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「中東革命はアメリカの陰謀」論とシリア弾圧への関心の薄さ


★2012/1/28 「中東革命はアメリカの陰謀」論とシリア弾圧への関心の薄さ
★2011/2/5 中東革命の重要な要素
★2011/2/5 中東の民主化で損する国、得する国
★2011/2/5 中東革命は日本にとっては反政府デモ?
★2011/2/24 中東革命は民主化運動か、反米運動か?
★2011/2/24 中東革命への日本人の関心


★2012/1/28 「中東革命はアメリカの陰謀」論とシリア弾圧への関心の薄さ

 全面支持ではないですけど、非常に珍しいカダフィー大佐寄りの記事なので紹介しようと思っていた欧米諸国に裏切られ最後まで戦い続けたカダフィとリビアの緩慢な死――笹川平和財団アドバイザー・佐々木良昭 2011年10月21日 ダイヤモンド・オンラインについてです。

 しかし、日付を見てわかるようにすっかり遅く。何か関連するもの……と思って待っていたのですが、全然良いのが出て来なかったのです。

 あと本文とは関係ありませんが、作者の肩書き「笹川平和財団アドバイザー」というのを見てたぶんそうだろうなぁと思った通り、右翼の大物で、社会奉仕活動を盛んにした笹川良一さんの作った財団法人の方でした。

 ついに、カダフィは全面的な降参宣言をせざるを得なくなった。それが2003年に起こった欧米との全面的な和解だった。この中で、カダフィは大量破壊兵器の開発施設を丸ごとアメリカに引き渡し、大量破壊兵器を持つ意思がないことを示した。

 そのことに加え、カダフィは欧米のリビアに対する締め付けを恐れアメリカ、イギリス、フランス、イタリアなどに、巨額の資金を貯蓄することで、恭順の情を示してもいる。こうした背景があるために、カダフィはイギリス、アメリカ、フランスによる、リビア革命扇動が始まった時「いったい彼らは何が不満なのか?」といぶかったことであろう。

 今年に入りリビアで革命運動が勃発し、カダフィの大幅な譲歩妥協と思惑は、結果的に彼に安心を提供してはくれなかった。革命の炎はリビア東部のベンガジで燃え上がり、たちまちにして全国に広がっていった。

 そのリビアの反体制の動きの裏では、イギリス、フランス、アメリカが、しっかり革命の舵を取っている。軍事顧問が送られ、自国で抱えていた反カダフィの立場を取るリビア人を送り込んで、革命の中枢を形成させられた。

 国連の人道支援、民間人救済の名のもとに、NATO軍のリビア飛行機禁止が決議されると、イギリスとフランスは空軍機を送りリビアの反体制側に武器を供与し始め、次いでカダフィ派拠点への空爆を始めた。これは明らかに国連決議の範囲を超えるものだったが、大声で反対する国も人も皆無に近かった。NATO 軍の空爆は8000回を超え、出撃回数は2万回を優に超えるものとなった。

 最初のリビア新体制の関門は、新政府の結成がスムーズに進むのか否かだが、多分に困難を伴うものと考えられる。リビアの新体制に参入してくるであろう勢力が幾つも存在し、彼らはそれぞれに革命の果実を出来るだけ多く手に入れようと目論んでいるからだ。

 外国帰りのインテリ・グループ、リビア国内に留まったインテリ・グループ、宗教重視グループ、世俗グループ、そして各部族の利害集団が大きく介入して来よう。その第1段階で、これらのグループが衝突するのは、内閣の結成時であろう。大臣ポストを幾つ手に入れることができるかが、今後のグループの力関係を決めるからだ。

 この第1段階を出来るだけスムーズに進めて、リビア復興に着手させたいというのが、イギリスやフランス、アメリカの本音であろう。それは戦争加担の報奨金を、手に入れることに繋がるからだ。

 同時に、自国が抱えていたリビア人を何人閣僚にするかが、イギリス、フランス、アメリカの、これからの腕の見せどころとなる。自国が抱えていたリビア人が多く閣僚入りすれば、それだけ取り引きが有利に進められるからだ。

