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世界の電力自由化・送電分離の動向


 送電分離については何度も書いてきたのですけど、海外ってどうなの?っての気になったのにも関わらす調べていませんでした。とりあえず、Wikipediaを見てみます。(省略を中心に改変は加えています)


■ヨーロッパ

 欧州連合 (EU) では市場統合の一環として、1987年に欧州委員会が域内エネルギー市場構想を提唱、1997年にはEU電力指令が発効し、加盟国は2003年までに、

* 発電部門を自由化すること(許可制又は入札制の導入)
* 段階的に小売市場を32%まで自由化すること
* 第三者に対して、非差別的に送配電系統の利用機会を与えること
* 発電・送電・配電が垂直統合された電力会社から、運営面で独立した送電系統運用者を設置すること(機能分離)
* 電力会社に、発電・送電・配電別に会計を分離するよう義務付けて、内部補助を防止すること(会計分離)

 などが求められた。2003年にはさらなる自由化を進めるために、EU電力指令の改正が行われ、加盟国は、送電系統運用者を法的に別会社として分離すること(資本関係があることは許容される)、2007年7月までに小売市場を全面自由化することなどが求められた。


■イギリス

 イギリスでは1957年電気法に基づき、電気事業は独占的に発電・送電を担う国営の中央電力公社(Central Electricity Generating Board, CEGB)と、地域ごとに分けられた12の配電局によって運営されてきたが、卸供給義務からくる過剰な発電設備の建設、供給コストのインセンティブ不足、割高な国内炭の使用等の原因もあって経営効率は低いと言われていた。

 サッチャー政権は電力改革計画を議会に提出し、1989年電気法が成立した。1990年、電気事業が再編され、CEGBは

* 発電部門は2つの発電会社(ナショナル・パワー、パワージェン)と1つの原子力発電会社(ニュークリア・エレクトリック)に、
* 送電部門は自然独占の分野とされナショナル・グリッド1社に、
* 12の配電局はそのまま12の地域配電会社に、

 それぞれ分割され、発電分野には強制プール制による競争が導入された。1990年からは小売供給部門にも段階的に競争が導入されることとなり、1999年に全面小売自由化が行われた。

 ところが強制プール制の下では取引規則が硬直的でかつ市場操作が容易なことから価格が期待したほどには低下しなかった。このため強制プール制は廃止され、2002年に相対契約を基本とする新電力取引制度(New Electricity Trading Arrangements, NETA)に移行した。電力市場スポット価格は1998年のNETA導入が発表された時点から2002年までに電力卸売価格は40%低下している。2005年には NETAはBETTA(British Electricity Trading Arrangements)へと発展した。

 競争の進展と共にM&Aが活発化し、2009年現在ではRWE系(ドイツ)、E.ON系(ドイツ)、EDF系(フランス)、SSE系(英国)、イベルドローラ系(スペイン)の5大グループに集約された。これに電力市場でシェアを伸ばしている旧国有ガス事業者(ブリティッシュ・ガス社)が加わり、英国の電力市場(小売)は、これら6大グループが95%のシェアを占めるが、独占的地位にある会社は存在せず、競争的で開かれた市場として評価されている。


 Wikipediaでは以上でしたが、以前書いた

  ■電力自由化の問題点1 ~イギリスの場合~
  ■電力自由化の問題点2 ~イギリスの電気代は安くなったか?~

 では、結局電力はまた上がったという主張でした。

 ただ、上昇の理由は火力発電所で用いる天然ガスの高騰が主な要因です。この状態を正すため、イギリスでは民間がやりたがらない発電所建設を国策で進めようとしていましたが、その一つが原子力発電です。

(福島第一原発事故前の方針です。海外のケースでも記事によっては原発の方が高いとしているものもありますが、イギリスの判断はそういうものでした。これは単に発電方法を分散したいだとか、核燃料と違って天然ガスは価格が上がり続けでこれからもそうなることが予測できているとか、価格が海外に左右されやすいとかの理由と思われます)

