24時間営業のオンラインショップをタイムセールや閉店時間を設けるなどで、敢えて不便にすることでもメリットがあるという話をやっています。また、閉店時間を増やす営業時間短縮については、リアル店舗でも効果があり、こちらは後半で成功例を紹介しています。
2012/1/23:
●ビジネス・仕事のアイデアと工夫 タイムセールのメリット
●ディスカウントを好む一方で安物は買いたくないという心理
●マジで「閉店」…不利なように見える営業時間短縮の効果
●ネットだけではない!リアル店舗にもある営業時間短縮の効果
2020/05/31:
●「24時間365日」はメリットではない アマゾンは別の点で成功
●ビジネス・仕事のアイデアと工夫 タイムセールのメリット
2012/1/23:オンラインショッピングはいつでも買えるというのが便利で、24時間営業は当たり前。これは大きなメリットのように思えます。しかし、その魅力をわざわざ捨ててしまって、閉店するオンラインショップというのもあると知って驚きました。
住宅産業どん底のアメリカでなぜ急成長?インテリア販売サイト「ワン・キングズレーン」の工夫 (ダイヤモンド・オンライン、2011年11月30日、瀧口範子)によると、ワン・キングズレーンというアメリカのサイトがそうしたことをやっているとのこと。
ワン・キングズレーンの特徴は、いわゆる「フラッシュセール」と呼ばれる時間限定販売。フラッシュセールは数年前から、はファッション販売サイトで始まったものだと説明されていました。開店早々の午前9時から2時間などの限定で、デザイナーものの服を50~70%ディスカウントで売るといったやり方です。
ワン・キングズレーンの場合はインテリア商品の会社。同じ手法を利用して、期間限定を3日間にして、インテリア商品を売っている…といったことをやっているようです。
こうしたフラッシュセールは、メーカーの在庫処理のために利用されることがほとんど。掘り出し物を見つける興奮と制限時間の焦る気持ちとが相乗効果を起こして人が集まるとされていました。
記事ではこのように「フラッシュセール」としていましたが、一般人に馴染みのある言葉だと「タイムセール」で言い換えられそうです。意味的にはおそらくほぼいっしょですよね。実はこういった手法は何もアメリカじゃなくともやっているんじゃないかと。検索すると、
楽天タイムセール バーゲン市場というものが見つかりました。
●ディスカウントを好む一方で安物は買いたくないという心理
しかし、「ワン・キングズレーンからはもうひとつ学べることがある」とあり、以下のようなことが書かれていました。
<それは、在庫処理のセール品に見えないセッティングだ。ここでは単に商品写真を並べるだけでなく、凝った室内セットを用意して、そこで商品を撮影する。そのスタイリッシュなさまは、インテリア雑誌も顔負けだ。同サイトでは、1ヵ月1000カット以上の撮影を自前でやっているという>
アメリカの消費者は、定価ではモノを買わないのが常識で、いいディスカウントディールをいつも探しているそうです。それでいて、ただの安物買いというレッテルに甘んじたくもないとも考えています。難しいですね。そこで、工夫を凝らした安物販売のサイトが必要とされているそうです。
ただ単に安物を買うというのは、プライドが許さないんでしょうかね。何らかの言い訳が必要というのは、全然違う例ですけど、健康志向を打ち出してスイーツを売る…といったことを思い出しました。
●マジで「閉店」…不利なように見える営業時間短縮の効果
あと、タイムセールではなく、マジで「閉店」といった方が良いやり方で、もう一つ今度は日本のオンラインショップの話も紹介。
週に1回「閉店」するオンラインショッピングサイト「EC-FACE.JP」(ンターネットコム(2011年12月9日16時00分))という記事からです。
ウェブサイト制作・運営会社の渋谷フェイスがオープンした通販サイト「EC-FACE.JP」は、24時間、365日、いつでもショッピングが楽しめるのがオンラインショッピングで、あえて「閉店時間」を作っているそうです。
このサイトは毎週1回、金曜日の正午になると「閉店」して、サイト内の商品を入れ替える更新作業を行うのが最大の特徴。夜ではなく、真っ昼間にやるんですね。
メリットがなさそうに見えるものの、実は毎週新しい商品がラインナップされることにより、いつ訪問しても同じ商品が並んでいるというマンネリを感じることがないという長所があるとのこと。「今週はどんなものがある?」とウインドウショッピングをする感覚で、訪れることを習慣にできるサイトだとされていました。
