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オウム真理教と中沢新一 内田樹・石原慎太郎・石原延啓・吉本隆明などとの関係も


2012/2/22:
イニシエーション論というよくわからない理論
研究者自身が信者になってしまったのが問題では?
島田裕巳氏はオウム真理教と同型の思想から抜け出せていない?
中沢新一氏「サリン事件が一万人規模なら違う意味があったのに」
オウム真理教の危険を訴えたジャーナリストをは統一教会員と断定
中沢新一氏には過激だった古い共産主義の影響?
日本を美化称賛し排外主義的な思想も持っていた中沢新一氏
反ユダヤ主義の内田樹氏が中沢新一氏に賛同するおかしさ
中沢新一氏のグリーンアクティブ記者会見には右翼も参加
2012/4/2:
吉本隆明氏も「麻原彰晃を高く評価」していた
2018/07/09:
石原慎太郎氏とオウム真理教の関係、保守派も指摘


●イニシエーション論というよくわからない理論

2012/2/22:島田裕巳と幸福の科学とオウム真理教では書かずに分けましたが、島田裕巳さんがオウム擁護者とみなされた理由の分析は最後にもう一つありました。

 大田俊寛さんは、「イニシエーション」(通過儀礼)という概念についてまずピックアップしています。大田さんは、東大宗教学の柳川啓一先生は「宗教の中心にあるのはイニシエーションである」と言っていたと指摘。以下のようなイニシエーション論があったとしています。

・人は儀礼において「聖なるもの」を体験することにより、子どもから脱して大人になることができる。

 上記自体は根拠のなさそうな妄想に思えますけど、とにかく島田裕巳さんは、そういうイニシエーションという儀礼が宗教の中核にあるということを柳川先生から学んだと、大田さんは見ていました。
(宗教学者"世代超え"対談・島田裕巳×大田俊寛(中編)「島田さんがオウム擁護派と見なされたのには、4つの理由があった」(日刊サイゾー)より)


●研究者自身が信者になってしまったのが問題では?

 当時の宗教学研究室では、本を読んで理論や歴史を学んでいるだけではダメで、イニシエーションを直接体験しなければならないということから、聖なるものを体験させてくれる宗教を見つけ、そこに「潜り込み」調査をするということが行われていたそうです。

 これ自体はまだ良いのですけど、イニシエーション論の思想により、この行動がさらに深化。自ら信者になって体験するということが行われたのではないかとしていました。おそらく完全な当事者になってしまったということでしょう。例えば、島田さんはヤマギシ会へ、中沢新一さんはチベット密教の世界に潜り込んでいます。

 なので、大田さんは、聖なるものを直接体験することであるという考え方を乗り越え、そうした捉え方がどういう問題を引き起こしてしまったのかという反省を行わない限り、宗教学としてのオウム総括は完了しないのではないか、としていました。「島田さんは、イニシエーション論を反省的に乗り越えるべきではないでか」とも言っていました。


●島田裕巳氏はオウム真理教と同型の思想から抜け出せていない?

 一方、島田さんは以下のように、柳川先生がそのような理論を持っていたということを否定していました。

島田 ひとつ重要なポイントは、イニシエーション、聖なるものを体験することを、東大宗教学の人間が目的にしていたかというとそうではないと思う。宗教というものは一般には聖なるものと思われているかもしれませんが、むしろ逆で、俗なるものにより成り立っていると思う。また、柳川先生がトータルにイニシエーション論者かというとそうでもない。そのことは本人に直接聞いたことがある。実際に、現場の中に飛び込んで宗教を体験するというやり方は、柳川先生の中でうまく理論化できなかった。むしろ、それを本格的にやったのは中沢新一じゃないかな。でも、そうした潜り込みという方法は、今では倫理的にも道徳的にも許されないのが現実だと思います。

 ただし、これは柳川先生の無実を訴える一方で、島田さん自身の問題には答えられていないでしょう。島田さんは実際にヤマギシ会へ潜り込んでいました。以下のようにオウム事件後も、イニシエーション論の影響を受けているような記述をしていたとも指摘されています。

