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昔はいじめがなかった?学校のいじめ件数が増えているという誤解


 昔はいじめがなかった論などの話をまとめ。<昔はいじめがなかった?学校のいじめ件数が増えているという誤解>、<昔と違って今のいじめは悪質!そう主張する人がやっていたこと>、<定義変更で激増「いじめじゃなくて遊び」の言い訳が無効に…>などの話をまとめています。

冒頭に追記
2022/07/13追記:
●「昔いじめはあまりなかった」は嘘?昔も多かったとわかる発言 【NEW】
●「強いやつはいじめられない。国も同じだ」も実は間違いだらけ… 【NEW】


●「昔いじめはあまりなかった」は嘘?昔も多かったとわかる発言

2022/07/13追記:他でも書いたのですが、自民党の麻生太郎副総裁が、ロシアのウクライナ侵攻を題材に安全保障体制や抑止力強化を訴えるために、いじめのたとえを使用した街頭演説を千葉県市川市で行ったそう。<「弱い子がいじめられる」 自民麻生氏、ロ侵攻巡り>(共同通信 / 2022年7月4日 22時41分)によると、以下のように言っていたそうです。

「子どもの時にいじめられたのはどんな子だったか。弱いのがいじめられる。強いやつはいじめられない。国も同じだ」
「強そうな国には仕掛けてこない。何発かやり返されると思ったらいじめられない。子どもの時の記憶を思い出してください」
https://news.infoseek.co.jp/article/kyodo_kd-newspack-2022070401001092/?tpgnr=poli-soci

 これについて「戦争の話は正しいけど…」「いじめの話は正しいけど…」両方の反応が出ていたのですが、実を言うと、どちらも間違いなんです。何一つ正しいことがないって、ある意味すごいですよ…。これに賛同して擁護しちゃっている支持者の方も多いのですが、間違いだらけでした。

 このページはいじめがメインの投稿ですので、先にいじめに関する間違いを指摘。元いじめられっ子がいじめっ子になるケースは多数あり、むしろこのことは問題にもなっています。また、逆にいじめっ子がいじめられるようになるパターンもあり、強いからいじめられない・弱いからいじめられる…とは言えません。

 さらに深刻なのが「いじめられている側にも原因」という間違った考えを強めてしまう可能性がある発言だったこと。いじめられている子の傷をえぐったり、いじめっ子を正当化したりしかねないもので、配慮のない発言でした。麻生太郎さんはいっつもそうですけどね。支持者が支持するので全然変わりません。

 あと、「子どもの時にいじめられたのはどんな子だったか」という言い方からすると、麻生太郎さん自身が関わったかどうかはともかく、いじめられる子の傾向を把握できるほど多くのいじめを子供時代に見てきたと考えられます。高齢者がよく言う「昔いじめはあまりなかった」も嘘だとわかりそうな話でした。


●「強いやつはいじめられない。国も同じだ」も実は間違いだらけ…

 以上はいじめの話なのですが、自民党の麻生太郎・副総裁の「弱いのがいじめられる。強いやつはいじめられない。国も同じだ」は、いじめだけでなく国としての話でも間違い。これが嘘だと一番わかりやすいのは、日本が世界最高の強国アメリカと戦争を起こしたということですね。強い国を攻撃する例があるのです。

 また、歴史的に見て強国同士が戦争する…というのもよくあるパターン。右派には日本も強い国だ!と言いたい人も多いでしょうが、これを採用した場合は、太平洋戦争も強国同士の戦争ということになります。ただ、どちらのパターンにせよ「強いやつはいじめられない。国も同じだ」が嘘ということには変わりありません。

 あと、ネットの右派の方なんかは「自衛隊すごい!アメリカも日本とは戦いたがらないぐらい優秀!」と普段は自衛隊コピペを自慢しているくせに、防衛費や核兵器などの話になると「日本は弱小。攻められる。強くしなきゃ」と都合よく矛盾した主張をする…とも思いました。要する嘘ばっかりなんです。

 支持者は「たとえ話が間違っていても麻生太郎総裁が言っていることは間違いない」と擁護していましたが、リベラルな政治家のたとえ話が全部間違っていた場合は「結論だけ正しい」などとは擁護しないでしょう。ダブルスタンダードです。さらに言えば、結論部分も問題があるんですよね。

