いじめに関する話をまとめ。<元いじめられっ子が性格悪いいじめっ子に?高須克弥院長もいじめられっ子だった>、<大人のいじめの加害者、元いじめの被害者が多いと調査で判明>、<経験者の「いじめられている側にも原因」に賛同集まってしまう>などの話をまとめています。
冒頭に追記
2022/07/05追記:
●「弱いのがいじめられる。強いやつはいじめられない」論の悪質さ
2022/07/13追記:
●「強いやつはいじめられない。国も同じだ」も実は間違いだらけ… 【NEW】
●「弱いのがいじめられる。強いやつはいじめられない」論の悪質さ
2022/07/05追記:自民党の麻生太郎副総裁が、ロシアのウクライナ侵攻を題材に安全保障体制や抑止力強化を訴えるために、いじめのたとえを使用した街頭演説を千葉県市川市で行ったそう。<「弱い子がいじめられる」 自民麻生氏、ロ侵攻巡り>(共同通信 / 2022年7月4日 22時41分)によると、以下のように言っていたそうです。
「子どもの時にいじめられたのはどんな子だったか。弱いのがいじめられる。強いやつはいじめられない。国も同じだ」
「強そうな国には仕掛けてこない。何発かやり返されると思ったらいじめられない。子どもの時の記憶を思い出してください」
https://news.infoseek.co.jp/article/kyodo_kd-newspack-2022070401001092/?tpgnr=poli-soci
これについて「戦争の話は正しいけど…」「いじめの話は正しいけど…」両方の反応が出ていたのですが、実を言うと、どちらも間違い。何一つ正しいことがないって、ある意味すごいですよ…。これに賛同して擁護しちゃっている支持者の方も多いのですが、間違いだらけです。
いじめに関する投稿ページなので、まず、今回はいじめの問題について。同じページで書いているように、元いじめられっ子がいじめっ子になるケースは多数。また、逆にいじめっ子がいじめられるようになるパターンもあり、強いからいじめられない・弱いからいじめられる…とは言えません。
また、深刻なのが「いじめられている側にも原因」という間違った考えを強めてしまう可能性がある発言だったこと。いじめられている子の傷をえぐったり、いじめっ子を正当化したりしかねないもので、配慮のない発言でした。麻生太郎さんはいっつもそうですけどね。支持者が支持するので全然変わりません。
あと、「子どもの時にいじめられたのはどんな子だったか」という言い方からすると、麻生太郎さん自身が関わったかどうかはともかく、いじめの傾向を把握できるほど多くのいじめを子供時代に見てきたと考えられます。年寄りがよく言う「昔いじめはあまりなかった」も嘘だとわかりそうな話でした。
●「強いやつはいじめられない。国も同じだ」も実は間違いだらけ…
2022/07/13追記:前回書いた自民党の麻生太郎・副総裁の「弱いのがいじめられる。強いやつはいじめられない。国も同じだ」は、いじめだけでなく国としての話でも間違いという話。これが嘘だと一番わかりやすいのは、日本が世界最強の国アメリカと戦争を起こしたということですね。弱い国が強い国を攻撃する例があるのです。
また、歴史的に見て強国同士が戦争する…というのもよくあるパターン。右派には日本も強い国だ!と言いたい人も多いでしょうが、この見方を採用した場合は、太平洋戦争も強国同士の戦争ということになります。ただ、どちらにせよ「強いやつはいじめられない。国も同じだ」が嘘ということには変わりありません。
あと、ネットの右派の方なんかは「自衛隊すごい!アメリカも日本とは戦いたがらないぐらい優秀!」と普段は自衛隊コピペを自慢しているくせに、防衛費や核兵器などの話になると「日本は弱小。攻められる。強くしなきゃ」と都合よく矛盾した主張をする…とも思いました。要する嘘ばっかりなんです。
支持者は「たとえ話が間違っていても麻生太郎総裁が言っていることは間違いない」と擁護していましたが、リベラルな政治家のたとえ話が全部間違っていた場合は「結論だけ正しい」などとは擁護しないでしょう。ダブルスタンダードです。さらに言えば、結論部分も問題があるんですよね。
というのも、国の防衛というのは、軍備増強だけで行うのではなく、外交など他の手段を交えて行うものであるため。軍事力のみで対処するのは非現実的です。私は左翼でもないため、自衛隊を使いながら防衛を行うこと自体は賛成しますが、単純化して軍備増強一辺倒という考え方には問題があります。