大田 島田さんの『私の宗教入門』(筑摩書房、『イニシエーションとしての宗教学』の増補版)を読むと、「オウムに関与して自分はバッシングを受けたが、そういう過酷な体験こそが、自分にとってイニシエーションになった」と書かれている。それは、アレフという形でオウムに残っている信者たちが、地下鉄サリン事件は麻原から与えられたマハームドラー(チベット密教に伝わる修行法のひとつ)、すなわち、グルが弟子たちに与えた大いなる謎であり、聖なる試練であるという捉え方をして、いまだにオウムの論理から抜け出せないのと同型であるように思われます。


●中沢新一氏「サリン事件が一万人規模なら違う意味があったのに」

 ところで、ここで出てきた沢新一さんというのがクセモノなのです。私は何も知らずに本を一冊読んだことがあった(その本自体は難しくてよくわかりませんでした)んですけど、読み終えた後でネットで検索してたまげました。オウム真理教に好意的だった人なのです。

 例えば、以下では、有田芳生さんはジャーナリスト 2007/03/26(有田芳生の『酔醒漫録』)では、今回出てきた島田さんが中沢新一さんを批判した話に、以下のような内容のものがあったと紹介していました。
島田裕巳さんによる中沢新一批判を読み終える。「ね、高橋君。オウムのサリンはどうして(犠牲者が)十人、二十人のレベルだったのかな。もっと多く、一万人とか、二万人の規模だったら別の意味合いがあったのにね……」そう中沢さんが語ったところがポイントだろう。ここで「高橋君」というのはオウム真理教の出家信者だった男性のこと。島田さんは中沢さんのチベット密教の修業経験や著作などから、いまでも信者に影響力を持っていることを実証的に明らかにした。麻原彰晃なき教団にとって「第二の教祖」だという。野田成人アーレフ新代表も、裁判所の待合室で出会ったとき手にしていたのが中沢さんの『虹の階梯』だったことを思い出した。

●オウム真理教の危険を訴えたジャーナリストをは統一教会員と断定

 また、有田芳生の『酔醒漫録』 2007/03/24によると、中沢さんと林真理子さんが「週刊朝日」で地下鉄サリン事件のあとに行った対談があったものの、ボツになったといいます。以下のようにあまりにもひどい主張だったためだそうです。

・オウム真理教の危険を訴えていた江川紹子さんは統一教会員だ。
・日刊現代記者の二木が資料を島田裕巳に渡して「幸福の科学をたたけ」と言って原稿を書かせた。これは島田が悪いんじゃなくて、二木が悪い。あの人は、学生のとき、爆弾製造犯だったから。
・坂本弁護士事件というのは、オウム真理教の犯罪じゃないといまでも思っている。真犯人は別にいる。午後7時に坂本弁護士の自宅に3人の女性が入っていた。
・石原慎太郎の四男がオウム真理教の幹部だった。
・実行犯の大半が、北朝鮮の被差別部落出身だった。
・麻原さんは、戦後の日本が五十年作ってきた歴史を、全否定しようとしているんだと思う。
(2007/03/25(有田芳生の『酔醒漫録』)より)


●中沢新一氏には過激だった古い共産主義の影響?

 上記の話を踏まえた上で、宗教学者"世代超え"対談・島田裕巳×大田俊寛(後編)凡庸なるロマン主義者(!?)中沢新一氏・内田樹氏への果てしなき疑問(日刊サイゾー)の中沢新一さんに関する部分を読んでみましょう。

――島田さんと同世代の宗教学者といえば、中沢新一さんです。彼の著作『虹の階梯 チベット密教の瞑想修行』(平河出版社)はオウムのネタ本ですし、事件当時、雑誌のインタビューでは「信者を引き受ける」と言ったりしています。大田さんも島田さんも著書の中で中沢さんを批判しています。中沢さんと島田さんは、同時期に学んだ大学の先輩・後輩になりますが、近くにいて彼はどんな人物だと感じましたか?

