光源氏が紫の上に性行為を強行しましたが、その後何で泣いていたのでしょうか? |
源氏18歳に、北山で9歳ぐらいの紫を見いだし、これを略取して自分の二条院に移します。源氏23歳のとき、「ある朝、女君が帳台から出てこないことがあった」と示唆されています。 紫は14歳ぐらいになります。源氏は5年間のあいだ、紫と帳台を共に眠っています。 二条院に紫が移ったとき、乳母の少納言も一緒であったが、紫は、祖母を恋しがった。しかし、たまにしか訪れない父、兵部卿宮のことはまったく気にしていない。源氏は、紫の雛遊びを共にしたり、書や和歌を教えたり、琴を教えたり、ともかく、楽しい時間をこの後過ごします。 紫には、源氏は父であり、年の離れた兄であった。男女関係にある恋人という意識がまったくない。他方、源氏は、9歳の少女と、それから5年にわたり帳台を、時に共にする。しかし、何も手を出さなかった。 よく考えるともの凄く異常なことなのです。貴族の父であっても、娘と共に寝るなどは普通しないのです。源氏も、どうも奇妙な立場、関係になったと思いながらも、それに喜びを感じていた。 女房達がどう考えていたか。乳母の少納言をのぞき、紫の周りにいるのは、紫の世話をするため、源氏が新しく集めてきた女房・女童です。男女のことは、源氏が教えるだろうし、女房達には、源氏の方針に反して勝手なことをする力はなかった。下手なことを教えると、源氏の怒りに触れる可能性がある。 いかに高貴な貴族の娘でも、婚姻となると、乳母や女房達が、色々な予備知識を与えるのが普通ですし、その準備もします。 紫の場合は、特殊な中でも特殊な場合です。源氏は、紫には、父であり兄であり恋人(背の君)であるが、背の君と女君は何をするのか、おそらく一切予備知識がなかった。源氏が、自分でそれをコントロールしようとした。 従って、紫は、初めてのことに吃驚し、怯え、恐れ、疑惑や不安や様々なことで心乱れた状態だった。 これが紫の状況です。他方、源氏は若くとも、深慮遠謀の人です。こうなることは予見していた。そしてことを収める方法も考えていた。三日夜の餅を知って少納言は感激します。本には書かれていませんが、源氏は紫を十分に知っていた。こういうことです。 (なお、附記すると、源氏は色の道の達人です。性行為は行ったが、無理はしていないし、巧みに誘導したと考えるのが自然です。「強姦した」とか書いている人がいますが、勘違いも甚だしいでしょう。紫は源氏の珠玉であり、強姦などする訳がない。多分、巧みに手ほどきをしただけでしょうが、紫はそれでも吃驚した。源氏が色事の達人で、女性を喜ばせる名人だということを理解していれば、おかしな想像は起こらない)。 |
容貌も心ばせも完璧な女性と謳われて本人もそれを誇りに思っていた。しかし実子を持たず確かな後見ある正妻でもなかったため、朱雀院の女三宮の降嫁が決まった時には衝撃を受け、自分の身の不安定さに改めて気付かされ、苦しんだ。しかし紫の上の悩みに気づかぬ源氏と次第にすれ違いを重ね、その心労から37歳の厄年に重病にかかる(「若菜」)。その後療養のために二条院に移り、時折出家したい心境をもらすこともあったが、最後までそれを許されぬまま、源氏に先立って病没した(「御法」)。彼女の完璧さを頼りに安堵しきっていた源氏は、悲嘆の中で改めて彼女が隠してきた苦悩と孤独を痛感し、その後の一年あまり紫の上を偲び続けた(「幻」)。 |
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