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在日ブラジル人に反日発言大統領が圧倒的に人気なのはなぜ?


 ブラジルの政治の話をまとめ。<ブラジル大統領、G7のアマゾン火災支援を拒否のなぜ>、<日本は何もかも小さい!日本を侮辱するたとえを好む大統領>、<なぜ?日本にいるブラジル人には日本侮辱の大統領が圧倒的人気!>などをまとめています。

 その後、<汚職批判で大人気となって当選したブラジル大統領にも汚職疑惑>、<●大統領が異例の警察長官解任、詐欺横領の捜査を妨害か>などを追記しました。
 
2023/04/14追記:
●汚職批判で大人気となって当選したブラジル大統領にも汚職疑惑
2023/07/11追記:
●大統領が異例の警察長官解任、詐欺横領の捜査を妨害か 【NEW】


●日本侮辱のブラジル・ボルソナロ大統領、アマゾン火災支援を拒否

2019/08/29:BBCの別記事を読んでいて目に入ったブラジル、G7のアマゾン火災支援を拒否  - BBCニュース(2019年08月27日)という記事。なんだこれ?と思って読んでみたら、読み終えてもなんだこれ?って内容でした。「支援はありがたいけど自分たちでできるから」ってものじゃなくて、どうも大統領個人の意地の問題っぽいですわ。なお、後述するように日本を侮辱する発言もしていた大統領でした。

 記事によると、ブラジル政府は、主要7カ国首脳会議(G7サミット)でG7が合意した2200万ドル(約23億3000万円)の消火対策支援を断る意向を示しました。開催国フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、G7諸国が2200万ドル(約23億3000万円)の金融支援を提供すると述べていたのですが、これを断るというのです。

 ブラジル政府のオニクス・ロレンゾニ大統領補佐官は、「マクロンは世界遺産の教会で予想できた火事さえ、防ぐことができないのに、我が国に消火の仕方を教えたいだって?」と皮肉。アマゾンの火事がたいへんなことになっている状態で言うことじゃありませんよね。


●マクロンが謝ったら考える!完全に大統領のメンツの問題か?

 大統領補佐官はさらに、ブラジルは原生林の守り方を「どんな国」にも教えられると強調。対応に自信があるということなのでしょうが、実を言うと、ボルソナロ大統領は以前、記録的な数の火災を消し止める能力はブラジル政府にはないと述べ、消火活動に消極的な姿勢を示していたとのこと。やはり意地の問題なのだと感じさせる話です。

 同様のことは他の話からも見えます。大統領とは違い、ブラジル政府のリカルド・サレス環境相は報道陣にG7の資金援助を歓迎すると述べていたとのこと。また、ボルソナロ大統領は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相からも支援の申し出については、それを受け入れたとツイートしていました。

 さらに別記事によれば、ボルソナロ大統領は緊急支援について、マクロン仏大統領が「侮辱的な発言」を撤回すれば、受け入れを検討すると表明したとのこと。完全にメンツの問題で意地を張っているようです。最近こういう政治家が多いのが頭痛いですけど、子供みたいですね。
(ブラジル、G7のアマゾン支援拒否へ 仏大統領の「侮辱」撤回が必要 - ロイターニュース - 国際:朝日新聞デジタルより)

 この侮辱的な発言ってのは、ボルソナロ大統領がフェイスブック上で、マクロン大統領が「ブラジルの主権に介入する目的で資金を送ってきている」と批判したことについて、「嘘つき」などと言われたことを怒っているっぽいですね。マクロン大統領夫人に対し無礼な発言もしており、むしろボルソナロ大統領が謝罪すべきな気がするんですけど…。

 最初書いたときに気づかなかったのですけど、すでに受け入れへと転じていました。G7からの支援、一転受け入れ=アマゾン火災でブラジル政府:時事ドットコムによると、以下の通り。(この2段落のみ、2019/09/01追記)

<ボルソナロ氏の怒りは27日になっても収まらず、受け入れ条件としてマクロン氏の「侮辱的な言動」の撤回を要求していたが、その後会見した大統領報道官は「政府は国際機関や外国からの支援金を受け入れる。ただし、われわれが管理する」と強調。ブラジル側が使い道を決めることを受け入れ条件とした>


●Wikipediaの説明を見たらいかにも…という政治思想で納得

 ボルソナロ大統領ってなんなの?と思ってWikipediaを見ると、トランプ系の保守派思想の方っぽかったです。なるほど!と思ってしまいました…。でも、こういう政治家が世界中で今人気あるというのはきついです。

・思想は極右とされ、ブラジルの下院議員を第7期を務めた。
・「ブラジルのトランプ」、「ブラジルのドゥテルテ」「トロピカル・トランプ(熱帯のトランプ)」と呼ばれている[7]。
・政策的には労働者層の支持を取り込んで当選したトランプやドゥテルテとは異なる点が多く、むしろ軍政の再評価、新自由主義と緊縮財政、極端な反共主義という観点からはチリの軍政独裁者であるピノチェトとの相関性がうかがえる。
・1964年のカステロ・ブランコ将軍による軍事独裁政権を支持し、国家主義と保守的な政治スタンスで有名になった。
・拷問の法的正当化、LGBTの権利に対する反対、およびその他の論争をよぶ発言から、約30件近い告訴と3件の判決をうけた。彼の政治的立場は、一般的には「極右」として分類される。