島田 正直、よくわからない人ですね。(中略)私の著作の中でも触れましたけど、彼がものすごく共産主義の影響を受けていることに、本を書く段階で確認して、ビックリしました。それも影響を受けているのが、古い共産党、武装していた頃の共産党なんです。オウム事件の頃の言動を聞いても、どうして「サリン事件の被害者がもっと多かったら別の意味合いがあった」「オウム真理教の信者を引き受ける」などと言うのか不思議に思った。結局、そういうところがよくわからず、あらためて中沢新一という人物を考えようということで『中沢新一批判~』を書いた。でも、中沢さんからは何の反応もなかった。東日本大震災後に、彼がグリーン・アクティブとか緑の党(コンセンサス会議や雑誌、緑の経済特区や農学校をつくることを打ち出している)とか言い出した時に、「党」という言葉を見て、やはりと思った。この人はまったく政治的な昔の共産党の枠組みで、ちょうど状況が変わったがゆえに、またそういうことをやろうとしているのかと。そんな枠組みが、今の世の中で通用するとは思えない。そういう運動をするならば、まずは自分とオウムとの関係がどうだったのか、自分の言説はオウムとのかかわりの中で、どのような影響を教団や社会を与えたのかということを何らかの形で言うべきだったと思う。なぜ、それをずっと沈黙し続けているか、ちょっと理解できない。


●日本を美化称賛し排外主義的な思想も持っていた中沢新一氏

 ただ、大田さんは「島田さんとは逆の意見になりますが、私は中沢さんというのは、とてもわかりやすい人だと思います」としていました。

大田 一言でいうなら、彼は「凡庸なロマン主義者」です。ロマン主義を歴史的に説明すると複雑になるので、ここでは簡単に話しますが、ロマン主義者は世界を「見えるもの」と「見えないもの」に二分し、見えないもののほうが重要なのだ、リアルなのだと主張する人たちです。(中略)中沢さんも明らかに、こうしたパターンを踏襲しています。

 また、むしろ右派にも共通しそうな部分も見出していました。

大田 ここで問題になってくるのが、自民族中心主義と同時に現れる、排外主義の傾向です。自民族の純粋性を維持するために、何が必要か。それは、「外から来るもの」を排除することである。それでは、「外から来るもの」とは何か。それは「ユダヤ」である──。こういうことを過去に主張したのは誰でしょうか。それはナチスであり、オウムだったのです。中沢さんの最近の著作『日本の大転換』(集英社)では、日本の自然環境が「リムランド」という名称で美化され、美しい日本を守るために、一神教的原理、ユダヤ的原理から脱却せよと唱えられています。それによって日本は大転換しうるのだというのが、今の中沢さんの主張なのです。このように中沢さんの言説には、隠された「反ユダヤ主義」という側面が存在しており、先ほどの言い方で言えば、私はこのような要素が、中沢さんがオウムと「共鳴」した原因の一つではないかと思っています。


●反ユダヤ主義の内田樹氏が中沢新一氏に賛同するおかしさ

 ちょっと話がそれますけど、大田さんは内田樹さんもおかしいのでは?という話をしていました。先に名前が出てきた中沢新一さんのグリーン・アクティブの活動には、内田樹さんが賛同者のひとりに加わっています。

 しかし、内田さんは、ユダヤ人の思想家レヴィナスの研究者であり、反ユダヤ主義についても研究されている方なんだそうです。それがユダヤ陰謀論を唱える中沢新一さんに協力するってのはおかしいでしょ?という指摘です。

 内田さんは最近、空中浮遊のヨーガ行者として有名な成瀬雅春さんとの対談書を公刊。人間は限界を設けなければ空中に浮ける、自分はUFOを見たことがある、戦争に行っても弾に当たらない技法があるといったオカルト話が延々と綴られており、「素朴なオカルティスト」という側面があると見ていました。

