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スティーブ・ジョブズの性格2 社外編 ~子供っぽい一面も~


 前回のスティーブ・ジョブズの性格1 社内編 ~偉大なる独裁者~とは反対に社外の人から見たスティーブ・ジョブズさんの姿です。 (今回載せる3記事は、すべて再掲載です)

 これは社外というのは共通なのですが、三つともかなり違います。その置かれた立場によってスティーブ・ジョブズさんの姿というのが、異なって見えるようです。


 まず、アップルに買収された会社の社長という立場の方から。  (スティーブ・ジョブズに見る「東洋」と「西洋」 (ダイヤモンド・オンライン、登録要)より)

 ここに出ている曽我弘(ひろむ)さんは新日鉄の社員でしたが、91年から定年退職してシリコンバレーに渡り、新日鉄の子会社を設立、その後にDVD制作ソフトのベンチャーSpruce Technologies Inc.を設立というおもしろい経歴の方です。


社員が80人になったところで競合の米企業から「嫌がらせの訴訟」を起こされ、訴訟費用の負担に耐え切れず、売却を決意した。買収企業として名乗りを上げたのはアドビとマイクロソフトだった。両社との条件も固まり、このどちらかに決めようかと逡巡していたときに、アップルが忽然と名乗りを上げてきた。

 驚いたのは、アップルのスピードであった。コンタクトしてきた2日後にスティーブ・ジョブズを含む7-8人のチームとアップル本社で会うことになった。その中には技術者もいれば、社内弁護士もいた。その翌日、アップルの副社長から「明日、本件について意思決定できる人と、一対一で会いたいとスティーブ・ジョブズが言っている」との連絡があった。曽我さんは「私も1人で行きます」と回答した。 翌日、スティーブ・ジョブズが本当に1人で現れた。アップルはアドビの動向はすでに掴んでいる様子であったが、マイクロソフトのオファーは知らなかったようだ。ジョブズは「どの会社だ」と激しく詰め寄った。買収交渉では、他にオファーを出してきている会社の企業名は言えない。その会社との秘密保持契約に違反するからだ。「会社の名前は言えないが、アップルの競合会社ですよ」と答えた。ジョブズは即座に、「アップルに競合会社はない」と言った。


「Due Diligence(資産精査)も必要ない、会社が黒字か赤字かも関係ない。このソフトを制作した技術者はすべているか?Spruceの技術には他社の借り物はないか?それが充足されれば、従業員全員(但し、CEOとCFOは要らない)を引き取る」と言って価格を提示してきた。曽我さんは細部を詰めて、この価格で合意した。彼に最初に会ってからたった3日間の電撃的買収劇だった。

 前回は「独裁者」というネガティブな言葉が出ましたけど、独裁の利点はスピード感を出せることですし、スティーブ・ジョブズさんの決断力や直感力を感じさせるお話です。

 また、「アップルに競合会社はない」というセリフもすごく彼らしいですし、非常に気に入りました。


 そして、お次は元マイクロソフト副社長の西和彦氏、ジョブズは「人と対等な関係は得意じゃなかった」から、その競合・ライバルと普通思われている会社にいた「アスキー(ASCII)創始者でマイクロソフト元副社長の西和彦氏」のお話です。

ジョブズ氏のキャラクターについて「やっぱりキツい人。それから、人と対等の関係はあまり得意じゃなかった」としみじみと話す。

「彼と対等でしゃべれた人が何人いたか。僕も違います。(でも)ビル・ゲイツはそうだったと思う。(ジョブズにとって)ビル・ゲイツは敵だった。絶対許せない敵だった。ところがスティーブ・ジョブズが(ビル・ゲイツに)頭を下げて、『金出してくれ』と、150億円。それで(ビル・ゲイツ)が出してうまくいって、iMacが大ヒットして、株価も高くなって、MacOfficeでしこたま儲けて。そうすると、『アップルの成功も後ろに俺もいる』とビルは思った。そこから(2人は)仲良くなったと思う」

 また西氏は、「(ジョブズは)自分がアップルを追われる時に、自分の部下が、部下と思っていたけど部下じゃなかった。裏切った人もいた。それから NeXT(アップルから追われた後にジョブズが立ち上げた会社)に行く時に『付いて来てほしい』と言ったのに、ついて来なかった人がいた。あそこで彼は人間関係の地獄をいっぺん見ているんじゃないかと思う」とし、さらに