 つまり、カダフィが殺害された今、リビアでは欧米諸国による閣僚という名の傀儡たちが、用意されつつあるということだ。そして、その先に見えるのは、欧米諸国によるリビアの間接支配であり、形を変えた植民地支配の再開ということであろう。

 以前、ヨーロッパの知識人が書いていた次の一文を思い出させられた。「アラブやアフリカに民主主義や自由をもたらしてやったが、彼らにはそれを実現する能力が無いということがハッキリしたいま、欧米諸国は再度これらの国々を植民地下に置いて、民主化、自由化そして発展を、指導していかなければならない。」

 今回チュニジアで始まり、エジプト、リビア、そしてシリア、イエメン、バハレーンなどで起こっている、一連の「アラブの春」革命は実はそこにこそ、真の目的があるのではないか。

 途中まではまだしも最後の一文はどうかと。中東問題については以前書きましたが、別に欧米の思惑通りというわけではないでしょう。既に潰された中には、むしろ親米的だった政権もあります。

 革命の影響がどう飛び火するかわからない状態で制御しきれておらず、狙ってやったんなら、ずいぶんと高い代償だったと思います。


 中東問題に関して私が今一番不満なのは、武力弾圧が続くシリアに関する扱いが著しく軽いことです。

 これは日本だけに限ったことなのかわかりませんが、多くの被害が出ているにも関わらずほとんど話題になっていません。


 ただ、この問題は私も取り上げてきませんでした。

 事件の経過を報告するだけのようなものは書かず、特記すべきだと思う考察の入る記事を使うためという理由ですが、認知度を上げたいので、今何でも良いから記事を探してみます。


 まず、2012年 01月 25日 12:09 のロイターシリア監視団の一部引き揚げ、連盟は国連安保理に問題提起へ

ペルシャ湾諸国で構成する湾岸協力会議(GCC)は24日、シリアへの監視団に参加する自国のメンバーを撤退させることを発表した。監視団には165人が参加しているが、このうちの55人が引き揚げることになる。

GCCは声明の中で、「シリアでの弾圧が今後も続くのは確かだ。シリア政府がアラブ連盟の和平案を履行するとは思えない」と撤退の理由を説明した。

解決の糸口が見えない中、アラブ連盟のアラビ事務局長とカタールのハマド首相兼外相は、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長宛てに連名で書簡を送付。安全保障理事会で問題提起するための会合開催や、解決に向けての支援を求めた。

一方、国営通信SANAによると、アラブ連盟とシリアは監視団の活動を2月23日まで延長することで合意したという。

アラブ連盟は22日にアサド大統領の退陣のほか、副大統領への権限移譲などをシリアに求めたが、同国は「甚だしい内政干渉」と要求を拒否しており、話は平行線をたどっている。

 その安保理の続報は、アラブ連盟 国連の支持取り付けへ(1月27日 9時46分 NHK)から。

シリアで続く反政府デモへの弾圧を止めようと、アラブ連盟は、アサド大統領に対して副大統領への権限移譲を求める提案を、近く国連安全保障理事会で説明することを明らかにし、安保理からの支持を取りつけることでシリアに提案の受け入れを迫るねらいがあるとみられます。

シリアで続く反政府デモへの弾圧を止めるため、アラブ諸国でつくる「アラブ連盟」は、アサド大統領が2か月以内に権限を副大統領に移譲し、反政府勢力も参加する新しい政府をつくることなどをシリア政府に提案する方針です。しかし、アサド政権はこの提案について、「主権の侵害だ」と拒否する構えをみせています。こうしたなか、26日、アラブ連盟のアラビ事務局長は、ニューヨークの国連本部を今月30日に訪れ、安保理にこのアラブ連盟の提案を説明し、支持を求める方針を明らかにしました。アラブ連盟としては、国連安保理からの後押しを得ることで、アサド大統領に提案の受け入れをさらに強く迫るねらいがあるとみられます。一方、人権団体によりますと、シリアでは25日から26日にかけても北部のイデリブなどで治安部隊とデモ隊との衝突が起き、これまでに30人余りが死亡したということです。

