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市場原理主義への批判は大部分が勘違い?


 経済学では否定されている「市場原理主義」  ダイヤモンド・オンラインという記事を読みました。

 経済学は市場がすべてを解決するとはまったくいっていません。むしろ市場が失敗する状況をさまざまな角度から分析するのが、最近の経済学ではとても活発な研究分野のうちのひとつです。そういう意味では、経済学は「市場原理主義」とはまったく違うものです。

 さて、じつは市場が失敗するケースというのは次の4つの場合しかないことがわかっています。

①規模の経済と独占企業
②外部不経済
③公共財の提供
④情報の非対称性


①規模の経済と独占企業
~東電は正に「市場の失敗」例

(中略)

最初に電話線や電線を作ってしまった会社が規模の経済を最大限に利用して市場を独占してしまうことが可能です。こうやって新規参入がほとんど不可能になると、利用者はどんなに高い料金でも既存の会社の言い値を払わざるをえません。これでは消費者である国民の利益が大きく損なわれます。規模の経済が大きく働く産業では独占企業が生まれてしまうために、自由市場の競争にすべて任せるわけにはいきません。

 このような場合、独占を認めて、公益企業として政府が価格などを管理するという、半分国営のようにしてしまうのがひとつの方法です。日本の電力会社は地域独占が認められていて、半官半民の経営形態になっています。やはり競争がなく、コスト競争するインセンティブがないので世界的に電気料金が高いのが問題になっています。独占の弊害を防ぎ、かつ競争原理を導入する制度改革が待たれます。

 また、会社が大きくなればなるほど有利になる「規模の経済」が働くような産業では、企業合併などで1社が市場を独占してしまうと消費者の利益が大きく損なわれてしまうので、何らかの規制を作って常に複数の会社を競争させるようにしないといけません。よって世界の先進国では例外なく独占を禁止する法律があります。

(中略)

ある企業が独占状態かどうかの判断は多くの場合、そう簡単には割りきれません。そして時に政治が深く介在してしまうことになります。最近ではやはりグーグルの検索エンジンが独占状態かどうかが議論されています。

 日本もNTTのような、独占に関しては微妙な元国営企業があり、ほんの少し規制が変わったり、独占禁止法の解釈によってものすごい金額の利害が発生してしまうので、さまざまな政治活動をさかんにしています。規制業種の企業が政治家や官僚ととても仲良くするのはこのためです。政府はこういう問題に関しては、一部の大企業ではなく、常に消費者の利益を考えてほしいものですね。


②外部不経済
~地球温暖化は最大規模の外部不経済

 次に「外部不経済」ですが、これは公害を思い浮かべてみればわかるでしょう。あるモノを作るのに最新の浄化設備を導入してまったく有害物質を出さずに作る会社と、何の環境対策もせずに公害をまき散らしながら作る会社が市場で競争したら、公害をまき散らす方が同じモノをより安い価格で提供できますから公害会社が競争に勝ってしまいます。

 しかしこういった会社は明らかに人々の利益に反します。このように競争市場の外で発生する経済問題を外部不経済といいます。外部不経済があって、会社や人の行動が、他の会社や他の人に迷惑をかける場合は、政府は的確に規制する必要があります。


③公共財の提供
~警察と軍隊が市場に任せられないワケ

(中略)

むずかしい言葉でいうと非競合性と非排除性です。

 非競合性とは複数の人が同時に使っても取り合わなくてもいいことです。たとえばアイスクリームはひとりの人が食べたら別の人は食べることができません。アイスクリームは競合性があるのです。ところが灯台は、多くの船や飛行機がみんな利用できますが、だからといって減るモノではありません。公園も多くの人が利用できます。警察があることにより町の治安はよくなりますが、この安全は町に住む多くの人が同時に享受できます。これが非競合性です。

 非排除性とは、簡単にいうと料金を払わない人にサービスを止めることができないことです。たとえば灯台ですが、誰もが使えますから利用者みんなから料金を取ろうとしても、抜け駆けして無料で使う人にサービスをストップすることができません。

 公園もそうです。有料の国立公園も確かにありますが、気楽に立ち寄れる公園では利用者から料金を取るのはむずかしいでしょう。警察の治安維持を有料にしても、やはり町の住民で料金を払わない人のところだけ治安を悪くすることはできません。


④情報の非対称性
~2001年のノーベル経済学賞のテーマ

 最後の「情報の非対称性」とはなんでしょうか?これはモノやサービスを売る側が、買う側に対して圧倒的に多くの情報を持っていることです。このように情報が不公平な状態を非対称といいます。アカロフやスティグリッツはこの分野でノーベル経済学賞を取りました。アカロフの有名な中古自動車の分析をここで簡単に説明しましょう。

