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再生可能エネルギーの全量買取制度に関して、自然エネルギー批判への反論


★2012/2/6 再生可能エネルギーの全量買取制度に関して、自然エネルギー批判への反論
★2012/2/7 再生可能エネルギーの全量買取制度に関して、自然エネルギーへの批判・問題点
★2012/1/4 再生可能エネルギーの全量買取制度 価格設定の課題
★2012/5/25 再生可能エネルギーの全量買取制度は失敗した?買取価格42円は高すぎ
★2012/7/23 再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度の勘違い 買取価格は下がらない
★2012/8/3 電気料金月1000円上昇の試算 再生可能エネルギーの全量買取制度で


★2012/2/6 再生可能エネルギーの全量買取制度に関して、自然エネルギー批判への反論

 再生可能エネルギーの全量買取制度 価格設定の課題廃棄物発電と浸透圧発電 ~再生可能エネルギー全量買取法では除外~を書いたのですが、何か再生可能エネルギーの全量買取制度に関してもう1回くらいと探していると、よい記事を見つけました。

 孫正義氏の「電田プロジェクト」は本当に駄目なのか?(前半・擁護編) - 山田高明(2012年01月09日 07:30 アゴラ)という記事で、


 結論から言うと私はこのような普及策に反対であり、その理由は後半で述べる。気になるのは、事実に基づかない、又は合理的でない「間違った批判」が世間一般に多いことだ(これは原発に対する批判にも当てはまるが)。批判は批判でも、やはり正しくあらねば揚げ足取りと同じである。これに関して幾つかのポイントにまとめてみた。

 ということで、作者の結論は反対なのですが擁護、批判ともおもしろいと思います。

1・そもそも自然エネルギーは“使えない”とする主張について

(前略)こういった否定派の人たちは、水力発電のことをすっかり失念してはいないだろうか。

(中略)ダムに水に貯め、落差を作り、管に導くことでエネルギーを高め、供給をコントロールする方法が考えられた。水流というよりは落下のエネルギーを利用するのだ。ダムの形状、導水管、水車の形状、発電の数式などが次々と工夫され、発明されていった。たちまち、水力発電は都市の電源となった。

 ちょっと書き方があれですね。自然エネルギーを否定する文脈では、当然水力発電のことは除外されていますので、どうかというのはあります。

 要は再生可能エネルギーはまだまだ発展途上であり、改良の余地が大きいということを言いたいのだと思います。

 ただ、これは実は賛成の方に是非知ってほしいことであり、自然エネルギーなら何でも良いとガラクタ作ったって意味ないんだよってことはわかってもらいたいです。


 あと、3以降とも関係するのですけど、自然エネルギーが爆発的な発展を遂げるのは難しい面があります。

2・太陽光はエネルギー密度が低すぎるとする主張について

これは体積や面積あたりのエネルギー量を表しており、自然エネルギーそれ自体に対して評されることもあれば、それを利用した発電を指す場合もある。好んで引用されるのが「もしヤマ」だ。すなわち、「もしも太陽光発電で100万kW級原発の代わりをしようと思えば、山手線の内側に等しい面積(6千ha超)が必要なのだ!」という、実に分かり易い例え話である。

(中略)

私はこの「もしヤマ」にまともに反論してのけた人を今まで見たことがない。ところが、これはそもそもフェアな比較ではないのだ。なぜなら、発電の全プロセスを比較していないからである。太陽光や風力発電は元々のエネルギー源を採取する段階から始めている。この基準でいえば、原発はウラン鉱石の採掘段階を含めるのが妥当だ。1基の原発が30トンの燃料を得るためには数百万トンの鉱石を掘り返し、そこから天然ウランを製錬し、その中のU235を濃縮せねばならない。当然、広大な鉱区に依存する。これは燃料源を油田・炭田・ガス田などから得ている火力にも当てはまる。おそらく、発電所が鉱区に併設されているケースの多い北米・ロシア・中国などでは、「もしヤマ」の例えが欺瞞的だとすぐに指摘されたに違いない。現実には、原発や火力は太陽光や風力以上に広大な土地や長大な輸送ルートに依存している。しかも、日本の場合、それは手の届かない外国だ。

結局のところ、エネルギー密度の高さという原発や火力のメリットは、要別途加工で枯渇性の燃料資源への依存というデメリットと背中合わせになっているのだ。逆に無燃料・無尽蔵をメリットとして選択すれば、エネルギー密度を犠牲にしなければならない。つまり、要は価値相対的なもので、単純に優劣をつけられる問題ではないのだ。

 これはちょっとどうかな?と思ったところ。

 だって、日本は現実的にそういった広大な面積や資源を持っていないのです。そういう国でも膨大なエネルギーを使えるというのが、石油などの魅力でしょう。

 特に石油についてですけど、時間的なものを含めてうんと凝縮されたエネルギーを一気に開放できるので、エネルギー密度が高いのです。これはら明らかな利点で、再生可能エネルギーでは到底敵いません。

 再生可能エネルギーを得るのにも多量の石油が使われていますが、再生可能エネルギーでは革命的な変化は起こせません。


 ただ、無尽蔵でないこと、輸入に頼ることなど、将来的なことを考えると、自然エネルギーの効率を高める努力はするべきだと思います。

 さら、これ以降も面積関係の話でした。


3・発電面積の「広大さ」を問題視する向きについて

だが、それでも発電機としてのエネルギー密度の低さを現実的な欠点と指摘する考えはあるに違いない。だが、そもそも商用電源でなぜエネルギー密度の高さが求められるのかをよく考える必要がある。他の発電所と違い、太陽光パネルは迷惑施設ではないし、それゆえどこにでも設置可能だ。よって貴重な土地を使う必然性はなく、屋根の上や荒地などの経済的価値の低いスペースを利用すればよい。逆に無価値な土地やデッドスペースを手軽に有用な土地に変えるのだから、他の発電所にはない働きである。

