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マクドナルドが野球球団買収を諦めた理由 スポーツビジネスは片手間じゃダメ、真剣に!


 スポーツビジネスの話をまとめ。<マクドナルドが野球球団買収を諦めた理由はアメリカ側の要求>、<スポーツビジネスは片手間じゃダメ、真剣に!日本と米国の違い>、<米スポーツテレビ局がマイナーコンテンツで本気を出す理由>、<税金で成り立つ日本のオリンピックやクラブは本当に健全なのか?>などをまとめています。


●マクドナルドが野球球団買収を諦めた理由はアメリカ側の要求

2012/1/25:うまく使えていなかったスポーツ関係でブックマークしていた記事を「スポーツビジネスは片手間じゃダメ、真剣に!」というテーマで一括りにして紹介してみることに。最初は、球団買収、マックが13年前に断念した理由 田中陽 2011/11/11 7:01 日経新聞という記事の話からです。

 記事によると、1998年9月上旬、日本マクドナルド(現・日本マクドナルドホールディングス)の藤田田社長(当時)にインタビューしたとき、「日本の(プロ野球の)球団を買おうと思ったんだ。(買収の)金額は50億円くらいで話を進めることができた」という話をしていたそうです。

 藤田田社長はアメリカのマクドナルドに相談。そこでNGが出たのかと思いきや、"米マクドナルド首脳陣は「OK」を出した"そうです。じゃあ、どうしてやめたの?っていう話なのですが、1つだけ条件があり、これが難関となりました。

 その条件は、「ただし、1つだけお願いしたいことがある。ミスター フジタのポケットマネーで球団を買ってくれ。そうすればMのマークの使用を認めてもいい」というもの。マクドナルドが買うのではなく、藤田田さん個人で買ってくれ!という話です。50億円という大金ですから、そりゃ難しいでしょう。

 ただ、この記事を書いていた田中陽さんは違う見方でした。田中陽さんは、日本の外食王だった藤田田さんにしてみれば、50億円は出せない金額ではなかったはずと推測しています。全くの憶測であり、そうなんだろうか?という感じですが、本当の理由は別にあるのではないかとしていました。


●スポーツビジネスは片手間じゃダメ、真剣に!日本と米国の違い

 作者によると、確かにメジャーリーグのオーナーは個人が大半で、法人が球団を所有するのは少数派。ブッシュ前大統領もテキサス・レンジャーズの共同オーナーだったといいます。事業で成功した大金持ちが、メジャーリーグという別の世界で再び名声を高めようと球団経営に乗り出すということが多いそうです。

 この「球団経営に乗り出す」というのは、メジャーリーグの場合、球団のオーナーになると球団経営に専念することを求められるとのこと。球団も株式会社である以上、企業価値を高めることが必要となるのです。作者はこちらがポイントではないかと見ています。つまり、米マクドナルド首脳陣は藤田田さんに日本マクドナルドの経営の一線から退くようにアドバイスしたのではないかとの予想でした。

 日本は全然違うのですが、アメリカだと、球団経営は片手間でできるものではないという考え方なんですね。親会社の経営が揺らいだ場合、球団経営にも影響を及ぼすことを懸念し、オーナーが二足のわらじを履くことをよしとしない、利益相反の排除ともされていました。

 言われてみれば、日本のプロスポーツチームは本業の悪化で撤退することはよくありますよね。記事では、日本では親会社の都合で球団を手放すケースはよくあるとして、ダイエーの福岡ダイエーホークス売却や近畿日本鉄道の大阪近鉄バファローズの営業譲渡、TBSによる横浜ベイスターズ売却などの例を挙げていました。

 近鉄が消滅してオリックスに合併しようとして、楽天の誕生に繋がったときの騒動はひどかったです。両球団のオーナー・経営陣のあまりの唐突さと身勝手さに大きな批判が出ました。確かに日本はおかしい気がします。ただ、これらは飽くまで推測。おもしろい見方ですけど、実際のところどうなんでしょう?


●米スポーツテレビ局がマイナーコンテンツで本気を出す理由

 スポーツとビジネスおよびお金という絡みで、今度は別の話に。視聴率至上主義ではいられない!(日経ビジネスオンライン)に出てくる話は、スポーツ球団側の経営ではなく、スポーツを放映する側の話でした。これが独創的な発想であり、読んでいて興奮してしまいました。

 リトルリーグ・ワールドシリーズは、スポーツ専門ケーブルテレビ局ESPNが国内予選から全米中継しています。ただ、リトルリーグはテレビコンテンツとしてはまだまだ発展途上なものです。2010年の日本代表(江戸川南)対ハワイ代表の決勝戦ですら、視聴率はたった2%でした。

 ただ、視聴率が低いマイナーコンテンツだからといってESPNは番組制作に手抜きなどしません。約20台のカメラが選手の一挙手一投足を追いかけており、MLB顔負けの中継環境を整備。スタジアム裏手にはトレーラーハウス10台程で即席の制作スタジオを組織。MLBやNFLなどメジャースポーツ中継の制作現場で活躍しているスタッフなど、約50人の専任スタッフを使っています。

