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二元代表制のメリット・デメリット


 たどり着くまで長かったですが、二元代表制の問題点 ~橋下徹大阪市長、河村たかし名古屋市長の減税案の例~でいただいた

> 二元代表制について、もう少し知りたいです。教えてください。
> 国の議員内閣制と地方自治体の二元代表制を比較した場合、二元代表制にはどのようなメリット、デメリットがありますか?

 の回答です。


 基本的には議院内閣制のメリット・デメリットの裏返しの形だと思うので、そちらも参考にしていただいた方がメリット・デメリットがわかりやすいと思います。

 で、そっちもそうなのですが、まとまった資料がなかったので、私の独断の部分が多くなっていることにはご注意ください。

(追記:議院内閣制・二元代表制別々に見るより、いっしょに見た方がわかりやすすかったと思ったので、そちらの形も用意しました。

  ■議院内閣制・二元代表制(首相公選制)の問題点と長所1 ~直接指名~
  ■議院内閣制・二元代表制(首相公選制)の問題点と長所2 ~オール野党・オール与党~)


 メリット・デメリットに行く前に二元代表制の説明。

 現在日本の地方自治体で取られている制度と思ってもらえばそれで良いのですが、まず住民が選挙によって議員を選ぶというのは国政といっしょです。

 違うのは、首長。総理大臣は国会議員による間接選挙という形になっているのに対して、地方自治体においては都道府県知事、市町村長といった首長も直接住民が選挙で選ぶことです。

 はっきり書いているところがないのですが、二元代表というのはおそらく、議員も首長もどちらも選挙で住民を代表するものであり、民意を代表しているものが二つある……といったことを意味しているんじゃないかと想像しています。

 二元代表制の場合、この二つの民意というのが特徴であり、メリットともデメリットともなります。


■メリット

●住民が直接、首長を選べる。

 国政において、国会議員が自党の党首・代表を首相に選ぶことは予想できますので、選挙直後は間接的に国民が首相を選んでいると言えます。しかし、飽くまでそれは「間接的に」であって、特に連立の枠組みが予め想定できないほど複雑である場合、意図しない人がなることになります。

 また、途中で辞めた場合も議会を解散して選挙し直す義務はないので、やはり国民が選んでいない人がなります。


 一方、二元代表制の場合は地方自治体の議員ではなく、直接住民が首長を選んでいます。民意を直接反映しているという点は、二元代表制の大きなメリットです。


●行政と立法との権力の分立がはっきりする。

 国会の場合、議員が総理大臣を選びますが、当然多数派を形成した派閥の長が選ばれます。また、内閣にも国会議員が多く含まれます。

 よって、行政(内閣)と立法(国会)のメンバーが重なっている、もしくは極めて近い関係になるため、権力の分立(三権分立)としては不十分となります。


 一方、二元代表制は立法府のメンバーは行政に参加せず、選出もしないため、行政と立法とが密接である可能性は下がります。

 本来、二元代表制の形としてはこういったオール野党の体制であるようで、与党は存在しません。

 したがって、行政への監視機能は十分に発揮されます。


 ……というのが理想なのですが、デメリットに出てくるようにそうならない場合も多いです。


●首長が大胆な政策を提案しやすい。

 基本的に首長は議員に選ばれるわけじゃないので、議員の都合の影響を受けにくいです。

 また、「行政と立法との権力の分立がはっきりする」で書いたように、原則的には与党が存在しないはずなので、その意見に束縛されることなく、大胆な政策を提案することができます。


 特に選挙に強い首長の場合、既得権益団体が持つ組織票に頼らなくて済むため、既得権益にメスを入れる改革も提案することができます。

  ■大阪市長選は橋下徹前知事VS既得権益の様相
  ■橋下徹大阪前知事サイド、平松邦夫前大阪市長サイドを応援した人、組織

 で見たように、橋下徹大阪市長は多くの既得権益と対立する形になっていると言えると思います。

 ここは参考のために議院内閣制のメリット・デメリットの方も見ていただきたいのですが、選挙に強くない政治家、得票が少なくても当選する形態の選出方法の政治家は、既得権益を持つ団体の票=組織票の重要性が高く、その選出を必要とする議院内閣制の方が既得権益の影響が強いという理由だと考えています。


