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農家のための農協に戻る JA越前たけふの全農離脱


 農協に関しては書こうかなと思いつつ書いていなかったのですが、たまたま読んだ農協離れ加速、利権に風穴か 福井県の地域農協が全農に反旗(登録要、ダイヤモンド・オンライン、2011年11月28日 )がおもしろかったです。


 JA越前たけふの冨田隆組合長は、

「組織からの離脱だの、中央への反旗だのと言われるが、そんな大それた考えはない。組合員にとって何がよいかを考えたら、こうなった。農家のための農協という原点に戻るだけだ」

 としていますが、今年10月30日、JA越前たけふは臨時総会で肥料・農薬の購買やコメなどの農産物販売といった経済事業について、上部団体の「経済連(経済農業協同組合連合会)」から離脱し、独自で手がける方針を決定したそうです。

 記事ではJA越前たけふの打ち出した改革策を、農協組織の利権構造に風穴を開けるものと分析しています。


 ちなみにJA越前たけふはもともとアンチ中央の農協だったわけではなく、ごくごく平凡な農協だったそうです。

 しかし、各地の農協は経済事業の構造的な赤字を抱えていますので、こういう思い切った改革を試みるところが出てくるほど、追い詰められてしまったということのようです。

 他の農協もJA越前たけふの行動に注目しているらしく、「どうやれば、できるのか教えてくれ」といった問い合わせや、「がんばってくれ」という激励の電話が殺到する事態になっています。


 さて、実際にJA越前たけふが何をしたかですが、まず、農産物販売の説明です。(一部、説明のために順番を入れ替えています)

 肥料・農薬の購買や、コメなどの農産物販売は、一般に、単位農協の上部団体で、都道府県単位で置かれている経済連、さらにその連合組織である「全農(全国農業協同組合連合会)」が率いるかたちになっている(ホクレンなど、一部の例外がある)。


 言うまでもなく、経済連、全農を通せば、そのぶんだけマージンが加算され、農家にしわ寄せされる。


 そして、次のような改革を行いました。

これらの経済事業を、スーパーマーケット経営が主体の子会社「コープ武生」に2013年度に事業譲渡する、つまり、主力事業を本体から切り離すのだ。この結果、集荷したコメの販売は上部団体に頼らずに卸や消費者に直販し、肥料や農薬などの農業資材も自力で調達して販売する。だから経済連・全農は「単なる取引先のなかの1社。よそより条件がよければ取引する」(冨田組合長)という、以前の絶対君主的存在から一気に“一出入り業者”に格下げとなる。



 また、JA越前たけふは、全農が集団ボイコットしているコメ先物市場にも参加します。

 今年8月、東京穀物商品取引所(東穀商)にコメの先物が試験上場された。コメの現物市場であるコメ価格形成センターが3月に閉鎖されたため、全農の相対取引以外に米価の指標はなかったが、これにより透明性の高い客観的な市場価格が形成されることになる。

 コメ先物について全農は「先物価格が高くなると、減反への協力が難しくなる」「コメを投機対象にするのは食糧安全保障上、問題だ」と反対を続けてきた。

 だが、先物市場の持つ価格安定、需給調整の機能などを考えれば、これは全農がコメの集荷力と価格支配力を維持したいがための詭弁というのは明らかだ。

 ただし、これはJA越前たけふの前にすでにホクレンが在庫のリスクヘッジや、現物確保のためにアズキの先物市場に、また新潟県のJA大潟村のように組合長が“個人的”にコメ先物に参加し、売買状況をブログで公開している例もあるそうです。


 「経済連、全農を通せば、そのぶんだけマージンが加算され、農家にしわ寄せされる」のところに戻りますが、これは非常に当たり前のことです。

 そして、それを回避して、中間マージンを下げるということは、ずっと前から広く行われています。


 Wikipediaの卸売(問屋とも)は卸売について説明するとともに、以下のような点を指摘しています。

小売業者の大規模化・全国化によって、卸を経由しないでメーカーから直接仕入れることが多くなり、卸売業のウエイトが相対的に低下しており、医薬品など一部の商品では卸業界の再編が行われている。

