のようなデバイス」だ、MacBook Airは「世界で最も薄いノートパソコン」でした。
ジョブズが行った最後のプレゼンテーションはiCloudについて。この紹介の一言は、「iCloudなら、自動的にコンテンツを保存し、さまざまな機器へワイヤレスで届けてくれる」であるだったそうです。
●プレゼンのスライドも単純で言葉より絵が多かった
また、新しい情報は言葉と絵で示したほうが、言葉だけで示した場合より、ずっとよく聞き手に覚えてもらえるとスティーブ・ジョブズさんは理解していたとのこと。これは、神経科学者が画像優位性と呼ぶ原理だそうです。情報を話して聞かせけただけでは、情報の10%しか記憶されない一方で、絵を加えただけでこの数字が激増。なんと65%が記憶に残るといいます。
2011年6月6日、iCloudの紹介にスティーブ・ジョブズさんが実際に使ったスライドのうち、最初の10枚はもっと極端で。なんと言葉が一つも書かれていなかったといいます。
ここまで極端ではありませんが、スライドで文章をダラダラ書くなというのは、大学時代、口を酸っぱくして言われていました。しかし、社会にに出て客先説明用のパワーポイントなどをこれで作ると、会社のお偉いさんにはウケがよくなかったんですよね。あまり好まれないのかもしれません。
●人が短期記憶で処理できる情報に限界…「3点ルール」が大事な理由
なお、シンプルさとしては、「3点ルール」という話もありました。人が短期記憶で処理できる情報は、せいぜい、3点か4点にすぎないと研究により確認されているんだそうです。
だとすれば、22点ものメッセージを発信しても意味がないということがわかります。最初に出てきたように、説明を短くするというのは、情報を絞り込むということでもあるのでしょう。
スティーブ・ジョブズさんは、プレゼンテーションを大きく3つのグループに分けておこなっていました。iCloudのプレゼンテーションも3種類の製品を紹介する3つの部分に分かれていて、iCloudはその最後の3番目に紹介された製品だったそうです。
●iモードもパクリ?スティーブ・ジョブズは命名法にも大きな足跡
ここから話がガラッと変わってしまうのですけど、
ワードウォッチングで探る「ジョブズの足跡」(前編)iワードの流行、スケルトンの誤解、クラシックが象徴するもの 日経ビジネスオンラインという記事の話。命名に関してもスティーブ・ジョブズの影響が大きいという私的です。
スティーブ・ジョブズさんのアップル復活後、最初のヒット商品となったのは、ディスプレイ一体型のデスクトップパソコンiMacでした。1998年8月の発売です。アップルはiMac以降、頭に小文字のiを冠した商品名を頻繁につけるようになります。
一方で、アップル以外の商品やサービスでも「i○○」という語形が流行た。携帯電話のネット接続サービスであるi モード(NTTドコモが1999年サービス開始)、携帯情報端末のiPAQ(2000年に当時のコンパックが発売)、カスタマイズ可能なポータルサイトであるiGoogle(グーグルが2007年より同名を使用)などが存在していると指摘。
iPAQって知らないですけど、iモードやiGoogleの関連性は考えたこともありませんでした。どうなんでしょうね。作者も関係性は不明だとしていました。
さらに言えば、この種の「小文字を頭文字とする命名」は、ここ十数年のIT分野における命名法の定番だとも指摘。例えば電子商取引のことは英語で eCommerce(イーコマース)と言いますし、電子政府のことはe-Government(イーガバメント)とも言います。日本政府も2001年に「e-Japan戦略」と名づけたIT環境普及のための国家戦略を定めています。
ただし、アップルなどが採用したi○○も、基本的にはこのトレンドを踏襲したものとされており、こちらはスティーブ・ジョブズさんの方がパクった形なのかもしれません。
●「スケルトン=半透明」というのは日本人の誤解だった
話が変わりますが、iMacのデザインの特徴だったスケルトンという言葉の誤解について。これは本来「骨格」を意味します。つまり半透明になっているケースのことを表すのではなく、透けて見える本体のことを示す言葉。言い換えると「スケルトン=半透明」という解釈は誤りということになります。おそらく日本語の「透ける」に似ていることから誤解が広まったのでしょうと作者はしていました。
とはいえ現在では「スケルトン=半透明」と解釈する人も多いことから、国語辞典の中にはスケルトンの意味として「半透明」という解釈を加えるところもすでに登場。2008年に発行された広辞苑(岩波書店)の第6版では、スケルトンの新しい意味として「時計・機械などで、内部構造が見えるように外枠を透明にしたデザイン」という解説を加えていたそうです。
私も最初なぜスケルトンと言うのか不思議に思っていましたが、意味をよくよく考えてみてああっ!と。気づいたときはなんか嬉しかったですし、透けると似ているというのもおもしろいと思っていました。
●デザインのシンプルさは「意匠」ありきではなく「設計」ありき
作者は、このiMacのデザインの本質は色より「一体型」という「形状」に込められていたのでは、としていました。デスクトップパソコンでは「接続」や「配置」が面倒なもの。スティーブ・ジョブズさんはおそらく、この接続や配置といった面倒くささを製品から排除したかったのではないかとのこと。よりシンプルに…という話です。
これは近年のアップル製品に見られる極端なワイヤレス志向にも共通しているとの指摘。例えば、ノートパソコンの MacBook Airなんかは、LAN端子すら持たないといいます。「コンセプトや機能が先にありきで、それを実現する形状が結果的に美しい見栄えを持っている」というのが、ジョブズが志向していたデザイン思想だったとの見方です。
逆に言えば、一体型コンセプトが堅持できたからこそ「2代目以降のiMacでは色彩をさほど重視しなくなった」とも言えるのではないかとしていました。
なので、作者は「アップルはデザインで人気のある会社でしょ?」という言説を目にした時、もやもやするとのこと。
実は私アップルもスティーブ・ジョブズも特に好きじゃありませんが、すごいものはすごいと思います。私が一番感心するのは、スティーブ・ジョブズさんが確固とした哲学やヴィジョンを持っていたという点。それがこの記事で言う「設計」という意味でのデザイン思想に現れているんだと思います。
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