なお、今回麻生太郎さんの発言で利用されたウクライナ侵攻に関しては、日本の外交にも責任の一端があるでしょう。ロシアが1度目のウクライナ侵攻を行って間もない時期に、安倍政権はむしろロシアと親密に…。ロシアとしては、軍事侵攻をしても冷遇されないというお墨付きをもらったわけで、2度目の侵攻がやりやすくなりました。
●のび太がいじめられっ子からいじめっ子にクラスチェンジ
2018/03/29:もともと紹介したかったのはフィクションで、ドラえもんの話。
てんコミ23巻(漫画の中からはるばると)では、ドラえもんの各収録作品のあらすじを紹介し、解説しています。その中で最も印象に残ったのが「ぼくよりダメなやつがきた」という話です。
クラスに転校生が来たのですけど、その転校生はのび太よりもダメな人間だったので、のび太は大喜び。彼を誘って遊びに行いき、かけっこなどで勝って、悦に入ります。
さらに野球に誘われたときには、自分のかわりに彼を推薦。ただ、なぜこれも良くないなのか?と言うのは、予備知識が必要な話。実を言うと、野球で負けた理由をのび太のせいにしてジャイアンが殴るというのが、いつものパターンなのです。つまり、のび太は自分の代わりの生贄として、彼を推薦したわけですね。
そんなのび太を見かねたドラえもんは「配役いれかえビデオ」で、これまでののび太と転校生の様子を、スネ夫とのび太に変えて見せ始めました。そして自分が転校生にしていたことは、これまで自分がいじめっ子にされてきたことだと知らせて反省させる…というストーリーだったわけです。
サイトでは、「弱者が強者に転じた時、弱者であった頃の気持ちを覚えておくことができるか。今話に込められたメッセージは、かなり重いものです」と解説されていました。
●元いじめられっ子が性格悪いいじめっ子に?根拠はあるのか?
これだけですと短いので、何かと合わせようということで悩み、元いじめられっ子の方が性格悪いひどいいじめをするいじめっ子になる…とよく言われていることに関して。これについて軽く検索してみたものの、調査研究の類はなし。こうしたものは論文が出て初めてスタート地点です。つまり、現状では科学的根拠のない俗説だと考えるべきです。いわゆる迷信ですね。
なお、ちょっと違う話だと、
いじめられた経験がある人ほど、いじめられている子に厳しいという投稿は過去にしています。これはちゃんとした研究を紹介したものでした。元いじめられっ子が現在いじめられている子にあまり同情しないことがわかった研究です。
ただし、元いじめられっ子が同情しない理由は、性格が悪いからではありません。理由とされていたのは、あることを経験して克服した人は、そのことを簡単だと軽視してしまうという話。これはいじめ以外の事象でも同じ傾向が示されているため、説得力が高くなっていました。
●いじめられっ子だった高須克弥院長「いじめられっ子は闘争心を」
最近は学校でいじめが露見すると、学校の教師や教育委員会などを叩く流れになり、いじめを肯定化する人はあまりいません。ただ、いじめと本質的に変わらないヘイトスピーチや差別は、いろいろと理屈をこねて正当化されます。
元いじめられっ子で検索していたら、現在では差別しまくりな高須クリニックの高須克弥院長が元いじめられっ子だという話が出てきました。インタビュー内容を読むと、いじめられっ子に強さを求める厳しい内容であり、上記研究の指摘との関係を思わせます。あと、今回の趣旨とは異なりますが、高須院長のお父さんやおじさんは、逆にひどいいじめっ子だったという逸話もありました。
「毎日毎日「白ブタ」って呼ばれて、殴られたり、洋服破られたり、本当にひどいことされてた」
「父親はもっと激しかった。ぼくの父親は、近所でも有名な“いじめっ子5人兄弟”の五男坊で、兄弟の中でもいちばん凶暴だったんだよ。それでぼくがいじめられたっていうと、バットを渡して「叩き殺してこい」って言うんだよ(中略)逆にボコボコにされちゃったけどね」
「(引用者注:どんなにいじめられても、屈しなかったのは、)「今に見ていろ!」っていう復讐心とか闘争心が強ければ、いじめにも耐えられるんだと思う」
「ぼくの経験からいうと重要なのは、さっきも挙げた闘争心。(中略)やっぱり多少なりとも闘争心を持っていれば、いじめに負けない子供になるんじゃないかな」
(
高須院長激白 父親にバット渡され「いじめっ子殺してこい」│NEWSポストセブン 2012.09.15 07:00より)
