社長の出身地でもっとも多いのはやはり東京。だが、人口に対する輩出人数を表す「輩出率」に着目してみると、意外な結果が出た。山形がトップでしかも2年連続の首位。 |
理由について商工リサーチでは「山形は『辛抱強くて働き者』の県民性に加え、『伝統工芸品の宝庫』と称されるほど家内工業が盛ん」とし、「江戸時代は活発な北前船交易で港町が栄え、物資が行き交う要衝となるなど商工業の重点が高い土地柄」と指摘。商工業と身近な生活環境が影響しているとみている。 2位の香川は「協調性や順応性に優れた県民性と商売上手な気風」が関係し、以下、徳島、秋田、大分と続く。上位には東北と四国が目立った。 「社長の出身地」では、東京(1位)、北海道(2位)、大阪(3位)など大都市が上位にランクインしたが、輩出率に置き換えると、東京37位、北海道20位、大阪42位になる。 同時に調べた「社長の出身校」は日大がトップで、2位が慶応、以下、早稲田、明治、中央の順となった。 |
ここでは、役員・管理職適齢期を「40歳前後以上」と考え、現在その年齢に当たる人たちが出生した1970年当時の都道府県別人口を用いることにする(出生率は都道府県によって大差はないと仮定)。参考までに、1970年時点と2010年時点を比べたものが、以下の(表2)である。 この1970年当時の都道府県別人口の順位と、出身都道府県ごとの役員・管理職の合計人数の順位を比較すると、以下の(表3)のようになった。 ではこの表を基に、出身都道府県別に、人口に比べて役員・管理職の割合が高い地域を見てみよう。(表3)の最右欄にある数値は、「人口の順位」と「役員・管理職の合計人数の順位」との差を表しており、これを「ランクアップ度」とした。 この数値が大きいほど、役員・管理職の絶対数では上位ではないが、人口の割には健闘度が高い地域、つまり「出世度が高い地域」ということになる。ランクアップ度が高いものから順に、並べてある。 |
・石川県、福井県、富山県の北陸勢、香川県、山口県などが躍進している。 ・とりわけ、人数順位との兼ね合いで見ると、山口県、三重県、岡山県、佐賀県、新潟県などは健闘していると言える。 ・人数順位上位の中では、東京都、大阪府、愛知県、兵庫県、広島県、福岡県といった地方中心都市を抱える都道府県が、大きくランクダウンはしていないものの、大きくランクアップもしていない。 ・人口の多い都道府県の中では、東京近郊の埼玉県、千葉県、神奈川県が振るわない(ランクダウンしている)。 ・ランクアップ度の下位を見ると、茨城県、青森県、秋田県、岩手県、福島県、熊本県、宮崎県、沖縄県などにおいて、ランクダウンが顕著である。 |
やや独断ではあるが、北陸、中国、四国地方の出身者は、役員・管理職への出世に長けていそうな印象を受ける。逆に、関東地方の一都三県から関西にかけてのいわゆる太平洋ベルト地帯の出身者は、このデータからは明確に判断しづらい(と言うか、人口が集中しているが故に、“平均的”にならざるを得ないのかもしれない)。 また、最も出世が厳しそうなのは、東北地方や九州・沖縄地方など、日本列島の両端に位置する県の出身者と言えそうだ。 どうしてこのような分布になるのだろうか? これはあくまで筆者の「推論」であり、当該データが直接指し示している事実ではないが、こうしたトレンドには「進学・就職する場所」も大きく影響しているのではないかと思われる。 一般的に、大都市圏の出身者は、地方ではなく生まれ育った都会で進学・就職する割合が圧倒的に高いため、「自ずと就職できる企業の数や、役員・管理職のポストが多く、出世しやすい」とイメージされている。これは、一面の真実と言えるだろう。 それに対して、東北地方や九州・沖縄地方は、東京・大阪・名古屋など、日本の中核を成す大都市圏から比較的遠いため、出身者の一定割合は大都市圏の大学に進学せず、またその流れで都会の企業に就職することもせず、地元で就職することが考えられる。 一方、北陸地方や中国、四国地方の一部といった県の出身者については、ランクアップが目覚ましい。北陸、中国、四国地方は、比較的首都圏、大阪、名古屋に近いこともあり、大都市の大学に進学して、都会の出身者たちと切磋琢磨しながら、厳しい就職戦線や出世競争に打ち勝っているのかもしれない。だとすれば、それこそが「県民力」の表れというべきなのだろうか。 |
ブログ内 | ウェブ全体 |
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ |