いくつか読んだ中で早川由紀夫教授の反論が多いものを選んで、
「福島の農家はオウムと同じ」 群馬大教授、ツイッター発言 (2011/12/9 2:37 共同通信 ページは日経新聞)から引用しますが、私はこの件で初めて早川由紀夫教授という方を知りました。
早川教授は、放射性物質に汚染された農作物の危険性を訴える趣旨で「福島県内の毎時2マイクロシーベルト以上の水田で稲を育てている農家は撃つべきである」「セシウムまみれの干し草を与えて毒牛をつくる行為も、セシウムまみれの水田で毒米をつくる行為も、サリンを作ったオウム信者と同じ」などと発言。福島第1原発周辺で耕作を続ける農家を批判していた。
群馬大は7日付で、福島県の被災者や農家に対する配慮を著しく欠く不適切な発言として処分した。
早川教授は処分について「言論の自由の根幹にかかわる。大学の自殺だ」と批判。群馬大は「処分は公表しない」としている。 |
どんな方か知らなかったので検索をかけてみると、以前取り上げた武田邦彦教授とともに「トンデモ科学者」(科学者と言って良いかは迷いますが)としてよく知られた方のようです。(武田教授は下記で書いたものの前に、雑誌記事で「生物多様性」に関しての支離滅裂な理論(確かこれが最初)を読んでいたので知っていました)
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武田邦彦中部大教授のめちゃくちゃな「タバコと肺がんはほぼ無関係」宣言 ■
武田邦彦中部大教授の青酸カリとセシウムの話 ■
武田邦彦中部大教授の論法なら、タバコは青酸カリを入れたようなもの 見ていると先述の発言以外にも眉をひそめるものがたくさんあったのですが、どうも放射性物質の汚染地図をいち早く作ったという功績のある方であり、ウェブ上でたいへん人気がある方でした。(2012/1/30追記 ただし、通称早川マップは不正確な点が多い、数値の捏造が指摘されるなど議論になっている、ということもあとから知りました)
で、武田教授も同じく大人気のため、先のものを書くときにはめちゃくちゃ気を使ったのですが、早川教授のことについても少しでも悪いことを書けば、批判コメントであふれかえりそうな気がして取り上げるかどうか迷いました。
あと、武田教授がそうですけど、炎上マーケティングの売名行為的な嫌いもあるという意味でも悩みます。
(炎上マーケティングの例としては、
日清食品 ラ王生産中止詐欺を取り上げていますが、このときは炎上マーケティングという言葉を一度も使っていませんでした。それより良いのは
とある原発推進派のデタラメかも。この方は原発以外でも過激なタイトルで的外れな記事を書いていましたので、かなり売名を意識してやっていると思われます)
ただ、それ以上に発言内容が心配になるものでしたので、なるべくサラっとですが紹介していきます。
(あと、そういう問題じゃないのですが断っておくと、いわゆる御用学者と定義付けられた人の発言も過去に私は否定しています。同じ量書けと言われると困りますが、
プルトニウム1個の重さと人体への影響の推測 ~飛ばないは嘘~はそれです)
最初は今回の発言関係ですけど、これは
武田邦彦中部大教授の青酸カリとセシウムの話と同じ感じですね。
福島のコメ農家はサリンつくったオウム信者と同じだと書いたら怒られたが、なんで怒られたのかいまだにわからない。適切な比較だといまでも思う。RT @09201209: オウム真理教のサティアンに毒物感知のために連れていかれた、カナリアの役目を追わされてますよ!福島の子供が! 2:53 PM Nov 4th HootSuiteから Retweeted by 38 people
HayakawaYukio 早川由紀夫
ツイッターより
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それに対する
はてなブックマークコメント。(なるべく過激な批判は除きました)
量の概念のない主張は役立たずだということを学ぶ気はないのか。
そして「早川さんが本当にそんなにひどいことを言ったのか」的な疑問を漏らしていた人はここにはブクマしない。人間って本当に自分の見たいものしか見ない。
"福島のコメ農家はサリンつくったオウム信者と同じだと書いたら怒られたが、なんで怒られたのかいまだにわからない" →①"汚染米"とサリンとの危険度の比較、②それが生計に影響するか否か、くらい すぐ思いつけよ
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ただ、ツイッターでは非難・支持半々の様子。
支持すること自体はもちろん自由なんですけど、
「地下鉄サリン事件の被害は霞ヶ関周辺。汚染食材の拡散は日本全国」
のような地下鉄サリン事件の被害者を傷つけるようなツイートは止めるべきだと思います。
(
早川由紀夫・群馬大教授のトンデモ発言集2 ~オウム信者に申し訳なかった、自分は煽るだけで責任を取らない~にその後のオウム発言も書きました)
次はいくつかの発言をまとめて。
国や県が悪いと不平をのべる福島県民がいるが、それは違う。国も県も悪くない。愚かなだけだ。悪いのは原発をつくった東電と、それを自分のところにつくらせた福島県民だ。
HayakawaYukio 2011/07/14 06:04:04
国や県が助けてくれないからを理由に毒米をつくる行為は、どこの世界に行っても肯定されない。主食に毒を混ぜたら国が崩壊する。福島県内の毎時2マイクロシーベルト以上の水田でいま稲を育てている農家は撃つべきである。
HayakawaYukio 2011/07/14 06:08:02
行政による出荷自粛の要請って、ほんとにひどい。農家はなんでそれしたがってるんだろか。全品即金で買い上げろと、なんで交渉しないんだろか。いままでは理解しがたいと思っていたが、いまからはそういう農家は私の敵だとみなすことにした。毒を口に入れられてはたまらない。殺される前に殺す。
HayakawaYukio 2011/07/15 04:28:00
宮城県と岩手県の沿岸には、3月11日の津波のせいで稲の作付ができなかった田んぼがたくさんある。4月と6月、この目でじっさいに見てきた。あの田んぼを思い出すと、放射能に汚染されていることがわかっているのにあえて稲を植えた福島の農家に私はまったく同情できない。敵だとみなす。
HayakawaYukio 2011/07/15 17:51:45
殺される前に殺す(http://togetter.com/li/164984 - 2011年7月25日 01:55 - ウェブ魚拓)より
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「収穫したコメが基準値超えたとき、国は適切な補償が行われるよう万全を期すとだけ書いている。これは、東電に補償させると読む。東電が、作付したかしなかったかで補償の有無を変えるとはどこにも書いてない。変えてはならない。自分の意思で作付しなかった農家にも等しく補償すべきである」
みたいなものの結論は真っ当だと思うんですけど、基本的にところ構わず銃を撃って罪のない人まで殺傷している感じですね。信者の方はそれが許されることなんだって、言うんでしょうけど……。
真っ当なところもあるというのは、
思考停止した方が楽だけどで書いたとおり、すべて正しいことをいう人がいないのと同様、すべて間違ったことをいう人もいないわけです。
じゃあ、どうやって見分けるの?については、そのときでは辛抱強く一つ一つ考えていきましょうということしか書かなったのですが、一応考える方向性を4つほど考えてみたのでそのうち書きます。(結局、記事3回分になりそうです)
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物事の真偽の判断基準1 ~基礎と基本がわからない人、間違いだらけの人~ あと、これアンチがまとめたんじゃなくて、ご本人がまとめられたようです。ですから、「殺される前に殺す」というタイトルや、引用元の最初の「いっけん人がよさそうに見える好々爺がいま福島で、毒米をつくっている」もご本人のようです。リンク先はウェブ魚拓になっているように、消してしまったみたいですが……。
最後、ついこの前調べたばかりのホメオパシーについて。(前日の
ニュートリノの光速超え?問題番外編1 ~光速ニュートリノはホメオパシーを援護する~)
ただし、
ニュートリノの光速超え?問題番外編1 ~光速ニュートリノはホメオパシーを援護する~で読んだホメオパシーの理論なら成り立つ、「放射性物質で健康増進」という話ではありません(ホメオパシーにも種類があるので、毒を使わない派みたいです)。文体からすると、ホメオパシーを認めろということのよう。
「世の中には「漢方薬はメカニズムがわからないからニセ科学だ」などと言う人もいるようです。僕たちはそのような立場に与しません。薬が効くか効かないかは、臨床的に研究すればよいのです」 |