高須院長は、"どの時代でも、どの国に行っても、どんな組織でも、いじめはあるから、いじめそのものを無くすのは不可能なのかもしれない"ともおっしゃっていました。これはその通りであり、いじめに対する問題意識を高めるためには有効な指摘…なのですけど、今いじめをやっている側の高須院長が言っちゃうと、別の意味に聞こえてしまいます。
●大人のいじめの加害者、元いじめの被害者が多いと調査で判明
2020/05/12:その後、
しつけが理由!研究でいじめ加害者・被害者どちらの問題かが判明という話をやっています。デューク大学の調査によると、大人のいじめの加害者は、問題の多い幼少期を過ごし、彼ら自身が虐待やいじめの被害者であるケースもあるとされていました。
さらに、彼らは、重病や精神疾患を患ったり、麻薬を乱用したり、重罪で起訴される可能性が非常に高く、また慢性的ないじめを受けていた場合は、社会から孤立し、教育水準も低く、貧困である可能性が高いとのことでした。
また、大人のいじめについて研究している経営科学が専門のロバート・サットン・スタンフォード大学工学部教授も、大人のいじめの加害者は、育った家庭に問題があるケースが多いとも指摘していました。ただ、こういった話は差別に繋がる可能性があり注意してほしいところです。
「(いじめの加害者は)幼少期のしつけに問題があったのは間違いない」
「恐らく、彼らの周りには、他人に無礼な態度で接し、人生で出世するには他人をけ落とし、ぞんざいに扱うべき、と助言した悪い手本が存在したのだろう」
なお、これらの話を紹介していた記事は、
CNN.co.jp : 大人になってからのいじめにどう対処すべきかというタイトルのものでした。いじめ加害者はある意味かわいそうな育ち方をしてきたことが多いものの、そのいじめ加害者を守るべきという話ではありません。
この記事は、今まさに被害を受けているという、大人のいじめの被害者がどう対処すべきか?というところに重きを置いた内容。こちらの「大人のいじめの被害者がどう対処すべきか?」については、主に
しつけが理由!研究でいじめ加害者・被害者どちらの問題かが判明で紹介しています。
●経験者の「いじめられている側にも原因」に賛同集まってしまう
2021/06/08:格闘家の朝倉未来さんがいじめについて、「正直、俺はいじめられる側にも何かの原因はあると思うから、自分を客観的に見て原因を解明して、それを直していくことが大事」と言っていたとのこと。今回はいじめられ始めたところ…というもので、元いじめられっ子とは微妙に違いますが似たパターンで、「いじめられっ子に厳しい」意見となっています。
<自身の小学生時代、靴を隠した犯人を見つけ出してボコボコにした経験を引き合いに出し、「強かったおかげでいじめられなかった。だから、いじめの対策として強くなることが大事」とも語っていた。この「いじめられている側にも原因がある」>
(「だから『いじめられている人にも原因がある』って俺は言います」 朝倉未来、2度の持論に賛否両論 6/5(土) 17:00配信 J-CASTニュースより)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0b2f739e37b2fa9dd2ebade9dd8132933a080ce0
記事では賛同意見が紹介されており、これを最初に見たニコニコニュースでも賛成意見が結構人気に。やはりいじめられた経験があるという人のコメントだったので、最も典型的なパターンです。一方、最近、ニコニコニュースよりマシになったヤフーのコメント欄では、反対意見が人気。専門家コメントであったジャーナリストの本田雅一さんの指摘は特に良いものでした。
<”イジメの原因”は多くの場合、イジメる側が一方的に作る。イジメる理由などいくらでも創作できる。朝倉氏の正論は机上の空論、(中略)イジメる側は、イジメることができれば相手は誰でもよく、時にイジメ仲間にさえイジメ理由を見つけ出し、一転、イジメを始めることも少なくない。
加えるならば、イジメられ、精神的に追い込まれている子たちに「原因はあなたにある。直した方がいい」と言えるだろうか。さらに言えば、曲解していじめっ子がたちがイジメる際の言い訳に使いながら、イジメをエスカレーションする可能性も>
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