しかも、無制限に国土を覆い尽くす心配もない。なぜなら、総電力需要(1兆kWh)から最大面積が確定しており、かつそれは国土と比較しても相対的に小さいからだ。家庭用に多い発電効率20%タイプのパネルなら発電面積が50万haでよい。これは十キロ四方の土地が50枚分で、千葉県とほぼ同じだ。

 これは今の需要ですけど、私はむしろ太陽光エネルギーが総電力需要を高めてくれることを期待しています。

 「再生可能エネルギーでは革命的な変化は起こせません」とさっき書いておいて何ですが、すごくわくわくしたのが下記の記事です。

光の吸収率が従来のシリコン製の100倍以上の太陽電池を、岡山大大学院自然科学研究科の池田直教授のチームが「グリーンフェライト(GF)」と名付けた酸化鉄化合物を使って開発している。

 この太陽電池はこれまで吸収できなかった赤外線も発電に利用できる可能性がある。池田教授は「赤外線は熱を持つものから出ている。太陽光以外に、火を扱う台所の天井など家中、街中の排熱でも発電できるかも」としており、2013年の実用化を目指す。 GFは粉末状で、土台となる金属に薄く塗る。1キロワット発電する電池を作るコストは約千円が目標で、約100万円かかる従来のシリコン製に比べて大幅に安い。パネル状になっている従来型では難しい曲げ伸ばしができ、煙突や電柱に巻き付けるなど設置場所は幅広い。


光吸収100倍の太陽電池を開発 岡山大、生活排熱で発電もより

 これはすごい良いことづくめ。性能、赤外線利用、コストも魅力ですが、設置場所が広いのはすごいです。

 安くて、曲げ伸ばしができてどこでも取り付けられるということは、今まで考えられなかったような部分に設置できるわけです。

 街中のあらゆる余った部分にペタペタ貼っつければ、無尽蔵にエネルギーを……となりませんかね?


 次も面積の話。

4・それでも土地がないとする意見について

とにかく日本は国土が狭いのだと思い込み、メガソーラーのために使える土地はないと主張してはばからない人には、具体的に例を示すほかないだろう。

08年の農水省調査では、将来的にも利用される見込みのない農地・荒地を47・4万haとしており、この中で農水省が「耕作放棄地(耕作の意思なし)」と定義したがのが38・6万haである。これは埼玉県の面積とほぼ同じだ。孫氏の電田構想で改めて同地が注目を浴びると、昨年、農水省は約17万haが太陽光・風力発電に利用可能と発表した。

ただし、この方法には障害が多い。(中略)

それに比べて、私がまだしも現実的だと思うのが、実はゴルフ場である。現在、全国に2400ほどコースがあり、総面積は約27万ha。東京都や神奈川県をゆうに超えている。だが、今や景気悪化に加え、少子化と若者のゴルフ離れによって競技人口が減少中だ。業界団体によると黒字が2割程度らしい。(中略)一方、太陽光発電はメーカーの保守点検だけで無人ランニングが可能なので、異業種の参入がた易い。政府・自治体の支援や、政府系金融機関による融資などがあれば、彼らも安心してインディペンデントの売電業者になれよう。

東京電力は川崎市の臨海部に国内最大級のメガソーラーを建設したが、大都市圏の臨海部には、意外と遊んでいたり有効活用できそうな土地が山ほどある。だが、私がもっと有望だと思うのは、実はそれに隣接する「洋上」だ。というのも、日本の大都市の多くが海、しかも湾内などの「内海」に面しているからである。よって、そこに浮体式の太陽光パネルを敷設すれば、たちまち都市直結型の発電所が立ち上がる。メリットはなんといっても土地代がかからないことだ。また、蓄電・変圧施設などは陸に設置すればいい。送電の問題と施工アクセスの問題も解決している。

(中略)

科学的に正確な放射能汚染度とその真の影響は別として、一般に汚染区域と言われる福一原発から半径20キロ圏内の大半に、北西40キロの飯舘村付近を合わせると10万haを超える。ここにメガソーラーや風車を建てろという提案はすでに行われている

 これ、結局現在の発電所と同じ一極集中の発想ですよね。洋上型なんかトラブル起こせば、一気に停電です。人のいないところに原子力発電所をというのと、思想は変わりません。

 私としては、それより小規模分散型の発電も推し進めて、発電を普遍的なものにして欲しいです。災害時の安定性はこっちの方が上回ります。足りない部分を補い合うという方が良いと思っています。(参考:送電分離のメリット)

5・自然を破壊する又は環境を悪化させるとする意見について

(前略)大規模な太陽光発電は環境に優しいどころか自然破壊だ、とする意見を時々耳にする。なぜなら広範囲に日光を遮り、植物が受けるべき恩恵を横取りし、生態系を狂わせるというのである。また、農地(耕作放棄地)は自然と共存するが、環境を人工的に作り替えるメガソーラーは土地の“砂漠化”に等しいという意見もある。

このような考えの人は、普段、アスファルトの道路やコンクリートの大都会をなんと思っているのだろうか。広大な土地を埋め尽くす鏡のようなパネルが、その場所の自然を破壊し、生態系をある程度狂わせるのは事実に違いないが、便利さを追求する以上、これはもうトレードオフとしか言いようがない。自然をまったく破壊しないとなると、最終的に文明生活そのものを否定せざるをえなくなり、人間は農地すら放棄して森の中で狩猟生活をはじめる他ないからだ。

 私はそもそも「環境に優しい」というお題目がどうかと思います。

 が、まあ、やるのであれば、他の発電方法との比較でしょうね。「コンクリートの大都会」を持ち出すのも、話のすり替えではあります。それを言い出すと、環境問題そのものが議論できません。

 自然エネルギーですけど、水力発電なんかは実際問題相当「自然」を潰しているわけですし、そういった比較もあって良いのでは?

