●大学の中退率10%、退学増加の理由は?
2011/11/7:
これからは大学中退者が激増する!4分類した学生像にみる、あの子が辞める理由 沢田 健太 2011年11月1日 日経ビジネスオンラインでは、
大学キャリアセンターのぶっちゃけ話 知的現場主義の就職活動 (ソフトバンク新書)
で書ききれなかった話を載せた…というものでした。
<2008年7月20日に読売新聞が、各大学の中途退学率を大々的に紹介しました。それまで中退率を公表してきた大学はごく少数で、国も各大学の中退率を把握していなかったため、教育関係者を中心に大きな反響を呼びました>
読売新聞で紹介された中退率は、世界的に見て特別高いわけではありません。OECD諸国の平均が約31%であるのに対し、日本は約10%だといいます。私の学科(ちなみに理系)はもっと辞めていた記憶なので、10%は少ないと感じました。そもそもガンガン留年させていた気がするので、そのせいでしょう。
とりあえず、約10%は世界的に見ると、高い数字ではないという話でした。ただ、作者の沢田 健太さんは、入学さえできれば卒業はカンタンな日本の大学ですから、諸外国の中退率と比較して安心するのは早計と、釘を刺していました。しかも、下位大学で中退率が高いそうです。
<また、国公立や私立の上位大学では中退率が低く、下位大学ほど中退率が高い傾向が見られました。これは苦労して入試を突破した難関大をあえて辞める学生は少ないが、いわゆる入試偏差値の低い大学ほど簡単に学生が辞めてしまいやすい、というある意味で常識的な解釈のできる結果です>
退学が増えているかどうかは明記なかったと思うのですが、沢田 健太さんは、退学の理由について、学習意欲の高低と、対人関係能力の高低を組み合わせた、4種類の学生像に分けて分析していました。ここらへんは私見によるところが大きそうで、どれくらい根拠があるのかはよくわかりません。
(1)「学習意欲が高くて、対人関係能力も高い」学生の場合
大学階層が下位にある大学ほど、「学習意欲が高くて、対人関係能力も高い」学生は不本意入学であることが多い。入学した大学に不満があるというよりは、すべり止め大学の学生である現状の自分がなかなか受け入れられない。
また、入学生に大学での有意義な4年間の過ごし方を考えさせるキャリア教育において、「学習意欲が高くて、対人関係能力も高い」学生の中に潜在していたものを引っ張り出し、再受験≒中退の行動を取らせてしまう。結果として、退学届けを出し、再受験生活に突入するか、在籍したまま大学にはほとんど来ないで、受験勉強漬けの仮面浪人生活を始める。
無駄となってしまう入学金や学費のことを考えると、「だったら、浪人すれば良かったのに」とも言いたくなるが、もうずいぶん前から大学受験界では現役合格が前提のため、少数派である「浪人生になる」選択をするのには、相当な覚悟を要する。また、「希望の学科や専攻に入り直したい」という動機もあり、上位校の学生にも少なくない。
(2)「学習意欲は高いが、対人関係能力が低い」学生の場合
根から人間関係に苦手意識を持つ学生は、ゼミナールや課題解決型の授業にも馴染みづらく、せっかく高い学習意欲を失ってしまうケースも目立つ。学内のどこにも居場所を見つけられない状態が続けば、誰だって中退したくもなる。
また、「勉強は好きだが、人づき合いがダメ」というタイプの中には、単に性格がおとなしい学生がいる一方で、他人とのイザコザが絶えず孤立してしまう学生もいる。後者については、発達に何らかの障害があるケースも報告されている。
(3)「学習意欲は低いが、対人能力が高い」学生の場合
これまでにも一定程度存在していたが、以前彼ら彼女らをキャンパスにつなぎとめた要因は、友達の存在と、肩書としての「大卒」の価値。しかし、今は下位校を中心に、大卒プレミアムが崩壊しつつあり、自分の置かれている現実的な状況を直視させる大量の情報によって、ここにいる「理由」や「意義」が見出せなくなって中退する。
(4)「学習意欲が低く、対人関係能力も低い」学生の場合
少子化に反して大学進学率が上がっているのだから、当然、この層の学生は増えており、あまり報道されないだけで、下位校において「学級崩壊」状態になっている授業はいくらでもある。これは過剰な広報と、ゆるゆるの入試制度によって、この層を積極的に受け入れたり、非常に作為的な進路に関する公表データで釣ったりした大学側にも問題がある。
もはや「大学生」と呼べる状態にない、なぜ自分が高等教育を受けているのか理解できないコドモたちには、以前のやり方が通用するわけがなく、彼らを大学に受け入れるのであれば改革が必要。
あとはまとめ部分を少し。大学が利益至上主義になった結果かもしれません。
<既に私立大学の4割近くは定員割れを起こしており、4割近くは赤字経営に陥っているとの報告があります。そのような状況下で、ここ10年間ほどの大学は入口(受験者募集)と出口(就職支援)に、経営資源を集中的に配分してきました。
その分、中身(教育)が疎かになった大学、あるいは中身が広報のパワーに追いつけなかった大学において、今後も中退者は増加していくことが予想されます。
無理をして志望者を募るのであれば、大学はこれまで以上に中身の拡充と、企業社会とのつながりを再構築し、学生たちに学ぶ意義を教えていく必要があります。キミたちの将来の何のための学問なのか。
文系学部においてことさら、これまであやふやにしてきた部分です。いま、まさにそれが社会から問われているといえます>
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