●日本は何もかも小さい!日本を侮辱するたとえを好む大統領

 トランプ大統領や支持者らが日本に対して侮辱的な発言をしていたことがあったように、こうした思想の人たちは海外に対して厳しくあたることがあります。すっかり忘れていましたが、私も5月に日本人は「ちっこい」=ブラジル大統領、侮蔑的に言及:時事ドットコム(2019年05月25日15時35分)で、この人のWikipediaを軽く読んだことがあったことを思い出しました。

 ブラジルのボルソナロ大統領は記者会見で、「ペキニニーニョ(ちっこい)」という意味で「日本人」という言葉を使用しました。この「日本人ちっこい」発言は、年金改革法案が骨抜きにされて改革が小幅にとどまれば辞任する考えを示唆したゲジス経済相に言及したときに飛び出したものだそうです。

 ボルソナロ大統領は「もし『日本人の改革』となるなら、彼は出て行くと言っているのだろう?」と述べた上で、「日本人の改革」の意味は「ペキニニーニョ(な改革)」だと自ら解説。さらに「あそこ(日本)では何もかもがミニチュアだ」とトドメをさしました。これで悪意がないってことはないでしょう。

 欧米では人種差別的ジョークの中で、日本人は小ささの例えとして登場するものの、国家指導者が公の場で使うのは極めて異例だと記事では解説。大統領はこの少し前に日本人男性との記念撮影をした際にも、狭めた人さし指と親指を使って短さを表現しつつ、「全部ペキニニーニョなんだろう?」と卑わいなジョークを飛ばし、一部メディアから「人種差別的だ」と批判されたこともあったそうです。

 でも、こうやって日本を侮辱するたとえを好む人が前述の通り、人気の大統領なんですよね。なぜか普段愛国を口にする日本人がこういう日本を侮辱する政治家を支持することもあります。世界中でこういう風に海外の国や人を悪く言うことで人気を取っている指導者が増えて、困ったことになっていますね。


●なぜ?日本にいるブラジル人には日本侮辱の大統領が圧倒的人気!

2023/01/05追記:その後、ボルソナロ大統領は大統領選で敗れています。ボルソナロ大統領は日本侮辱・アマゾン支援拒否以外にもめちゃくちゃなことをやり続けており、まともな日本人なら「負けて当然」と思うでしょう。ところが、実際には僅差での敗退。最初のときにも書いたように、こういう人はむしろ大人気なのです。

 さらに驚きなのが、日本を侮辱したようなこのボルソナロさんが、日本に来ているブラジル人たちに大人気だということ。日本に来ているブラジル人なら良識的で反日発言をする大統領なんか嫌い…と思いきや逆で大好きなのです。意外すぎますし、日本人的にはショックですね。

 これを書いていたのは、<日本国内では右派現職のボルソナロ氏が圧倒、なぜ? 左派元職のルラ氏が僅差で制したブラジル大統領選>(2022/11/12(土) 14:00配信 上毛新聞)という記事。群馬県には「リトルブラジル」と呼ばれるブラジル人が多い大泉町があり、群馬県の地方紙である上毛新聞は関心が高いのだと思われます。

<(引用者注:2022年)10月30日に行われたブラジル大統領選決選投票は、左派のルラ元大統領が、右派で現職のボルソナロ大統領を僅差で破って当選を決めた。だが、群馬県大泉町を含む日本国内での在外投票はボルソナロ氏の得票が8割を超え、ルラ氏を圧倒した>
<「決選投票でルラに投票したことは、あまり大きな声では言えない」―。太田市に住む40代の日系ブラジル人男性は、上毛新聞の取材に声をひそめた。
 決選投票の全体得票率はルラ氏50.9%に対し、ボルソナロ氏49.1%と僅差で決着したが、日本国内の投票結果は対照的だ>
https://news.yahoo.co.jp/articles/fb6242fc2c6ba72cd782642ead5dd93ef1eda9d9

 なぜ日本でボルソナロ大統領の人気が圧倒的なのか?というと、県内に住む複数のブラジル人は「日系人に南部出身者が多いから」と口をそろえています。来日しているのは日系人の子孫ばかり…ということなのですけど、結局、これもなぜ日本を侮辱したような大統領を…という疑問点に戻ってしまいますけどね。

<1990年の入管法改正をきっかけに来日したブラジル人は「定住者」の在留資格を得た日系2世、3世と家族が大半。そのため、サンパウロ州やパラナ州などに出身地が偏る。実際、決選投票で、両州を含む南部ではボルソナロ氏の得票がルラ氏を上回るケースが目立ち、逆にルラ氏は貧困層が多い北部の州で優勢だった>