ホメオパシーの治療効果は臨床的研究によって帰納的に否定されたのだろうか。8月24日に日本学術会議が発表した会長談話を読んでもわからない。レメディは、成分が1分子も残らないほど希釈しているから効果がある「ハズ」がないと演繹的に下した評価しかみつからない。漢方薬と同じように臨床的研究を待つ態度を、ホメオパシーに対してはなぜとらないのか。
漢方薬には成分がはいっている。しかしそれは薬になるかもしれないが、毒にもなろう。漢方薬が効くメカニズムはわかっていない。薬効の臨床的研究がすべてについて済んでいるわけではない。まだこれからの「薬」も多いらしい。毒かもしれないものを病人に投与してよいのか。毒にも薬にもならないレメディを飲むほうがむしろ安全ではないか。
(中略)
会長談話は、偽薬効果も認めないのだろうか。心理効果をねらって偽薬を処方することがじっさいに医療現場で行われていると聞く。これも否定するのだろうか。
ホメオパシーと漢方の違いはどこに? 早川由紀夫の火山ブログより
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いろんなところに今日はリンクしていますが、プラセボについても以前書いています。そのうちの
プラシーボ効果(プラセボ効果)2 ~人間の先入観の強さ~の最後に書いたのですが、プラセボ効果の利用については否定的な見解があるとともに、一般的な治療法ではないことが示されています。
医療現場で普通に使われているかのような早川教授の書き方は、ミスディレクション(誤認に導く説明)の疑いが残ります。
ホメオパシーの部分だけですがブログコメントを読んでみると、意外に否定的な意見ばかりで、
早川先生は、プラセボ効果について間違った認識をお持ちだと思います。 プラセボ効果と同等ということと、薬効として効果は認められないということは、同じ意味です。 したがって、ホメオパシーに偽薬効果があるかないか、という臨床研究というのはナンセンスです。 水であれ小麦粉であれ、プラセボ効果はあるのです。 早川先生の論理でいえば、水も小麦粉も治療に役に立つということになります。 ナンセンスです。
また、医師が治療のために、プラセボ効果を期待して薬を処方することは、通常あり得ません |
という、先程の私の疑問を丁寧に説明して、なおかつもっと大切なところを指摘してくれていたものもありました。
今日最も使われているプラセボは、新薬の効果を確かめる試験のときです。プラセボ……と言うよりはこの場合日本語の偽薬と言った方がわかりやすいと思いますが、偽薬を飲んだグループと新薬を飲んだグループに分かれて効果を見て、偽薬より良い結果が出ないと薬として話にならないよね、ってな使い方をします。
ですから、ホメオパシーが偽のお薬(大抵は塩水)と同じ効果がある、と胸を張ってみても全く意味がないわけです。
……と偉そうに書きましたが、早川教授の理解は論外だとしても、私もこうやって見逃していたわけで大いに反省せねばなりません。
(ホメオパシーに関しては、
早川由紀夫・群馬大教授のトンデモ発言集4 ~親は新生児の命を奪う選択ができる、自然放射能と人工放射能~がもっと酷いです)
とりあえず、以上。
「発言集」とした割には、一つ一つにいろいろ書いてあまり数を紹介できませんでした。
ただ、ある程度補足説明をした方が良いと思うし、これでも十分伝わったかなと思います。
続き
■
早川由紀夫・群馬大教授のトンデモ発言集2 ~オウム信者に申し訳なかった、自分は煽るだけで責任を取らない~ ■
早川由紀夫・群馬大教授のトンデモ発言集3 ~嘘、詭弁、ダブルスタンダード~ ■
早川由紀夫・群馬大教授のトンデモ発言集4 ~親は新生児の命を奪う選択ができる、自然放射能と人工放射能~ 関連
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武田邦彦中部大教授のめちゃくちゃな「タバコと肺がんはほぼ無関係」宣言 ■
武田邦彦中部大教授の青酸カリとセシウムの話 ■
武田邦彦中部大教授の論法なら、タバコは青酸カリを入れたようなもの ■
物事の真偽の判断基準1 ~基礎と基本がわからない人、間違いだらけの人~ ■
ニュートリノの光速超え?問題番外編1 ~光速ニュートリノはホメオパシーを援護する~ ■
とある原発推進派のデタラメ ■
日清食品 ラ王生産中止詐欺 ■
プラシーボ効果(プラセボ効果)2 ~人間の先入観の強さ~ ■
プルトニウム1個の重さと人体への影響の推測 ~飛ばないは嘘~ ■
その他の社会・時事問題について書いた記事
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