海外進出でひとまとめ。最初は海外全般、残りはアジアのケースです。
「ヤマハ音楽教室」はなぜ世界で通用するのか?(要登録 日経ビジネスオンライン)では、
"今後の日本産業再生のキーワードの1つは「コンテクストの創造」であり、それは複数の分野が新しいストーリーを作ることである。単にアニメと菓子を一緒に売ればよいという話ではない。異なった商材においても、考え方が共通している――。そう消費者が自然に感じ取れるようでないといけない"
としています。
言葉が難しいですが、
"通常、コンテンツビジネスの範疇に入らないが、以前にこのコラムで書いた「世界の親が公文式に熱狂する理由」も、上記のコンテクスト創造と近いものだと思っている。教育メソッドは「考え方」を伝えている。よって、あらゆる領域を横断する「エッセンス」を含んでいる。ところで、「欧州で誕生したモノやコトとは所詮、互角に戦えない」という意見を聞くが、本当にそうなのだろうか"
ともあり、公文式やヤマハは手法を売るようなものということかな?と想像します。
これは非製造業の場合の話でしたが、あとは製造業かつアジアの例です。
アジアで「カイシャ」はいらない “出稼ぎ”社員、4.5億本のポカリを売る(要登録 日経ビジネスオンライン)によると、大塚製薬のインドネシア子会社「アメルタインダ大塚(AIO)」は"板東義弘社長が2000年に日本から赴任した当時、販売本数は1億本にも及ばなかった"そうです。
"「熱帯で暑いためかスポーツ人口は少なく、風呂にも入らない。そして酒も飲まない。『渇きをいやす』という日本のセールス手法がどれも通用しなかった」と板東社長は振り返る。甘くない飲料はインドネシアでは売れないとも言われた"
しかし、「体内の吸収が早く、断食明けの水分補給に最適であることを広く認知」(断食明けに学校でお菓子とポカリスエットを提供するなど)させて、ラマダンにはポカリスエットが定着し、今では4億5000万本売れ行きを見込めるようになったそうです。
また、"実は、大塚製薬が機能性食品分野の販売・マーケティングのために同国に送り出している駐在員は板東社長1人"であり、
"日本人が2人以上いると、日本人だけですべてを決めてしまいがちだからだという。そうなれば日本での成功体験にしがみつき、現地に応じた販売・マーケティングの工夫をしなくなる。何より、現地社員との一体感が生まれず、いつまでたっても組織が現地化できない"
というのがおもしろかったです。
"経済合理性にもかなう。例えば、インドネシアのポカリスエットの販売価格は500ml入りで50円程度。日本のほぼ半分だ。いくら数量がさばけても、日本ほどには利益が上がらない"という理由もあるようです。少数精鋭ですね。
最後は注目市場のインドの話。これも日経ビジネスオンラインで、
サムスンとLGを抑えて「テレビ首位」奪取 ソニーインディア 玉川 勝社長に聞く(要登録)からです。
"インド市場で先行する家電メーカーといえば韓国のサムスン電子やLG電子。両社の直近のインド事業の年間売上高は2500億円以上とみられる。この2社を猛追するのがソニーだ。薄型テレビの金額シェアでは、サムスンとLGを抜いて首位の座を獲得"
知らなかった!そんなに頑張っているとは。
"シェアを取っていても、利益は出ていないのかと聞きたいのでしょう。そんなことはありません。インドでの薄型テレビ事業は黒字です。いくらとはいえませんが、利益率はソニーの全体で最高レベルですよ。
テレビ以外の製品も堅調です。デジタルカメラも金額シェアで40%ですし、デジタルビデオのハンディーカムも台数ベースで8割、ホームシアター製品が6 割(台数ベース)を占めています。テレビだけでなくデジタル製品でソニーはインド市場でトップブランドになっていると自負しています。"
"インド市場だから、新興市場だからといって奇襲奇策を使ったことはありません。正攻法で売り上げを伸ばすことに徹してきました。新規市場を開拓するには、優秀な人材を登用し、相応の投資をする。こうした王道を歩むしかない、と思います。
私が押し進めてきたことは、ブランドの認知度を高め、販売網を拡充するといったことです。やることはどの国でも同じでしょう。
ただし、インドでは韓国勢が市場でかなりの勢力を拡大していましたから、これに追いつき追い越すため、いずれの施策についても、スピードを重視してきました。要は「インドで頑張ります」と掛け声だけで終わらせるのではなく、真剣に取り組んできたということです。
インドの消費者にソニーの製品の良さを知ってもらうには、やはりテレビや雑誌、新聞などの広告宣伝が有効な手段です。我々はインドでの広告宣伝費に売り上げの6%を投じ、1年中、ボリウッド映画の女優やクリケットのスター選手を起用して、何かしら広告キャンペーンを打っています。ソニー全体の平均が2%ぐらいですから、気合いが入っていることが分かってもらえるでしょう。その成果も出ています。外部の調査会社のブランド調査で、ソニーはインドでトップになりました。2位がサムスン、3位がLGです"
ええ?そんなんで良いの?ってくらい普通。日本にもいくらでもチャンスがあるってことですね。
あと、ソニーセンターというのがあって、量販店で安売りになるのを防ぐって書いていたんですが、それは将来的には無理じゃない?日本でも歩んだ道では?と思いましたが、
"在庫を適正に管理し、過剰在庫をなくせば、販売店に対する押し込み販売を防ぐことができます。押し込みをやると、結局安売りせざるを得なくなり、ブランドイメージが崩れます"
という工夫があるようです。
主導権を渡さないように……ってことですね。でも、これはうまくいくのかなぁ?と懐疑的です。
そう言えば、過去に書いた<話も海外進出について書きましたが、そこでは海外進出より利益を出せる体制が大事という話でした。今読み直してみると"海外に進出する・国内でやるが大事なのではなく、「価格決定権」が大切であり、目的なんだよ"と私はまとめていました。ソニーの利益率、ソニーセンターの工夫はそういうところですね。
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