カエデ、モミジ、フウの話をまとめ。短くするためにタイトルはわかりづらくなったのですが、<「楓」をカエデと読むのは間違い?本来は「フウ」を指す漢字…>と<もっともらしく言われるカエデとモミジの違い 実際には同種?>という話がベースです。
2023/04/12追記:
●鰍は日本だとカジカを意味する漢字だが、中国だとドジョウを指す 【NEW】
花木 庭木の苗/モミジ:ムーンライズ3.5号ポット
●「楓」をカエデと読むのは間違い?本来は「フウ」を指す漢字…
2022/09/29:動植物の名前が間違って広まった…ということは意外に結構あります。日本の場合、ちょくちょくあるのが、中国と同じ動植物だと勘違いして呼んでいたら「後から別種だった」と判明するパターンです。
この例で私が思い出したのが楓(カエデ)。人名でもかなり使われる、日本で最高クラスに有名な方の木なのですが、「カエデ」に「楓」という漢字を当てるのは間違いだと聞いたことがあります。「カエデ」にあたる木の漢字は「槭」であり、「楓」は「フウ」という全く別の木を示す漢字のためです。
カエデ ムクロジ目ムクロジ科カエデ属
フウ目 ユキノシタ目フウ科フウ属フウ
ただ、ウィキペディアでは、直接「間違い」という説明はしていません。例えば、
フウ - Wikipediaでは、<日本では古来、「楓」の字を「カエデ」と訓むが、本来の楓は本項目のフウのことを指し、カエデを表す漢字は槭である>という書き方。また、
カエデ - Wikipediaでは、以下のように「古来」ではなく最近変わったような書き方をしていました。
<日本ではカエデを通例「楓」と書くが、中国ではカエデに「槭」の字をあて、「楓」はマンサク科のフウを指す。フウとカエデは葉の形が似ているが、カエデの葉は対生、フウの葉は互生につき、異なる植物である。かつてはカエデ科の木には「槭」が用いられていたが、この字は常用漢字に含まれず、替わって「楓」が充てられることが多くなった>
●ややこしい「もみじ」…「カエデ」の違いや「こうよう」の意味
また、カエデではまだおもしろい…というか、ややこしい話が他にもあります。モミジとの使い分けです。
カエデ - Wikipediaでは、冒頭に名称関係の話がいろいろとあり、その中でカエデとモミジとの呼び分けについて説明している部分がありました。
<カエデ(槭、槭樹、楓、鶏冠木、蛙手)とはムクロジ科(旧カエデ科)カエデ属 (Acer) の落葉高木の総称。名前の由来は、葉の形がカエルの手「蝦手」に似ていることから、呼び方を略してカエデとなった。
モミジ(紅葉、椛)とも呼ばれるが、葉の切れ込みが深いものを「モミジ」、葉の切れ込みが浅いものを「カエデ」と呼んでいる(植物学的には同じ系統)。赤・黄・緑など様々な色合いを持つ為、童謡では色を錦と表現している。また、英語圏では一般にMaple(メイプル、メープル)と称する>
「もみじ」でややこしいのが、カエデと同種であるモミジ以外の木の紅葉(こうよう)をも「もみじ」と呼ぶ場合があること。この場合は、「落葉広葉樹が落葉の前に葉の色が変わる現象」全般のことを指します。
紅葉 - Wikipediaで、「もみじ」に関連する部分を抜き出すと、以下のような感じです。
<紅葉(こうよう)、もみじ(紅葉、黄葉)は、主に落葉広葉樹が落葉の前に葉の色が変わる現象のこと。ただし、単に赤変することを紅葉(こうよう)と呼ぶ場合もある。>
<一般に落葉樹のものが有名であり、秋に一斉に紅葉する様は観光の対象ともされる。カエデ科の数種を特にモミジと呼ぶことが多いが、実際に紅葉が鮮やかな木の代表種である>
<もみじ(旧仮名遣い、もみぢ)は、上代語の「紅葉・黄葉する」という意味の「もみつ(ち)」(自動詞・四段活用)が、平安時代以降濁音化し上二段活用に転じて「もみづ(ず)」となり、現代はその「もみづ(ず)」の連用形である「もみぢ(じ)」が定着となった言葉である>
<日本では、紅葉の季節になると紅葉を見物する行楽、紅葉狩り(引用者注:もみじがり)に出かける人が多い>
●もっともらしく言われるカエデとモミジの違い 実際には同種?
2022/10/04追記:前回出てきたカエデとモミジとの呼び分けについて補足。ウィキペディアでは、葉の切れ込みが深いものを「モミジ」、葉の切れ込みが浅いものを「カエデ」と呼んでいるものの、「植物学的には同じ系統」という説明でした。しかし、もっとはっきり「モミジとカエデは同種」としているサイトもあります。
この話があったのは、
もみじとカエデに違いはある?知れば紅葉狩りがもっと楽しくなる特徴や由来を解説 |紅葉名所2022 - ウォーカープラスというページ。「NHK趣味の園芸」で講師としても活躍している確実園園芸場の川原田邦彦さんが監修した記事だそうです。
こちらによると、植物学上ではカエデともみじを区別する定義はなく、モミジ属は存在しません。ただ、イロハモミジ、ヤマモミジ、オオモミジの3種には「モミジ」の名前が入っています。一方で、「イロハモミジなども植物学的にいえばカエデと呼ぶ方が正しい」とも書かれていました。
さらに、盆栽界では、葉の切れ込みが深いものがもみじ、浅いものがカエデとされているものの、実は「明確な違いがない」というのが正しい答えだとの記述も。川原田邦彦さんは「実際のところ、2つの違いを論じる意味は薄いです」とおっしゃっており、区別にこわだる必要性がそもそもないとの見解でした。
●モミジ葉のようなモミジバフウ モミジではなくもみじ葉風でもない
2022/10/10追記:まだあるのかよ!という感じですが、モミジ関係のややこしい話は他にもありました。上記までで書いたように、モミジとも呼ばれるカエデの漢字「楓」は本来は「フウ」という全く別の木を示す漢字。このため、日本ではカエデもフウも同じ漢字の「楓」で示すことがあるという妙なことになっています。
カエデ ムクロジ目 ムクロジ科 カエデ属
フウ ユキノシタ目 フウ科 フウ属
さらにややこしい話というのは、このフウの一種に「モミジバフウ」という木があること。モミジと呼ばれる種類のカエデに似ているためだろうな…と読んでみると、やはりそういった説明が見られます。「フウ」という名前のせいで「~風」という意味の「もみじ葉風」みたいな名前だとも勘違いしちゃいそうですね。
・葉は互生して形はカエデに似ており、5 - 7裂した掌状で光沢があり、美しく紅葉する。
(
モミジバフウ - Wikipediaより)
・トウカエデに似ている。
(
フウ - Wikipediaより)
●フウの別名はイガカエデ…古来は男の桂でオカツラとも呼ばれていた
2022/10/31追記:
フウ - Wikipediaによると、フウには別名が多く、サンカクバフウ(三角葉楓)、タイワンフウ(台湾楓)などとも呼ばれているそうです。やはりカエデと似ていると思われたんだろうな…というイガカエデ(伊賀楓)、カモカエデ(賀茂楓)という別名もありました。
また、フウの古名はをオカツラ(男桂)だという話もウィキペディアではありました。上の方で、「かえで」と呼ばれる楓は、人名でもかなり使われる、日本で最高クラスに有名な方の木だと書いたことがあります。男性名でも「楓(かえで)」の使用例を見ますけど、どちらかというと、女性名が多い印象です。
フウの場合は古名がオカツラ(男桂)でしたので、男性的と思われた感じ。似ていますので、ひょっとしたらカエデ・モミジも古来は男性的と見られた可能性もありますけどね。あと、フウの古名の場合、カツラ(桂)というまた全く別種の植物名を含んだ名前が出てきており、これまたややこしくなっています。
●鰍は日本だとカジカを意味する漢字だが、中国だとドジョウを指す
2023/04/12追記:最初のときに、<動植物の名前が間違って広まった…ということは意外に結構あります。日本の場合、ちょくちょくあるのが、中国と同じ動植物だと勘違いして呼んでいたら「後から別種だった」と判明するパターンです>と書いていました。魚のカジカを示す漢字「鰍」も中国と日本で違うと知ったので紹介しておきます。
カジカ (魚) - Wikipedia<カジカ(鰍、杜父魚、鮖、学名: Cottus pollux)は、スズキ目カジカ科に属する魚[1]。日本の固有種で、北海道南部以南の日本各地に分布する。地方によっては、ハゼ科の魚とともにゴリ、ドンコと呼ばれることもある>
<日本語で「鰍」は「カジカ」を意味するが、中国語で「鰍」の表記はドジョウを意味し、「カジカ」は「杜父魚」と書かれる。なお、カジカは石伏(いしぶし)、石斑魚(いしぶし)、霰魚(あられうお)、川鰍(かわかじか)、ぐず、川虎魚(かわおこぜ)などの別名を持つ>
大盃紅葉苗 【もみじ】 【モミジ苗】【紅葉】
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