北海道ではやたら強い異色コンビニ・セイコーマートの話をまとめ。<コンビニ日本一はセイコーマート!セブンイレブンより人気>、<夜間に閉店・田舎に積極出店・店内で調理という超非常識コンビニ>、<セコマのポイント導入の先駆性、セブンイレブンが真似するほど>などの話をやっています。
2022/04/27まとめ:
●セイコーマートが顧客満足度ナンバーワンになった理由とは? など
●コンビニ日本一はセイコーマート!セブンイレブンより人気
2011/11/22:セイコーマートは北海道に強いので、北海道出身の私は知っていますが、別段すごいと思ったことはありませんでした。
ところが、
セブン‐イレブンを超えた“反常識”コンビニ SNS時代の新旗手セイコーマート 向山 聡 2011年10月27日(木)によると、今年の満足度調査で「コンビニエンスストア・全国1位」の座を獲得したそうです。セブンイレブンより良いんですね。
そのセブンイレブンと比較して売れ行きが良い商品は、セブンイレブンで取り扱っていない肉、野菜の他、惣菜、ソフトドリンク、アルコールなど、とにかく食品類のようでした。
●惣菜・ワインなど…特徴はスーパーより安いとすら思う価格
セイコマートのポイントの一つとしては安さ。調査では、「安い」「おいしい」という点で高く評価をされていました。後輩に聞くと意識せずに買っているようなので、知らない人もいるのかもしれませんが、普通のコンビニってめちゃくちゃ高いです。このように高いのが当たり前のコンビニとしては、あり得ない売りですね。
調査結果ですごいとわかるのは、「安さ」については、アンケート回答者の2割を超える方々が「自由意見」としてわざわざコメントをしていること。セイコーマート以外のコンビニエンスの企業では、安いとコメントする方は3%未満しかいないので、明らかな特徴になっていました。以下のような感じです。
「卵、トイレットペーパー、ティッシュペーパーがスーパーより安かったりするあたり、他のコンビニとは全く違う。メロンパンがおいしい!! コンビニは高いというイメージが少なくなった(30代・女性)」
「コンビニではなく、スーパーと変わらない(安い)価格で、買い物がしやすい。牛乳を二本買うと割安になるなど、手頃感があるのがいいと思う。スーパーで買い物をするよりレジが早い(40代・女性)」
「他店よりもなぜか親しめるという点。自社ブランドのチューハイやコーラや自社輸入のワインも安く買えるのも良いし、イモサラダはどこのイモサラダよりおいしいと思う(40代・男性)」
「セイコーマートの100円惣菜シリーズとかオリジナルパンがとても美味しい。ホットシェフのガーリックポテトとかカツ丼もお気に入り。セイコーマートのカップヌードルとかドリンク類も他より安い。他のコンビニも利用しますが、値段等を考えたら一番お徳(50代・女性)」
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セイコーマートの100円惣菜がすごい ボリュームたっぷりでなぜこの値段?)