●独特の視点を持った人・フレッシュな人でも選ばれやすい(1/15追加)

 国と地方の差というのもあるでしょうが、市町村長でなく都道府県知事においても議員を経ずに首長に立候補するケースは全く珍しくありませんし、当選することもしばしばです。

 国の代表という意味ではアメリカ大統領候補者と比較する方が妥当かもしれませんが、実際、アメリカ大統領の予備選候補者は知事からの転身が多く、政界の経験がない人すらいます。

 議院内閣制の場合、議員の中から代表者が選ばれることが多いですが、そうすると年功の占める役割が大きくなます。

 議員としての活動が長いというのは多分に利点もあるのですが、発想は保守的になりがちで、フレッシュさに欠けます。

 前項とも密接に関わりますが、既存の色に染まらない大胆な政策を掲げた首長が選ばれやすいというのは、二元代表制の魅力です。


■デメリット

●国会の多数派が与党とは限らないので、首長の政策が全く実行できなくなるおそれがある。

 メリットで書いたように基本的にはオール野党なのですが、そうなると首長側が提出した条例、予算などをすべて否決することが可能になります。

 首長は民意によって選ばれたのにも関わらず、全く公約を実行できない事態になりますが、当然議員も民意の代表であるわけで、こちらの意志も否定することはできません。


 「行政と立法との権力の分立がはっきりする」で書いたように、行政への監視機能は十分に発揮されるわけですが、一歩間違うと全否定という状態になります。

 首長の暴走を防ぎつつ、お互いに意見が異なる場合は話し合いで解決して妥協点を見出すというのが二元代表制の理想なわけですが、それは飽くまで理想であり、そうならないという事例がときどき起きています。

 二元代表制の問題点 ~橋下徹大阪市長、河村たかし名古屋市長の減税案の例~から、そういった事例の載った記事を再度引用します。

 あちこちの自治体で首長と議会の対立が先鋭化している。憲法が定める「二元代表制」が機能不全に陥ったのか。いや、成熟への過渡期と、とらえたい。

(中略)

 名古屋市の河村たかし市長は「公約が否決された」と議会リコールを仕掛け、辞職を申し出た。住民投票と市長選は、愛知県知事選とトリプルで二月六日にある。鹿児島県阿久根市では市長リコールが成立し、失職した竹原信一前市長の再審判は一月十六日に迫る。埼玉県草加市をはじめ各地で議会解散、二度の首長不信任、出直し選挙と続く例も少なくない。二元代表制の限界なのだろうか。



●議会が首長を任期途中解任することができない。

 先の事例で「市長リコール」という言葉が出てきましたが、首長のリコールは住民の投票によって行われます。

 したがって、首長を任期途中解任することができないわけではありませんが、議会がそれを行うことができませんので、その場合に比べてハードルが高くなります。


●首長の政策実現不可能と首長リコール、議会リコールの連続になるおそれがある。

 これは先の「首長の政策が全く実行できなくなるおそれがある」の関係です。

 「議会が首長を任期途中解任することができない」で書いたように、リコールは手軽にできるものではありませんが可能なことではあります。


 リコールは首長にだけではなく議会にもできますので、首長の支持者は首長派で過半数を取ることを目指して議会リコールを仕掛けることがあります。しかし、ここで過半数を取ることができなければ、結局議会との対立構造は変わりません。

 また、議会の多数派の支持者としても、認められない政策を提案する首長は好ましくないので、首長リコールをして別の候補者を首長にしようと試みることがあります。しかし、これもまた同様に新たな候補者が当選できなければ、事態に変化はありません。