 そのときも書きましたけど、ここで送電分離と関連するのは、発電方式が偏りやすいという問題です。これには許認可でバランスを取るなど、完全自由化を避ける対応策はアリだと思います。


■北欧

 ノルウェーでは1991年に電力事業の再編と電力市場の自由化を実施、1993年には電力取引所ノルドプールが設立され、その後2000年までに北欧の他の3国が電力自由化と共に加わっている。


■ドイツ

 ドイツでは、自由化前、英国やフランスのように国有の独占的な電力会社は存在せず、垂直統合型の8大電力会社を中心に、自治体で運営する中小規模の電気事業者や地域エネルギー供給会社によって、電気の供給が行われてきた。

 EU電力指令を受けて1998年にエネルギー事業法が改正されて自由化が行われ、発電部門の参入規制緩和や送電部門の会計・機能分離が行われた。特に小売分野は一挙に全面自由化された。

 ドイツでは規制の実効性が低かったため、既存の事業者が高い託送料金を設定したことが原因で、新規参入者はほぼすべて撤退し、電力価格は2000年には上昇し始めた。また合併・買収が相次ぎ、8大電力体制が4大電力体制に移行し、寡占化が進んだ。そこで市場の競争状態を改善するため、託送料金については2005年から2008年末まで連邦系統規制庁(Bundesnetzagentur)による事前認可が必要となり、2009年からは独占者に価格引下げのインセンティブを与える規制が行われている。また、大手電力会社の送電系統運用部門は別会社化された。


■フランス

 フランスでは、電気事業の公益性が重視され、自由化に対する積極的な取り組みは行われていない。小売自由化については改正EU電力指令に従って、2004年に家庭用需要家を除く全需要家にまで対象が拡大され、2007年7月から全面自由化が開始された。

 フランスではEDFによる独占的な供給体制が続いている。規制料金が低い水準で維持されていることが新規参入の阻害要因となっており、新規参入者の販売電力量に占めるシェアは15%程度(2006年7月)となっている。


■アメリカ(中立的な観点に基づく疑問が提出されていました)

 米国では1990年代に、安い電気料金が米国経済の活性化のために必要との観点から、電力自由化が進められた。連邦エネルギー規制委員会(FERC)は1996年にオーダー888を出して送電網の開放(オープンアクセス)を義務付け、また電気事業者から独立して送電系統の運用を行う独立系統運用者(ISO)の設立を推奨した。1999年にはオーダー2000を出してISOより管轄エリアが広く広範な業務を行う地域送電機関(RTO)の設立を推奨した。

 小売市場の自由化については各州の判断に委ねられている。1996年から2000年にかけて24の州とワシントンD.C.で小売自由化の導入が決定した。しかし、2000年夏から2001年冬にかけて、カリフォルニアで電力危機が発生して以降は自由化の動きが停滞しており、2011年現在では15の州とワシントンD.C.で実施されている。

 2000年以降、アメリカ合衆国内では競争激化のため送電システムの管理・計画的更新がおろそかになり、大停電が発生したこと、電力卸売価格の投機的な操作による乱高下、安定的な電力供給(停電が生じた際のリスク)について大きな課題が浮き彫りになった。これは最終的な消費者にコストが知らされないで配電会社のみにそのコストリスクを押し付けた制度設計の不備が指摘されている。


■韓国

 韓国では国有の韓国電力公社(KEPCO)が独占的に電力を供給してきた。1998年のアジア通貨危機を契機に構造改革に取り組むこととなり、その一環として段階的に電力自由化を進めることが決定した。

 2001年、韓国電力公社の発電部門は火力発電子会社5社と水力・原子力発電を担う韓国水力原子力発電(KHNP)の計6社に分割され、同時に韓国電力取引所(KPX)と独立規制機関である韓国電力委員会(KEC)が設立された。しかし発電子会社民営化の第一歩として期待された韓国南東電力の株式公開は市場環境の悪化から失敗に終わり、2004年に韓国政府は当初予定していた配電部門の民営化の中止を決定した。その後計画の見直しが行われ、2010 年に韓国政府は新計画を発表し、韓国電力公社を市場型公営企業に移行し、政府の管理下に置くことを決定した。


