オリンパスが損失隠し問題に関連し、2009年に監査法人から不正があると指摘され、直後にその監査法人を解約していたことがわかった。今年10月に同じ問題を追及した英国人のマイケル・ウッドフォード社長(当時)が解任されたのと同じ構図で、疑惑の指摘を封じ込める会社の隠蔽(いんぺい)体質が浮き彫りになった。 関係者によると、あずさ監査法人は09年、オリンパスが08年2月に英医療機器会社ジャイラスを買収したときに支払った助言会社への報酬の大きさを不審に思い、理由や決算への反映の仕方でオリンパス側と意見が対立。08年までに健康食品販売などのベンチャー3社を計734億円で買収していた点も、3社にはそれだけの価値はないと指摘し、買収額と実際の企業価値の差額を損失計上するよう要求した。 この結果オリンパスは09年5月に発表した09年3月期決算で、あずさ監査法人の指摘を反映する形で3社分だけで計557億円の損失を計上し、その決算をあずさ監査法人は承認した。 |
金融庁はオリンパスの問題について(1)損失隠しが過去の有価証券報告書の虚偽記載に当たるか(2)監査法人が同社の損失隠しを知っていたか、相当の注意を怠った上で適正意見を記したか――の2点に関心を持っている。 (中略) 同社の監査を担当する新日本監査法人、2009年3月期まで監査を担当していたあずさ監査法人(旧朝日監査法人)の関係者らへ聞き取りに入る。監査に重大な問題があった場合、業務停止命令や改善命令などの行政処分を科すことができる。日本公認会計士協会も10日にも監査業務審査会を開き、オリンパスへの監査が適正になされたかどうか、検証作業に着手する。 東証はオリンパスに対して、第三者委員会の調査状況の報告を求める。事前に情報収集し、監理銘柄の指定といった対応を速やかに取る体制を整える。虚偽記載を確認した場合は、聞き取り調査や内部文書の提出を通じて、上場廃止基準に抵触するかを見極める。 一方、同社の第三者委員会は、問題となっている英医療機器メーカーや国内3社の買収以外の買収案件でも問題がなかったかどうか調査に乗り出す方針だ。オリンパスが00年に出資した情報通信会社ITX(現子会社)の株式取得を巡る手法などについて関心を示している。 関係者によるとオリンパスはITXへの出資の際、香港の関連会社など4つの会社に分割し、自社保有分とは別にITX株を取得していた。このうち1社はオリンパスが00年に出資し、今回の損失隠しにかかわったとされるケイマン諸島籍のファンドを運営していた。 その後、04年には子会社化したが、09年3月期には国内3社と合わせて数百億円規模の減損損失を計上していた。 ただ問題となった国内3社と異なり、ITXは利益をあげていたといい、第三者委は慎重に調査を進める方針だ。 |
オリンパスが英医療機器メーカー、ジャイラスの買収に当たり、投資助言会社に巨額の報酬を支払っていた問題で、ジャイラスの監査法人が会計上の問題が生じる恐れがあることから監査を降りていたことが明らかになった。23日付の英紙サンデー・タイムズが報じた。 (中略) 投資助言会社への報酬の一部は1億7600万ドル(約135億円)相当の株式で支払われ、KPMGはこの支払いは会計上、適切に処理されたとは言えないと思ったとしている。ただ「取締役側から詳細な資料などが提出されず、われわれの意見をまとめることができなかった」と述べている。 買収先監査法人が撤退=オリンパス巨額報酬支払い-英紙(2011/10/23-21:37 時事通信社)より |
同社が過去に買収した子会社の監査法人KPMGが監査から撤退したとの一部報道に関して、報道されているようにジャイラス社の会計上の問題によってKPMGが監査から撤退したというような事実はない、とのコメントを発表した。 オリンパス:ジャイラス会計問題によりKPMGが監査撤退の事実ない(ブルームバーグ 10月24日)より |
株主にも非がなかったわけではない。 オリンパスが買収した英医療機器メーカー、ジャイラスの09年3月期の決算報告書には、当時の監査法人だったKPMGが「我々の意見では、適切な会計帳簿は維持されていない」と監査報告に記している。オリンパスが法外な手数料を支払ったファイナンシャル・アドバイザー(FA)との取引に関して、「十分な詳細を、取締役から提供されていない」ことなどを理由としている。KPMGはその後、監査を降りた。 ジャイラスの決算報告書は公開情報。この点を株主として指摘し、経営陣を問い詰めることはできたはずだ。サウスイースタンは04年、ベイリーは09年からオリンパスの株主になっていた。 |
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