 太陽光発電は先のような分散型なら野山を切り開く必要はないんですけど、作者はメガソーラー型を想定しているみたいです。まあ、こちらも先に作者が述べたとおり、既に「自然」じゃない部分に設置する場合が多いので大丈夫そうです。


 とりあえず、擁護編は以上なんですけど、この後に批判編が控えています。


★2012/2/7 再生可能エネルギーの全量買取制度に関して、自然エネルギーへの批判・問題点

 再生可能エネルギーの全量買取制度に関して、自然エネルギー批判への反論の続きですけど、今度は反対に妥当と思われる批判意見です。孫正義氏の「電田プロジェクト」は本当に駄目なのか?(後半・批判編) - 山田高明(2012年01月12日 15:47 アゴラ)から。

結果的に「持ち上げておいて、落す」形になるが、それは決して実現不可能との烙印を押すことが目的ではない。私の意図するところはまったく逆だ。本質的な欠点を指摘することは、それを克服し、今後の実現性に繋げていくためにも欠かせないプロセスであるとご理解頂きたい。

 と作者は書いていますが、良いところは良い、悪いところは悪いと言うのは、本来自然なことです。

 ほとんどの人が宗教のようになっていますけど、それはおかしなことですよ。


1・蓄電池なきメガソーラーは不良電源である。

自宅に太陽光発電システムを取り付けた人の中には、「高性能の蓄電池があれば電力会社に頼らなくてもいいの
に」と思う人が少なくないそうだ。逆にいえば、それがない以上、電力会社のサポートに頼らざるをえないということである。

実は、同じことが国家レベルでもいえる。メガソーラーは夜間や雨天時に発電できない。ところが、電力需要は夜間であれ雨天であれ存在している。ということは、バックアップ電源と常にセットでなければ、メガソーラーは正常な供給業務が行えないということだ。

(中略)

この辺は議論もあろうが、私の主観では3~4日間の荒天を乗り越えられないと、火力などの既存発電の域に達しない。つまり、12時間分くらいの「貯電能力」が必要だ。これは大容量の蓄電池とセットにすることを意味する。これによって、メガソーラーは「ダム式水力」に極めて近い性質の電源になる。夜でも雨の日でも電気を供給することができるのだ。ちなみに、3割くらいの損失を覚悟すれば、巨大蓄電池ともいえる揚水発電と組み合わせる手もある。私はこれを勝手に“ノーマル電源化”と呼んでいる。

翻って、今各地で立ち上がっているメガソーラーは、蓄電池がないか、あってもせいぜい分単位の変動を補正する程度に留まっている。電源比が小さい間は大丈夫だが、こういった気まぐれ・垂れ流し発電が拡大するにつれ、バックアップ費もまた急増するだろう。

 スマートシティプロジェクトにおいても「蓄電池」は、大きな鍵となっています。

 まだほとんど話題になりませんけど、蓄電池はこれからの目玉技術となると思われます。

 再生可能エネルギーの技術と合わせて、ここでも日本が世界を取ってくれればと思っています。(実際は出遅れているようです)


2・未だ経済的条件を満たしていない。

政府による最新の試算では、メガソーラーの「発電単価」は1kWh30円程度である。といっても、一般の人にはこのコストがピンとこない。何でもそうだが、自分の身に置き換えてみると分かり易い。そこで、その経済性を実感できる簡単な方法をお教えしたい。

まず、この発電単価に10円をプラスする。これが送電・変電・配電・電力会社経費分と考えればいい。(中略)

この考えでいくなら、メガソーラーの電力単価は40円。月に300kWh消費で1万2千円、基本料金を足せば1万3千円だ。これよりやや高めが家庭用である。

しかしながら、メガソーラーの発電単価が1kWh30円というのは、あくまで「原価」である。この単価で事業をしても儲けはゼロ。それでは発電ベンチャーはメガソーラー事業に進出しない。つまり、ある程度の「儲け分」を保証しないと、民間企業による電田プロジェクトは成立しない。これがFITの買取価格だが、現段階では推測だが、おそらく1kWh40円以上にはなるだろう。すると、電力単価では50円以上になる。これは四人家族ならば確実に月の電気代が2万円を突破する単価である。

むろん、これはメガソーラーだけの電気代なので、実際には「メガソーラーが増えるにつれこの価格に近付いていく」という表現が正しい。だが、電田プロジェクトの「電源比2割」でも、相当な値上げに繋がることは想像に難くない。

しかも、上で言ったように、これはあくまで「不良電源」価格なのだ。不良メガソーラーが増えるにつれ、同じようにバックアップ電源の増設も強いられ、それにより電気代はやはり値上がりする。では、大容量の蓄電池をセットにして「ノーマル電源化」すればどうなるか。当然、また別個に費用がかかる。今日、電力貯蔵用の蓄電池・コンデンサとしては、NAS電池、リチウムイオン電池、溶融塩電解液電池、レドックス・フロー電池、電気二重層キャパシタなどが上げられる。私の試算では、12時間の貯電能力を付加した場合、もっとも安い溶融塩電解液電池でも1kWhにプラス8円の追加コストになる。つまり、「ノーマル電田」の電力単価はどうしても60円前後にならざるをえない。