■日本

 2001年からは発送電分離が議論されたが、電力業界はカリフォルニア電力危機を引き合いに出して電力の安定供給には発送電一体が必要と主張してこれに抵抗し、結局発送電分離は行われなかった。

 2007年4月の時点で新規参入者(PPS)の自由化部門に占めるシェアは約2%と伸び悩んでいる。既存の電力会社がそれぞれの供給区域をほぼ独占している。自由化区分の大口需要家の変更率(事業者数ベース)も、わずか2%にとどまっている。


 知りたかった供給トラブルに関しては、アメリカ以外触れられていませんでした。あらら。


 これだけだと写しただけなんで、独断で各国の電力自由化具合をマルバツで書いてみます。

国名   発送電分離 電力自由化
イギリス   ○     ○
北欧     ?     ○
ドイツ    ?     △
フランス   ?     ☓
アメリカ   ○    ☓~○
韓国     ?     ☓
日本     ☓     ☓

 あれ?発送電分離が全然書けません。全体に電力自由化が進んでいるところは、送電分離は当然やっているのかな?と思うんですけどね。

 検索してみると、「ドイツ、フランスなどが90年代に入ってから相次いで発電と送電を分離した」という文章を見つけましたので、たぶんここはやっています。2カ国いっぺんでお得でした。(東京電力の、発電、送電を分離する案について(佳那の日記)にあった東電の送電分離案、政府内で急浮上 電力各社は反発も(日経Web刊、2011年5月19日 リンク切れ http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E3E4E2E1908DE3E4E2E7E0E2E3E39797E0E2E2E2) より)

 でも、もう一つ発送電分離(Smart Grid Networks)というのを読むと、「送電部門の所有分離に対する反発は、フランス、ドイツを中心とする国々に根強くあります」とありました。あれあれ?判断が違っています。

 とりあえず、このサイトは詳しくって、以下のように書いていました。

欧米の送電部門は次の3類型に大別されます。

所有分離(構造的措置):送電ネットワークは、発電・小売り部門から資本関係を含めて完全に別会社化。英国、北欧4カ国、イタリア、スペインなどが代表的事例。送電会社は国営、または旧国営である場合が多い。

法人分離(構造的措置):送電ネットワークを分社化するが、持ち株会社の傘下で資本関係は維持。フランス、ドイツ、米国のPJM(ペンシルベニア州、ニュージャージー州、メリーランド州など北東部13州とワシントンDC)が代表的事例。

会計・機能分離(行為規制施策):発送電一貫体制を維持し、送電ネットワークの会計分離や情報の目的外利用の禁止など行為規制により公正競争を確保。日本のほか、米国のジョージア州、ノースキャロライナ州、フロリダ州など南東部がこれに当たる。

 これを読むと日本は「会計・機能分離」で、既に送電分離の一形態なんだそうです。

 以上を踏まえると、

国名   発送電分離 電力自由化
イギリス   ○     ○
北欧     ?     ○
ドイツ    △     △
フランス   △     ☓
アメリカ  ☓OR△   ☓OR△
韓国     ?     ☓
日本     ☓     ☓

 みたいな感じかな?(韓国は「電力自由化された」と書いているところもありますけど、どう見ても進んでいるとは言えません)

 こうやって見ると、本当各国で様々ですね。

 続き
  ■世界の電力自由化・送電分離の動向2 ~ノルウェーなどの北欧~

 関連
  ■電力自由化の問題点1 ~イギリスの場合~
  ■電力自由化の問題点2 ~イギリスの電気代は安くなったか?~
  ■送電分離のデメリット
  ■送電分離のメリット
  ■送電分離できていないことによる問題点1 ~新規参入事業者への妨害~
  ■送電分離できていないことによる問題点2 ~安定供給を目指さない場合がある~
  ■その他の政治(全般)について書いた記事

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