 シリアでは非常にたくさんの方が犠牲になり続けており、日本のマスコミももう少し関心を持つべきだと思います。


★2011/2/5 中東革命の重要な要素

 チュニジアのジャスミン革命、その影響によるエジプトのムバラク大統領辞任を求めた一連の抗議行動などの他の国への余波と、中東では大きな動きが起きています。

 この中東諸国では、その多くが少数支配の非民主主義的な政体だそうですが、これらは大きく二つの種類に分類されるそうです。(※1より、以下も同様)


(1) ファミリー(一族)型。

 サウジアラビア、クウェートなど。

 ベドウィン(遊牧民)の伝統では、いちばん強いリーダーの回りにクラン(血縁集団)を形成するのが習わし。これの発展形。


(2) リーダー型。

 チュニジア、エジプト、サウジアラビアなど。

 オスマン帝国が崩壊して、中東における「力の真空」が出来たときに、アメリカやイギリスに選ばれたタイプ。


 (2)のタイプはリーダーとしてふさわしいかではなく、石油の権益などに関して組みやすい相手かどうかという尺度で選ばれたので、民主主義的ではないだけでなく、国民からの草の根の支持も無いそうです。

 それなのに彼らは今までどうやってやって来れたのかと言うと、抑圧された不満をイスラエルやシーア派などの仮想敵に向けることで、民心をまとめてきたそうで、ユダヤ対アラブ、スンニ派対シーア派などという伝統的な対立の構図の中でおこる事件は手慣れたものだそうです。

 ところが、今回の一連の事件は、食品価格の値上がりやデモクラシーを求めての運動であり、これまでの切り口とは全然違うため、対応しきれないということみたいです。(以上、※1)


 さらに今回の革命を目指した運動の重要な要素を「独裁」、「食糧価格高騰に直撃される貧困層」、「ソーシャルメディア」、「ウィキリークス情報」、「アルジャジーラ拠点」の五つだとした見方があります。(※2)


 このうち、「ソーシャルメディア」は、フェイスブックやツイッターが若者の間で情報を瞬時に共有させたり、チュニジアの活動家が、デモのノウハウをエジプトの活動家に伝授したりといった役割、「ウィキリークス情報」は、独裁政権内部からの情報漏えいだそうです。(※2)

 また、独裁政権を恐れない果敢な報道姿勢で、ベンアリ前チュニジア大統領の政敵のインタビューや、エジプト独裁政権の内部や軍隊の忠誠心の低下ぶりを示す映像を流し続けている「アルジャジーラ」というのも大きな要素のようです。(※2)


 そして、この五つの要素を持つのが、サウジアラビア、モロッコ、ヨルダン、イエメン、シリアだそうで(※2)、まだまだ革命の余波は伝わっていきそうです。

 (関連して、中東の民主化で損する国、得する国)


 参考記事
※1 いま中東で起こっていることはベルリンの壁崩壊とおなじくらい重要 2011年01月29日04:04 Market Hack
※2 エジプト革命はアメリカのせい? 2011年2月1日 日経ビジネスオンライン 田村 耕太郎


★2011/2/5 中東の民主化で損する国、得する国

 "中東革命の重要な要素"で書いた国々は非民主的なわけですが、今回、騒動が起こったチュニジア、エジプト、イエメンは全てアメリカ政府に協力的な政府で、ヨルダンもアメリカ政府と歴史的に近いそうです。

 また、サウジアラビアほど人権が軽視され、恐怖政治がおこなわれている国は他にないそうですが、ここもまたアメリカ政府が後押ししています。

 「アメリカ外交の偽善ないしは矛盾が今回は大問題として噴出している」と記事では書かれていましたが、アメリカのダブルスタンダードがわかりやすい形で出てきました。(以上、※1)


 これをふまえて、反政府運動で倒されようとしているのは独裁者でなく、「イスラエルに刃向かわない」「欧米と敵対するイラクやイランと仲良くしない」「イラクやイランを攻撃するための米軍の駐留」などの要請を受け入れさせる代わりに、彼らを後押ししてきた欧米であるという見方があります。(※3)

 これらの反政府運動で政変が成功し、新たに政権をとるリーダーが、今までと同様に欧米に従順だという保証はないからという理由です。(※3)


 同様に「ハマスやヒズボラとの戦いや対イラン戦線であれだけアメリカに協力してきたムバラク氏に対して、アメリカは簡単に引導を渡せるだろうか?」(※2)といった見方もあります。

