「発想の逆転」や「非常識」「業界の常識破り」といった感じのビジネス・仕事のアイデアと工夫をひとまとめにしています。
(1) 本来悪いはずの「品切れ」を売りにするお店「海ぶん鍋ぶん」
(2) 『何でもある』は『何にもない』に通じる、塙昭彦氏の教え
(3) 主要駅や飲食店街から遠いところで敢えてビジネスホテル
(4) 工場のラインで中身のない空っぽの箱を簡単に見つける方法
(5) 家族向けドラマが必要と言われた時間帯で「半沢直樹」が成功
2013/8/22まとめ:
●常識・固定観念にとらわれない ヒットドラマ「半沢直樹」は非常識だった
●逆転の発想!本来悪い「品切れ」を売りにするお店「海ぶん鍋ぶん」
2012/2/16:まず、
「リサイクルは善」のはずなのに・・・(日経ビジネスオンライン)にあった、かもんフードサービスが手がける魚介類をウリにした「海ぶん鍋ぶん」という名の居酒屋の話。この店舗ではキャッチフレーズとして、「魚、売切御免(うりきれごめん)」という言葉を掲げました。
魚介類のように、仕入れが安定しにくい食材の場合、毎日同じメニューを提供するのは、かなり難易度が高いことだとしていました。ただ、実際には、同じメニューが当たり前で皆慣れています。売り切れてしまうことを大きく宣伝するのは珍しいでしょう。記事では、以下のような話がありました。
<本当においしい魚は、その日の状況によって変わるはずですし、必ずしも大量に仕入れられるとは限りません。そこで、この店舗では、「売切御免」と最初から言い切ってしまうことで、少量でもバラエティ豊かな食材を仕入れるようにと、スタンスを切り替えているのです>
<つまり、この店では、いつも同じものがあるという「安心感」よりも、その時にベストな「おいしいもの」があること、そしてさらには品数に限りがあるという「希少性」や、今日は何があるんだろうという「期待感」を、より大事にしたいという考えに基づいているわけです。
「品数限定」や「期間限定」は、小売りのマーケティングではよく使われる手法です。この店舗に関しては、意図的にそれを狙っているわけではないですが、本来は「悪」とされる品切れを起こすことが、店舗にとっても、消費者にとっても、結果的にプラスに働いているようです>
昔同じ日経ビジネスオンラインで読んだ記事では、数が取れない魚、マイナーな魚はみんな捨てていると書いていました。勿体無いですよね。品切れを売りにするという逆転の発想が、うまくこれを減らしていってくれると良いです。
●イトーヨーカドー塙昭彦氏「『何でもある』は『何にもない』に通じる」
次の話は「希少性」というところで、上記の話とやや繋がるところがあるかもしれません。イトーヨーカドーの中国展開で中心となった塙昭彦さんは、以下のようにおっしゃっています。
「今のこの季節、もしお客さんが物を1つしか買うお金がないとしたら何を売るべきか。これを徹底的に探るのが(引用者注:イトーヨーカ堂入社後、野菜と果物の販売を担当していた)20代からのテーマ。売り場にゴンドラ1台しかなかったら何を売るか、2台に増えたら何を増やすか。最初から広い売り場があるという前提でスタートするから、売れない物まで並べてしまう。『何でもある』は『何にもない』に通じるのです」
(“スーパーの神様”が説く商売の極意…「何でもある」ではダメ!- 夕刊フジ(2011年11月16日)"(久保木善浩)より)
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20111116/ecn1111161617006-n1.htm
こちらは品揃えがある方がダメというもの。ロングテールという言葉がありますが、ネットでは逆に売れ筋じゃない商品も網羅することがあります。では、リアル店舗は品揃えがない方が成功するかと言うと、そうでもないんですよ。
実際の店舗でもA-Zスーパーセンターやハンズマンは品揃え路線で成功したお店。
AZスーパーセンター2 過疎地で豊富な品揃えと24時間営業の特徴や
ハンズマン2 ~ないものはないお店~が品揃え関係で該当する投稿です。
上記二社とも郊外型の店舗であり、都会型は売れ筋重視というのが確かに合う気がしますけど、そうじゃなくてもどちらの考え方でも良いと思います。うちでは、このようにときどき矛盾するものを載せています。ただ、どちらも成功するというときがありますし、絶対的にこれじゃなけりゃいけない…というものではないでしょう。逆転の発想というのは、大体そういったものです。
●とにかく立地が悪い!業界としては非常識な場所にビジネスホテル
それから、ホテルナンカイ倉敷の話。ここは前身である割烹旅館を廃業した後、ビジネスホテルになったところでした。ただ、「周辺には飲食店もそれほど多くなく、町の中心部でもない」「主要な駅からは遠く、立地としては非常に悪かった」「ビジネスホテルは主要駅や飲食店街の周辺に出店することが常識」のため、みんながビジネスホテルに変更することには反対したそうです。
実際、苦しいところからのスタートだったみたいですね。ただ、「コンビナートだけに工場は周辺に多くあり、出張者がいる」「瀬戸大橋に通じる瀬戸中央自動車道の水島インターチエンジもすぐ近くで、出張者だけでなく、観光客にとっても便利な立地」という良いところがあると見たのが、ビジネスホテルをこの地で開業することを決めた理由だったそうです。
ところが、まだまだデメリットがありました。ホテルナンカイ倉敷は1995年に建設された施設をそのまま使用しており、ビジネスホテルチェーンのような最新の設備はなかったのです。そこで、ハード面でのチェーン店との差を埋めるべく、サービスを軸にスタッフの人間力を前面に出し、おもてなしの心でサービスを徹底的に深めていく方針を明確に打ち出していきました。
●逆転の発想…ホテルはお客さんが少ないときこそ~ができる?