業務用だと、今言ったようにこれよりもやや安くなるが、それでも電力の大量消費企業が日本を見限るには十分な価格といえよう。

 最初のところや前回と関係し、再生可能エネルギーの全量買取制度 価格設定の課題で書いたところとも被りますが、自然エネルギー関連の発電技術はまだまだ未熟です。

 ですから、今は発電量を増やすより、技術開発にお金を突っ込む方をより優先ですべきだと思います。


 ところで、再生可能エネルギーの全量買取制度 価格設定の課題でも価格の話は出てきており、以下のようなものでした。

"太陽光電力の買い取り価格として有力なのは1キロワット時あたり30円台後半。だが事業継続が可能なのは40円程度とされ、このまま30円台後半に決まれば、採算が合わない事業が出てくる可能性が高い"

 しかし、再生可能エネルギー普及の御旗のもと、技術的な努力の足りない設備でも採算をとれることを許すのは、国民負担で発電会社丸儲けを実現するわけで、原発利権と大差ありません。

 世界に通用する発電設備を作ることを促すべきです。


 記事での次がそんな内容でした。


3・FIT制度そものが間違っている。

このように、メガソーラーは「不良電源」であり、大容量の蓄電池と組み合わせて、はじめて火力や水力のように一人前電源たりえる。しかも、この不良電源の段階ですら「経済性」を獲得していない。こんなものを急速に普及させてしまう魔法が、昨年成立した通称「再生可能エネ法=FIT」なのだ。最初の二つが技術的・経済的な問題とすれば、これは制度や政治の問題といえるだろう。

よく指摘されるのは「政治的に公正を欠く。格差の拡大に繋がる」という点だ。実際、資本と土地がある人は太陽光パネルや風力発電機などを設置し、全量買取制度を利用して十年前後で償却し、あとは売電で儲ける一方となる。その請求書は都会のアパート・マンション暮らしの人々に回される。事実上、貧乏人から資産家への所得移転である。

FITで利益を保証された業者は安心してメガソーラーを建設することができる。電力会社はその気まぐれ発電の電気を全量、買い取らねばならない。それは電気料金として、結局は消費者に転嫁される。ちなみに、業者側はできるだけ経費を安く抑えようとするから、中韓製パネルを選ぶだろう。結果的に補助金の一部は外国メーカーの利益になる。

だが、私が思うに、最大の問題は電力システムの改悪である。大半の発電ベンチャーは投資回収の観点から、電源開発に時間と手間のかかる地熱・水力・バイオマスよりも、土地さえ確保すれば素早く整備できる太陽光と風力を選ぶだろう。実質、不動産屋のようなものだ。かくて、FITによって「気まぐれ発電所」ばかりが全国にどんどん増えていくことになる。

日本の自然エネルギー論者たちが夢見ている「地域分散電源の時代」の到来だ。彼らは今も口々に賞賛する。「FITによりドイツでは自然エネルギーが爆発的に普及した」と。それはそうだ。なにしろ、そのための制度なのだから。だが、これにより「最終的にどこへ行き着くのか。何が出来上がるのか」という点が議論されていない。私の考えによると、ドイツが最終的に創り上げるのは「非効率・高コストな二流の電力システム」だ。このような指摘は今のところ聞かれないが、FITは自然エネルギーの普及促進を目的としたものであって、もっとも優れた電力システムを作ることを念頭に置いていない。しかも、厄介なことに、矛盾が表面化するのに時間がかかるので、最初の20年くらいは誰もが非常にうまくいっていると錯覚しやすい。

この種の気まぐれ発電所は、火力やダム式水力などの「コントロールできる電源」が相対的に高い比率下にあって、はじめて商用電源として機能できるにすぎない。よって、太陽光や風力のほうが比率が高くなると、まず需給調節ができなくなる。供給自在性がないので、それならば「需要のほうをある程度コントロールすればいい」という恐ろしい発想が出てきてしまう。つまり、われわれ消費者の電力使用をスパコンで管理したり、制限を設けたりすることで需給の同期を図ろうというわけだ。それがスマートグリッドというやつで、万能どころか、現状よりもむしろ不便を強いるものだ。

自然エネ論者ほど分かっていないようだが、本当に太陽光や風力を「主電源」にしたければ、蓄電池とセットにすることが不可欠だ。それ抜きで、いくらFITで「爆発的普及」を目指したところで、結局は「火力や水力が主で、太陽光や風力が従」という関係を脱することはできない。それをやってしまった反面教師がドイツなのだ。

太陽光や風力が急増するにつれ、ドイツは需給調節に難儀し始めている。石炭火力などのバックアップで綱渡り的に調節しているといってもよい。ただ、ドイツの場合、周辺国すべてと頻繁に電力を売り買い(需給調節)することで、この矛盾をある程度吸収することができる。(中略)

このFITの非常に厄介な点は、当初は矛盾が表面化しないところだ。だから、何もかもうまくいっているように錯覚する。最初の10年や20年では料金も少ししか上がらない。だが、この制度によって、大都市の電源が無数に散らばり、好き勝手に発電する状態になる。電力事業というのはトータルなシステムなのだ。上流となる発電部分でアブノーマルなシステムを整えてしまうと、その欠点を補う形で、その下流に位置する送電・変電・配電部分も次々と増強を強いられていく。最終的に消費者は莫大な損害を被るだろう。

 作者は私があるべきだとしている分散型の発電自体を批判していますね。

 それ以外の点は賛成です。特に蓄電池については、今まで全然書いて来ませんでしたので反省です。

 また、前半で軽く触れられた程度ですが、私が持っていた「再生可能エネルギーの全量買取制度は一部の人の懐を膨らませるための制度ではないか?」という疑念を肯定しており、もう少し広く知られるべき点でしょう。

★2012/1/4 再生可能エネルギーの全量買取制度 価格設定の課題

 再生可能エネルギー全量買取法では全く解決していない部分はいくつかあります。原発5基分の電力が燃料費タダで手に入る 廃棄物発電の潜在力と再生可能エネルギー全量買取法の弱点(日経ビジネスオンライン 要登録)では、こうあります。