 というのも、国の防衛というのは、軍備増強だけで行うのではなく、外交など他の手段を交えて行うものであるため。軍事力のみで対処するのは非現実的です。私は左翼でもないため、自衛隊を使いながら防衛を行うこと自体は賛成しますが、単純化して軍備増強一辺倒という考え方には問題があります。

 なお、今回麻生太郎さんの発言で利用されたウクライナ侵攻に関しては、日本の外交にも責任の一端があるでしょう。ロシアが1度目のウクライナ侵攻を行って間もない時期に、安倍政権はむしろロシアと親密に…。ロシアとしては、軍事侵攻をしても冷遇されないというお墨付きをもらったわけで、2度目の侵攻がやりやすくなりました。


●昔はいじめがなかった?学校のいじめ件数が増えているという誤解

2018/03/23:実を言うと、昔のいじめ件数のデータは、見つかりませんでした。おそらく政府も以前は調査していなかったのだろうと思います。なので、これにより昔はいじめがなかったと言うことはできません。データがありませんからね。

 調査していなかったのは、いじめが問題なかったからだと思われるかもしれませんが、そもそもいじめに対する意識が異なっていたという可能性が高いです。児童虐待なんかも昔は誰も虐待だと思っていなかったのが、意識の変化により虐待とみなされて件数が増えました。

 これはセクハラで考えるとわかりやすそう。昔セクハラの調査が行われていなかったのは、セクハラがなかったわけではなく、社会がそれを嫌がらせだと認識していなかったため。こういうパターンがあるので、昔より今のいじめが多くなっているという証拠を出すさないと、「昔はいじめがなかった」と主張するのは難しいのです。

 いじめに関する認識の変化は、そもそもいじめの定義が最近になっても何度も変わっていることからもわかります。この後載せる少中高のいじめ認知件数のデータなのですけど、どーん!と増えているように見えるところは、そもそも定義が変わっているところなんですよ。いじめが社会的な問題になって、いじめに関する意識が高まると、これまでいじめと考えていなかったものをいじめとみなすために、急にいじめが増えたように見えてしまうのです。

 また、先生方の関心が高まり、積極的にいじめを見つけるようになる…というのもあります。一見良さげな「いじめ件数を減らすこと」を目標にするのが悪いというのはこのため。減らすことを目標とすると隠蔽するようになってしまうので、件数が増えることが必ずしも悪いとは言えないのです。

60年度 155,066
61年度 52,610
62年度 35,067
63年度 29,786
元年度 29,088
2年度 24,308
3年度 23,062
4年度 23,258
5年度 21,598
(いじめの定義が変化)
6年度 56,601
7年度 60,096
8年度 51,544
9年度 42,790
10年度 36,396
11年度 31,359
12年度 30,918
13年度 25,037
14年度 22,205
15年度 23,351
16年度 21,671
17年度 20,143
(いじめの定義が変化)
18年度 124,898
19年度 101,097
20年度 84,648
21年度 72,778
22年度 77,630
(「平成22年度 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」統計データ - ストップいじめ!ナビより孫引き)


●いじめの件数は「発生件数」ではなく「認知件数」

 平成18年のいじめの定義の変化については、Wikipediaではから具体的なところを見ていきましょう。

平成18年以前の文部科学省による定義
「自分より弱い者に対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの」

2006年(平成18年)度の文部科学省による新定義
「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」
・起こった場所は学校の内外を問わない、個々の行為が『いじめ』に当たるか否かの判断は表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする。
・いじめの種類に「パソコン・携帯電話での中傷」「悪口」などが追加。
・いじめの件数は「発生件数」から「認知件数」に変更。

 いじめの件数を「発生件数」から「認知件数」に変更したというのは象徴的。犯罪件数などもそうなのですけど、発見体勢が充実しているかどうかなどでも、件数は大きく変化してきます。いじめを見て見ぬふりをするだけで、いじめ件数は大きく減るのである意味減らすのは簡単。でも、それじゃ意味ないですよね?


●昔と違って今のいじめは悪質!そう主張する人がやっていたこと

 検索していると、昔のいじめと今のいじめは違うというのを強調しているものが多く見つかります。テクノロジー的に昔はなかったものはその通りでしょうし、ある程度の変化はあるでしょう。ただ、これも前述の通り、そもそも昔はその調査を行っていなかったのですから、不確かなところがあります。

 より問題なのは、今のいじめは昔と違って悪質だと主張するものですね。また、今の子が軟弱だからといった主張も問題です。実を言うと、よりによって政治家の方が「今のいじめはもっと陰湿なので問題」「いじめられている方も弱くなっている」といった主張をしていたことがあります。

 これは、中川雅治,熊田裕通がいじめ自慢 橋本聖子,義家弘介も問題視せずでやった話なのですけど、これに加えて、どう考えてもいじめな内容を「いじめじゃない」ともしており、前述のようないじめ意識の変化も見ることができます。政治家たちの発言やふるまいがクズすぎて気分が悪くなるものの、悪い例の見本としては、たいへんわかりやすくなっていました。


●定義変更で激増「いじめじゃなくて遊び」の言い訳が無効に…

2019/02/01:いじめ件数は定義次第で大きく変わるので、増えたからといって深刻化したとは言えないという話に、わかりやすい例が見つかりました。

 2017年度に認知されたいじめが41万4378件と過去最多を更新。記事によっては、前年より一気に10万件以上も増えたとしているものもあります。そして、このような極端な増え方があったのは、当然、2017年に一気にいじめが増えたわけではなく、定義を変えたり、発見に力を入れたりしたため。文科省は、いち早く「いじめの芽」を摘むためとして、学校がいじめと判断すべき項目を増やしたせいでした。
(いじめ最多41万件 進む把握、解決直結せず 指導力不足、悪化の例も 毎日新聞 2018年10月26日より)

 他もチラチラ読んでいると、ケンカやふざけ合いなどについてをいじめに計上するようになったみたいですね。「いじめじゃなくて遊びですからー」というのはまさに、最初の投稿で書いていた政治家の認識と同じでした。


●いじめっ子たち「いじめじゃなくていじりのつもりだった」

2019/04/18:いじめを正当化していた政治家の方には是非読んでほしいのですけど、いじめが原因で亡くなった生徒について、いじめをしたとされる6人が「いじめという認識はなく、いじっているつもりだった」などと話したというニュースがありました。クラス内では「いじられキャラだった」という認識だとのこと。

 ただ、これまで何度も書いているように、これはいじめている側の一方的な言い分。第三者委の調査結果を見ても、いじめじゃないとは考えづらいもの。

(1)同学年の部員が複数回にわたって男子生徒のズボンを下ろすなどした
(2)同時期に携帯電話を複数回隠した
(3)自殺当日に男子生徒と部員との間で生じたトラブルを機に、無料通信アプリ「LINE(ライン)」のグループから男子生徒が外された
(「野球部員6人のいじめが原因」認定 福岡・高2自殺、県教委第三者委 毎日新聞2019年3月27日 21時08分(最終更新 3月28日 00時23分)より)

 上記のズボンを下ろしたってのは、前述の政治家が自慢げに語ったエピソードと同じですね。もっと言うと、政治家の武勇伝はより悪質なくらいでした。

 毎日新聞はいじめの相談窓口も掲載。うちでも載せておきます。

いのちの電話相談 0570-783-556=ナビダイヤル 午前10時から午後10時まで
自殺予防「いのちの電話」0120-783-556(なやみこころ)=毎月10日(午前8時から~11日午前8時)にフリーダイヤルの電話相談
日本いのちの電話連盟
全国のいのちの電話
東京自殺防止センター 03-5286-9090=年中無休、午後8時~午前6時(毎週火曜日は午後5時~午前6時 )


【本文中でリンクした投稿】
  ■中川雅治,熊田裕通がいじめ自慢 橋本聖子,義家弘介も問題視せず

【関連投稿】
  ■曽野綾子氏「加害者が傷つくから被害者の自殺もいじめと同罪」
  ■いじめは自衛隊や防大の文化 耐えることが自衛官の修行になる
  ■いじめられた経験がある人ほど、いじめられている子に厳しい
  ■教師はむしろ性格悪い? いじめに加担どころか率先、わいせつ行為など
  ■150万円支払いでもいじめではない…の横浜市教委、つくる会教科書採用していた
  ■学校・教育・子どもについての投稿まとめ

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