好評な品の一つである格安ワインには、工夫があります。グループ直輸入を行っていることにより、直接現地のワイナリーを訪れて品質を確認できるため、品質のよいワインを豊富な種類で取り揃えられるとのことでした。また、輸入手続も自社グループで行うことで、徹底して自分たちでやっています。
他社に頼まないことは、品質だけでなくコスト削減でも超有利。セイコーマートには500円という非常にお手頃な価格のワインが揃っており、「実際に飲んで頂きますと、そのコストパフォーマンスを十分に感じて頂けると自信をもっております」としていました。
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セイコーマート、500円ワインの秘密とホットシェフの良さ)
●夜間に閉店・田舎に積極出店・店内で調理という超非常識コンビニ
それから、もう一つコンビニとして常識外れな点は、夜間に閉店していること。北海道内1012店舗で24時間営業は226店舗・2割強しかありません。普通に考えると「営業時間が短いと不便」で評価が下がるはずが、前述の通り、日本一だったんですね。足かせにはなっていないようです。
さらに、田舎に店舗を作ると物流やバックアップの効率が低下するので出店しないのに、利尻島や礼文島などの離島やスーパーなどがない田舎に出店。セイコーマートは子会社が物流網を構築しているからとの説明でしたが、非常識すぎます。
また、店舗内で調理をすると、汚れやすかったり人件費が高くなるので、一般には避けられるのに、店内で調理をした弁当を作って売っています。ホットシェフという名称みたいですね。消費者のコメントでは、お惣菜などに対して、熱狂的とも言える評価があったとのこと。オリジナル商品も多いようです。
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町の食堂などが衰退していく中で、セイコーマートが出来立てのごはんを提供できる機能があれば、お客様の選択の幅も広がるという説明も。北海道に住んでいた頃はほとんど利用したことがなかったのですけど、確かにスーパーっぽさは感じるコンビニという印象はありました。
●口コミで勧めたくなるのはセブンイレブンよりセイコマート
セイコーマートは「人に良い意味で勧めたい(クチコミ)」「自分は今後も使い続けたい(ロイヤルティ)」という評価が高く、その影響度も高いそうで、クチコミに関しては、セイコーマートは「満足度からクチコミ」への矢印が0.57と強くなっており、セブン-イレブンは0.47と小さくなっているそうです。
これは「コンビニとは、こんなものだ」という常識を覆して“よくやるわい”と感じてもらうためで、人が良いクチコミを言いたくなるのは、“当たり前”と違う点を感じた時が多いためとの分析でした。"セイコーマートは「お客様が求めているもの」を独自の視点で考え、試行をしてきた"というのが、これがセイコーマートの強さだとのこと。
うーん、そんなすごいコンビニだとは知りませんでした。北海道にも良い企業あるじゃん。…と書いてから、本当に北海道だよね?と不安になって、
Wikipediaを確認。「セイコーマート(Seicomart)は、主に北海道を地盤とする日本のコンビニエンスストアチェーンである。本社所在地は札幌市中央区」「 1971年 8月10日 1号店が札幌市北区で開店」とのこと。大丈夫、北海道でした。
●実は歴史もセブンイレブンよりあり、設立の経緯も異色
Wikipediaでは、他にもおもしろかった点がたくさんあります。これまた意外なことに、「
1971年にコンビニエンスストア業態の最初の店舗を開店しており、日本国内ではセブン-イレブンよりも先駆けで最古参の部類に入る」とのこと。歴史もあるようです。
また、この設立の経緯というのがまた異色でした。大手資本が作ったわけではなく、中小零細企業が集まる形でできあがったみたいです。
セイコマートは地場の酒販関係者の集まりから派生したものであり、大手流通チェーンが設立母体であるセブン-イレブンや、ローソンのように商社の資本参画による経営ノウハウ・資本力で全国展開されている現在のコンビニ業界においては異色といえる。
当初の優位点は、酒類販売免許を得にくい全国チェーンに対し、酒販店からの転業が中心で、また北海道内では旧産炭地で廃業した酒販店の免許を多く転用できたため、ほぼ全店で酒類販売をおこなえた点にあった。また、子会社の問屋「セイコーフレッシュフーズ(旧:丸ヨ西尾)」や日販品(弁当類)製造発売部門を分社化した「北燦食品」といった事業別会社によるセイコーマートグループを形成し、道内物流の足がかりを整え、的確なマーケティングを行ってきたことで、他の酒販店系チェーンを抑え、北海道におけるコンビニチェーン店舗数道内シェア第1位(2006年9月時点)を獲得している。