 上毛新聞では、元大統領であるルラ候補への「汚職疑惑への拒否反応が強かったのでは」「『ルラよりはまし』と消極的な理由」といった解説。これは普通なら私も賛同するところなのですけど、ボルソナロ大統領の場合はトンデモすぎて、汚職どころではない感じ。また、ボルソナロ大統領自身にも汚職疑惑があるんですよね。

 記事では「もともと『反ルラ』を掲げて台頭したのがボルソナロ氏」ともあり、自己正当化バイアスが働き、以前の自分の選択を正当化した結果かもしれません。ブラジルの分断を憂慮しているルラ氏支持の人もいて、これもボルソナロ大統領の責任が大きいところ。また、普段ひどいコメントが多いヤフーニュースの1番人気コメントでは、経済状況を考慮した冷静な分析もありました。

<ルラは前に大統領だった時には、ブラジルは資源国として経済状況もよく、福祉政策も国内市場の拡大に寄与して、在任中の評判は非常に高かった。国際的にも存在感が大きく、オリンピックの誘致にも成功し、今、中南米を統一すれば、大統領はルラで決まりと言われたものだ。
 その後の後継政権になって経済が左前(引用者注:この場合「悪くなる」の意味)になり、左派政権への批判が噴出した。当時の政権への汚職捜査がきっかけにルラ前大統領(当時)への疑惑も明るみに出て、ルラの評判は失墜した。
 とはいえ、ここ20年ほどで、ブラジルの最も良かった時代といえば、ルラ大統領の時代。ブラジル国民にその記憶はやはり残っている。長く日本にいる人々にはそういう記憶はないかもしれないが>


●汚職批判で大人気となって当選したブラジル大統領にも汚職疑惑

2023/04/14追記:前回もちょっと書いたように、ボルソナロ大統領の人気の理由のひとつは汚職批判だったのですが、実はボルソナロ政権でも汚職疑惑があったようです。例えば、ブラジル大統領、議員時代に汚職関与か 元親族が証言と報道 | ロイター(2021年7月6日)という記事が出ていました。

<ブラジルのボルソナロ大統領が連邦議会下院議員時代に汚職に関与していたと、ニュースサイトのUOLが5日、同氏の元親族の証言を基に伝えた。親しい側近を雇い、公的給与の一部を返還させる仕組みだったという。
 リオデジャネイロ州の検察は先に、大統領の長男フラビオ氏を州議会議員時代に同様の汚職に関与した疑い(引用者注:こちらはおそらく別件)で正式に起訴している(中略)
 ボルソナロ氏は汚職撲滅を公約に掲げて大統領選に勝利した。>
<元親族の証言とされる音声記録によると、この元親族のきょうだいはボルソナロ氏に雇われていたが、約束した金額を給与から返還するのを拒否したため解雇されたという>

 ただし、”ブラジルの法律では大統領就任前の犯罪に対する現職大統領の起訴を認めていない”ともあったので、おそらく起訴はされなかったんでしょうね。この他、当時は、政府による新型コロナウイルスワクチンの不正契約疑惑で調達手続き上の職務怠慢を巡り捜査対象となっていたそうです。


●大統領が異例の警察長官解任、詐欺横領の捜査を妨害か

2023/07/11追記:前回の<汚職批判で大人気となって当選したブラジル大統領にも汚職疑惑>の補足。「汚職一掃」掲げた極右大統領は身内に甘かった | ラテンアメリカから | 山本太一 | 毎日新聞「政治プレミア」(2020年2月11日)では、以下のような話がありました。

<政権発足後、ボルソナロ氏は家族と閣僚に迫る汚職捜査には「寛容ゼロ」とはほど遠い対応を取った。それどころか、捜査妨害と受け止められたり、自身への飛び火を防いだりするような言動を続ける。
 まず政権発足直前の2018年12月、リオ州議会議員だった長男フラビオ氏(現上院議員)の政治資金問題が発覚した。金融活動監視審議会が、120万レアル(約3500万円)の使途不明金があると公表したのだ。
 検察は、勤務実態のない秘書の給与などとして公金をだまし取ったという疑いを持っている。(中略)実際にはフラビオ氏が不正を主導したとみて詐欺や業務上横領、マネーロンダリング(資金洗浄)容疑で捜査。フラビオ氏が転売したマンションや、共同経営するチョコレート販売店の購入資金に使途不明金をあてたとみている。検察は19年12月、フラビオ氏やボルソナロ氏の元妻らの関係先24カ所を家宅捜索し、裏付け捜査を進める。>

 ボルソナロ大統領は連邦警察の人事に介入するという異例の行動をとります。19年8月、検察の指揮下で捜査にあたるリオ州連邦警察の長官を交代させたのです。これは捜査妨害と見られていますし、実際、そうでしょうね。それ以外に説明しようがありません。

 有料記事であり、上記以外の詳しい話は不明なのですけど、このときに勤務実態のない秘書とされていた人物がまたすごいかった模様。なんと秘書らは殺人事件で警察に指名手配されている犯罪組織リーダーの母と妻でした。ボルソナロ一家に「闇の交友関係」があったと見られているそうです。


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