田中社長は、地方にある小さなビジネスホテルが生き残れる唯一の術(すべ)として、「全国チェーンがやらない事にあえて取り組む」と指摘。チェーン店がやりたがらない人的サービスを重要視。宿泊してくれた一人ひとりが満足してくれれば、客は安いビジネスホテルへ流出することもなく、チェーン店と価格競争にも巻き込まれないだろうという考えです。
このおもてなし重視は徹底しており、チェーン店が重要視する稼働率すらも気にしないといいます。「客が少ない時こそ、より一層のおもてなし」というのは、一人ひとりに時間を割けるというのもあるかもしれません。また、さらに営業すらしないという話までありました。立地の時点から常識はずれですけど、サービスの一つ一つも業界の常識に逆らいます。確固とした理念がありますし、あたたかさも感じさせる良い話。こういうところに儲かってもらいたいですね。
<リーマンショックのとき客足は遠のいたが、客が少ない時こそ、より一層のおもてなしを手掛け、より満足してもらえば安易に値下げしなくても、長い目で見ていけば客はまた来てくれると信じ、常に客に満足してもらえる体制づくりを心掛けている。そのための労はいとわない>
<近隣の企業に出張者を紹介してもらう営業活動も行わない。実際に宿泊をし、気に入ってくれた客が、昔ながらの口コミで広げてもらうのが一番だと考えるからだ>
(
大手ライバルが偵察する一軒の小ホテル 稼働率よりおもてなし~ホテルナンカイ倉敷(要登録 日経ビジネスオンライン 内藤 耕 2012年1月24日)より)
●工場のラインで中身のない空っぽの箱を簡単に見つける方法
2016/10/18:
問題を違った角度から捉えてみるとシンプルな解決策が浮かんでくる : 2chコピペ保存道場にあった発想の良さを感じさせる話をこちらに追加。箱入りの歯磨き粉の工場の話みたいですね。
まず、結構な確率で中身が入ってない商品が出来てしまうことでクレームの嵐だったため、経営者は仕方なく高額投資を行いました。これにより一個もミス商品が出なくなったとのこと。ただ、低確率とは言っても0ではないのにおかしいと思って、経営者が現場視察に行って発見したのは、高額投資ではない対処法だったそうです。
<製造ラインに何故か扇風機が置いてある
「あそこに置いとくと空の商品が来たとき吹き飛ばしてくれるんですよ」
高額投資が家電量販店で3000円程度の商品に完全敗北した瞬間であった>
これについて、補足のレスがついています。このひとは、高額投資をした経営者が馬鹿だというわけではなく、センサーがないとこの発想にたどりつけなかったんじゃないかとも想像していました。私もそう思いますね。
<専門の対策チームを作って、高額なセンサーを取り付けたんだよな。
空箱が来るとセンサーが鳴る。ライン止めてセンサーを止めに行くついでに空箱回収。
現場の人間が「いちいち止めに行くのがメンドくさい」と対策を考える。
それがその扇風機だったんだよね>
●常識・固定観念にとらわれない ヒットドラマ「半沢直樹」は非常識だった
2013/8/22:その道の玄人ではなく素人がやったおかげで、既存の業界の常識にとらわれないサービスや商品を作れて大成功する…という話を、うちではときどきやっています。最近書いたのでは
誰が買うのかと言われたソニーのカメラ・サイバーショットRX1が人気がそういう話でした。
今回の話は
監督も想定外!「半沢直樹」メガヒットの裏側 | あのヒット番組、作ったのは私です。 | 東洋経済オンライン(林 智之 :ライター 2013年08月12日)からで、素人の話ではないものの、業界の「常識」に従わなかったことがむしろヒットに繋がったという意味で、共通点を感じました。
「半沢直樹」の何が非常識だったのか?と言うと、日曜夜9時は“家族で一緒に見るドラマ”という常識に従わたなかったこと。この時間帯では 「半沢直樹」のような「銀行」を舞台にしたドラマは異例でした。ところが、これが大成功。視聴率は2013年の連ドラとしては最高視聴率をたたき出すといった大ヒットにつながっています。わからないものですね。