 また、エジプトで親イスラエルなのはムバラク陣営だけと言われており、親米を貫き通したムバラク大統領と同様の後継者が現れる保証はどこにもないので、最もヒヤヒヤしているのはイスラエルであるとも言われています(※2)が、これは先程と同じ内容ですから同時にアメリカの不安要素を示した説明になります。


 ちなみにこういった反政府デモはイランにも影響を与えうるものの、この事態を最も喜んでいるのはそのイランであり、反イラン・親米国家が相次いで倒れるというのは、アメリカのマイナス要素の裏返しでイランにとってはプラスになります。(※2)


 確かにこれらの言うことはもっともだろうと思うのですが、建前の上で民主主義を支援する格好になるアメリカと新たな政権とは親交を深める大義名分があります。

 現在の反政府政党の多くが反米的であるのかもしれませんが、支援を受けられるとあればある程度協力的になるということはあり得る気がします。

 過去にもアメリカが支援していたリーダーが反米に変わってしまったので乗り換えたということはありますし、今回もアメリカは新たな協力者を作ろうとするでしょう。

 確かにそれは今までの投資が無駄になることを表しており、非常に手間がかかるものであり、それが徒労に終わる可能性もあります。

 ただ、すなわちアメリカの敗北とまで言ってしまうのは、どうなのでしょう?


 とちょっと思ったのですが、今アメリカは内部でも問題が山積みですし、経済的にも外交的にも手一杯で余裕がなさそうですね。

 中東戦略を一から書き直す必要も出てくるかもしれず、やっぱりアメリカとしては余計なことを……という思いでしょう。

 アメリカは独裁政権万歳なのです。


 あと、「今回の動きを世界で最も深刻に見守っているのは間違いなく中国でしょう」(※3)ともありましたが、先月28日の大統領報道官会見では、記者が「ソーシャルメディア遮断の独裁」というつながりで中国への余波と中国への対応にしつこく言及し、報道官は大弱りだったようです。(※2)

 アメリカとしては米中関係を荒立てたくないらしく、「エジプトの話だけにしてくれ」と苦しい答弁をしていたそうです。(※2)


 「えー、いっつも中国のこと悪く言っていたじゃん」と不思議に思うのですが、アメリカにもいろいろ都合があるようです。


 参考記事
※1 いま中東で起こっていることはベルリンの壁崩壊とおなじくらい重要 2011年01月29日04:04 Market Hack
※2 エジプト革命はアメリカのせい? 2011年2月1日 日経ビジネスオンライン 田村 耕太郎
※3 アラブの政変で負けようとしているのは誰なのか? 2011-01-29 Chikirinの日記


★2011/2/5 中東革命は日本にとっては反政府デモ?

 "中東の民主化で損する国、得する国"で紹介したものですが、アラブの政変で負けようとしているのは誰なのか? 2011-01-29 Chikirinの日記では、反政府運動で倒されようとしているのは独裁者でなく欧米だという話に関して、
余談ですが、今回の動きを“政変”とか“反政府デモ”と呼び、決して“民主化デモ”とも“革命”とも呼ばない日本のマスコミも、日本政府の立場をきちんと踏まえて報道しているといえるでしょう。

 とありました。


 政変と革命はエキサイト辞書(大辞林 三省堂)によると、

政変……政治上の変動。特に、政権の急激な交替や統治体制内の大がかりな変化。

革命……支配者階級が握っていた国家権力を被支配者階級が奪い取って、政治や経済の社会構造を根本的に覆す変革。

 といった感じですが、印象としては革命の方が良いという話でしょうか?

 これに関しては、“反政府”と“民主化”だとより顕著に思えます。


 また、エジプト革命はアメリカのせい? 2011年2月1日 日経ビジネスオンライン 田村 耕太郎にも、”(エジプト情勢がエスカレートしてきて)こちら在米の各メディアは「革命」という言葉を使い始めた”という文章がありましたが、これも立ち位置の変化の現れなんでしょうか?