なおメーカーや産地が直接的に消費者とやり取りすることを「直販」と呼び、これは主に通信販売の形態を取るが、宅配便の発達や決済手段の多様化、あるいは遠因に情報化社会の発達で顧客管理や発送業務が自動化ないし省力化しやすいなどの変化もあり、卸売り業態にあっても大口個人消費家を中心に直接対応する業態も見出せる。

 そういった流れの中で努力せずにのうのうと過ごしていれば、売上が伸びないのは当然です。

 検索してみると、JA越前たけふについてはこんな記事も見つけました。

 越前市のJA越前たけふ(冨田隆組合長、組合員約1万人)は2013年1月、コメの販売など主力事業を100%子会社の「コープ武生」に譲渡する。JAの流通ルートから離脱してコスト削減などを図り、地元ブランド米・コシヒカリの競争力強化を促進するのが狙いだ。

 越前市は、県がコウノトリ放鳥をめざすなど、自然に恵まれた土地柄。JA越前たけふは、稲が実る時期を猛暑から避けるために田植えを遅らせるなど、コメの品質向上に早くから取り組んできた。だが、JA県経済連に販売を委託する“JA方式”では、良質のコメも普通のものもほぼ同じ値で買い取られる。

 このため、JA越前たけふは2010年から、農薬と化学肥料を県基準の半分以下でつくった特別栽培米約1200トンのみ直接販売する方式を導入。コメのうまみ成分を点数化する「食味値」と、米粒の大きさや形を評価する「整粒歩合」を同年から表示し、おいしさを科学的に分析する全国共通の物差しでアピールした。すると、ブランドイメージが高まり、昨年からは生産された全てのコメ約8400トンも直販だけでさばけるようになり、12年産は11年の生産量を上回るほど予約が殺到しているという。

 「やる気が湧く。将来の若者の就農にも期待できる」

 そう語るのは、耕作地約2ヘクタール以上の大規模農家約70人でつくるJA越前たけふ稲作協議会の上嶋善一会長(60)。これまで1俵あたり1万2000円ほどだった特別栽培米が、1万4000~1万6000円で売れるようになった。上嶋さんの耕作面積は約20ヘクタールで最大128万円増益になるという。


 <2011年10月30日>

 この日は、JA関係者とって衝撃的な一日だった。JA越前たけふが臨時総代会でJA方式の離脱を決定。コープ武生への譲渡は、コメ以外の農産物から農機具の販売、肥料の仕入れなどあらゆる経済事業を対象とした。冨田組合長は「農家のためのJAという原点に戻り、消費者の安心を追求した結果だ」と振り返った。九州地方など他県の農業担当者や農業法人などから「農業生き残り策として興味がある」などと相談や視察依頼が相次いでいるという。

 だが、福井県内のJA関係者からは「安定して販売していけるか不安要因もあり、推移を見守りたい」との声も。JA県経済連は「独自改革するJAが出たことは経済連としても不十分さがあったと思う。越前たけふに負けない農家のための制度を構築したい」と意欲を見せる。

 農業を取り巻く環境は、政府の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加の決断で、大きく変わる可能性がある。JA越前たけふは昨年6月、台湾へ特別栽培米15トンを輸出。海外進出は初めてだった。日本料理店などで富裕層に評判といい、インドネシアや香港などからも引き合いがあるという。冨田組合長は「今から販路を広げてブランドを定着させて、守りに入るのではなく攻めていきたい」と力を込めた。


越前米 ブランド向上作戦(2012年1月6日 読売新聞 辰巳隆博)より

 JA越前たけふのこれらの試みがうまく行くかはわかりませんが、今までのやり方によって日本の農業が衰退の一途をたどってきたという事実は変わりません。

 たとえ失敗したとしても改革を試みなければ、日本の農業に未来はないと思います。


 追加
  ■JA越前たけふの改革 お米を消費者へ直接販売、コスト意識上昇など

 関連
  ■みずほの村市場 ~高くても売れる農産物直売所~
  ■米を研ぐ理由1 ~米は研がなくて良い~
  ■「森のくまさん」という熊本のお米がある あと、「三度のときめき」というお米もある
  ■農林水産省出身者や農業関係者でTPPに賛成する人もいる
  ■TPP問題 ~農業と農協~
  ■その他の企業などについて書いた記事

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