 内田樹さんは日本人の論争は、中身よりも相手を馬鹿にすることが大事で好意的に紹介しましたし、そこで引用した内容自体は今でも正しいと思いますし、役立つものだと考えています。しかし、その後見かけたものは首を傾げるもことが多かったので、この話には合点が行きました。

 オカルティストだから内田樹さんは間違っているとなると人格批判的になってしまいますが、反ユダヤ主義に対する記述が大田さんの言うとおりであれば、明らかな矛盾です。


●中沢新一氏のグリーンアクティブ記者会見には右翼も参加

 一方の中沢新一さんの最近のニュースを検索すると、中沢新一氏「緑の党のようなもの」グリーンアクティブ立ち上げ (2012-02-13 22:10)というものが出てきました。

 中沢新一さんはすごく左っぽい主張なんですが、おもしろいのが「緑の党のようなもの」として構想を伝えてきたグリーンアクティブの立ち上げ記者会見に、一水会代表の鈴木邦男さんが参加していたこと。一水会、ここって、右翼なんですよね。右っぽいところも出ていましたし、単純には言えなそうです。

 なお、この中沢新一さんについては、中沢新一とオウム真理教のユダヤ陰謀論でも書いています。


●吉本隆明氏も「麻原彰晃を高く評価」していた

2012/4/2:呉智英氏 吉本隆明の「大衆の原像」の理解に一週間かかった(週刊ポスト2012年4月6日号)では、吉本隆明さんが全共闘世代の学生、左翼思想傾向の知識人に、確かに大きな影響力があった思想家だったとしていました。

 吉本隆明さんは、大衆の原像を組み込まない政治は駄目だという見解を示していたものの、これは結局、「俺だけが真の大衆を知っている」と言いたかっただけではないかと見ていました。

 そして、これはキリスト教と同じだと指摘。「神を組みこまない人生は駄目だ。そして、真の神とは何かを我々だけが知っている」という神学だとのこと。大衆を模索していた学生や左翼的知識人がこの神学に飛びついた、としていました。
 
 吉本さんが「麻原彰晃を高く評価する」という珍論を発表して、大衆にも学生たちにも全く売れなくなった後でも、全共闘時代に吉本愛読者だった言論人だけが、吉本さんの新刊を褒めちぎったとしていました。


●石原慎太郎氏とオウム真理教の関係、保守派も指摘

2018/07/09:中沢新一さんは、石原慎太郎の四男石原延啓さんがオウム真理教の幹部だったと言っていました。これは前述の通り、デタラメで信用できないものでしょう。

 ただ、元自民党衆院議員の浜田幸一さんも著書『ハマコー非常事態宣言』の中で、石原慎太郎さんが 山口敏夫さんと共にオウム真理教への資金提供を行っていたと言っていた…という情報がネットでは出回っています。いっしょに出てきた山口敏夫さんというのもやはり元自民党の議員さんです。

 また、全然決定的な証拠とはならないものの、オウム真理教幹部であった林郁夫さんが、慶應義塾大学病院の勤務時代には心臓外科の名医として石原裕次郎の手術チームの一員でもあったことは事実のようです。
(林郁夫 (オウム真理教) - Wikipediaより)

 あと、そういえば、私が読んだ中沢新一さんの本は確か、日本の浮世絵が西洋の文化人に多大なる影響を与えてすごかった!など、東洋文化が西洋文化に強く影響を与えたと主張するものだった気がします。日本だけでなく「東洋が」というものなのですけど、ここらへんは元のときにあった「日本を美化称賛」って話と似ていますね。


【本文中でリンクした投稿】
  ■島田裕巳と幸福の科学とオウム真理教
  ■中沢新一とオウム真理教のユダヤ陰謀論

【関連投稿】
  ■スピリチュアルとオウム真理教の勧誘
  ■お布施の目安作成は宗教介入か?
  ■お布施とは何? ~お布施の本来の意味と現在の感覚~
  ■日本におけるイスラム教 ~一夫多妻制~
  ■日本におけるイスラム教 ~女性に差別的なのか?~
  ■文化・芸術・宗教・海外との比較についての投稿まとめ

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