酒造・酒販業界から発祥した経緯もあって、当初から酒類取扱店舗の率が極めて高いとのこと。酒類を取り扱わない店舗は、病院・大学・庁舎といった公共施設に入居する店舗のみで極めて少数だそうです。私はお酒飲まないので気になりませんでしたが、今でもお酒置いてないコンビニってあるんですね。
●関東に少しある程度でほとんど北海道にしかないセイコマート
先程特徴だとしていた「田舎への出店」に絡む話があったので補足。セイコーマートしか出店していないという貴重な地域が多いそうです。このWikipediaの閲覧時点では、宗谷総合振興局管内全域・留萌振興局管内の一部・上川総合振興局管内の一部(日本海側は遠別町以北・内陸は音威子府村以北・オホーツク海側は枝幸町以北)がそうでした。
ただし、全域に出店しているわけではなく、出店のない自治体もあります。道内で出店のない自治体は、2011年6月時点で、※占冠村、比布町、※初山別村、※幌加内町、※浦臼町、月形町、赤平市、※神恵内村、真狩村、乙部町。このうち、※印の町村は、セイコマート以外のコンビニもないそうです。
このように採算を取るのが難しそうな地域でも出店に成功しているものの、北海道以外ではうまく行っていません。1980年代に酒販店舗をセイコーマートへ転換する形で茨城県・埼玉県と、近畿地方へ進出しましたが、近畿地方については既に撤退し、関東エリアについては店舗の成り立ちから、フランチャイズ展開はかなり限定されているといいます。
店舗数は2011年3月末現在1101店舗となり、国内のコンビニでは第7位の店舗数ですけど、北海道1001店、関東地区100店と明らかに偏りがあります。私は茨城でセイコマートを見かけて「本州にもあるんだ!」とびっくりしたのですが、実はかなり貴重な店舗だった模様です。
●セコマのポイント導入の先駆性、セブンイレブンが真似するほど
その他の特徴をガガッとまとめて。
・他のコンビニエンスストアにはあまり見られない、新聞広告による特売チラシや特価品などが多いのも特徴。販売形態において個人店舗の名残を比較的残す店舗も多い。
・サービス産業生産性協議会発表、2011年度の顧客満足度調査コンビニエンスストア部門において首位を獲得(前回2位)地元基盤の企業が首位になるのは他の部門含めて初めて。
・HCの「大きなおにぎり」という商品は字の如くボリュームのあるおにぎりで、食事に時間の無い時やドライバーに売れ筋の特徴的な商品の一つである。さらに上回る大きさ(茶碗1杯分程度の米飯使用)の「超でっかいおにぎり」という商品も存在する。
・大手チェーンのファミリーマートの筆頭株主である伊藤忠商事と、セイコーマートの子会社である食品・酒類卸のセイコーフレッシュフーズとは従前より資本関係があり、道内に店舗を持たなかったファミリーマートとはDVD仕入れや歳暮商品取り扱いなどで提携関係にあった。2006年、ファミリーマートと丸ヨ西尾は合弁でエリアフランチャイズの北海道ファミリーマートを設立し、同年7月に第1号店を札幌市に開店、北海道へ進出することとなった。今後はセイコーマートの既存の店舗網や流通網と、ファミリーマートの全国ブランド力を生かし、すでにコンビニ過密状態と言われる北海道において両チェーンとの共存共栄をはかっていくこととなる。
北海道にはファミリマートが以前なかったのは知っていましたが、そういう経緯もあったんですかね。
最後はポイント導入について、独立してひとつ。これも特徴だなぁと思っていました。他のコンビニもポイントを導入し始めたものの、セイコマートの方が圧倒的に早く、先駆的でした。
・2000年に、日本国内のコンビニで初の本格的なフリークエント・ショッパー・プログラム (FSP) である「セイコーマートクラブカード」を道内店舗に導入し、翌2001年には関東地区店舗にも展開した。(中略)この効果に気付いたセブン-イレブンは2003年に北海道限定でポイントカードを導入し追従したものの、FSPとして充分に機能せず、大きく遅れをとり、nanacoの導入に伴い2007年5月で加入・ポイント加算を終了した。
なんかこうやって調べていると、好感度増しますね。今度帰ったとき、よく見てこようと思います。
●北海道で一番多いコンビニはセイコーマート ほぼ全市町村網羅
2013/5/4:ここから当初<セイコーマートが顧客満足度ナンバーワンなのはマーケティングのせい>というタイトルでまとめていた話を。上記で使った記事と同じ経ビジネスオンラインで、セイコーマートの別記事が出ていたんですよ。記事の最初ではまずセコマの特殊性について、説明されています。