●恋愛がないし銀行のドラマは女性は見ない…テレビの常識が大外れ
作り手もこの非常識な選択をヒット狙いでやったわけではないようです。映画で言う監督にあたるとされていた、ドラマの演出を手掛ける福澤克雄さんは、「大ヒットをどう見ていますか?」と聞かれて、<まったくの「想定外」でした。びっくりしています>と答えていました。
また、「女性は見ない」という予想を立たていたものの、これも大きくハズレたと説明されています。テレビ業界の思い込み、偏見だったんですね。
<
「半沢直樹」は、これまでのドラマ界の常識で考えると、登場人物に女性が少なく、わかりやすく視聴率を取れるキャラクターもおらず、恋愛もないという「ないないづくし」。それに銀行という“男”の世界が舞台です。セオリーどおりなら、ドラマのメインターゲットと言われる女性は「見ない」ということになりますよね。
(中略)でも、いざ、フタを開けてみたら、女性が見ていた。
テレビの常識がいかに適当だったか、マーケティングというものがいかにアテにならないか、ということでしょう。これまでの「●●がないから視聴者は見ない」という常識は、逆に言えば、「これだったら食いつくだろう」と視聴者に対してある種の「上から目線」じゃないですか。刑事物がヒットしたら、皆、刑事モノに殺到しているでしょう。
だから、「半沢直樹」は、最後は自分が面白いと思うものを作るしかないと思ったわけ。それしかないと。だから、今は2カ月、家に帰らずに撮影と編集をしています(笑)。
最初から“常識外れ”のドラマだったから、原作を書いた池井戸潤先生との最初の打ち合わせのときも「一生懸命作りますけど、たぶん当たらないですよ」と言っていたくらいです(笑)>
●ポイントはわかりやすさ?余計な話を入れずにテンポよく話が進むように
紹介したかった部分はこれだけ。しかし、これで終わりというわけにもいかないので、インタビューをもう少し。視聴率が取れた理由について、福澤克雄さんは、2つ予想しています。ひとつは、原作の面白さで、もうひとつは半沢直樹を演じる堺雅人さんの演技だと見ていました。
ドラマの原作である『オレたちバブル入行組』や『オレたち花のバブル組』のシリーズは、とにかく余計な話を入れずに、ストレートに話がどんどん進んでいくとのこと。この作品に、昔の日本映画が持っていた「パワー」を感じたという言い方をしていました。
昔の日本映画として具体的に想定しているのは、黒澤明監督の映画『用心棒』(1961年公開)です。<僕の中では、「半沢直樹」は「現代版用心棒」>と言っていました。黒澤明監督の映画『用心棒』やそれを意識した点について、福澤克雄さんは、以下のような説明をしていました。
<『用心棒』はテーマがなくて、とにかく「活劇」。用心棒が村にやってきて、一見して悪者がわかる村人に対し、はちゃめちゃやって、物事に片をつけて去って行く。この作品が面白くて、何回も見ながら、こういうドラマにしたいと。だから、ドラマを豪華に見せようとか、恋愛を入れようとか家族愛を描こうといった、サイドストーリーを入れることはせず、原作のように次々とテンポよく話が進むようにしました>
これは「わかりやすさ」的な感じですかね。日本で韓国ドラマが流行りだした当初も、素朴な内容が受けたと聞いたことがあります。逆に言うと、近年の日本ドラマはわかりやすくない内容のものが増えてしまっていて、それがヒットしづらい…ということに繋がっていたのかもしれません。
<あとは、悪役は悪役らしく、ヒーローはヒーローらしく、わかりやすく。『用心棒』では、新田辛之吉を演じた加東大介さん、清兵衛の女房おりんを演じた山田五十鈴さんのような名優が悪役を見事に演じている。今回も、国税局の黒崎を演じている片岡愛之助さん、東田を演じる宇梶剛士さんなど、悪役としてオファーをして“わかりやすい悪役”として出演してもらっています>
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