「だからNeXTから、彼は人を非常に大切にするようになったと思う。(ジョブズは)『この人は自分にとって非常に近い人だ』と思ったら、徹底的に人間関係を大切にする。やっぱりトップは孤独だからね・・・」

 最後の話は前回のような元社員さんのお話を聞くと、残念ながらどうかなぁ?と思いますが、「孤独」に関するお話は下の記事でも出てきます。(私は下の記事を先に読んでいたので、しんみりしました)


 その孤独を書いた記事というのは、どん底時代のスティーブ・ジョブズの思い出で、market hackのもの。

 引退からあまりにも早かったので見間違いかと思った、スティーブ・ジョブズさんの訃報でしたが、私が最初に読んだ彼を偲ぶ記事としてはこちらでした。

 そして、一番良かったなぁと感じた記事でもあります。(私がもともとここの方の文章が好きというのもありますが)

スティーブ・ジョブズにもやることなすこと全て上手く行かない極度のスランプの時期がありました。

(中略)

それは1996年から2000年にかけての時期です。

スティーブは1983年に自分が雇ったペプシコーラ出身のジョン・スカリーとソリが合わなくなり、重役会にはかった結果、自分が創業したアップルから追い出されました。

そしてNeXTを創業しますが、これは成功しませんでした。

また映画、『スターウォーズ』シリーズを制作したジョージ・ルーカス監督のインダストリアル・ライト&マジック(=現在のルーカスフィルム)からコンピュータ・グラフィックス部門を買収し、ピクサーと命名し、コンピュータ・グラフィックス専用のハードウェアを発売しますが、これもぜんぜん売れませんでした。

売れないグラフィックス・コンピュータの処置に困ったピクサーの社員が何とか食いつなぐためにCMの映像制作の下請けをしたのが映画製作会社としてのピクサーの始まりだったわけです。

スティーブが僕の勤めていたサンフランシスコの投資銀行、ハンブレクト&クイスト(H&Q)によく遊びに来たのはそんな当時です。

「よお、ビルの親爺、居るか?」と突然、やってきてH&Qの創業者であり会長であるビル・ハンブレクトと歓談してゆきました。

ビル・ハンブレクトはアップルが1980年にIPOしたときのアドバイザーであり、H&Qはモルガン・スタンレーと並んでこのディールの主幹事を務めました。

墓石広告ではモルガン・スタンレーが左側(上位)に位置していますが、これは会社の規模がモルガン・スタンレーの方が大きかったからで、もともとスティーブ・ジョブズに上場会社になるときの細かいアドバイスを与えていたのはビル・ハンブレクトでした。

スティーブの意向で「バルジ・ブラケット(大手の意味)証券を噛ませたい」と言われた時、ビルが旧友でモルガン・スタンレーのCEOを務めていたディック・フィッシャーに電話したのです。

そんな事からスティーブはビルのことを父親のように慕っていました。

「ちょっと近所まできたからさ」

そう言ってスティーブが会社に寄るといつもH&Qの社員はスティーブを暖かく迎えました。

でも(本当はスティーブは行き場所が無いんだな)という事はH&Qの社員は皆、ひしひしと感じていました。

つまりNeXTでもピクサーでも仕事が行き詰っており、両社とも「硫黄島玉砕」みたいなギリギリの状態でしたので、心を開いていろいろ相談したり、長期的なハイテク業界の未来について心おきなく語ったりすることが出来る環境ではとてもなかったのです。

スティーブが来ると「じゃ、折角だからサンドイッチを買って、ブラウンバッグ・ランチにしよう」という事で株式営業部員は全員トレーディング・デスクを離れ、会議室でスティーブを囲みました。