<北海道に、他に類を見ないコンビニエンスストアがある。日経MJの調べによれば、北海道での店舗数は全国展開するコンビニ大手より多く、サービス産業生産性協議会の調査では顧客満足度がコンビニ業界で最も高い。(中略)
「その名を知らない北海道民はいない」といわれるほど、地域の生活に溶け込んでいる。コンビニといっても、都会や都市郊外だけのものではない。北海道にある179市町村のうち94%、ほぼくまなく全道をカバーするこの店は、他のスーパーや食料品店が不採算を理由に撤退してしまった人口減少地域や、離島にまで出店している。住民の生活を支えているばかりでなく、企業としても高い利益を上げているという>
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130326/245646/?mlp&rt=nocnt●できたて弁当など…独特すぎてコンビニらしくないコンビニ
今回の記事は、<大手もかなわない「北海道No.1コンビニ」の秘密 セイコーマート、「顧客と向き合う」本質とは?>(安藤 元博 2013年4月8日(月)日経ビジネスオンライン)というタイトル。他の投稿と重なる部分もありますが、以下のようにセイコーマートの魅力の一端を伝えています。
<まず、入り口の脇に大量に陳列されているワイン。酒屋でもこれほどのものはそうそうない、と思われるその種類の豊富さに目を奪われる。ボトルを手に取ってみると、そのほとんどに500円の値札がついている。「500円ワイン」と称される看板商品の一つだ。
山積みされている売り出しのクロワッサンには、「店内で焼きました」の文字。店を奥に進めば、惣菜コーナーが待っている。(中略)数が極めて多い。常時60種類以上を販売しているという。コンビニでよく見かける縦型のチルド棚だけでなく、広々としたストッカーに所狭しと並べられている。立ち止まって一見しただけでは、すべてのメニューを見渡すことができないから、どれがいいかと歩き回りながら選ぶことになる。
(中略)その値段のほとんどが100円だ。(中略)主食として十分と思えるほどの量が入っているから、パスタに加えてサイドメニューを3種類選んでも500円でお釣りがくる。
そして店の一番奥。「とんかつ弁当出来たてでーす」という店舗スタッフの声が響く。「ホットシェフ」という赤い看板が掲げられたこの一角の光景が、コンビニとして最も風変わりかもしれない。
店内でお弁当や惣菜の調理をし、出来たてのものを提供するシステムをとっている。フライドチキン、フライドポテトといった定番メニューが次々に作られ、順次、保温棚に並べられる。お昼時にはこのコーナー目当てに長蛇の列ができるほどの人気コーナーである。
店内をくまなく見渡してみると、ほかにも様々なユニークな特徴に目がとまる。まず、生鮮品の品ぞろえが多い。野菜や果物が豊富だ。そして、多くの乳製品や飲料、加工食品に「セイコーマート」ブランドが付いている>
前回の記事を読んだ後、北海道に帰ったときにセイコーマートに行ったんですが、私はやっぱり良さがピンと来ませんでした。ただ、上記のようなポイントのことは外して、目的のところ一直線だったからかもしれません。私は衝動買いなどをほとんどしない小売店には扱いにくいタイプです。
(2022/04/27追記:と当時は書いていたものの、北海道に引っ越して戻ってきてみると、私が行くコンビニはほぼセイコーマート一択。普通にセブンイレブンやローソンより良いですね)
●セイコーマートが顧客満足度ナンバーワンになった理由とは?
セイコーマートは「独特の店」であると言われています。記事によると、こうした強烈な個性派は最初から目指したものではないとのこと。丸谷社長が「マーケティング」と呼んでいる「徹底した顧客志向、生活者志向」の賜物であるようです。要するに「客の声に応えただけ」のようでした。
<マーケティングを重視する理由。それは企業の成り立ちとして彼らが、顔が見える顧客を相手にしてきた、あるいはそうせざるを得なかった事情がある。
北海道の人口は約550万人、全国の約5%だ。市場の広さは限定されている。(中略)
丸谷社長は、顧客を二次元でなく「三次元」で捉えると言う。顧客と店舗の関係を平面的に考えるのではなく、そこに“深度”を掛け合わせるということだ。550万人に毎日来てもらえれば、年間来店客数は延べ20億人という計算になる>
私は「深度」と聞いてとっさに客単価の話かな?と思いましたが、記事の書き方だと市場が狭くても顧客の来店回数を増やせばいいといった話のようです。"「顧客と向き合う」という概念は、多くの経営者が口にする方針"とあるようにありふれたものなんですが、他が口だけでやってこなかったってことなんでしょうね。
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