 興味があったので調べたいと思ったのですが、どうもうまい方法が思いつきません。

 
 とりあえず、「記事蓄積期間は、おおむね速報ニュースが2週間」というのが不安なものの、日本の大手マスコミのボスである読売新聞で調べてみます。


 「ムバラク」をキーワードにした検索結果で、エジプトの報道のみを見てみます。(ただし、面倒臭いので全部の日付では調べません。また、個人的な判断であろう記名記事は除いています。あと、検索結果に表示の日付に基づいていますが、なぜか記事での日付と異なる場合が多いです)


1月26日 3記事

 ・反体制デモ 2記事 (ちなみに調査対象外のチュニジアも「政変」1記事)

 ・ムバラク大統領を批判する大規模デモ 1記事


1月27日 4記事

 ・反体制デモ 4記事


1月29日 6記事

 ・反体制デモ 5記事

 ・デモ 1記事


1月31日 5記事

 ・反体制デモ 2記事

 ・反政府デモ 1記事

 ・デモ 2記事


 単にデモという書き方をしたものが出てきますが、統一しているだけなのかな?という感じでしたが……


2月1日 3記事

 ・反体制デモ 1記事

 ・デモ 1記事

 ・ムバラク大統領の退陣を求める「100万人行進」 1記事


 ここらへんからちょっと変化が出てきます。


2月2日 3記事

 ・反体制デモ 2記事

 ・退陣要求デモ 1記事


2月3日 5記事

 ・反体制デモ 1記事

 ・反体制派とムバラク大統領支持派が衝突 1記事

 ・エジプト衝突 2記事

 ・バラク大統領の即時退陣を求めるデモ 1記事


 この日には、だいぶ雰囲気の違う「エジプト衝突」など、中立的だったり、柔らかい表現だったりになります。



2月4日 4記事

 ・反体制デモ 1記事

 ・反体制派が(中略)呼び掛けたデモ 1記事

 ・デモ 1記事

 ・反体制派とムバラク大統領支持派の衝突 1記事


 まだ「反体制デモ」という表現も多くてよくわかりませんが、次第に報道の仕方を変えてきたようにも思えます。興味深いことです。


 何となく、これを思い出してしまいました。

パリの新聞『モニトゥール』の見出し

  ●悪魔が流刑地を脱出
  ●コルシカ生まれの狼はカンヌに上陸
  ●猛虎はガップに現れる
  ●専制皇帝リヨンに入る
  ●ボナパルトは北方へ進撃中
  ●ナポレオンは明日パリへ
  ●皇帝フォンテーヌブローに
  ●皇帝陛下、昨夕チュイルリー宮殿に御到着

 歴史のひとこと集 METASEQUOIA LEAFより

★2011/2/24 中東革命は民主化運動か、反米運動か?

 ニュースを見ていて知りましたが、フィフィさんというエジプト出身の芸能人の方が、エジプトでの革命に関して、ブログでいろいろ書かれているようです。

 それで気になったのをいくつか。


 まず、以前"中東革命は日本にとっては反政府デモ?"というのを書いた手前、「そもそもこの革命、エジプトの民主化運動なんて言葉で軽く繰られても、それでは深いところは読めませんよ」という記述です。(エジプトの夜明け~新たな一頁へ All about FIFI 2011-02-03より、以下※1)

 「ムバラクは確かに長年政権を握ってきたので独裁政権です。しかし、それはアメリカの作った親米政権による独裁であるわけで、国民はその親米による独裁に憤慨しているのです」(※1)ということで、本質は反米運動であるという主張です。

 エジプトは「外国人ばかりが優遇されていて、国民は虫けらのように扱う国です。極端な話、外国人の方が仕事に就きやすくてエジプト人はあぶれてるなんてこと、ほんとに過言ではないくらい」(※1)と書いてあるように、外国人に対する不満が大きいようです。


 ただ、これはあまり納得が行きません。

 「民主化運動でなく、反政府運動」と言うならともかく、「反米運動」としてしまうと、独裁政権自体は構わないという意識だと言うことです。そんなことはないでしょう。

 だからこそ、様々な事情の中東各国での共感を呼び、さらには、中国(一節によると北朝鮮も)がピリピリと警戒しているわけです。「反米」が本質であれば、アメリカと距離を取っている政権にとっては無関係な話です。