僕の仕事はスティーブのサンドイッチを会社の斜向かいにあるサンドイッチ屋、「スペシャルティーズ」から買ってくることです。

「スティーブ、サンドイッチは何にしますか?ターキーですか、ハムですか?」

「パンはホール・ウィートですか、ホワイト・ブレッドですか?」

僕がスティーブ・ジョブズと最初に口を利いたのは、そんなやりとりでした。

 何か温かいような、切ないような、しんみりさせる文章です。


 一旦、ここで引用を切りましたが、私がスティーブ・ジョブズさんで関心しているのは以下のような部分です。

スティーブを囲んだブラウンバッグ・ランチはいつも無礼講みたいな感じで活発なテクノロジー談義になり、スティーブのビジョン、さらに彼の美意識を知る上で大変貴重な経験になりました。

ピクサーに関しては「映画作りでいちばん大切なのは心にグッとくるストーリーだ。映像が美しいことも大事だけど、コンピュータが可能にする特撮の技巧の虜になってはいけない」という事を強く主張していたのが記憶に残っています。


アップルはその後、NeXTを買い、スティーブは暫定CEOというカタチで1997年からアップルに戻ります。その時のアップルはどんどんキャッシュを燃焼していて、「あと何カ月持つかしら?」という状態だったと記憶しています。

「こんなに財務的リソースがカツカツになっているのに、OSからコア・プロセッサーまで全て自前で開発するメリットはどこにあるのですか?」

僕はそういう質問をスティーブにしました。

スティーブの答えは:

「いまはパーソナル・コンピュータには個性は無いけれど、これはちょうどフォードがモデルTを出した頃の状況と同じさ。つまりクルマに個性が無くても、ただ庶民に手が届くというだけで十分だったのだ。でもそういう時代はすぐに終わる。」

というものでした。そして:

「次に来るのはね、個性の時代なんだよ。例えばクルマで言えばポルシェとかそういうイメージだ。ポルシェがGMと同じエンジンを搭載していたら、誰も買わないだろう?」

「つまり消費者が思い入れを持ってくれるような狂おしいほど魅力ある、個性的なコンピュータをデザインしようと思えば、全てをコントロールする必要が当然あるのだ!」

 こういったヴィジョン・哲学を持っているというのが、私にとってはスティーブ・ジョブズさんの最大の魅力です。


 以下は、また切ないエピソード。

その後、アップルは5色のボディカラーをもつiMacを出し、業績を急角度に回復してゆきます。

ある日のミーティングで「そろそろスティーブも暫定CEOというタイトルを単なるCEOにした方がいいんじゃないの?」という声がH&Qの社員の間から上がりました。

でもその時にスティーブは「いや、これはまだ暫定のままでいいんだ」と強く否定しました。

結局、誰からも文句を言わせないだけ十分に実績が出来るまで、スティーブは3年近くも暫定CEOというタイトルを使いました。

その意地になった様子はまるで親と喧嘩して、すねた高校生のように感情が剥き出しでした。

その時、我々H&Qの社員はスティーブがアップルを追い出された時、彼が心に負った傷がどんなに深かったかを思い知ったのです。

 前回のわがままとも思える独裁っぷりや自分の信条を曲げないところと、ここのナイーブさといったところから、私はスティーブ・ジョブズさんに子供っぽさというのも感じています。

 ただ、そういったところがうまく良い方に出たからこそ、アップルは成功したんでしょうね。


 といった感じで社外編は終了なのですが、社内の人、買収された会社の人、ライバル?会社だった人、ジョブズを応援していた会社の人、それぞれに関係が違いますので、印象も異なっています。

 見る人によって違うというのは、ある意味当たり前なんですけど、私はそういうのがおもしろいと思います。

 また、スティーブ・ジョブズさんの場合はその違いが特に際立っている気がして、「スティーブ・ジョブズ」というものの個性がそこに現れているのかなと思いました。

 続き
  ■スティーブ・ジョブズの名言から五つを選り抜き ~スタンフォード大のスピーチなど~
  ■スティーブ・ジョブズの名言、成功、優れた点


 関連
  ■スティーブ・ジョブズの性格1 社内編 ~偉大なる独裁者~
  ■スティーブ・ジョブズのプレゼンテーションはシンプル
  ■スティーブ・ジョブズ、すい臓がん、スピリチュアル、マクロバイオティック(記事紹介)
  ■スティーブ・ジョブズと「Stay foolish」とヒッピー文化
  ■スティーブ・ジョブズを例にしたイノベーションの生み出し方
  ■その他のインターネット、パソコンなどについて書いた記事

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