"通信の信号は同じ通信線や電波を使っても織物の縦糸のように混ざらないが、電気は川の水のように同じ送電線に合流すれば混ざってしまう。電力会社の系統につながれた多様な電源は逆潮流となって系統を混乱させるが、とくに発電量が安定しない風力発電や太陽光発電ではこの問題が大きい。

 PPSやRPSでも逆潮流を理由に系統連携拒否権が発動される例が目立ったが、FiTにより新エネルギー電源が増えれば、逆潮流の問題はこれまでの比ではなくなる。しかし、逆潮流を制御するための系統強化コストを国、電力会社、新エネルギー事業者のいずれが負担するのかといった議論は曖昧なままである。

 電力会社の連携拒否権はFiTでも認められている。北海道電力はFiT法成立直前に、道内の風力発電の新規買取りしないと発表して予防線を張り、FiT 歓迎ムードに水を差した。連携拒否権による買取枠の設定を電力会社に認めれば、FiTは早い者勝ちで頭打ちになり、通信自由化のようには電力自由化は進まない。

 この系統安定という錦の御旗を降ろさせるには、発送電分離(発電、送電、配電の分離)を行い、送電網を電力会社から切り離して独自の事業として強化していかなければならない。"

 以前この問題については、送電分離できていないことによる問題点1 ~新規参入事業者への妨害~送電分離できていないことによる問題点2 ~安定供給を目指さない場合がある~で書きました。送電事業を分けないで電力会社に任せておいて本気で解決してくれるか?というとかなり疑問が残ります。記事でも以下のようにありました。

"分散した電源との系統連携を行うには、スマートグリッド(各需要先にスマートメーターを設置し、電力の需要と供給を戸別に制御する技術)によって系統の逆潮流を調整するシステムを構築する必要がある。これは日本の電力会社が世界一のシステムだと自負して維持してきた系統安定システムをスクラップすることを意味し、既存の電力会社に任せていたのでは進展しない。"

"災害に強いエネルギーシステムを構築するには、単に電源を分散させるだけではなく、分散した電源を系統ダウン時には自立的に稼働させるシステムにしなければならない"

 また、私が気になるのは「国民の負担」です。

"ソフトバンクなどの新規参入予定の電力事業者は、送電網の構造転換のタダ乗りを期待しているかもしれないが、公的補助金や電力料金転嫁によったのでは、国民の負担を増やしてしまう。発送電分離によって、送電事業のコストを正確に算定し、そのコストを発電事業者と配電事業者に公平に負担させる仕組みを作るべきである"


 ここで出たソフトバンクに関しては、太陽光発電どこへ、冷めた孫氏と知事の関係(登録要 2011/12/5 7:00 日経新聞)という記事もありました。

 記事で指摘の代理出席が多かったという「自然エネルギー協議会」の第2回総会ですが、読んでみると言い訳でなく実際に「公務」があったようで、やや無理のある見方かなとも思います。

 ただし、無視できないのは、以下のような話です。

 実際、協議会への代理出席に象徴されるように、知事たちは構想から距離を置き始めているようだ。象徴的な例が、5月にメガソーラーの設置計画が持ち上がり、孫氏との蜜月ぶりが話題になった埼玉県だ。

 11月25日、埼玉県庁で開いた知事の記者会見。県が進めるエコタウンプロジェクトについて意気揚々と話していた上田清司知事だが、ソフトバンクとの構想に質問が及ぶと、渋い表情を一瞬にじませ、こう漏らした。「当初の1億円を用意すればソフトバンクが79億円出すよ、という話は消えたような気がする」

 広大な土地に太陽光パネルを敷きつめ、合計200メガワット以上の発電施設を建設する――。東日本大震災を機に「脱原発」を掲げた孫氏は、上田知事に20メガワット級のメガソーラー発電所の建設を打診し、約80億円の建設費用のうち、約79億円をソフトバンク側が肩代わりすると持ちかけていた。

 そんな「虫のいい話」は今や消えつつあるのだ。記者から「孫さんが言っていたことが違ったのか」と問われた上田知事は記者会見で、落胆の表情を浮かべながら「はい」と小さくうなずいた。そこには空手形とも受け取れるソフトバンクの対応への憤りがにじんだ。

 上田知事だけではない。「もともとソフトバンクには全く期待していなかった」(東日本の知事)「エネルギー協議会からの脱会はいつでもできる」(西日本の知事)といった冷めた見方が知事の間で次第に広がっている。


 また、記事で興味深かったのは、太陽光発電電力の買い取り価格の具体的なものが出ていたことです。

多くの知事がいら立つ背景には、8月に成立した「再生可能エネルギー特別措置法」の問題もある。菅氏の肝煎りで成立した法律で、太陽光や風力などの再生可能エネルギーで生み出した電力の全量を電力会社が固定価格で買い取るように義務づけている。いわば自然エネルギー普及の大前提だが、肝心の買い取り価格や期間が決まらない。

 買い取り価格が高ければ、住民の負担が増える。逆に低ければ、メガソーラー事業者の利益が減る。太陽光電力の買い取り価格として有力なのは1キロワット時あたり30円台後半。だが事業継続が可能なのは40円程度とされ、このまま30円台後半に決まれば、採算が合わない事業が出てくる可能性が高い。

 菅さんはこれを先送りしました(ただ、あのスケジュールで価格までは拙速だったと思います)が、私は「自然エネルギーのためだ。良いことだ」という掛け声で買い取り価格が高くなりすぎて、国民に大きな負担をかけて業者丸儲けになることを危惧していましたので、これから先も注目していきたいところです。

 実際、この価格決めでスペインは失敗し、国民に大きな負担を掛けることになったそうです。一応確かめのためにそういう話だったよね?と検索すると、ドイツも同じ道を歩みそうだという新しい話もありました。