 中古自動車の売り手はその自動車にずっと乗っていたわけなので、当然さまざまな不具合や事故歴を知っています。しかしなるべく高く売りたいのでそういった不利な情報はできるだけ隠そうとします。中古自動車の買い手はちょっと試しに乗ってみるぐらいで買うかどうか決めなければならず、なかなか本当の情報がわかりません。すると買い手は常に事故歴などが隠されているということを想定して、値段をつけなければいけないことになります。

 その結果、中古自動車の買い取り価格は常に安すぎることになり、まともな中古自動車を売ろうとしている人が不利益をこうむります。逆にいうと、その値段でもいいと思っている悪い情報を隠している売り手が、積極的に不良車を売りさばこうとするでしょう。このように悪貨が良貨を駆逐してしまうのです。

 2008年の世界同時金融危機でも、複雑な金融商品はそれを売る金融機関と、それを買う投資家の間に大きな情報の非対称性があったといわれています。

 また、金融機関の内部でも大きなリスクを取り扱う現場のトレーダーと、経営者の間にやはり大きな情報の非対称性があり、儲かったら巨額のボーナスをもらえるけれども、損したらせいぜい会社をクビになるだけのトレーダーが、経営者があまり理解できない巨大なリスクを積極的に取ったことが原因のひとつだともいわれています。

 中古車の話は他でも読みました。ノーベル賞の人の話だったんですね。でも、今そのその比較優位とは?逆選択とは? ~ためになる経済学用語~を読むと、「情報の非対称性」という言葉はなくて、「逆選択」の例として出いていました。


 作者の結論としては、市場は必ずしも万能ではないものの、逆にいえばこの4つ以外のすべてにおいて、自由な市場による競争というのが、国民全体をより豊かにするための最高のシステムなので、政府の仕事は2つだけ!だそうで、それは以下です。


(1) 失敗の是正

 自由市場経済に対する政府の役割は、これらの市場の失敗を正していくことで、市場に恣意的に介入することではない。そういった不必要な政府の介入は、社会全体の資源配分をゆがませ、国民全体の利益に反する。

 また、4つの市場が失敗するケースは、自由市場が最高でないというだけで、政府管理の方がうまくいくとは限らない。多くの場合、市場の失敗より、政府の失敗の方がひどく、旧ソ連のような共産圏はその極端な例。


(2) セーフティネット

 もうひとつの政府の役割はセーフティネットを税金で作ること。競争に負けた人がそのまま社会に復帰できなければ、それは社会全体にも大きな損失で、競争から滑り落ちた人をいったんセーフティネットで保護して、また、次の競争に参加させてあげるのが重要。


 政府は余計なことしない方が良い、既得権益保護、新興産業潰しは止めるべきと何度か書いていますけど、「市場に恣意的に介入することではない」ってのはまさにそんな話。

 あと、これも何度か書いている規制緩和は社会的規制の強化とセットにすべきというのは、4つのうちの「②外部不経済」ですね。


 で、これをふまえたタイトルの「市場原理主義は大部分が勘違い?」なのですが、最後にはてなマークをつけたようによくわかりません。

 市場原理主義という言葉はやたらめったら使われるにも関わらず、丁寧に書かれた定義が見つかりませんでした。


 いつもは頼りになるWikipediaのこの項目は、「独自研究」になっているという注意書きがあります。

 それでも、一応引用すると、

市場原理主義(しじょうげんりしゅぎ、英: Market fundamentalism)とは、市場への不要な政府の介入を排し、市場原理を極力活用した経済運営を行うことが国民に最大の公平と繁栄をもたらすと信じる思想的立場。民間に出来ることは民間に委ねることを基本とした小さな政府を推進することが多い。

1998年にジョージ・ソロスが著書の中で19世紀におけるレッセフェールの概念に関してのより相応しい表現として市場原理主義を紹介したことから知られるようになった。

 レッセフェール(自由放任主義とも言うようです)は「なるようになれ」みたいなイメージでしたが、なるほど近い感じ。


日本において小泉政権下で国務大臣を務め、市場原理主義の代表的な論者であるとされる竹中平蔵は、「私が市場原理主義者なら、市場がすべてを解決すると信じ込んでいることになるでしょう。そんなことはありえません」と述べている

 ともあったのですが、ここらへんが解釈の違いでしょうね。

 最初の記事の書き方からすれば、「公共財の提供」を認めるだけで、市場原理主義者じゃなくなります。


 デジタル大辞泉だと、以下。

市場での自由な競争に任せておけば、価格・生産ともに適切に調節でき、ひいては生活全体も向上するという考え方。米国経済の根本原理とされる。



 どの程度が市場原理主義者なのか結局よくわかりませんでしたが、最初の記事の作者が挙げている"(1) 失敗の是正 (2) セーフティネット"自体はもっともなことです。

 それさえ気をつけていれば、政府が特定産業・特定団体を優遇することなんかより、ずっと市場に任せておく方が良いと私も思います。


 関連
  ■比較優位とは?逆選択とは? ~ためになる経済学用語~
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