●ネットだけではない!リアル店舗にもある営業時間短縮の効果
ここまでオンラインショップの話ばかりでしたが、現実のショップでも営業時間をむしろ短くしようという試みは行われることがあり、いろいろと利点があります。例えば、人件費などの削減、あるいは作業性の向上というのは利点だと言えるでしょう。
また、"営業時間の短縮を余儀なくされた"というタンメン屋さんが、追い込まれて逆に成功した話を書いた
最強のタンメン、千葉に現る! 営業時間短縮して月商3倍~タンメンしょうや(日経ビジネスオンライン)という記事もありました。
記事で紹介されていたタンメンしょうやは、「客の数よりもハエの数のほうが多かった」という状態で、1998年に加盟していたラーメンチェーンから離脱。それでも業績は一向に改善せず、現在の店主である横田省三さんが、1995年に脱サラをして家業に戻ってきても苦境は続いていました。
省三さんが本腰を入れてラーメン店の立て直しに乗り出したのは2003年から。まず手をつけたのが、メニューに写真を付けて見栄えをよくすることと、チラシ撒き。そして2004年に客との会話を通じて、おいしいと評判が高かったタンメンにメニューを絞り込んでいます。これにより、売り上げは下げ止まったとのこと。しかし、なかなか客足は伸びませんでした。
そして、ここからさらにピンチに。当時は、定休日もなく、夜遅くまで店を開いていたものの、両親も高齢になり働けなくなったのです。一方で、新たにスタッフを雇うだけの余裕もありません。ということで、営業時間の短縮は狙ってやったものではなく、仕方なく…でした。ところが、これがうまくいったのです。
2006年に営業時間を短くしたことで余裕が生まれ、2007年からは旗振りや看板の付け替え等の営業宣伝活動に着手できるようになりました。すると、認知が広がったことで、売上は急激に伸び始め、月商200万円まで増えたとのこと。何がどう転ぶかわからないものですね。
●「24時間365日」はメリットではない アマゾンは別の点で成功
2020/05/31:アマゾンがネットで売るものとして本を選んだことは素晴らしかったと思います。価格の割に送料がかからないためです。ただ、これについて、
非連続の中の連続(1) アマゾンの場合 2012年11月1日 楠木 建 (ダイヤモンド・オンライン)では、「誰もが思いついくビジネス・アイデアだ」と書いています。
記事によれば、実際、無数の企業が書籍のEコマースに雪崩を打って参入しており、アマゾンはその1社に過ぎなかったとのこと。ネットでは先行者有利なイメージがあるものの、アマゾンはとりたてて「先行者」であったわけでもないともされていました。私のイメージとは違っていたので、びっくりです。
アマゾンに先行者のイメージがあるのは、他社が失敗してしまったためでしょう。楠木 建さんは他社について、既存の書店でも「やろうと思ったらできてしまうこと」をやっていたとしていました。これが元の投稿に関係する「時間」の話であり、「24時間365日」はやろうと思ったらリアル店舗でもできることだとしていたんですよ。
逆に言うと、アマゾンは、リアル店舗でできないことをやってみせたという話。このアマゾンが優れていたこと、リアル店舗ではできなかったことというのは何でしょうか。楠木 建さんによると、そのビジネスが真の意味でのイノベーションだったのは、どうも顧客一人ひとりに最適化した売り場を作れたこと…といった感じみたいですね。以下のような説明がありました。
<顧客がアマゾンの店舗に入ってくる。すると、その途端に本屋さんのフロア構成から棚の配置が、その特定の顧客に合わせて一瞬にして変わる。0.1秒後に別の顧客が店に入ってくる。途端に、今度はその新しい顧客に合わせて書棚の配置が一斉に変わる。しかも一人ひとりの顧客に合わせて、そのお客さんが好みそうな本を勧める販売員が来店する顧客全員にアテンドする。こうした売り場づくりは、これまでのリアルな書店が宙返りしてもできないことだ>
【関連投稿】
■
日本で売れるパンはたった7種類しかない!どのパンが売れるパン? ■
逆転の発想・業界の常識破り…「品切れ」を売りにするお店など ■
フリーミアムの事例と問題点 最大の成功例はスマホゲーム業界 ■
経費は無理に増やさない 税金はたくさん支払う方が利益も多い ■
実力より世襲社長が良い意外なメリット 会社の後継者・事業継承問題 ■
ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|