 両派の支持が均衡している場合、リコール後の選挙が思惑通りにならないことが見られ、この二つのリコールが次々と起こることもあり得ます。

 阿久根市のケースがまさしくそういったケースでしたが、議会多数派と良好な関係の首長という組み合わせになるまで、首長選と議員選を繰り返すことになります。

 これが二元代表制の最大の弱点で、最も問題のある部分だと考えています。


●議会が責任を果たさなくなる場合がある。

 行政と立法との権力の分立がはっきりする、オール野党となって監視すると矛盾しているように思えるのですが、一転して議会が実質的にオール与党となったり、監視機能が働かなくなったりする場合が実際にあります。

 また、「首長の政策が全く実行できなくなるおそれがある」の関係で、首長が議会に完全に従うということも考えられます。

 その他、与党として行政に参加しない分、責任感が欠けるという副作用も考えられそうです。


 河村たかし名古屋市長と議会との対立の経緯で使ったものですが、

河村市長が支持を集める背景には、根強い政治不信が存在するという認識もあり、片山善博総務相(当時)は「これまでの二元代表制の下で(市長と市議会が)それぞれチェックし、牽制(けんせい)し合う機能があまりなくて、裏で手を握り、八百長、談合の傾向が強かった、それではいけないというのが阿久根、名古屋で、今までのアンチテーゼ

 というのは、前半の例です。


 また、竹原信一阿久根前市長の議員時代に、ある議員の税金による観光旅行や領収書偽造が判明したものの、多くの議員はそれを問題視しないかったということがありました。

 そのとき市長が何か改革に動いたという話もありませんでしたので、竹原信一阿久根前市長が市長と議会は馴れ合いだとしたのも、あながち的外れではないでしょう。


 もう一つ阿久根市の話を出すと、竹原信一さんを市長選で破った新市長が最初に提案して議決したのは、議員給与削減の全額を元に戻す案と、市長、副市長の給与の減額幅を少なくする案でした。(関連:新阿久根市長は駄目?)

 確かに竹原信一さんの給与削減は過激だったのですが、人件費だけで市の財政を使い切るほど困窮している状態で真っ先にやるのが自分たちの給与の話だと言うのですから、市民も舐められたものです。

 阿久根市の場合は竹原信一前市長派の議員がまだいますので野党不在の例ではありませんが、市長と議会の馴れ合いの構図は見て取れます。


●極端な政策を行う人物、資質に問題のある人物が、首長になり得る。

 直接国民によって選ばれますので、極度のポピュリスト(民衆に迎合した政治を行う人)、極端な政策を行う人物、話し合いで物事を決められない人物が首長に選ばれることがあります。

 先に出た竹原信一阿久根前市長や河村たかし名古屋市長はその例であり、橋下徹大阪市長についても独裁者、危険なポピュリストといった評がつきまといます。


 このうちポピュリストについては弁護しておきたいので、書くことがあると思います。実はポピュリズム的な政策の実行、と言うか、既得権益を改める政策は、安易ではなく険しい道であり、選挙でも不利になる場合があると思うのです。

 続き
  ■既得権益改革とポピュリズム1 ~既得権益批判は安易な道か?~
  ■既得権益改革とポピュリズム2 ~橋下徹大阪市長はポピュリスト?~

 関連
  ■議院内閣制のメリット・デメリット
  ■河村たかし名古屋市長と議会との対立の経緯
  ■小選挙区の問題点・選挙制度改革 ~小選挙区制度は失敗だった?~
  ■二元代表制の問題点 ~橋下徹大阪市長、河村たかし名古屋市長の減税案の例~
  ■大阪市長選は橋下徹前知事VS既得権益の様相
  ■橋下徹大阪前知事サイド、平松邦夫前大阪市長サイドを応援した人、組織
  ■新阿久根市長は駄目?
  ■地方でも政治家は駄目 ~買収とポスト争いと失言~
  ■その他の政治(全般)について書いた記事

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