1人あたりGDP、ドル換算で過去最高に(2011年12月26日19時22分 読売新聞)というニュースを見つけました。
内閣府が26日発表した2010年度の国民経済計算確報によると、10年(暦年)の1人あたり名目国内総生産(GDP)は前年比2・3%増の376万2000円で、3年ぶりに増加した。
リーマン・ショックの影響による落ち込みから、プラス成長に転じたためだ。
ドルに換算した1人あたりGDPは4万2983ドルで、過去最高額となった。前年より円高・ドル安が進んだため、ドルに換算した時の金額が膨らんだことが要因だ。経済協力開発機構(OECD)加盟34か国中の順位は、前年より2つ上がって14位だった。
中国の1人あたりGDPは4430ドルだった。中国は10年にGDP総額が5兆9259億ドル(40兆1202億元)となり、日本の5兆5035億ドル(481兆7732億円)を抜いて世界2位となったが、1人あたりの水準は日本の10分の1程度にとどまっている。 |
一人当たりGDPについては、ちょうど中国の話も出ていますけど、以前
「中国が日本のGDP逆転」に意味はあるのか?で触れました。
一度各国の数値を比較してみようと思っているのですけど、まだやっていませんでした。書きたいことがありすぎで、追いつかないんですよね。
一方、ドル換算に関しては、以前気になった記事で掲載した
本当の円高の理由はこれだ!世界からのラブコールに気づけ(ダイヤモンド・オンライン、田村耕太郎)でも、載っていました。
記事ではまず日本の能力を悲観すべきではないという話が続きます。
"国力分析の手法に、細かい相違はあれど、概要は同じものだ。それは、各国の諸要素、つまり、面積・人口・軍事力(防衛支出)・経済力・技術力・教育力・文化的影響力、法や制度の信頼性等々を足し合わせるのである。"
"ウエイトにより多少の相違は出るが、日本はどんな計算でも主権国家としては3位以内に入る。多くの場合、断トツのアメリカに次ぐ2位か2位争いを中国と激しく展開する。"
そして、問題のドル換算についてはここ。
"また、世界の経済データはドル建てであるという事実も日本への評価に国外と国内でねじれを生じさせる。日本経済の専門家や日本株専門の投資家は円ベースの統計で見ているので、日本国内の人々と経済実感が近い。しかし。その他殆どの人はドルベースの経済統計を見ているので、日本がそれほど停滞しているとは思えないのだ。"
あら、不思議。名目レートの円高ドル安のお陰で、日本は経済的にそれほどダメダメだとは見えないというのです。(政治的な部分には触れていませんので、日本ダメだ論者の方もご安心ください)
"円ドルレートの平均値を見てみると、2006年は116.35円、07年は117.76円、08年は103.38円、09年は93.60円、10年は 87.75円であった。今年を控えめに80円としよう。これだけ変動している円ドルレート。09年の円建て名目GDPは470兆円、10年は479兆円、11年も479兆円程度とみられる。円で見れば停滞している。しかし、これを同年の為替でドル換算してみると、09年は5.02兆ドル、10年は5.45 兆ドル、11年は5.98兆ドルとなる。つまり、為替レートのおかげでドルでみると日本経済は年率8-9%成長している経済に見えるのだ。これは中国に匹敵する成長率だ。株価にもこれが当てはまる。ドル建てでみると価格や動きが違って見えてくる。もちろん、こんな単純換算による比較は極端であり、統計のとらえ方として正しくない。ただ、ドルで見ると日本経済が国内で円でしか見ていない場合に比べて、元気に見えるのだという。"
当時は「うーん、どうなんだろう?と思いますが、確かに国際比較ならドルにするでしょうね。修正的な係数が入るべきなのかな?」と書きました。
たくさんの国をまとめて比較するのならともかく、やはり精密に比較するのなら実態を見れる修正が必要です。
で、物価の値上がりを入れるのはどうかな?と思ったんですけど、他の国は順調なインフレで、日本はデフレです。これ入れると余計日本が成長しているように見えますかね?
