もしおまえたちが孤児を公正に扱いかねることを心配するなら、気に入った女を2人なり3 人なり、あるいは4人なり娶れ。もし妻を公平に扱いかねることを心配するなら、1人だけを、あるいは自分の右手が所有するものを娶っておけ。いずれにも偏しないためには、これがもっともふさわしい。 --コーラン第4章第3節-- (※2より) |
「シャリーア(イスラームの教え)の源泉たるコーランを参照する限り、4人までの一夫多妻は扶養面での平等を条件とした必要時の社会救済策であり、平等が無理ならむしろ一夫一婦が推奨されています(コーラン第4章第3節参照)。もう一つの源泉たる預言者ムハンマドの慣行を見れば、その家庭生活の在り方から、基本は一夫一婦であり、その後、神のご命令による様々な英知がゆえに一夫多妻となったことが分かります」 (「旦那さんには実は第2妻がいた」一夫多妻の本質は社会救済策、厳しい条件もある 佐藤 兼永 2011年11月22日(火)(登録要、日経ビジネスオンライン 以下、※1)) |
一夫多妻を認める啓示が預言者ムハンマドに下った当時、ムスリムの共同体は周辺部族との戦争で男性信者の多くが命を落とし、たくさんの戦争未亡人と父親を失った子どもたちが生まれた。当時の社会において女性が独身のままで生計を立てることは難しい。彼女たちを救済するため、妻たちを平等に扱える限りにおいて4人まで女性を娶ることを認めた。コーランにも、寡婦の救済としての一夫多妻制について記述がある。 (※1より) |
前野さんは、結婚できる女性の数をイスラム教が4人までに制限したことも見逃せないと指摘する。「それまでは何人でも『あり』だったということですね。それを4人までとした。さらに平等という条件を大前提とした」 つまり、戦争未亡人たちと彼女らの子供たちを救済するために、神はムハマンドに一夫多妻は認める啓示を与えた。この啓示は、それ以前のように無制限に妻を持つことを認めたわけではない。 一方、前野さんはこう加える――人数制限と扶養面の平等という2つの条件を守る限り、戦争未亡人の救済以外の目的でも一夫多妻は認められる。イスラム法では一夫多妻制を広い意味での社会救済策と捉えるからだ。 また、夫が2人目以降の妻を娶ることに対して、1番目の妻は拒否する権利がある。イスラム教における結婚とは、互いの権利と義務を規定する契約関係だという。「無断で2人目と結婚された。我慢できないのであれば、離婚も選択肢の1つです。それは宗教を踏まえて考えても正しいやり方です」(前野さん) (※2より) |
イスラム教上の結婚は、男性の証人を2人を立て、マハルと呼ばれる「婚資」について定めるなど婚姻契約を結ぶことで成立する。ちなみにマハルは新郎が新婦個人に対して支払うお金だ。「結納金のようなもの」と解説されることもあるが、離婚時に支払うマハルもある。しかし永野さんに相談を持ち込んだ、ある日本人女性の結婚は、この基本的な要件を満たしてなかった。 「結婚する時に友達が1人付き添ってくれただけだから証人は1人。そしてマハルも無しでした。マハルが無かったから、離婚する時に悲惨な目に遭いました」 「その女性は、何か分からないまま、イスラムに入らされたと言ったんですよ。イスラムに入信する時は、本人の意志を必ず事前に確認します。『あなたの意志で入信しますか?』って。またイスラムの結婚には、『この結婚はあなたの意志ですか?』という確認の作業があります。彼女の場合は、そういったものをはしょって既成事実をつくった」(永野さん) 問題はこれだけではない。 「もっと突っ込んで言っちゃうと、旦那さんには実は第2妻がいたという。で、第2妻の方にべったりになって、彼女には生活費も入れない生活が続いた。そして、『お前もういらないから』という感じで、離婚を言い渡した」(永野さん) 「この旦那さんは、イスラム法に則った結婚もしてない。第2妻にべったりになるのもイスラム教的にアウトじゃないですか。で、生活費も入れないというのは、さらにアウト」(永野さん) ただし、このカップルは日本の民法上、婚姻関係にあった。それなら離婚に際して慰謝料を請求できるのではないか? 永野さんも当然そう考え、女性に尋ねると、別の問題が明らかになった。 「弁護士が戦ってくれないんですよ。なんでかって言うと、弁護士にイスラムの知識が無いから、『イスラムは第2妻がオッケーなんじゃないか』ってことで戦う気がない。だからその案件に着手してくれないんです。かといって、自分で裁判戦える人って、そうそういないじゃないですか」 (※1より) |
世界的に見て、ムスリムの結婚のほとんどは一夫一妻だ。 それは当然だろう。イスラム教の結婚は、妻の扶養義務を夫に課す。1人の奥さんを扶養することすらも大変だと言う声もある。松山さんは自身の結婚をこう語る。 「そもそも1人の女性を娶るハードルもすごく高いんです。例えば、私は車も持ってないですし家政婦さんも雇ってない。ですから、たぶん古典的なイスラム法に則れば、妻が『離婚する』と言えば離婚が成立すると思うんですよ。必要な物資を調達してないので」 大久保さんが語るエジプトの“かかあ天下” な夫婦関係は、アフガニスタンなどで虐げられている女性の姿が、ムスリム社会全体に一般化できないことを表している。 「エジプト人はみんな、結婚する時はハッピー、ハッピー。だけど、年を取るともう、奥さんの後ろにこう(背中を丸めるながら)くっついて歩くんですよ。(エジプトの奥さんは)強いんだって。アラブ女性は強いけどエジプト人は典型的だと聞いたことがある」 この話を、温厚な日本人ムスリムと最近結婚したエジプト人の留学生に確認すると、彼女は「残念ながらその通りです」と答えた。 イスラム教における一夫多妻制は、「誰でも参加できますよ」と言っておきながら「2時間10分を切れるならば」という自己申告の条件がつくマラソンのようなものかもしれない。条件を満たす人がいないわけではない。しかし大半の人は、自分には参加資格がないという事実を知っている。 (※2より) |
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