 野田首相の「脱原発依存」は本気か(日経ビジネスオンライン)では、次のように書いています。

"従来の試算は原子力、火力(石炭、ガス、石油)、一般水力に限られていたが、ここに、太陽光、風力(陸上、洋上)、小水力、地熱、バイオマス、コージェネレーション(熱電併給)を加えることになった。

 現時点では太陽光や風力など再生可能エネルギーのコストは高すぎて、市場での競争力が劣るため、再生可能エネルギー特別措置法では、固定価格で全量を買い取る「フィード・イン・タリフ」の制度を導入することになったが、問題は買い取り価格をどう設定するかだ。法律では新たに設ける第三者委員会が買い取り価格を決めることになっているが、コスト等検討委員会は、その議論に先鞭をつけることになる。

 特に最近は、再生可能エネルギーに取り組む企業が、なるべく高く買い取ってもらおうと、コストを高めに見積もる傾向があると言われている。原発に対して手厚い支援措置を施したように、再生可能エネルギーを甘やかすような補助金をつけるとしたら、同じ過ちを繰り返すことにもなりかねない。将来は補助金なしでも自立できるようなエネルギーに育成することを前提とする必要がある。" 

 原発と同じように自己の利益のために、国民から搾り取るという構図はいっしょです。自然エネルギーは良いものだからという思想的な信条でそれを認めるのもまたアリでしょうが、その事実は国民に説明してよく理解してもらってからでなければなりません。


 私としてはどうせ国民のお金をつぎ込むのであれば、現状の未熟な新エネルギー技術を用いた設備の建設ではなく、より進歩的な新エネルギー技術の開発の方に回すのが良いと思っています。

 そうすれば、ズルなしで普及しますし、世界各国の新エネルギー発電設備を日本の技術で占めることも可能です。

 これは逆に言うと、開発で負ければ、国内の設備が海外勢で占められるということにもなります。よーく考えてみた方が良いでしょう。





★2012/5/25 再生可能エネルギーの全量買取制度は失敗した?買取価格42円は高すぎ

 一番気になるのは再生可能エネルギーの全量買取制度に関して、自然エネルギーへの批判・問題点であったような、再生可能エネルギーの問題点を無視していることで、本気で世の中の役に立てようとしていないというのには腹が立ちます。

 とりあえず、その点は置いておくとしても、制度としての問題が多いようです。


 FITというのは再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度のことですが、こんな甘いFITではバブルを生むだけ メガソーラーは35円で利益を出せる(要登録 日経ビジネスオンライン 2012年5月18日 村沢義久)ではまず背景を軽く説明しています。

 電力事業は、1939年の戦時国家体制(国家総動員法)により実質的に現在の9電力(後に沖縄電力が加わる)体制となり、長く彼らにより独占されてきたが、太陽光などの自然エネルギー導入によりその体制の崩壊が始まったと言える。

 メガソーラーには多くの中小企業が参入しつつあるが、個人でも、ソーラーハウスの形で簡単に「電力事業者」になれる。(中略)

 新しい参入者は電力業界に新しい風を吹き込み、フレッシュなアイデアを持ち込む。硬直した産業に革命を起こす主役は彼らだ。今後、性能面でもコスト面でも大きなイノベーションが起こることが期待される。

 このような活発な動きの背景にあるのが、昨年8月に成立した「再生エネルギー特別措置法」である。この法律に基づき、電力会社には、発電事業者が自然エネルギーで発電した電力を固定価格で買い取ることが義務付けられることとなった。実際の施行は今年7月からである。

 そして、今年4月末、各種再生エネルギー発電による電力の買い取り価格案が提示された。大規模太陽光発電(メガソーラー)に関してはキロワット時当たり42円という。大方の予想であった「30円台後半」を大きく上回る価格だ。

 記事の焦点はこの価格についてです。

 結論から言うと、この42円という価格は、非常に高い。太陽光発電の推進者の立場からすると、確かに「非常にありがたい」ことではある。現在、参入を迷っている業者はこぞって入ってくるだろう。今年は日本の「メガソーラー元年」になり大ブームが起こる。

 と言うと、何か素晴らしいことのようですが……。

 だが、喜んでばかりはいられない。一歩下がって客観的に考えてみると、大変なリスクも同居していることが分かる。同じメガソーラーでも、参入する業者によりコストには大きなバラツキがある。簡単に言えば、高いパネルを使って、古い工法で施工する業者は高く、安いパネルを使い、最新の工法を活用する業者は安い。今回提案された買い取り価格42円は、後述のように、現在の急激なコスト低下を十分に反映していないのである。

 それでは、高いFITにはどんな問題があるのか。その一つは、一般電力ユーザーへの負担である。発電された電力を買い取るのは電力会社であるが、その負担分は電力料金に追加されるので、買い取り価格が高くなるほど一般の電力ユーザーの負担が大きくなる。その額が限度を超えると、太陽光発電に対する反対の声が大きくなるだろう。

 第二の問題は、メガソーラーブームが過熱し、一時のバブルに終わってしまうというリスクだ。買い取り価格は定期的に見直されることになっている。最初高めに設定されたFITは急速に下がるから、高コスト業者は結局撤退せざるを得なくなるだろう。私の元には、全国の業者から多くのコメントが寄せられているが、大半は「こんな甘いFITではバブルを生むだけで逆効果だ」というものだ。