それで考え方は合ってるかな?難しくて、頭痛くなってきました。
ああ、逆かも、日本の伸びが縮まるのかも。要するに名目為替レートで換算すれば良いってことでしょうか?この実質為替レートについても今度書きたいです。
冒頭の通り1人当りGDPは過去最高になってしまったものの、日本は成長していないという見方は今後も覆らないものと思われます。
再掲載ですので最初の記事より当然前の記事になりますが、
日本経済が全く成長していない3つの理由では、ちょうど1人当りGDPを例にして日本が成長していないということを説いています。
"日本と同じG5国家である米英独仏は、日本と比べるとかなり好調に成長を遂げている事実を忘れてはならない。1995年~2010年の15年間におけるドルベースの1人当りGDPの成長を見ると、日本が1.02倍とほぼゼロ成長であるのに対して、イギリスは1.8倍、アメリカは1.7倍、フランスは1.5 倍、ドイツは1.3倍と日本以外の国はどこも着実に成長を達成しているのだ"
どれだけ伸びたか?ですので、おそらく1人当りGDPが過去最高であろうが伸び方が足りないという理論で、おそらくこの作者は持論を撤回することはないでしょう。
この記事では、
経済成長率=(1)労働の増加率+(2)資本ストックの増加率+(3)生産性の改善率
であるとしていました。
ここでの各項目についての補足は以下のような感じでした。
(1)就労者数と労働時間からなる。労働時間は日本においては1995年以降全く増えていない。正確に言うとどちらも微減。
(2)投資=貯蓄。過去20年間の日本の貯蓄率の推移を見てみると、近年の日本の貯蓄=投資の低調は明らか。(なんで投資=貯蓄なのかは書いていませんでした)
(3)生産性=技術係数。生産技術の向上や産業構造の高度化といったTFPの主要なファクターの改善は、結果的には「労働生産性」の向上として数値に表れる。
「労働生産性」とは労働者一人が1年間に生み出す付加価値の金額。一般に、ある仕事を行うために必要な知識や技術のレベルが高ければ高いほど、その仕事によって生み出される価値は大きく、労働生産性は高くなる。分かりやすく言えば、誰にでもできるような単純作業では労働生産性は低く、知的・技術的レベルの高い仕事では労働生産性は高い。
また労働生産性は、一国の産業構造が高度化することによっても向上する。戦後の日本の例で見れば、農村で小規模農業に従事していた若者が工業都市に出て大規模工場の工員になることによって労働生産性が高まった。さらに、組み立て工として工場で働くよりも金融・証券業やバイオ産業の研究開発に従事した方が労働生産性は高い。つまり、産業構造の高度化とは、労働生産性の低い産業から高い産業に労働者がシフトすることを意味しているのである。
労働生産性は日本だけ減少している。今は下げ止まったもののゼロ成長。
もう忘れちゃいましたけど、三つの理由ってのもこれだったかな?
(2)投資は稼ぎがないとどうしようもないですから、残るは(1)労働の増加と(3)生産性。
(1)のうち就労者は人口問題。私は
少子化対策などの少子化シリーズでも書いたんですけど、これはあんまり……。皆さん嫌いで、私も良いとは思わない移民での解決策もあります。
労働時間はもともと日本は高いって言われていたけど、どうなんでしょう?ここも増える余地ないのでは?
私が期待するのは(3)労働生産性。労働時間が長くて、各国より成長していないって要するにダラダラ働いていてるだけで、中身が何にもないってことじゃないですか……これは悔しい。
最近の
史上最年少上場社長リブセンス村上太一インタビュー ~1人が世界を変えるサービス~でちょっと書きましたし、少子化シリーズでも書いたかもしれないですけど、先進国は人件費が高い分不利になるのはわかりきっています。
労働の質を高めるということは絶対に必要です。
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