 これについては、フィフィさんも認識を改めたようで、アラブ各国でのデモについて All about FIFI 2011-02-21では、

エジプト革命では私の私見でその原因等を述べさせてもらい、その際にリビア、イランを出してこのエジプト革命が民主化ではなく親米政権であるムバラク独裁を倒す為でもあると説明しました。エジプト革命は親米政権打倒であった事(その他の原因等は~新たな一頁へ)にかわりはないですが、これがアラブどの国においても同じ状況下で反政府デモが行われていると誤解を与えかねない表現であったと思い、以前の記事の一部、リビアとイランについての記述は削除させて頂きました。同じアラブだからと言っても、米国との関係は各国まちまちで、反米意識が反政府にどれだけの度合いを占めるかは各国で異なります。王権政治、エジプトのように親米の独裁政治、リビアのように表向きに反米の独裁政治様々ですし、国の抱える問題も貧困、宗派の対立など、エジプトと同じ状況で語る事はできません。

 と書かれています。

 今たいへんなことになっているリビアとアメリカの距離感は微妙ですが、はっきりと反米的なイランでもデモが起こっています。これらのデモの本質は、独裁政権への反発であると考える方が自然です。


 私は後から見たので、この削除部の記述はわからなかったのですけど、エジプト人タレントフィフィが嘘ついた件 2chには、

そもそもこの革命、エジプトの民主化運動なんて言葉で軽く繰られても、それでは深いところは読めませんよ。
エジプトは他のアラブ諸国に比べたらただ一点を除いては不自由なく生活している国ですからね。はっきりいいましょう、ムバラクは確かに長年政権を握ってきたので独裁政権です。
しかし、それはアメリカの作った親米政権による独裁であるわけで、国民はその親米による独裁に憤慨しているのです。
それはなぜ独裁政権である同じアラブの隣国リビアではこの時期に革命が起きないかとゆう理由が物語っています。
要するに民主化を求めているならリビアでも同じように革命が起こっておかしくないですよね?つまりこれは民主化運動とは違うんです。
親米政権にウンザリなんです。リビアはちなみに反米政権です。

 とありました。

 どうも反米だから革命運動が起きないという理論だったようです。


 これについては、先に引用したものでは”リビアのように表向きに反米の独裁政治”という書き方もしていて、ちょっとブレがあります。

 また、”アラブ諸国に比べたら”との枕がありますが、”ただ一点を除いては不自由なく生活している”としていたエジプトを、リビアとエジプトの違いは? All about FIFI 2011-02-21においては、

 エジプト

”油田はあるんですけど、国内でまかなう程度の石油しか望めない”

”政府はアメリカからガッポりご褒美を懐に入れて、要するに国を発展させる為にお金を使うことも無かったので、ほんと観光以外の産業が乏しい”

”ほんとに建物も道路もずーーっとボロいまんま、街全体が遺跡か?と思わせるほど”


 リビア

”アフリカ最大の産油国”

”石油関連の海外企業は多く駐在もしてるの。これでかなりリビアは潤ってる”

 としていて、こちらもブレが見られます。


 ということでやや怪しい点はあるのですが、私はそれ以外のところで勉強になる話があったので興味深く読みました。

 いきなり非難めいたところから入っちゃったのですが、残りはその勉強になる話について書きます。


 あと、書くところがなかったので、ここに加えますが、

ムバラク支持派は外国人ジャーナリストを襲撃したり、無理な情報操作を試みたり、イメージを悪くするだけの動きをみせて、ムバラク自身最後のあがきのように大統領の座に粘り続けるのはなぜでしょう?これはあくまでわたし個人の見かたですが、自分の資産を整理するのに手こずっていてそれまでの時間稼ぎなのではと思うのです。ここは驚くところですよ!ムバラク一族の総資産は3~5兆円とも言われています。億じゃないですよ兆です。今政権が変われば腐敗政治でせっせとこしらえた資産は新政府によって差し押さえられかねませんよね?そりゃあイメージもへったくれもないですよ!何としてでもそれを整理したいんでしょうね。それだけの資産を整理するのにはやはり9月までかかるってことだったのかなぁ~と思うわけですよ。

エジプトの夜明け~国民の想い All about FIFI 2011-02-05より

 については、”9月”などの数字はともかく、逃亡後に同様の推測を記載した記事が出ており、当たっているところもあるようです。


★2011/2/24 中東革命への日本人の関心

 以前、#中東革命の重要な要素"など、中東革命関連で3日分も記事を書いたときは、皆さん関心無いんじゃないかと心配していたのですが、意外に結構読んでいただいていたようで驚きました。それで今回、じゃあ、書きたかったけど控えていたのも書いちゃおうと思って、また3日分書きました。

 やっぱり日本人でも中東問題に関心を持っている人はいるのです。


 エジプトの夜明け~新たな一頁へ All about FIFI 2011-02-03には、

そもそも、日本でまともにアラブを解説してくれるような報道は今までも少ない、そしてこの場に及んでも、アラブの情勢をうまく伝えられる報道機関が無い訳で。アラブについて研究してる人は少なく無いはずなのにね、なんで、なんにでも解説するような人にコメントさせてんの?信用できる情報ではないですよ。


 とありました。

 また、以前多く引用したいま中東で起こっていることはベルリンの壁崩壊とおなじくらい重要 2011年01月29日04:04 Market Hackは題名で、もっと報道されるべきだと語っています。


 気になったので私も実家に電話して聞いてみましたが、ある程度ニュースでも重要度の高い報道をしているものの、扱いはもっと大きくても良いなと思いました。

 というのも、私自身がそうですが、もともと日本では中東についての報道が少ないので、みんなあまり詳しくありません。詳しくない人にいきなり概要だけ伝えても、なかなか理解できません。

 ですから、今まで報道してこなかった分も含めて、懇切丁寧に解説しなくてはならないと思うのです。


 池上彰さんに聞く! なぜメディアは「わかりやすく伝える」ことができないんでしょうか? 『世界を救う7人の日本人』発売記念連続インタビュー【4】 2010年11月30日 日経ビジネスオンラインで、池上彰さんはメディアは「日本の国際貢献」をなぜきちんと報道してこなかったのかと聞かれて、

メディア側に立つ人間が、国際貢献のような問題は内容が難しいし、日本人と直接関係がないから、どうせ取り上げてもテレビだったら視聴率はとれないし、新聞や雑誌だったら部数増に結びつかないし、書籍だったら誰も買わないだろう、と決めつけてきたから

 と答えています。乱暴に言うと、伝えるメディア側が視聴者や読者をバカにしているということです。


 たとえば、池上さんは「学べるニュース」の前身の番組で、2009年6月に行われた「イランの大統領選挙」を取り上げたいと提案すると、テレビ局からは、「テレビの前の視聴者は、イランの大統領選挙なんかには関心がありません」との返答があったという経験があるそうです。

 しかし、池上さんは「イラン大統領選については毎日ニュースで流れていますよね。ところが、事実だけは報道されるけど、その内容の解説がわかりやすいかたちではされていない。(中略)みんな知りたいんですよ、イラン大統領選挙を通じてあの国や中近東情勢のことを」と訴え、前週の倍の視聴率をたたき出したのです。

 また、『週刊こどもニュース』は小学5年生に理解できるようにと、徹底的に考え抜いてつくられた番組ですが、実は「おとな」の視聴者がとても多かったそうです。裏をかえせば、大半のニュースは「小学5年生」の視線で解説されておらず、大半の人には理解できないものになっていたわけです。

 「視聴者は難しいニュースは見ない」というのは思い込みであり、わかりやすく伝えればみんな見るのです。


 この思い込みの原因は二つあり、「おかげで私のビジネスが成り立つのですが」と池上さんは冗談を言っているものの、難しいことをわかりやすく説明をするのにはとても知恵と手間がかかり、みんなやりたがらないというのがまず一つです。

 「難しそうなテーマ」を誰にでもわかるように解説してあげる、という説明の方法論、編集力、といったものが、実はないがしろにされているからだそうです。

 そして、もう一つは報道する側もちゃんと理解していないかもしれないというのもあるようです。「このテーマは難しいから一般の人にはどうせわからないよ」と言っている当人が、実は難しくってよくわからないだけじゃないかと、池上さんは言います。


 今回中東革命の記事を読んでもらえたことでこの話を思い出して、「日本人も本当は中東に無関心じゃないんだ」とちょっと胸が熱くなるような思いがありました。


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