 費用対効果を度外視し、儲けを無視しているように見えるのですが、ESPNは当初からこのやり方だったようです。ESPNが1979年に設立した当時、ケーブルテレビの普及率はまだ20%程度。三大地上波のABC、CBS、NBCがテレビ業界を支配している状況でした。3大ネットワークの広告収入は、テレビCM収入全体の44.7%を占めており、ケーブルテレビの広告収入は1%にも満たない状況だったといいます。

 当然、駆け出しのケーブル局にメジャースポーツの放映権を購入する資金力などなく、マイナースポーツを育てて行くしか選択肢はなし。ESPNはその後、大学フットボールやバスケットボールの放映権をNCAAから取得していきます。当然、これらも当時は大きく儲かるものではなかったのでしょう。

 ただ、ESPNは「スポーツコンテンツを育てる」という戦略を取りました。予選から試合中継を行ったほか、再放送を何度も繰り返し行うことでコンテンツを育てて行ったのです。後にNBAで活躍することになるラリー・バードや“マジック”・ジョンソンのプレーが繰り返しオンエアされることとなりました。

 ESPNはその後もNFLのドラフト会議やMLBの殿堂入りセレモニー、アメリカズ・カップ(ヨットレース)、PGAツアー、ボストンマラソンなどそれまでテレビでは扱われていなかったスポーツイベントを次々にオンエア。スポーツイベントに特化し、ファンの視点から深く掘り下げた中継を行う ESPNはスポーツファンから大きな支持を獲得します。

 結果、1987年には全米の50%以上の世帯にリーチした初めてのケーブルテレビ局にまで成長したのことで大成功。スポーツファンの視点からイベントを育てていく姿勢は、ケーブル界のベンチャー企業として生まれたESPNのDNAに刻み込まれている、と記事では書いていました。


●破綻した女子プロサッカーリーグは身の丈にあった健全経営で復活

 日経ビジネスオンラインの別記事では、なでしこはロンドン五輪でも米国に勝てるのか?では、全体タイトルとは全然関係ない、米国女子サッカーのリーグの放映権の話がでおもしろかったです。今度は球団側でもテレビ局側ではなく、リーグ側の戦略の話です。

 米国女子サッカーのリーグでは最初にWUSAというのがありましたが、すぐに潰れました。そこで、その次のWPSでは、その失敗を踏まえることに。リーグ機構は高額のメディア収入を当てにしたWUSAとは対照的な戦略をとります。リーグが放映日時を指定できるという条件で、テレビ放映権を FOXサッカーチャンネルに無料提供。収益性より露出を重視したのです。

 サラリーキャップ(1クラブの選手年俸総額の上限)も80万ドル(約6400万円)から56万5000ドル(約4520万円)に減額され、選手の平均年俸は3万2000ドル(約256万円)となりました。世界最強米国の女子プロサッカーなのですが、一部の一流選手以外はなでしこリーグの日本人選手と同じような境遇だそうです。

 このように、WPSは身の丈にあった健全経営にシフトチェンジした…と言えるでしょう。一方で、国際化にも成功しており、単に年俸を下げただけではありませんでした。世界各国からトップ選手を集めており、「世界最高峰の女子プロサッカーリーグ」を目指したリーグ運営を推進しています。

 こうした国際化は、当然、ビジネス的にもプラスになるでしょう。国際舞台で各国代表チームが活躍し、トップ選手にスポットライトが当たった時に備え、「世界最高峰」のブランディングを展開することで国際マーケットから収益化する機会を虎視眈々と狙っているとされていました。


●税金で成り立つ日本のオリンピックやクラブは本当に健全なのか?

 ビジネスが上手なのでそれだけに終わりませんが、基本にある「身の丈にあった健全経営」というのはスポーツじゃなくたって大切でしょう。理想論ではありますが、私はやはりプロスポーツやオリンピックスポーツは税金の補助ではなく、そのスポーツだけで独立してやっていけるように努力すべきだと考えています。

 国のスポーツ予算で五輪でメダル獲って国威高揚!って中国じゃん(変更前のタイトルは「スポーツ後進国日本のお金の使われ方」)で、こうした税金の使い方を疑問視したところ、感情論のみで理屈のない批判をいただきました。しかし、税金で成り立つスポーツが健全とはどうしても考えられません。

 実際のところ私も好きなスポーツはあり、その種目が盛んになってくれることは嬉しいです。こうしたスポーツが税金によって助けられることはありましたし、これからもあるでしょう。ただ、その繁栄は税金の大量投入などではなく、やはりそのスポーツ自身の魅力による力であってほしいと願っています。

2022/11/18追記:その後、東京五輪の招致や大会スポンサーの決定に絡んで、大量の賄賂が支払われた疑惑が問題になりました。東京五輪の実施には税金も大量投入されているため、そういった意味でも問題なります。やはりオリンピック絡みの税金投入は健全とは言えない部分があり、見直すべきでしょう。


【本文中でリンクした投稿】
  ■国のスポーツ予算で五輪でメダル獲って国威高揚!って中国じゃん

【関連投稿】
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