 何度か書いているように、一般人からお金を貪りとって一部の人の懐を潤すだけ……ということになりかねません。

 それを理解した上で国民が支持するのであればそれはまた一つの選択肢ですが、現状はちゃんとした説明がなされていません。


 「現在の急激なコスト低下を十分に反映していない」については、ドイツの例が書かれていました。

 ドイツで得られた経験は、ほとんどそのまま日本で引き継ぐことができるからだ。実際、ドイツで使われているパネルの半分は中国などの外国勢が供給している。彼らは、最新の低コスト工法にも習熟しており、その経験を丸ごと持って、新たな市場である日本に向かってきている。つまり、彼らは現在すでに20円を切るFITのもとで戦っているのである。

 そして、ドイツのケースは何も特別な話ではありません。

 もし、今回提示された高いFITの目的が、高コストの日本勢を支援するためのものであるとすれば、実際には逆効果だ。低コストの外国勢は、高いFITのお陰で大きな利益を上げ、ますます力をつけることになる。そして、その利益を提供するのは我々一般の電力ユーザーである。

 高めのFITを期待して、外国勢の進出が相次いでいる。

 記事ではカナダと中国とアメリカの会社の進出を予想していました。(カナダは本社は違うものの、実質中国の会社)

 国民から搾り取ったお金を国内業者に……ってだけでなく、海外の業者に対して(記事によるとよりいっそう)湯水のように配られるわけです。


 記事ではもう一つ、価格設定以外の問題が出ていました。

 実は、現在の「再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度」には重大な欠陥がある。電力会社による買い取り拒否が可能であるという点だ。電力会社は、「電力の安定供給に支障をきたす」とか、「送電線網に余裕がない」などの理由があれば、再生可能エネルギーによる電力の送電を拒むことができるのである。

 しかも、実際に送電線網にどの程度余裕がないのか、また、電力の安定供給にどの程度の支障をきたすのかは不透明だ。技術的問題以外に「政策的」な障害もあるだろう。つまり、「買いたくない」というだけの理由だ。よって、現状のままでは、FITを高く設定しても、再生可能エネルギーの実際の買い取りがスムーズに進むという保証はない。

 ようやく本格普及期を迎えた日本の太陽光発電は、今後電力供給の主力になる力を持っている。その実現のためには、「適正な」FITと買い取りの100%保障が不可欠である。

 既存電力会社としてはライバルに力を持たせるのは馬鹿らしい話なので、当然そうなります。

 ただ、電力会社は電力料金への上乗せが可能なので、拒まなかったとしても価格的には負担を転嫁できます。電力会社は間に入るだけで、実質的には太陽光発電事業者が国民に高額買取してもらうという形です。

 どの道、一番痛い目を見るのは国民という構図は変わりません。


★2012/7/23 再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度の勘違い 買取価格は下がらない

 再生可能エネルギー買い取りに関しては、経団連の米倉弘昌会長が批判していたようです。

"再生可能エネルギーでつくった電気を電力会社が全量買い取り制度について、「今の制度であれば、イノベーション(技術革新)を完全にストップさせる」と批判した。

米倉会長は「再生エネルギーを固定価格で買い取るなら、技術革新の成果は全部メーカー側が得ることになる。車でも家電でもユーザーが技術革新の成果を得ることで、生産性が上がり普及につながった」と述べた。"

経団連会長、再生エネ買い取りを批判(日経新聞 2012/7/9?)
リンク切れ
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0902P_Z00C12A7EE8000/


 ちょっと何を言っているのか理解できなかった批判なんですけど、今回の制度があまり良いものではない、あるいはトータルで見てむしろ悪いものである可能性は十分にあります。

 そこらへん真面目に心配しているわけですが、経団連会長が批判すると途端にきな臭くなります。余計なこと言わないで、黙っていてほしいです。

 と思ったのですが、以下の記事を読んでから上記を読むと、言わんとしていることが何となくわかった気もしました。


 その記事は"「再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度」、いわゆるFIT(フィード・イン・タリフ)"を考えた記事として今日読んだものは、“劇薬”のFITを“良薬”に変えられるか? 先駆けた企業ほど得をする制度にした「附則第7条」(要登録 日経ビジネスオンライン 2012年7月13日 柏木孝夫)というものです。

 この前半、おそらく編集者のつけた小見出しだと思われますが、"ドイツと同じ轍を踏むな"とありました。

 ドイツの太陽光発電は成功例でなく失敗例?で紹介した通り、ドイツの政策はドイツ誌シュピーゲルでもかなり辛く書かれていました。

 ドイツの失敗をそのまま取り入れてしまったのでは、せっかくの先人の経験を無駄にするだけです。

 記事でも以下のようにドイツの失敗と、日本の政策で気をつける点を書いていました。
 FITの導入で先行するドイツでは、再生可能エネルギーの導入量が、当初の見込みよりも急速に拡大し過ぎたため、買い取りや系統電源の不安定化対策などにかかる費用が一気に膨れ上がり、制度の見直しが必要となった。その結果、2013年からは買い取り義務が全量ではなくし、2017年には制度自体を廃止することも検討されている。

 日本がドイツと同じ轍(てつ)を踏まぬためには、緻密な制度設計によって、“劇薬”であるFITを“良薬”へと変えなければならない。


 "再エネ法案が閣議決定されたのは、あの東日本大震災が発生するまさに直前の2011年3月11日午前のことだった"そうですが、作者の柏木孝夫さんは総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会の買取制度小委員会の委員長としてこの議論に関わってきたようです。

 しかし、"可決された再エネ法を見てみると、議論を重ねてきたわたしたちですら思いもよらないような、強烈な内容へと変貌を遂げていた"そうです。

 "その内容は、180度転換されてしまったといっても過言ではない"とまで言っていますから、相当に変わってしまったようです。


 最も大きな問題としては、私も繰り返し書いてきた"買い取り単価の設定"です。

 ただ、問題なのは単純に価格が高いというところではないようです。
小委員会でまとめていた案では、再生可能エネルギーの種類や条件にかかわらず、買い取り価格を一律に定め、買い取り期間も一律15年としていた。それが、国会で成立した再エネ法では、再生可能エネルギーの種類ごとに買い取りの単価や期間を定める、とする内容へと変わっていた。

 そして、特に強烈だったのが、附則第7条に示された内容であった。集中的に再生可能エネルギーによる電気の利用拡大を図るために、法律の施行後3年間は、特定供給者(再生可能エネルギーによる発電事業者)が受けるべき利潤に特に配慮すべし、としている。完全に、特定供給者の利益を担保するような内容になってしまった。国民負担を最小限に抑えながら、再生可能エネルギーの導入拡大を実現するという考えで取りまとめた買取制度小委員会の報告書の方向性からは、まさに180度変わってしまったのである。

 たとえば、太陽光発電の場合、開始当初の1キロワット時当たりの買い取り価格は42円ですが、来年になると6円ほど値下げされて36円になることが予想されています。

 しかし、"42円で売電を始めた事業者が、翌年度には36円で売電することになる"わけではないそうです。私もここは勘違いしていました。


 "実際は、始めた年度の買い取り単価が、その後も20年間継続され"、しかも、"重要なのは(中略)キャッシュで支払われる"とのことです。

 ただでさえ高すぎるという指摘がある買取価格なのに、長い間見直されません。

 "つまり、先駆けて新エネルギー事業に参入した決断力のある企業ほど"儲かるというわけです。ボロ儲け確実ですね。

 もちろんその一部企業のボロ儲けのための費用を"負担するのは国民"です。


 さて、これを踏まえて、経団連の米倉弘昌会長の冒頭の発言です。

 気に食わないのですが、その懸念は確かにある程度当たっているのかもしれません。

 「再生エネルギーを固定価格で買い取るなら、技術革新の成果は全部メーカー側が得る」というのは、最初に高い価格での買取を保証してもらった既存設備は新技術で発電コストを下げたとしてもメーカー側が丸儲けするだけで、ユーザー=国民はその「技術革新」の恩恵は一切受けないという意味かも。

 新設設備に関しては固定価格の見直しでそうはならないものの、ある程度当たっていると言えそうです。


★2012/8/3 電気料金月1000円上昇の試算 再生可能エネルギーの全量買取制度で

 ちょっと最近多いですけど、また再生可能エネルギーの全量買取制度です。

 再生エネ価格「高すぎる」-経済財政白書で“内閣府VS経産省”が表面化(2012年07月30日 06時00分 日刊工業新聞)によると、"7月にスタートした再生可能エネルギーの全量買い取り制度について"、"内閣府がまとめた2012年度の年次経済財政報告(経済財政白書)"が、電力会社の買い取り価格に注文をつけました。

 電力会社の買い取り価格が「高すぎる」ため、「公共料金と見なし、公正妥当な改定が望まれる」と書いているようです。


 "買い取り価格は経済産業省の審議会で決まった額"ですので、日刊工業新聞では“内閣府VS経産省”なんて書いているわけですが、日本総合研究所の湯元健治副理事長がそれぞれの意図を説明してくれています。

 まず、経産省の立場としては「新しい投資を呼び込むには魅力的な買い取り価格にしたい」というのがあるとしています。

 一方、内閣府の方はどうかと言うと、「消費者行政を担う中立的な立場で指摘したと思う」という解説です。


 この他に湯元健治副理事長は「太陽光や風力、地熱などの再生可能エネが普及し、買い取り価格が巨額になった時に柔軟に買い取り価格を引き下げられる仕組みをつくっておくべきだ」と指摘しています。

 しかし、再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度の勘違い 買取価格は下がらないで読んだ記事によると、先発組の買取価格は下がらないわけですから、もう設計ミスが確定してしまっています。

 「柔軟に買い取り価格を引き下げられる仕組み」がないので、消費者の負担も高くなると考えられます。


 そんな中で 再生エネ買い取り制度、家庭負担は5年後月1000円 電中研試算(要登録 日経新聞 2012/8/2 0:56)という記事も出ていました。


 電力中央研究所の朝野賢司主任研究員の推計によると、"1キロワット時当たり太陽光発電で42円といった現行の買い取り条件で算出すると、初年度の買い取り総額は2600億円"だそうです。

 さらに再生エネの普及状況を考えて、"買い取り条件に変更がないとすると15年に1兆2600億円、17年に3兆300億円になる見通し"だそうです。


 ただ、これの言う買い取り条件に変更はないは、後発組の買取価格も変わらないという想定だと思われます。

 今ですら「高すぎる!」と言われているのですから、下がらないことはない……と思いますが、まあ、ちょっと心配ではあります。


 上記の金額は総額でありピンと来ませんが、"月額の世帯負担額は15年には約400円、17年には約1000円まで上昇する"という推算値も載っています。

 ちなみに"初年度は月平均で87円上乗せ"です。


 これを高いと思うか、安いと思うかはわからないのですが、以前にもお伝えしたとおり、"同様の買い取り制度で先行したドイツでは再生可能エネの普及が急拡大した結果、国民負担が大幅に増え、一部から不満の声も出てい"るそうです。

 ちなみに私は月の電気料金が2000円程度という切り詰めた暮らしをしていますので、5年後には50%ものアップです。正直、高いと感じます。

 しかも、これ5年までしか計算していませんけど、"各発電所では買い取り開始時に適用された価格が10~20年間続く"わけですし、新規買取の続く年数によっては(これが具体的にいつまでかわかりませんでした)まだまだ上がるんじゃないかと……。


 記事では"普及状況や導入コストなどを踏まえて買い取り価格や期間の見直し論が浮上する可能性がある"とありました。

 望み薄のような気がしますが、そういった声が上がるように不満がある方はじゃんじゃんアピールしてください。


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